企業・経済が成長できる形:その2
前回、企業経営や一国経済が成長できる形の基本問題について見てきましたが、ギリシャやユーロ圏で問題になっている国、さらにはフランス、アメリカなども基本的には同列で、G8で論議されたような方針で、そうした国々が、成長体質の国に転換できるのかを考えてみましょう。
これらの国々は、経済の原則から言えば、経常赤字を垂れ流す過剰消費を減らして、国民経済自体に緊縮体制を敷き、労働分配率を引き下げて、企業が利益が出る、言い換えれば、成長のための資本を自分で用意できるような形、つまり、企業も経済も、成長できる形に再構築し、国民も意識切り替えて、自力での稼ぎの範囲で生活するという意識改革をすることを「本来は」目指していたはずだったのです。
ところが、ギリシャの選挙でもフランスの選挙でも、国民は緊縮を嫌い、「そんな事を言う政府は変えてしまえ」という意思表示をしたわけです。
政権はどう変わろうと、経済体質を変える必要は変わらないのですが、政権をとるためには、国民に迎合しなければならいという事で、「成長すれば問題は解決するはずだ」と結果を先に持ってきて、「成長も」という言葉を合理化しようとしているわけです。
国民は、「これで緊縮は一段落」と安心するでしょう。しかし、足りないお金は何処からか持ってくるしかありません。特に現在は、国際金融資本が、金融取引にレバレッジをかけていますから、金融システムの崩壊を防ぐために巨額な資金を積んで見せなければなりません。それはドイツや日本のような経常黒字国が負担します。
しかし、利益の出ない赤字企業が成長できないのと同じように、経常赤字の国が成長することは容易ではありません。成長の源である投資をするカネがないからです。それを外国に頼むのですが、長岡藩の米100俵の例えのように、それを将来のために使うのは難しく、多くの場合は、日々の生活で食いつぶしてしまうのです。
ですから、一応小康状態になったとしても、何が変わったというのでしょうか。金融支援は、いみじくも白川総裁が言う様に、「時間稼ぎ」でしかありません。浪費体質を健全体質に直さなければ、少たつと、また同じことが起こるのは当然です。
サッチャー改革、レーガン改革、ミッテランの賃金凍結のような荒療治 は、今回は、今の所、見られません。ユーロ安で、その分、ユーロ圏の賃金コストも下がりましたが、緊縮意識が弱まればすぐに賃上げなどで食い潰されるでしょう。
この面での最先進国、アメリカにしてからが、$1=¥360を、ニクソンショック、プラザ合意、サブプライム・リーマンショックで$1=¥80と4分の1以下に下げても、経常赤字は止まらないのです。
ドイツでは、「何で勤勉なドイツ国民が、浪費家のギリシャ人のために金を出さなければならないのか」という声があるようですが、経常赤字国の浪費癖は直らず、黒字国はその援助で経済力を使い果たし、誰も成長できないというのが、世界不況の原因でしょう。
今後中国(人民元切り上げ要求)も含め、アジア諸国も、次第にこの渦に巻き込まれていくのではないでしょうか。
前回、企業経営や一国経済が成長できる形の基本問題について見てきましたが、ギリシャやユーロ圏で問題になっている国、さらにはフランス、アメリカなども基本的には同列で、G8で論議されたような方針で、そうした国々が、成長体質の国に転換できるのかを考えてみましょう。
これらの国々は、経済の原則から言えば、経常赤字を垂れ流す過剰消費を減らして、国民経済自体に緊縮体制を敷き、労働分配率を引き下げて、企業が利益が出る、言い換えれば、成長のための資本を自分で用意できるような形、つまり、企業も経済も、成長できる形に再構築し、国民も意識切り替えて、自力での稼ぎの範囲で生活するという意識改革をすることを「本来は」目指していたはずだったのです。
ところが、ギリシャの選挙でもフランスの選挙でも、国民は緊縮を嫌い、「そんな事を言う政府は変えてしまえ」という意思表示をしたわけです。
政権はどう変わろうと、経済体質を変える必要は変わらないのですが、政権をとるためには、国民に迎合しなければならいという事で、「成長すれば問題は解決するはずだ」と結果を先に持ってきて、「成長も」という言葉を合理化しようとしているわけです。
国民は、「これで緊縮は一段落」と安心するでしょう。しかし、足りないお金は何処からか持ってくるしかありません。特に現在は、国際金融資本が、金融取引にレバレッジをかけていますから、金融システムの崩壊を防ぐために巨額な資金を積んで見せなければなりません。それはドイツや日本のような経常黒字国が負担します。
しかし、利益の出ない赤字企業が成長できないのと同じように、経常赤字の国が成長することは容易ではありません。成長の源である投資をするカネがないからです。それを外国に頼むのですが、長岡藩の米100俵の例えのように、それを将来のために使うのは難しく、多くの場合は、日々の生活で食いつぶしてしまうのです。
ですから、一応小康状態になったとしても、何が変わったというのでしょうか。金融支援は、いみじくも白川総裁が言う様に、「時間稼ぎ」でしかありません。浪費体質を健全体質に直さなければ、少たつと、また同じことが起こるのは当然です。
サッチャー改革、レーガン改革、ミッテランの賃金凍結のような荒療治 は、今回は、今の所、見られません。ユーロ安で、その分、ユーロ圏の賃金コストも下がりましたが、緊縮意識が弱まればすぐに賃上げなどで食い潰されるでしょう。
この面での最先進国、アメリカにしてからが、$1=¥360を、ニクソンショック、プラザ合意、サブプライム・リーマンショックで$1=¥80と4分の1以下に下げても、経常赤字は止まらないのです。
ドイツでは、「何で勤勉なドイツ国民が、浪費家のギリシャ人のために金を出さなければならないのか」という声があるようですが、経常赤字国の浪費癖は直らず、黒字国はその援助で経済力を使い果たし、誰も成長できないというのが、世界不況の原因でしょう。
今後中国(人民元切り上げ要求)も含め、アジア諸国も、次第にこの渦に巻き込まれていくのではないでしょうか。