tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

次なる手は:実体経済を変えていくために

2012年12月31日 11時48分10秒 | 経済
次なる手は:実体経済を変えていくために
 金融緩和で一時的な円高是正に成功したのは良かったとして、さて次に打つべき手は何でしょうか。次に打つ手はいわずとしれた、「実体経済の在り方を変えますという本気のコミットメントを、世界に対して発信することです。

 ところで、選挙のゴタゴタで、今年は未だに、「来年度の経済見通し」が発表されていません。例年12月28日には「来年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」の付表として発表済みですが、予算編成が出来ていない今年は未だです。

  とうにご存知の方も多いと思いますが、これはGDPから始まって、日本経済の主要指標について前年度の確報、今年度の実績見込み、来年度の見通しを並べて表示したもので、その中には当然「経常収支」もあります(本年1月7日「24年度の政府経済見通しを見る」参照)。

 昨年暮れの24年度の見通しでは、経常黒字は12.2兆円(GDPの2.5%)で当然のことながら24年度の平均円相場は77.5円となっています。これは円高が進みデフレが深刻化するという予想ですから物価の方は、消費者物価こそ無理してプラス0.1パーセントになっていますが、GDPデフレーターはマイナス0.2パーセントデフレ経済が見通されているわけです(実際には5月~9月、消費者物価はマイナスで推移)。

 デフレ脱出宣言をした安倍内閣は、こんな見通しは立てられないでしょう。
 具体的には、経常収支はプラスマイナス0を目指す、円は$1=¥90ぐらい、それで消費者物価もGDPデフレーターもプラス2パーセントと書かなければなりません。

 もちろん数字を直すには、政策を直さなければなりません。口先介入で円安とは書けませんから、その根っこになる経常黒字の大幅減(あるいは±0)のための具体的な経済政策をきちんと書かねばなりません。
 もちろん、書くだけではなく。それを世界に向かって声高に喧伝する必要があります。目的の1つは国際投機資本の日本経済についての認識を変えることにあるのですから。

 これは、国際投機資本の認識を変えるだけではなく、日本国民自体の意識も変えることになるでしょう。「安倍内閣で景気回復」という認識は、一気に広まるだろうと思います。
 日本をインフレにするには、やらなければならないことが一杯あります。ですから、そうした政策の中身もある程度書かなければなりません。

 大型補正、本予算も大幅増で災害復興と国土強靭化、財政赤字は増大、民需(企業投資、消費支出、住宅建設)増のための補助金復活等の政策、などなど、そしてそのための資金が、従来ならGDPの使い残し、つまり経常黒字になる分である事、GDPを使い切れば、先ずこれだけのことが出来ると書くしかありません。

 これらがすべて整合的に計画されて、国際投機資本も諸外国も、そして何より、日本国民が、安倍内閣で「日本は変わる」という認識を持つ事になるのでしょう。
 長くなるのでここいらでやめて、また来年書いていきたいと思いますが、これでもまだ国債暴落、ハイパーインフレには程遠いでしょう。
 でもかなり良い日本経済になりそうですから、良い新年を期待して、今夜はゆっくりお寝みください。


デフレを脱出しインフレに近づくためには

2012年12月30日 10時45分44秒 | 経済
デフレを脱出しインフレに近づくためには
 新政権の出足は、思いの外順調でした。安倍総理の日銀への働きかけが投機筋をビビらせ、ほぼ5円幅の円安を実現したのは、予想を上回る大成功でした。このまま円安が進めば、デフレ脱出、インフレ経済に近づくことも可能かと思われるほどのスピードです。

 しかし日本の実体経済が変わったわけではありません。ですから、すでにあちこちで書かれていますように、早晩、化けの皮が剥がれて、元の木阿弥にならないかといった声が出て来ても当然です。
 それも乗り越えて、もしうまくいき、そのままムードに流されて、$1=¥90、さらに$1=¥100に行ったところで、リーマンショック前に近づいただけで、また何かあれば$1=¥80に戻ってくる可能性は否定出来ません。

 ユーロ問題の時にも書かせて頂きましたが、金融支援で当面を糊塗しても、最終的には、ギリシャやスペインが、赤字を垂れ流していたのでは解決しません。やはり赤字国が、自分の生産力の中で生計を立てる(生産性の範囲で生活する)ようにならないと根本的解決にはなりません。問題はいつか再発します。

 日本も、本当の意味でデフレを脱出する、つまり、国際投機資本が、日本経済を見て、「かつての日本と違うな」と思ってくれないといけないわけで、それにはやはり「日本も人並みの国になる」ことが必要でしょう。

 具体的に言えば、日本の場合は、「万年経常黒字国」を卒業することです。万年黒字国と万年赤字国が併存すれば、投機筋は、安全が必要と見れば、万年黒字国の通貨を選ぶに決まっているからです。
 日本が万年黒字国でなくなれば、単に世界一巨大な国債残高を持つ、「IMFにとって心配な国」になり。円高の心配もなく、デフレの心配も雲散霧消するでしょう。

