tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米中関係の仲介・改善は日本の役割

2023年05月31日 13時33分27秒 | 国際関係
トルコの大統領の決選投票ではエルドアン氏が選ばれました。マスコミの報道によれば、ロシアとEU・ウクライナの対立の仲介役、エルドアン氏という認識の効果が大きかったということです。

確かにウクライナの穀物輸出問題でもエルドアン氏は重要な役割を果たしました。勿論、ロシアのウクライナ侵攻問題の解決は容易ではありませんが、エルドアン氏の努力は、国際的にも大きく評価されて当然でしょう。

今、世界の安定に大きな懸念を投げかけているもう一つの問題は、米中関係でしょう。
米中の制服組のトップ会談をアメリカが持ちかけましたが中国が拒否したというニュースが入ってきました。

トランプ政権以降、米中関係は明らかに対立関係に進んできました。そして中国が国内問題とする中台問題は、習近平主席の3期目就任とともに一層深刻になるようです。

アメリカも中国も二分論(dichotomy)的な文化を持つ国です。そして地政学的には、中国は次の覇権国を目指しているでしょう。
もし現状を放置し、地球上に仲介役を果たす国がいないと、台湾有事から第二次太平洋戦争の可能性すらなしとしません。

既にアメリカ政府に近いシンクタンクCSISは台湾有事のシミュレーションを発表し、日本の参戦がなければアメリカが負けるというケースまで推測していると報道されています。

こんな状況の中で、アメリカ、中国との関係改善のために最大限の努力をしなければならない国は何処かと考えれば、客観的に見る限り、それは日本でしょう。

古くは中国から学び、戦後はアメリカから学び、痩せても枯れても世界第3位のGDPを持ち、地政学的にも両国の間に位置し、しかも二分論でない、融通無碍な文化的伝統を持つ国です。さらに言えば、「平和憲法」を掲げる国なのです。

日本政府は、「日本にそんな力はない」というかもしれませんが、対立の仲立ちをする国には「力」は必要ないのです。必要なのは信頼関係と説得力でしょう。

企業などあらゆる組織でトップというのは孤独なもので、国のトップの場合も基本的には同じで、トップはいつも、心のどこかで本音で話せる相手を探しているのです。
その本音を親身になって聞く事の出来るものが真の仲介者でしょう。

ユネスコ憲章の前文は、英国の故アトリー首相の言葉を引いています。
「戦争は人の心中で始まるものであるから、平和の砦は人の心の中に築かなければならない」
世界中が知っていますが、実践は人間の心の弱さのために、極めて難しい言葉です。

しかし、米中関係の正常化は、世界中が望んでいる事でしょう。
そして、未だ、事前の話合いで解決出来る可能性がないとは言えない、あるいは「言ってはいけない」段階なのではないでしょうか。

まだ、未然の対処のために残されている時間はあるのでしょう。
日本政府、岸田総理は、敢えてこの役を買って出ようとは思わないのでしょうか。

賃金・物価水準の正常化の鍵は企業行動

2023年05月30日 13時45分51秒 | 経済
日銀の植木総裁は、物価問題の全責任を負わされたような形で、大変ご苦労をされているようです。

アメリカでも、ヨーロッパでも中央銀行の総裁は皆さん物価問題で苦労しておられますが、世界経済が混乱して資源価格などが乱高下したり為替レートが変動したりすると、欧米では民間企業がその影響を増幅するような行動をとり、インフレが激化したり、賃金が高騰したりして、金融政策では容易に抑えられないような状況になるからのようです。

日本の企業や労働組合は、その点ではお行儀がいいようですが、お行儀がいいだけでは済まないし、最近少しそうでもない事もあるようです。

やっぱり企業は経済活動の主体ですから(労働組合も)主体が、環境変化に適切に多応しないと経済は上手く行かないし、金融政策というリモコンでそれを上手く捌こうとしても、容易ではないという事でしょう。

日銀の植田総裁は、今年後半には物価は下がっていってその後また上昇傾向になるのではと予想されているようです。

このブログでも、日本では長年の我慢が限界にきて一斉値上げの波が起きて上ってきた消費者物価も、そろそろ一段落で、後は春闘の賃上げによるコストアップが多少の上昇に繋がるかなといった見方をしていました。

しかし、最近の動きを見ますと、一斉値上げの波は津波のように繰り返して未だ収まらないという状態です。

政府・日銀は「2%インフレ目標」ということで日本経済の体質的なインフレが2%というのが望ましいと言っていますが、、どうも一斉値上げがエスカレートして、東京都区部では5月にはコアコア指数が3.9%となりこれ以上上がればアメリカ並みというところです。

一部の回転寿司チェーンなどでは、値上げで売り上げ減となり、値下げもという動きもありますが、加工食品や飲料などはまだ値上を考えているようですし、電力業界は6月から電気料金の大幅値上げを決めています。

もう昨年来の値上げの季節を卒業し、経営努力で利益を出し、賃上げもするという経営の本来の姿勢に戻る時期でしょう。
経済活動の主体である企業にその辺の自覚が欲しい所です。

ただ、この所の円安、1$=140円が一時的かどうかという問題が起きていますから、これは別途考慮という事で、適切な対応を慎重に考えるべきでしょう。

どう対応するかという問題については、円高の時には賃金を下げ、物価を下げる努力をしたわけですから、円安がこのまま続けば、それは、賃上げ、価格上昇の方向で対応しないと、アベノミクスと同じ失敗をすることになります。

こうした問題に対しても、産業・企業の労使が自覚して適切に対処すればいいのかもしれませんが、問題が些か複雑ですので、慎重な対応が必要という訳です。

考えられる方向としては、アカデミアが国民にも企業にも(政府にも)解りやすい理論構築をして、政府、日銀、産業企業の労使が十分に話し合って経済の安定した成長に整合的な行動を取るといった「日本的な」作業が出来ればいいなと思うところです。

岸田内閣支持率上昇、政策の現実は?

