tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

毛を吹いて疵を求めるの愚

2013年06月28日 11時53分17秒 | 国際政治
毛を吹いて疵を求めるの愚
 そっとしておいた方が良いことを暴き立てて、結局収集がつかなくなるといったような場合によく使います。
 世の中が「征服と被征服」という対立概念で形成されているという考え方を取るのなら別ですが、今の世界はもうそういった考えを克服し、「多様性が共生する」地球社会ということになっているのではないでしょうか。

 もともと日本は、源流を形作った縄文時代に遡れば、北から南まで、多様なDNAの人間が移り住み、海面上昇で島国となった日本列島の中で、争わず、奴隷制も無く、平和に共生し、混血を重ねて純血化した日本人を形成してきた歴史があります。
 争わずに共生するというのは、多様なDNAの間でも、山と海、自然と人間の間でも貫かれてきた日本人の生き方だったようです。

 縄文時代の日本列島と同じように、今、宇宙船地球号は、相対的に随分狭くなり、ますます平和共存が求められています。
 日本文化や伝統は、日本人形成の源流にさかのぼれば、まさにこれからの地球の在り方につての大切な一助になる、と我々日本人は、自信を持って、自覚を新たにする必要があるのではないでしょうか。

 そうした時期に、日本の針路を示すべき政権が、地理的にも、経済的にも最も近い隣国である、中国、韓国との関係を、ここまでこじらせてしまったというのはいかなる理由によるのでしょうか。

 今、世界各国との関係改善を求めて、忙しい中、多くの国への訪問を重ねている総理が、何故に、中韓両国に限って、今日のような関係悪化をもたらしてしまったのか、単なる偶発的なものとは思えないだけに、不可解と思うと同時に、残念でなりません。

 争いというものは、不可避的に、次第にエスカレートしていく運命にあるようです。縄文時代平和と共生に徹していた日本人も海外から武器が入り、海外から戦うことを学んだ挙句が、その真似をする人たちが増え、倭国大乱などと中国の歴史書に書かれるほどの戦の時代に入り、戦争の時代は1945年8月15日まで続きました。

 島国の特性として、、舶来崇拝意識の強かった日本の弱点がそこにあったのかもしれませんが、今はもう島国などという条件は雲散霧消しています。日本は争って勝って平和を得るというのではなく (これで大失敗の経験をしました)、本来争わないための知恵を駆使して平和を実現するというアプローチが、最も似合う国ではないでしょうか。


2013年 今年のホタルは

2013年06月26日 11時28分23秒 | 環境
2013年 今年のホタルは
 昨年7月に、「ホタル羽化」の報告をさせていただきました。羽化したホタルはケージ(30×30×高さ50センチほど)に集め、ご近所にお見せしたりしました。

 そのホタルたちは、下に敷いた水苔に産卵し、その卵は3週間ほどで孵化して、ゴミと見分けがつかないような幼虫がケージの下で受けている発泡スチロールの函の水の中に落ちます。その中に子ダニシやモノアラガイを入れてやるとよく食べ、脱皮を繰り返して、秋にはその発泡スチロールの箱の中で1cm前後まで育ちました。

 大きくなるにつれた姫タニシを群がって食べ、今年に入ると、大きいのは1.5cmぐらいにもなって春4月には上陸して土の中に繭を作る準備という事でしょうか、水際まで上がって来るようになりました。何百という卵の孵化から、最終的に100匹ほどがその段階までこぎつけたという所です。

 5月の連休に植木鉢の上陸装置を用意して、水苔を伝わって上陸出来るようにしたところ幼虫は順次上陸しはじめたようで、3~4週間の繭の期間を過ごして、6月1日に第1号が羽化、その後ぽつぽつ羽化して、最初の頃のはもう寿命(1週間か10日)が尽きましたが、今日現在10匹程度がケージの中で光って飛んでいます。

 昨年夏、発泡スチロールの水の温度が上がり過ぎるので、危険分散で、庭のU字溝に放流した幼虫もいて、U字溝からも気づいただけで3匹は羽化し、家内の宣伝で近所の奥さんが見に来て、「庭で飛んでるわよ」と教えてくれたりしています。
 未だ発泡スチロールの水の中の幼虫もいて、羽化は7月中旬ぐらいまで続きそうですが、今年は、我が家で産卵から羽化までのサイクルが完成したと喜んでいます。

