tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米中関係の仲介・改善は日本の役割

2023年05月31日 13時33分27秒 | 国際関係
トルコの大統領の決選投票ではエルドアン氏が選ばれました。マスコミの報道によれば、ロシアとEU・ウクライナの対立の仲介役、エルドアン氏という認識の効果が大きかったということです。

確かにウクライナの穀物輸出問題でもエルドアン氏は重要な役割を果たしました。勿論、ロシアのウクライナ侵攻問題の解決は容易ではありませんが、エルドアン氏の努力は、国際的にも大きく評価されて当然でしょう。

今、世界の安定に大きな懸念を投げかけているもう一つの問題は、米中関係でしょう。
米中の制服組のトップ会談をアメリカが持ちかけましたが中国が拒否したというニュースが入ってきました。

トランプ政権以降、米中関係は明らかに対立関係に進んできました。そして中国が国内問題とする中台問題は、習近平主席の3期目就任とともに一層深刻になるようです。

アメリカも中国も二分論(dichotomy)的な文化を持つ国です。そして地政学的には、中国は次の覇権国を目指しているでしょう。
もし現状を放置し、地球上に仲介役を果たす国がいないと、台湾有事から第二次太平洋戦争の可能性すらなしとしません。

既にアメリカ政府に近いシンクタンクCSISは台湾有事のシミュレーションを発表し、日本の参戦がなければアメリカが負けるというケースまで推測していると報道されています。

こんな状況の中で、アメリカ、中国との関係改善のために最大限の努力をしなければならない国は何処かと考えれば、客観的に見る限り、それは日本でしょう。

古くは中国から学び、戦後はアメリカから学び、痩せても枯れても世界第3位のGDPを持ち、地政学的にも両国の間に位置し、しかも二分論でない、融通無碍な文化的伝統を持つ国です。さらに言えば、「平和憲法」を掲げる国なのです。

日本政府は、「日本にそんな力はない」というかもしれませんが、対立の仲立ちをする国には「力」は必要ないのです。必要なのは信頼関係と説得力でしょう。

企業などあらゆる組織でトップというのは孤独なもので、国のトップの場合も基本的には同じで、トップはいつも、心のどこかで本音で話せる相手を探しているのです。
その本音を親身になって聞く事の出来るものが真の仲介者でしょう。

ユネスコ憲章の前文は、英国の故アトリー首相の言葉を引いています。
「戦争は人の心中で始まるものであるから、平和の砦は人の心の中に築かなければならない」
世界中が知っていますが、実践は人間の心の弱さのために、極めて難しい言葉です。

しかし、米中関係の正常化は、世界中が望んでいる事でしょう。
そして、未だ、事前の話合いで解決出来る可能性がないとは言えない、あるいは「言ってはいけない」段階なのではないでしょうか。

まだ、未然の対処のために残されている時間はあるのでしょう。
日本政府、岸田総理は、敢えてこの役を買って出ようとは思わないのでしょうか。