2023年05月29日 16時38分55秒 | 政治
岸田内閣支持率上昇、政策の現実は?
岸田内閣の支持率が46%に上ったようです。イギリスのスナク首相の支持率は上がっても18%というのと比べれば大変結構ですし、ご子息の不行跡も関係なくて一安心でしょうか。

何となく日本経済が上向き傾向という追い風が吹いているのが強みでしょうが、少子化対策に力を入れている事が大きな効果を持っているようにも思われます。

18歳まで支給とか、第3子には小学生まで月6万円とかいった案が出されたりで、それは3万円に修正されたようですが倍増です。所得制限なしというのも賛否両論でしょうが、貰えるモノならという事もあって賛成でしょうか。

そして「こども金庫」などという言葉も出て来て、何だか財源が湧いてくるような印象も与える効果がありそうです。

元もとの問題は、防衛費で使い切った財政の上に年間少なくとも3兆円ぐらいの負担をどう捻出するかですが、岸田総理は消費税を含め増税はしませんと言い切っているので、国民は安心しているのかもしれません。

然し岸田さんはその同じ口で、財源については社会保険料への上乗せなども念頭にと言っているのです。ところが、社会保険料というのは、一般的には社会保障税とも言われ、税金の概念の包括されるものです。

税金と社会保険料の合計を国民所得で割ったものを「国民負担率」と呼び、国民の負担としては区別できませんし、片方だけの負担という概念は成立しません。

税の一体改革は日本でも随分議論されてきましたが、社会保障の財源として、社会保険料によるか付加価値税によるかは、何処の国でも国民負担の中の政策選択の問題なのです。

こんな、かつての安倍総理の「ごはん問答」(朝ごはんは食べていません。パンを食べました)みたいなことは何の意味もないのです。

岸田総理は、これに加えて、3兆円のうち2兆円程度は徹底した歳出削減で捻出ということにも言っていますが、防衛費の削減も考慮の内なら結構という意見もあるでしょう。
それより扶養控除の撤廃が歳出削減に入るのではという心配もあるようです。

つとに「異次元の少子化対策」はカネの問題なのかといった本質論も広くある中で、異次元とはカネさえ出せばという事なのかという意見に対しては具体的な議論もないままです。外国では、フランスの例などを見てもカネの効果への過度の期待は疑問です。

内閣支持率が上がれば、それで結構という事であれば、これでもよいのかもしれませんが、現状、日本の財政問題も背景にある国際関係も極めて複雑で深刻です。

一方で平和憲法の下でも戦争に巻きこまれる可能性を大きく孕む防衛費の急増政策、もう一方で国民生活の平穏を目指す少子化対策を、2つの政策の整合性の議論もなしに同時進行させようとする岸田政権の支持率上昇をどう見ればいいのかです。

国際関係に翻弄される今日の日本ですが、岸田内閣も、支持率上昇に気を良くするだけではなく、上昇に相応しい成果を挙げてほしいと願うところです。

庭の片隅、今年はアジサイ(紫陽花)が元気

2023年05月27日 14時48分33秒 | 環境
庭の片隅、今年はアジサイ(紫陽花)が元気
我家の狭い庭の西側塀際のアケボノの脇にアジサイが植えてあります。

アジサイの枝は結構伸びるもので、塀越しに隣家に延びていくので、昨年は思い切って塀際の枝を切ってアケボノ脇の方に出て来るようにしました。

そのせいで、今年はススキの株の後ろ、アケボノの隣に枝が伸びて来て大きな花が沢山咲き始めました。

このブログでアジサイの写真を載せたことはなかったようで、こんなに花をつけるとは思っていませんでしたので、アジサイの花が一番賑やかに見えるような角度で写真を撮ってみました。



あまり天気が良いので光の反射が強く白っぽくなってしまうのが残念ですが、余り加工しない方がいいと思ってそのまま載せることにしました。

狭い庭ですので、この辺りはもともと白ヤマブキが植えてありました。アジサイの葉と白ヤマブキの葉が入り混じって、それに野生の自然薯の弦が絡みついて藪になってしまっているのですが、アジサイはその上に伸びてて花を咲かせています。

アジサイの花冠は沢山の花が丸く纏まっているので、どのくらいの数かとアップの写真で、ざっと数えてみましたが、花冠の大小はありますが、大きな花冠では300から400ぐらいもありそうです。