 確実に卵を取り孵化させるためには、ベランダか室内の飼育装置は必須ですが、自然環境のU字溝の方も、これは、生育状況が観察できず、サバイバルも厳しいようですが、今後、その両方を並行させて、ホタルの生育サイクルを維持拡大できるように、いろいろと試行錯誤を続けていきたいと思っています。

 申し遅れましたが、我が家のホタルは平家ボタルです。清流に住む源氏ボタルの飼育はもう少し難しいのかもしれませんが、雨水タンクに貯めた雨水をU字溝に流し、そこからホタルを発生させるという試みが連続して成功すれば、どちらのお宅でも、雨水タンクとプラスチックの衣装箱のビオトープさえ準備すれば、初夏の2~3週間、「ホタルの夕べ」を楽しむことが出来るということになりますので、何とか実績を積み上げていきたいと思っています。


政治と経済と平和

2013年06月22日 09時55分36秒 | 国際政治
政治と経済と平和
 政経分離という言葉があります。この言葉が使われるケースというのは、政治的には未だいろいろあるけれど、とりあえず、ビジネスの世界では交流を活発にしましょう。といった場合に使われてきたようです。平和と共生への流れが見えています。

 政治は国政レベルの方針変更や、いろいろな手続きが必要で、時間がかかるが、ビジネスの方は民間同士だから、柔軟に進められるという利点からでしょう。
 これから仲良くして行こうという場合には、有効なアプローチです。

 ところが、逆の場合、政治的なトラブルが発生し、二国間関係が悪くなるといった場合は「政経分離」と言ってもなかなか通らないようです。
 最近の韓国や中国との関係は、根強い感情対立もある中で、戦後長い時間をかけて、築き上げて来た、大切だが壊れやすい相互理解と平和への努力を、事もあろうに時の政権が心ない言動で、一挙に突き崩すようなことになりました。

 おりしも、日本経済は、新たな復活を目指して前進しようとしています。経済復活の3本の矢に命運をかける現政権ですが、日本経済が極めて重要な関係を持つ中・韓両国とのこのようなトラブルのさ中では、政経分離を言ってもあまり効果はないでしょう。

 中国も韓国も日本も、経済的に大きなマイナスという事態に引き込まれながら、それも仕方ないといえることでしょうか。これまでの先人の努力から見ると、動機はよくわかりませんが、余りに勿体ないことをしていているとしか考えられません。

 当面の貿易量の激減など、このトラブルの3国の経済的損失は歴然です。改めて政治家の思慮深い言動が期待されるところですが、今後どうなのでしょうか。意地の張り合いを止めるという大人の態度を先ず取るのが日本の役割でしょう。
 もちろんその先には、世界各国の平和共存・共生という根本的な主題があるはずです。

 敢て余計なことを付け加えますが、昔から、家と家の間でも、村と村の間でも、トラブルが深刻化するのは「地境」の問題です。これを持ち出し、自説を通そうとすれば、関係悪化は不可避というのは常識です。

 今度、世界文化遺産に登録される富士山ですが、富士山の頂上は静岡県か山梨県か決めてないということのようです。地図の境界線は8合目で終わっているとのこと、頂上の領有権を持ち出して、公費をかけて論争しても、無駄と知っての知恵でしょうか。
 無駄なトラブルの源には、出来るだけ触れないのが最善のような気がするのですが。


出口戦略:アメリカと日本

2013年06月18日 10時17分59秒 | 経済
出口戦略:アメリカと日本
 アメリカでは、FRBのバーナンキ議長が、金融超緩和からの出口戦略を探っていると言われます。
 確かに、今のような金融緩和をいつまでも続けているわけにはいかないでしょう。ならば、いつかはまともな状況に戻さなければなりません。しかし副作用が怖い・・・。

 もともとアメリカの金融緩和は、バーナンキさんの嘗ての「世界恐慌は金融さえ緩めれば避けられたはずだ」という信念に基づいて、今回のサブプライム問題に発するアメリカの金融危機が、アメリカ金融機関の破たんから、ひいてはアメリカ発の世界恐慌になるのを避けるために行ったものでしょう。

 お蔭で世界恐慌は避けられました、景気も回復の様相が見えてきました、雇用改善の兆候もある、そろそろ正常化をと、そのタイミングを探る段階に入ってきたという事でしょう。

 一方、失われた20年に呻吟した日本は、アメリカ並みの金融緩和をやれば、円安になるはずだ、行き過ぎた円高が解消されれば、日本経済は健全性を取り戻し成長軌道に復帰し得るということで金融緩和に踏み切ったということでしょう。