カルミヤの花、アジサイの花、サルスベリの花、アガパンサスの花、我が家の花も小さな花の集合体が立派な花冠になっているものが結構あります。

自然は手抜きなどはしないで、キッチリ造化(造花)の作業をしてくれるのですから本当にありがたいものだと思います。

低い枝には未だこんな蕾もありますので、当分楽しめそうです。


東京都区部消費者物価に見るインフレ傾向

2023年05月26日 15時07分31秒 | 経済
消費者物価指数の先行指標と言われる東京都区部の消費者物価の5月分(中旬速報値)が発表になりました。

このブログでも毎月初旬に発表になる日本銀行の輸入物価指数、企業物価指数と消費者物価指数の関係を見る際、この速報を使っていますが、重要な先行指標です。

今回発表の5月の数字は、季節変動のある生鮮食料品を除いて対前年同月比で3.2%の上昇、前月の3.5%より下がったことを報じていますが、これは政府の電力・ガスの料金引き下げ政策によるもので、消費者物価の上昇基調は変わらないというのが実情です。

マスコミでも、電気・ガス料金が下げられたことで上昇率は下がったが、食料品や日用品の値上がりは大きく、消費者物価の上昇基調はまだ続きそうという論調が多くみられます。

このブログの4月分の消費者物価の分析でも指摘していますが、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(アメリカでは消費者物価の「芯の芯」といった意味でコアコア指数と呼んでいます)は対前年5月で3.9%の上昇となり図のようにこれはこれまでの最高です。

東京都区部の消費者物価3指数の推移

                      資料:総務省統計局「消費者物価指数」

値上がりの大きいのは4月の全国指数とも共通なものが殆どですが、食料品の値上げ傾向は続いており、調理食品、加工食品、飲料、外食などの中にはが2ケタの値上がりのものも多く「生鮮を除く食品」の値上がりは8.9%に達しています。

東京都区部の場合、昨年5月も対前年同期比で8.9%上昇しており一斉値上げで始まった価格水準の改定が1年たっても繰り返されていることが解ります。
長期不況で値上げが出来なかったことの反動と言ってもこの上昇は少し異常です。

原因は種々あると思いますが、2年連続で物価が10%近く上るというのは、他の物価や人件費の上昇との乖離が大きすぎる感じがします。

統計的にみれば、そろそろ上昇率が落ち着いてくるのではないかという状態ですので、この1年ほどの「消費者物価は上がって当然」といった意識の切り替えが必要な段階に入って来ているように思われるところです。

株価は上がっていますが、家計の所得のベースである賃金水準は春闘順調と言ってもせいぜい3~4%の改善です。不用意な価格の引き上げは、また、買い控えによる消費不振につながる恐れも大きいので、社会全体が、物価上昇に用心深くなる段階に入っているのではないでしょうか。

消費者物価のコアコア指数が、アメリカの5%に近づいて来ている事は、危険信号と見た方が良いのではないかなどと考えるところです。

改めて非正規雇用問題の深刻さとは

2023年05月25日 20時39分01秒 | 労働問題
今春闘の賃上げ率は、従来の水準より1ポイント前後高くなるようなペースで進んでいるようで、これは多分日本経済にプラスの影響を持つと見られます。

また、賃上げ率でみると正規従業員より非正規従業員の賃上げ率の方が高いというケースもかなり多いようです。

勿論金額でいえば、正規従業員の方ベースが高いですから高くなるにしても、率が高ければ何時かは追いつくのが理屈ですから、先ずは評価出来る動きで、今後も企業としては確り考えるべきだと思います。

しかし、より本質的な問題を考えますと、長期不況の中で企業が正規を減らし非正規を増やしたという問題は、賃金引き上げだけでは解決しない大きな問題を孕んでいます。

それは、非正規の増加が、仕事の熟達した従業員を大幅に減らした結果だという事です。
非正規従業員が15%ぐらいだった頃は、束縛の多い正規従業員にはなりたくないが、ある程度の収入が欲しいといった学生や主婦などが多いという時代でした。

それはそれなりにハッピーな時代でした。
しかし、長期不況は、日本経済、日本企業にとって極めて苛酷で、非正規で正規従業員を代替するという窮余の策を企業に強いたようです。

勿論、正規従業員の賃金水準を下げて、不況を乗り切ろうとした企業もあったようです。しかし1ドルが240円から120円と2倍の円高では、理論的には賃金を半分にしなければ生りません。
や育成
賃金はそんなに減らせませんから、福利厚生費や教育訓練費を企業は徹底して削ったようです。
特に、非正規従業員については、教育訓練や育成は殆ど手抜きだったようです。その結果、正規の日常業務をきっちりこなすベテラン従業員の仕事にまで非正規でやりくりといった状況にならざるを得ません。

完成車メーカーで、最終検査担当に資格を持たない従業員を当て、ハンコは有資格者から借りて来るといった問題が起きた記憶をお持ちの方も多いでしょう。

そして、最近は、検査の不正、データの改竄、性能偽装、設計不正といった問題が大企業を含む多くの企業で、性能検査、顧客のクレーム、内部告発などで明らかになっています。

非正規従業員は技能を持たないから転職しても長続きせず年齢は上がっても給与は上がらず不安定雇用という苛酷な状況からなかなか抜け出せない現実、企業にとっては熟練工、ベテラン不足から、ついつい偽装、改竄、不正に走るといった情けない現状が日本企業に見られるように思います。

円高不況によって引き起こされた30年に及ぶ不況の傷跡は深いようです。
これは基本的には政府の経済外交の失敗に起因するものでしょうが、その中で、非正規従業員を中心に従業員の育成、教育訓練の手抜きを、つい先ごろまでやってきた日本企業の現実は、人間だけが資源の日本産業にとっての致命傷になっているのではないでしょうか。

特に非正規従業員多用の問題は、日本の社会的な劣化にも大きく関わる問題になっている面も見逃すことは出来ません。

勿論賃上げは必要です。しかし本当に必要なのは企業が人を育てることを最大の責務と考えるような、かつての日本企業に立ち帰ることではないでしょうか。
日本産業、日本経済の再生は、その結果として実現するのではないでしょうか。

すれ違う政治と経済、日本は何処へ行くのか

2023年05月24日 22時06分04秒 | 政治経済
この所日本経済は何となく回復に向かうと見ている人が多くなってきているようです。

勿論、日本人の多くが、そんな感覚を持ち始めているようで、企業活動も活発な動きを見せるところが多くなってきていますし、消費者も(コロナ鎮静化もあり)日常生活の活発化を志向している様子も見えています。

海外も日本経済について、これからは少し変わるのではないかと見ているようです。日本株買いもその表れかもしれませんが、ハイテク企業の対日投資や、不動産買いもあるようです。勿論、観光客の増加はこの先も一層活発化が予想されています。

かつて世界第2の経済大国に成長した日本経済が、プラザ合意による円高以来30年に及ぶ低迷期を過ごしてきましたが、海外も、このまま衰退していくとは見ていないという事もあるのでしょうか。

折しも輸入物価の高騰、内需の活発化などが日本を貿易赤字国に変え、その結果の円安という新しい環境が、プラザ合意やリーマンショックによる円高と逆な国際経済環境を作り出してくれたことも大きいでしょう。

国内的にはまだまだ問題の多い日本経済ですが、大学発ベンチャーの盛況や、企業の国内回帰なども含めて、日本経済も少し変わりそうという感じはこれからも強くなるのではないでしょうか。

こうした(思わざる?)環境変化による日本経済再活性化の動きを、日本の政治が上手く活用していければ大変結構ですが、どうもその点が些か心配になるところです。

というのは、最近の日本の政治情勢を見ますと、国民が日本の政治そのものを、何か見限っている 節があるように見られるからです。

典型的な状況はこんなところに出ているのではないでしょうか。
国民の大多数が、選挙をすれば自民党が勝つと思っています。例えば、野党はオレがオレがで乱立し、どう考えても政権など取れそうにないという意見に代表されます。

選挙で、変わった事をいう人がいると、面白がってその人に投票し(ガーシーさん)、結果は周知のとおりという、真面目に選挙をしているのかと問いたくなるような「民主主義」の使い方をしていたり、投票率は次第に下がって来ていたりが現状です。

国民が政治に本気で期待しなくなって来ている様では、民主主義は成立しません。日本の民主主義はかなり深刻な病気のようです。
国民が政治に本気で期待していないというのは、矢張り国民が悪いというより、政府
が十分に責任を果たしていないという事でしょうか。

ロン・ヤスの日米関係の中でプラザ合意を飲まされたり、リーマンショックで経済破滅の淵に立たされたり、近くはアメリカとの集団的自衛権をOKし、中國との対立を激化させたリ、アメリカ依存は本当に日本国民の意思で、国民のためでしょうか。

プラザ合意がその30年の日本経済低迷のきっかけになりましたが、集団的自衛権は、これからの日本に何を齎すのでしょうか。

政治と経済の関係がちぐはぐでなく、整合的に組み合わせられるようになることを国民は望んでいるのではないでしょうか。

「好事、魔多し」 いま、経済が良くなりそうな気配の中で,日本国民は十分に注意して今後を考える必要があるように思います。

科学技術立国は問題含みの日本

2023年05月23日 14時25分01秒 | 科学技術
岸田内閣のスローガンの1つに「科学技術立国」があったと思います。

もともと人間以外に殆ど資源のない日本は、人間が頭を働かせ体を動かして付加価値(GDP)を稼ぎ出さなければならない、人間の働きに頼らなければ成り立たない国という事になっているのです。

そしてこれから必要な人間の働きというおは、「ものづくり」から「高度技術の開発」に進んで行かなければならない時代に入っています。

その日本で今、残念な現実が起きていると今朝の朝日新聞が心配しています。
事は「働き方改革」にも関係しますが、大学や研究機関などの研究者の雇用について10年という期間雇用を定め、期間雇用で10年勤めたら「無期雇用」にしなければならないという雇用制度(2013年4月、改正労働契約法)についてです。

これは10年研究を続けていれば、無期雇用にしなければならないと「雇用の安定」を推進するための法制度のはずです。
然し、これを逆用、10年の手前で雇用打ち切れば、無期雇用にしないで済ますという動きが起き、文科省の調査では全国の大学や研究機関で数千人が対象という状況とのことです。

なぜこんなことが起きるのでしょうか。
大学や研究機関も一種の企業体ですから無期雇用(正規社員に相当)にすると人件費がかさむ、研究開発という仕事は、何時成果が出るか解らない事も当然多いので、固定費を増やしたくないという経営上の都合からというのがまず考えられるところです。

この問題に関しては、大学や研究機関がひどいという見方も在るでしょう。また、研究開発が進まなければ仕方ないという意見もあるでしょう。

然し、成果がいつ出るか解らない研究開発という問題の性格を考えれば、問題の本質は、もう少し違った所にあると考えるのが妥当ではないでしょうか。
  
それは、研究開発立国を掲げる国が、研究会発にどれだけの予算を組んでいるかという、「研究開発にはカネがかかる」という基本問題を考えなければならないという視点です。

総務省の「科学技術研究調査」(2021年度)を見ますと、「科学技術研究費の総額は2年ぶりに増加、GDPに占める比率は前年度比0.01%の上昇」と研究開発費そのものの不足という実態を垣間見るような説明が書かれています。