 アメリカの場合はもともと競争力のない赤字国で、赤字のファイナンスを巧いことサブプライムローンの証券化などでやろうとして失敗、金融機関が潰れそうになって、その救済のための金融緩和です。
 金融で一時的に救われたアメリカ経済が、そのおかげで元気にいなって、自立できる(赤字垂れ流しが止まる)ようになれば、「出口」は自然に見えてきます。自立できる状態になっていなければ、金融の「つっかい棒」を外せばまた元に戻ってしまいます。

 日本の場合は、もともと競争力はあり、黒字国ですが、過度な円高で、国民の生産性向上の成果が皆海外に流れてしまうので、円安にして、それを国内に留めようというのが目的です。円レートが安定的に正常化して円高に戻らなければ、もうそこが出口です。

 アメリカの赤字は簡単には直りません。例えて言えば、私でも買いたくなるようなアメ車が作れなければ駄目でしょう。TPPでゴリ押ししても、買いたくないものは買いません。

 唯一望みがあるのは、シェールガス・オイルという幸運です。アメリカの雇用改善にしてもこの影響は大きいでしょう。
 本当の「出口」は、金融緩和などという塗り薬の効果ではなく、アメリカ人が本気で実体経済の立て直しをする気になった時に見えてくるのでしょう。


日本型技術開発の強み

2013年06月14日 12時32分54秒 | 科学技術
日本型技術開発の強み
 製造業の海外移転が多い中で、トヨタ自動車の経営者の方が、「トヨタは、自動車のすべてを、国内で一貫して生産できる体制を維持する」と言っておられるという話を聞きました。

 それを聞いて思い出したのがソニーの昔話です。ソニーが東京通信工業といったころ、アメリカでW・ショックレーらによって開発されたトランジスタ(当時補聴器ぐらいにしか使えないだろうと言われていた)でラジオを作ろうと努力していたのですが、アメリカのリージェンシーという会社が、先に作って発売したそうです。

 しかし、結果的には、ソニーの開発力が圧倒的で、トランジスタラジオは、ソニーを世界的に有名にすることになりました。その理由は、リージェンシーはトランジスタをTI社から買っていたが、ソニーは自社で作っていたからと説明されています。
  
 最近のパソコンでも、アメリカの企業は世界中から安い部品を買ってきて、それで完成品を作り、安価で世界中に売っています。こうした方法はアメリカの得意技で、その原点はウインチェスター銃にあるのではないでしょうか。
 規格の決まった部品を集めて銃に組立てるという生産方法を開発したのはウインチェスター銃が元祖と言われています。

 日米どちらの方法もそれぞれ特徴を持ちます。一定の形が決まって、安く量産という場合にはアメリカ式がいいかもしれません。しかし、どんどん改良進歩が続き、製品が進化してくような場合には、日本式の方が優れているように思われます。

 自社、あるいは気心の通じたグループ企業で部品や材料まで製造している場合には、改良品、新製品の試作品などの場合は圧倒的に有利なのではないでしょうか。設計の段階から、部品や基礎材料の研究まで、十分な摺り合せが出来るからです。
 日本では、その結果いろいろな応用が出来過ぎて、「ガラパゴス化」などという現象が起きるのかもしれません。
 そう考えれば、ガラパゴス化は一種の強みと言うことも出来そうです。

 モノを作るのは人間です。新製品開発のような分野では、それに関わる人間のチームワークが決定的に重要でしょう。そこで物をいうのが、関わる人達の協力関係その底にある人間関係でしょう。
 世界のどこでも成し得なかったロータリーエンジンン実用化などはその好例でしょう。

 加えて言えば、欧米ではengineerとtechnicianは、通常、職制で明確に区別されます。日本では、境目が曖昧なままに、多くの場合一緒に仕事をします。これは大きな強みでしょう。本田宗一郎さんではありませんが、社長が現場で仕事をします。

 日本式のやり方にも欠点はあります。例えば、グループへの参入が困難などといいうのは一例でしょう。欠点是正は当然として、今後日本の進む道の中で、世界で出来ない技術開発、更にその製品化といった挑戦が益々大事になって来ますから、日本的なアプローチというのは、必ずや大きな強みになるのではないと思われます。
 皆さんと共に、技術立国、日本の明日を期待しましょう。


海外進出とコスト問題

2013年06月10日 20時46分57秒 | 経営
海外進出とコスト問題
 過度な円高が何とか正常化の方向に進みつつある中で企業の海外展開も再検討を迫られるケースも出て来るようです。
 海外進出にもいろいろなケースがありますが、問題は、低賃金を求めて海外進出したケースでしょう。