日本のGDPもリーマンショック以来ほとんど伸びていませんが、GDPに占める科学技術研究費の割合は2008年度3.64%、2021年度3.59%で、下がっているのです。
  
結局、研究者の雇用問題の本質は、雇用する大学や研究機関の財政難で、その結果、研究という長い時間を掛けなければ成果が解らない仕事の性格と雇用契約の関係が、単純に当面のコスト問題に切り替っているので上手く行かないという事のようです。

これに対しては、成果が出るかでないか解らないものにカネをつぎ込むのは不適切という意見もあるかもしれませんが、コロナが禍が来て、日本がワクチン研究後進国だと解ったように、科学技術立国日本の研究開発は軽視されて来ているのです。

科学技術研究への手抜きは、こんなところにも影響が出ていますと今朝の朝日新聞では、この分野ではよく指摘される「引用数の多い研究論文のランキング」を出しています。

それによりますと、上位国と日本の順位は、
1998-2000年 ①米 ②英 ③独 ④日
2008-2010年 ①米 ②中 ③英 ④独 ⑤仏 ⑥日
2018-2020年 ①中 ②米 ③英 ⑤独 ⑥伊 ・・・⑪ 韓 ⑫日
となっています。
こんなところに結果が出ているというのは、何か情けないですね。
  

戦争と平和の間:広島G7サミット 

2023年05月22日 14時04分42秒 | 国際関係
広島G7サミットはどんな形になるか、心配と興味の入り混じる中で見守っていました。

当初、広島サミットの主要テーマとしては、いわゆるグローバルサウス(先進国と途上国の関係)関連問題、ジェンダー問題、AIの進歩とルールの問題、食料や保健の問題といった多様な問題が列挙されていました。日本政府はそれに加えて、広島サミットという事で核拡散問題を上げていました。

これらはいずれも、人類社会が当面する重要問題であることには間違いなく、サミットでの討議が期待されたところでした。

然し、始まってみると、核問題はロシアの核の脅しと広島の原爆投下の惨状に関わる議論、そしてウクライナ侵攻問題に及び、ゼレンスキー大統領の急遽参加で、結果的には戦争のないこと、平和の重要性が決定的な重要を持つといった認識の中で終幕になったようです。

G7以外の招待国の中には、ロシアに対しても等距離外交の姿勢の国もありましたが、こうした国のあることも、ロシアのウクライナ侵攻問題の解決のプロセスでは重要となることも当然予測されます。

マスコミの中には対ロシアの結束の強化を狙うとするものが多いように見受けますが、この戦争がロシアの意思というよりプーチンの戦争と言われますように、独裁者プーチンとロシアとを分けて考えなければならない時期がいつかは来るのでしょう。

G7首脳が、揃って資料を訪問し、原爆慰霊碑に献花したことは、矢張り画期的なことで、これは岸田総理の最大の希望でもあったのでしょうが、(これを岸田総理や自民党が選挙に利用するかどうかは別として)矢張り大きな意味を持つ歴史上の事実という事になるのではないでしょうか。

広島サミットの「まとめ」は、招待国も含め参加国の首脳の心な中ですでに出来上がっているのでしょうが、報道で見聞きした多くの人々もそれぞれに、自分としての結論を出すことも大事のように思います。

当初から議題とされていたLGBTQといったジェンダーに関わる問題も、AIがこれからの社会にいかなる影響を与えるかも、もちろん重要ですが、そうした問題を人類がより快適な人類社会の発展のために議論する以前に、人類がまだ野蛮だった時代の遺物である戦争が「なくなる」ことがまず必要という意識は広く共通するところでしょう。

印象に残ったのは、ゼレンスキー大統領が、原爆直後の広島の写真を見て、ウクライナの戦場も共通するといったことです。規模の大小、放射能汚染といった違いはあるかもしれませんが、戦禍の跡は、基本的には同じ破壊と殺戮の跡なのです。

先程のニュースで、ブラジルのルラ大統領は、交渉がなければ停戦はない、原爆投下は戦争の激化の結果だ、交渉の場を作らなければならないと言っていました。

世界のあらゆる良識の結集を期待したいと考えさせる発言でした。


2%インフレターゲットと春闘賃上げ

2023年05月20日 16時15分02秒 | 労働問題
5月10日に連合が今春闘の結果についての中間集計を発表しています。

それによりますと、この段階での平均賃金方式による賃上げ率は3.67%で、昨年のこの段階の2.10%に比べて大幅な改善という事です。
このブログでは平均賃金で5%ぐらいがいいなどと書いてきましたが、昨年より大幅改善ですが、一方で4月の消費者物価が前年比3.4上昇で、さらに上昇の気配です。

今春闘では物価上昇をカバーする賃上げという声が強いのですが、物価上昇の方が予断を許さないという情勢です。

連合も、ここまで物価が上昇するとは予想しなかったという面もありましょうし、多くの生活用品関連産業では、コロナもあり、需要の落ち込みに加えて、原材料コストの値上がりの価格転嫁が出来なかったという事情もあり、一斉値上げでやっと一息でしょう。

然しこれでは一部の高賃上げ企業は別として、折角春闘で頑張ったのにまだ足りなかったという事で来年以降が心配という事から、今後も高賃上げを続けられるかといった心配もあるようです。

一方政府・日銀の方は10年来の「2%インフレターゲット」のままで、インフレは「そのうち2%になるだろう」という姿勢のようです。

こんな状態で、さてこれで「どうなるか」、「どうするか」という事になるのですが、政府のやることは、原油価格が下がっているのに6月から電気料金の大幅値上げでまた消費者物価の上昇に拍車をかけるようです。

もともと「インフレターゲット」というのは「インフレをこれ以下に抑える」というためのものですから、政府によるインフレ加速はルール違反ではないでしょうか。

政府が頼りにならないのなら、民間がやるしかないわけで、状況は1973年の第1次石油危機に似てきたようです。

ならば民間は何をすべきかという事になります。
企業は、製品・サービスの価格を決定するときに、なるべく上昇を小幅なものにするように努力する事と、労働側は、賃金引き上げを求める時に、なるべく企業経営を圧迫しないように努力をすることに、共に産業人の「倫理」として十分な配慮をするという事を実践するのです。

これは資本主義にとって最も基本的なことで、渋沢栄一は「論語と算盤」で論語の重要性を説き、アダム・スミスは「国富論」と同時に「道徳感情論」の著者であることが示しているように、資本主義は「倫理」を伴って「より良い」ものになるのです。

「2%インフレターゲット」という目標は、1国経済において「賃金コストの上昇率が労働生産性向上+2%」の範囲に収まる時に成立するのです。(ただし為替レート一定)

海外価格上昇による輸入インフレは、世界共通ですから、その分価格転嫁しても、国際経済の中で国際競争力上は中立です。

という事で、いま日本にとって必要なことは、企業は累積した輸入インフレ分は、この1年の一斉値上げでほぼ価格転嫁は終えつつあるようですから、後は需要増と技術革新などよる生産性向上で収益を高めることへの努力でしょう。

労働サイドは比較的モデストで、過剰な賃上げ要求はしていないようですから、後は生産性向上努力に注力する事でしょう。

多分その結果は、政府が余計な世話を焼かなくても、2023年度の物価上昇は2%前後にまで沈静化し、日銀も改めて正常な金融政策への出口に動けるようになるでしょう。

今年は、その方向へ日本経済が舵を切る年でしょうし、それが日本経済の安定成長への入り口になるのではないでしょうか。

消費者物価上昇、そろそろ要注意水域か

2023年05月19日 13時04分32秒 | 経済
今日、総務省統計局から2023年4月の消費者物価指数が発表になりました。
一口で言うと、消費者物価、上昇傾向収まらず、というところですが、上昇しているのは特定の分野に絞られてきたという感じになっています。
       
         消費者物価、主要3指数の推移

                     資料:総務省統計局「消費者物価指数」

上のグラフで見て頂きますと2月は電力料金に政府の補助金が出て下げましたが、その後の上昇角度は相変わらず急角度です。
6月からは政府の認可で電力料金は値上げになりますから2月の下げは帳消しになるのではないでしょうか。

エネルギーの影響を受けない緑色の線は一貫して上昇角度を強めています。この「生鮮食品とエネルギーを除く総合」は天候やエネルギー価格に影響されない日本国内事情によるインフレが中心ですから、これが日本経済の基調的な物価動向を示すという事でしょう。

物価上昇の内訳に入って、10大費目のそれぞれの動き(前年同月比)の説明を見ますと、上昇が目立つのは食料(8.4%)、うち、生鮮食品は鶏卵、生鮮魚介ですが、加工食品・調理食品、外食などの9.0%上昇というのは気になる所です。

家具家事用品の10,0%も目立ちますが、エアコン価格の上昇が大きいようです。
その他、被服・履物と教養娯楽が3%台の上昇ですが、その他の費目は1~2%で、落ち着いてきているように感じられます。

昨年春から始まった多様な品目の一斉値上げの動きも、そろそろ終盤かと思われましたが、上記緑色の線の上昇がなかなか沈静化しないのに加えて、鳥インフルの影響が鶏卵やから揚げに出るなど、予想外の事態もあって、台所も大変です。

6月からの電気料金の値上がりが、また統計の自然な動きに影響を与えますが、やはり注目すべきは緑色の線の動向です。

長期に亘った価格転嫁の出来ない状態から一斉に価格転嫁に動いたのが昨年来のインフレの大きな原因ですが、輸入品などの海外からのインフレ要因はすでに小さくなっています。この辺りは主要3物価の分析でも見られるところです。消費者物価はいまだに上昇中で、6月の電気料金の値上げがまたグラフを歪めるでしょう。

         消費者物価主要3指数対前年同月比の推移(%)

                        資料:上に同じ

一斉値上げの波はそろそろ鎮静化という見通しは変わらないと思いますが、緑色の線がこのまま上昇を続けるようですと、日本経済がインフレ体質になるという危険水域という事も考えられますので、注意深く見ていきたいと思います

広島サミット、核問題は重要、しかしその前に

2023年05月18日 15時20分20秒 | 国際関係
広島サミットが目前です。
世界で最初に原爆が投下された都市、広島でサミットが行われることは画期的なことでしょう。

G7の首脳が広島の平和公園に集まるのです。かつて、そこに原爆を投下した国アメリカのオバマ大統領が訪れ、原爆平和資料館を見ました。
今回は改めてG7の首脳に見てほしいというのは日本人共通の意識でしょう。