 市場に近い所で生産をするというのは原則ですが、プラザ合意以降、特にリーマンショック以降は高すぎる国内コストから逃れて、中国をはじめアジア諸国に展開という、已むに已まれぬ選択をした企業も少なくなかったと思います。

 かつても触れましたように、中国が「世界の製造工場」と言われ始めたころ、賃金は日本の30分の1ほどでした。生産性も30分の1以下でしたので、競争力はなかったのです。
 しかし、海外からの進出企業が技術指導をすれば、生産性は上がって10分の1とか5分の1になります。賃金はすぐにはそんなに上がりませんから、競争力は圧倒的です。

 しかし状況は変わってきました。円安で日本のコストは下がり、中国はじめ途上国の賃金水準はうなぎのぼりです。
 途上国の場合、賃金統計はあまり整備されておらず、地域差が大きく、しかも外資系企業の賃金水準は特に高いので、統計上で客観的かつ正確な比較は困難ですが、現実には、インフレ率がかなり大きい国も多く、合理的賃金決定等の論議は未発達で、賃金物価スパイラルが放置されるケースも少なくないようです。

 私もアジアの経営管理者と話す時、賃金決定は生産性を基準にしないとインフレ激化で競争力低下すよと言うのですが、理屈は分かっても実行困難という意見が多く聞かれます。
 
 その点、日本の労使関係の中では、賃金と生産性の関係は広く理解されていて、自家製インフレ(賃金インフレ)の可能性は小さく、政府・日銀も、インフレ目標は2パーセント、安倍さんお第3の矢では1パーセンと言っていますから、円高さえなければ、大きなコストアップの心配はありません。

 こうした視点から見ると、今後、「低コストを求めて」途上国に進出するという形態は、あまりお勧めでなくなるのではないかと考えられます。
 例えば、最近国を開いたミャンマーの場合、ミャンマーに進出する大義名分は、ミャンマーの低賃金利用ではなく、矢張りミャンマーの経済社会の発展を支援するということになるのではないでしょうか。

 いずれの途上国でも、高生産性・低コストという組み合わせは、そんなに長く続きません。早晩賃金コストは生産性に追いつき、追い越す可能性は大です。何年かごとに、更なる低賃金国に工場移転するというコストもばかになりません。
 それに引き換え、日本の国内コストは、過度な円高を強制されない限り、生産性と賃金のバランスした状態を維持する可能性は高いでしょう。

 しかも経済活動・企業活動が正常化し、研究開発、技術革新が軌道に乗れば、日本の生産性向上はおそらく世界を凌駕したものになるでしょう。かつて日本が「ジャパンアズナンバーワン」と言われた時もそうでした。

 多くの日本企業がもう一度国内の労使関係を見直し、国内労働力を本格的に活用し、それによって生まれた余裕で途上国に進出し、(低賃金利用主眼でなく)その国の経済社会の発展を支援するという循環が最も望ましいと思うのですが。


日本経済と株価の動き

2013年06月06日 22時15分24秒 | 経済
日本経済と株価の動き
 アベノミクスで上げた株価が、連日の大幅下げを演じています。折角上がって、企業も、株主(サラリーマンを含む)もだいぶ気持ちが明るくなってきたところに残念なことです。しかし、株は本来乱高下するもの。いつかも書きましたが 「株屋殺すにゃ、刃物はいらぬ、 寄り引け同値で、ザラバなし」と言われるように、変動があっての株式市場です。

 問題は、株価を動かしている円レートの方にあると考えた方が、核心に近いと思われます。
 もともとアベノミクスなるものが、経済政策などという種類のもではなく、単に国際投機資本を脅かして、行き過ぎた円高を正常に戻しただけですから、国際投機資本が少し落ち着いて、当面円買いが得だと思えば、株価は忽ち下がることになります。

 日本経済が正常に動くかどうかは、さし当たって円レート次第ですから、80円近辺から100円近辺へ、20円の円安が、再び大幅に円高方向に動かないかぎり、日本経済の復活への動きは継続するでしょう。

 国際情勢不安定ですから、また明日にでも何かが起こって円レートが90円とか80円になれば別ですが、政府・日銀が何としてでも$1=¥100~110円を死守する限り、日本経済そのものは、これから着実に復活の道を辿っていくはずで、株価も、長い目で見れば、それに従って動くことになるのでしょう。