しかも、岸田総理は広島出身という事で、かつてG8外相を広島に迎えた人です。今回はG7首脳ですから、核廃絶を願う人類の輿望を担って、原爆の悲惨さの記録を直接目にしてもらう事は大きな意味を持つでしょう。

こうした日本の願いが、曲折を経て実現となるようで、その意義を大いに評価し、その今後の国際関係への効果を期待しいところです。

そうした中で、海外からの意見としては、唯一の被爆国である日本が、広島G7サミットへの努力も積み重ねながら、何故核禁条約に参加しないかという疑問があるようです。
日本にしてみれば、核の傘で、アメリカに世話になりながら、核禁条約に参加するのは矛盾だという意識があるのでしょうか。

然し当面する現実はさておき、人類の理想としての核禁条約には核を持つすべての国が入って欲しいという願いを込めて被爆国の悲願として参加するといった意思決定はないのでしょうか。

こうした理想を追う態度と共に、現実を考えてみれば、何の紛争もない所に突然原爆戦争が起きるというものでもないでしょう。

今のロシアのウクライナ侵攻の問題でも、多くの人が懸念するのは、プーチンが思うようにいかなくなり、自暴自棄的な瞬間が来るのが最も恐ろしいなどと言われるように、通常兵器による戦争が行き詰まった時の核使用でしょう。

そういう意味で考えれば、核戦争を起こさないためには、先ず通常兵器による戦争をしないという事が最も重要なのでしょう。

ところでいま日本は、通常兵器による戦争に備えて、巨大な予算を積み上げ、「防衛力の格段の強化」を図っています。

特に「反撃能力」が問題になっていますが、反撃の応酬が、戦争を激化させることは、過去の戦争で人類は十分に承知しているはずです。

考えてみれば、世界唯一の被爆国であり、その悲惨な経験から戦争の放棄を憲法に掲げる日本が、核禁止条約に参加せず、通常兵器による戦争については無理を重ねる予算捻出で重装備の準備をしようというのですから、何か、何処かおかしい、日本は変わるのか、と外国から見られても当然なのではないでしょうか。

勿論外国と言わずとも、日本国内でも、まともに考えれば、いま日本がやっている事は理解不可能と考える人も少なくないでしょう。

これからの世界、何が起きるか解りませんが、本当に国民の生命と財産を守るためには何が必要か、行きがかりに捉われずに本筋を確り考える必要があるのではないでしょうか。

GDPの構成、投資・消費のバランス回復へ

2023年05月17日 13時32分25秒 | 経済
今日、内閣府から2023年1~3月期のGDP速報が発表になりました。
対前期比の年率換算で、短期の変動を報じるマスコミでは1.6%の実質成長、プラスになったのは3期ぶりで、個人消費の伸びが押し上げた、といった見出しが多いようです。

それはその通りですが、日本経済の基調的な動きを見ますと、昨年は順調な成長路線を取り始めており、一昨年までは基本的には企業の設備投資の片肺傾向だった日本経済が、個人消費の伸びにも支えられる形に変化して来ている事が見えて来ています。

これはこのブログで毎月追っている平均消費性向が去年から回復傾向になっている事からも予測出来たことですが、実質GDPの対前年同期の伸び率と個人消費の対応する伸びを図にしておきます。

    GDPと家計消費(共に実質)の対前年同期比の推移

                 資料:内閣府「GDP統計」

今年の1~3月期について見ますと実質GDPの伸びは前年比1.3% 家計最終消費支出は2.7%、民間企業設備が4.2%(いずれも実質)です。

GDPの1.3%の上昇の寄与度の内訳は、プラスが家計最終消費支出が1.5、民間企業設備が0.8、政府支出が0.4などですが貿易収支が-0.7、民間住宅や在庫がー0.7などで結局GDP成長率は1.3%という事です。

在庫は時により増減しますが、基調的には、日本経済は、消費と投資の両方に支えられるようになりましたが、輸入が増えて貿易赤字が増え、その分がマイナスになっているというのが現状でしょう。

この貿易赤字は、GDPには入っていない海外投資からの収益(第一次所得収支)で現状は十分埋めていますから現状は問題はないのですが、今のアメリカの様に、第一次所得収支も沢山あるが、貿易収支の赤字が大きすぎて、国全体として赤字、という事になると大変ですからこの辺りは気を付けなければならない所でしょう。

なぜ昨年から消費が増えて来たのかの理由はまだよく解りません。今朝発表のこの統計の中で、一番下に雇用者報酬(実質)という欄があります。これは日本国内の企業が払った人件費の総額の伸びを消費者物価の上昇率で割り引いたものです。
その数字の動きを見ますと。昨年の1~3月期から今年の1~3月の5四半期の推移は、
消費者物価の上昇もあり、-1.4、-1.2、-1.6、-1.8、-2.3という事で、ずっと対前年比マイナスです。

昨年から日本の家計は、物価上昇にもめげず、物価上昇以上に消費を伸ばしているのです。
そのお蔭で、この1~3月期も日本の実質成長はプラス1.3%を達成しているのです。
 
消費が重要だということは解るのですが、その元は賃金でしょう。さて、今年の春闘の結果はどうなっているのでしょうか。

経済復活のチャンスを逃がす日本

2023年05月16日 13時53分23秒 | 政治経済
東証平均が連日の高値です。玄人筋から素人まで、「もうは未だなり」、先ずは日経平均が3万円を超えるまで、などと考えているのではないでしょうか。