 信用取引でデイトレをやっているのでない限り、長期的視点で見れば、当面の乱高下に一喜一憂することはないでしょう。
 それより安倍政権の掲げる第3の矢の内容を確り見る方が、余程大事ということではないでしょうか。

 例えば、10年で一人当たり国民総所得を年3パーセント、150万円(35パーセント)増やすと言いますが、名目3パーセントで実質2パーセントだそうですから、実質は10年で22パーセント増ということです。国際公約のインフレターゲット年2パーセントは何処へ行ったのでしょう。
 
 新聞で見る限り、第3の矢の中身には、理想的というより、かなり空想的なことも掲げられており、今のマネーゲーム全盛の中で、東京を国際的なビジネス都市にするために、大地震が予測される一方で容積率緩和とか、黒字をため込みながら外資呼び込みとか、中身不詳の大幅な規制緩和が盛り込まれたりです。その時、現実にはどんなことが起こるのか、言葉は踊っていますが、何か足が地についていないという感じが否めません。

 「物も言い様で角が立つ」ではありませんが、単純な発言で国際関係を悪化させてしまったり、突如憲法改正を持ち出したりというのではなく、もっと国民の声を聴き、足が地についた目標を掲げることを国民は望んでいるのではないでしょうか。

 投機でなく投資なら、「政府も円高は放置しないでしょうから」、株価の乱高下に一喜一憂する事はないと言うつもりで、つい余計な八つ当たりをしてしましました。


雇用問題を考える:雇用の日本らしさとは

2013年06月04日 11時17分32秒 | 労働
雇用問題を考える:雇用の日本らしさとは
 先日、4月の失業率が発表になりました。4.1パーセントでした。昨年4月は4.5パーセントですからこの1年でかなりの改善を見ました。失われた20年で失業者は増加しましたが、それ以前、日本経済が安定していた頃は2パーセント台というのが普通でした。
 
 日本の失業率は国際的に見れば、異常と感じるぐらい低いのです。かつては、統計の取り方で低いなどという説を唱える学者もいて、正確に統計の取り方をすり合わせて比較したりする研究もありましたが、結局、日本の失業率は確かに低いということがはっきりして、日本は雇用を大事にする国という結論になりました。

 失われた20年で日本の失業率も悪化しましたが、それでも、ピークで5.4パーセントだったと記憶します。
 それに引き換え、欧米諸国はどうでしょうか。EUでは失業率が12パーセントを越え問題になっているようですが、最近の国別の数字を見れば、
  ドイツ     5%
  イギリス    8%
  フランス    11%
  イタリア    12%
  スペイン    26%
  ギリシャ    27%
  アメリカ    8%    (各国統計)
といったことになっています。ドイツを別にすれば軒並み日本の2倍以上です。

 今後も為替レートが再び円高に振れない限り、日本の失業率は低下していくだろうと見ていますが、これは法律や制度のためというよりは、日本の労使の考え方や態度・行動によるものでしょう。

 望まれている非正規社員の正規化問題の中で、正規雇用の多様化の問題が提起されています。短時間正社員とか、勤務地限定正社員とかいった形は従来からありましたが、更にいろいろな形も考えられるようです。

 このブログでも繰り返し取り上げていますが、自由な勤務を望む非正規社員は雇用者のほぼ20パーセントで、現状35パーセントほどに達している非正規の内、15パーセントほどは早期の正規化が望まれます。

 もともと日本企業は正社員好みでした。企業組織の人間的要素を重視する日本企業では、長期勤続が期待され、「わが社」とか「うちの会社」といった人間関係の絆の醸成に繋がり、安心して長期の教育訓練体制を組める正社員は最も望ましい形だったわけです。

 わが社のために一生懸命働いてくれる社員の育成には基本的に時間がかかるのです。円高デフレで余裕がないため、やむを得ず人員削減、非正規社員増加に走った日本企業ですが、円レートの正常化で状況は変わって来ています。

 そうした中での正規社員の多様化問題ですが、選択肢が増えるという点からは、労使双方にとって、プラスになることも考えられます。
但し基本は、法律や制度の設計ではなく、企業や働く人々、就中、経営者の考え方によります。
 労使の雇用を大事にする考え方をベースに、企業社会の人間関係、チームワークを、長い目で見た企業の成長発展、社会の安定につなげるような、日本らしい雇用の在り方を生かすための方法の1つとして、雇用の制度・在り方を考えてほしいと思います。