GPIFを始めそういう方々には大いに儲けて、日本経済の活性化の貢献してくれればと思ったりして、当方は横目で眺めています。

東証が盛況なのはウォーレン・バフェットさんが「日本株に投資する」といったからだけ
ではないでしょう。

・アメリカの金利高が予測される、日本の貿易収支が赤字続きになり、経常収支も黒字が大幅減といったところから$1=130円台の円安が続きそう。

・コロナが終息の様相で、長らく停滞していた個人消費が、インフレの中でも伸びているのに加えて、インバウンドが改めて増加が確実な情勢で、日本中の街に賑わいが戻って来ている。

・インバウンドが広告塔の役割をしてくれているのか、日本食が世界遺産に指定されたからか、世界で日本食ブームが起き、日本の農畜産物、調味料、飲料などが世界で大人気。

・地球環境問題、それに絡むエネルギー革命が進展、関連の技術革新が広範囲な技術革新の波を起こし、電機自動車、燃料電池車、水素自動車といった多様な自動車が競い合う状況が続きそう。

・それに関連して蓄電池や水素、アンモニアによる電力貯蔵技術の多様化、その貯蔵や運搬技術の高度化要請。

・更に進んで、CO2の資源化、CO2からメタンを作るメタネーション、CO2からプラスチックや蛋白質を作る水素菌の活用技術。
などなど、世界中が新技術の開発に鎬を削る様相は、ますます熾烈になっています。

こうした技術開発には、膨大なおカネと人的資源(ヒトの力と頭脳)が必要になりますが、それを助ける多様なロボット進歩、更に加えて生成AIという新しい技術開発分野が、脚光を浴びています。

こうしたものの中には、日本がかなり先行しているものもあり、日本人の行動様式や思考方法が適しているものもあるようです。

これだけ並べてみても、30年来の経済低迷の果てに、経済も社会も、世界の中で大幅に後れを取った日本が、起死回生のキッカケをつかむチャンスが、選り取り見取りで並んでいるように見えます。 

今こそ日本経済再活性化のために、総力を挙げて得意分野を中心に持てる生産資源(資本と人間)の積極大量投入が必要という時期が来ているという認識は、官民挙げて持っていると思っていました。

ところが残念ながら、現政権は、持てる余裕資本のほとんどを、税外収入や国有財産売却なども含めて、洗いざらい外国から防衛装備品の購入などに使うとのことです。

長らく問題になっている少子化対策などについては、カラになった財布を振りかざし「誰かこの中にお金を入れてくださいませんか」というばかりです。

この絶好のチャンスに気がついていないのでしょうか、気が付いているのなら、トップ会談もあるようですし、今からでも遅くないですから、「やっぱり日本はこちらの道を選ばないと国民が納得しないので」という説明を必要な相手に確りやって欲しいと思っています。

主要3物価指数、消費者物価のみ上昇基調続く

2023年05月15日 14時04分31秒 | 経済
今日、日本銀行から国内企業物価指数と輸入物価指数が発表になりました。昨年春から世界経済のインフレ化の原因になった、資源などの国際商品の値上がりも次第に落ち着き、昨年は急激に進んだアメリカ、ヨーロッパのインフレも減速の動きを示しています。

このまま順調に推移すれば、FRBやECBも余計な心配をしなくてもよくなるのでしょうから、このままいってほしいと思うところです。

国際商品のインフレを国内にあまり持ち込まない日本ですが、日本には日本自体の事情もあって、消費者物価は、まだ収まる気配が明確には見えてきません。

主要物価3指数の推移(消費者物価は東京都区部速報)

                      資料:日本銀行、総務省

上図でご覧いただく通りですが、輸入物価指数は昨年秋から下がり始め、急速な下げ基調で2020年を100にして200近かったのが今は150台です。

この影響は当然日本の企業物価にも出るわけで、メノコ算でいえば、輸入物価が10%上がれば企業物価は2~3%上がるぐらいが計算上の関係ですが、現実は90%上がって20%の上昇という所ですが、その後の下げはかなり緩慢です。

消費者物価の方は、輸入物価10%の上昇で1~2%の上昇辺りかと思いますが、輸入物価が下がっても上がり続けて5%を超え、まだ下がる気配はありません。(消費者物価の4月は東京都区部の速報値)

国内物価が下がりにくかったり上がり続けたりしているのは、輸入原材料が商品になるまでに時間がかかるという事もありますが、今回の場合は、長年国内価格に転嫁できない状況が続いていた反動が大きい(特に消費者物価の場合)事はいつも指摘しています。

そのあたりを下図の対前年同月の上昇率で見てみますと、輸入物価はすでに去年4月より低くなる状態です。輸入物価が下がり始めて4ヶ月ほどして企業物価は緩慢ですが下げ基調に転じています。

      主要3物価指数対前年上昇率

                       資料:日本銀行、総務省

消費者物価は今年に入ってからの政府の電気ガス負担軽減策で少し下がりましたが、上昇基調は変わりません。 
消費者物価については毎月その中身を分析していますが、日用品などの一斉値上の影響がおおきいことは広く実感されています。下がるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

今のインフレは、基本的には国際情勢の不安定による国際資源価格の上昇によることが大きいわけで、これからの国際関係が少しづつでも安定化することが望まれるところです。