 そうなれば、今度は当然インフレが心配になるでしょう。第一次オイルショックの時のように、本気でインフレターゲットを論じなければならなくなるわけですが、今の円高とデフレの悪循環の方がもっと恐ろしいので、敢て、多少不健全でも、そちらに向かおうと言っているのが、インフレターゲットの本当の中身です。
 だから100パーセント健全が好きな日銀は反対だったのです。

 やはり当面心配すべきは、再び円高を呼び込まないようにするにはどうしたら良いかが今は最も緊急の課題なのです。後のことはそれが出来た後で、ゆっくりと然し確り考えよう、ということなのです。
 
 ということで、新内閣は、休まずに次々と手を打って行かなければなりません。
 化けの皮が剥がれて、また円高に戻り、年末の株価上昇は、一時の夢だった、ということにならないために矢継ぎ早に手を打って行かなければなりません。(続きは明日)


景気回復を本物にしよう

2012年12月29日 11時38分28秒 | 経済
景気回復を本物にしよう
 株価がほぼ一本調子に上げて、大納会に日に、年間最高値を更新しました。利益確定売りも織り込んだ一休みもなくです。
 株価上昇のエンジンは予想外の$1=¥86台にまでた来た円安でしょう。2つの事が特徴的です。
 1つは、未だ具体的には何もしていないのに、驚くほどに素早い¥の動きです。
 2つは、ほんの5円ほどの円安で、これほど経済全体の雰囲気が変わることです。

 1から見えてくるのは、円を動かす投機筋にも不安が大きいということ、2から見えてくるのは、矢張り日本経済の悪材料は決定的に円高だということではないでしょうか。
 「追風に帆かけて」ではありませんが、新政権の船出に、こんな好都合なことはありません。しかし、一方には、すぐに化けの皮が剥がれて、円も株価も元に戻るだろうという声もあります。

 学者も政治家も、「どちらが当たるか」などと言っていてはけません。経済運営はクイズではありません。
 やっと円安の効果が理解されてきた今。安倍さんはこの点を強調し、「円高阻止が景気回復への突破口」と胸を張って主張できます。
 この点を一層強調し、円安への政策を次々打ち出し。投機筋の円高期待を次々粉砕して、90円から100円への円安の実現に全力を挙げるべきではないでしょか。それでこそ、日本人、日本経済に改めて自信回復のチャンスが提供できるのです。

 投機筋は、日本の貿易赤字の激減傾向、大型補正による財政状態のさらなる悪化、消費増税の遅れ、なども十分読んでいると思われます。日本以外の国であれば、まさに、これでは「大変なことになりかねない」といった状況です。

 何かあった時、投機筋にしても、「今まで通り消去法で円を買ったら、円自身が実は危なくなっていて結果は大損」などということになったら、それこそ大変ですから真剣です。
 円が買う対象にあるのか売る対象に様変わっているのか、まさに様々な思惑が入り乱れる状況になっているのかも知れません。

 ここで、新政権には王道を取って頂きたいと思っています。本気で、日本が万年黒字国であることを止める経済政策です。
 今度は、口先や金融ではなく、実体経済の在り方を変えるための政策です。(以下次回)

 

これでインフレになるのでしょうか?

2012年12月27日 16時59分22秒 | 経済
これでインフレになるでしょうか?
 安倍政権の「経済優先政策」の方向はかなりはっきりしてきました。何はともあれ、円が1$=85円を切り上げ、株価が1万円台を回復し、この面からは、低迷していた日本経済に明るい部分が出てきたことは明らかです。
 
 しかしこれでだんだんインフレになるのでしょうか。多分そんなことはありえないでしょう。政府、日銀が協定してみたところで日本が1~2パーセントの恒常的なインフレになるにはまだまだ先があります。

 早い話が、近い将来、アメリカが財政の崖への対応に失敗した、とか、またヨーロッパのどこかの国の赤字への対応が予想したように巧くいかないなどといった状況が出て来て、また消去法で円が買われて70円台に逆戻りなどということになれば、此の所の明るさなどは、雲散霧消でしょう。

 しかし、アメリカややユーロ加盟の経常赤字国が経常赤字を減らすことは容易ではありません。企業でも再建計画が巧く行くとは限りませんが、国ではもっと難しいでしょう。赤字状態の下では、危機は繰り返しやって来ます。

 今の日本経済というのは、ことほど左様に、自分の努力ではどうにもならない危なっかしさをはらんでいるのです。
 今回はもう大丈夫です、とは誰も保証してくれません。最後は日本経済は日本国民が守らなければならないのです。

 先ず大前提は、日本の物価が、世界の物価より高いうちは、インフレは起こりません。今、日本の物価水準は、世界でも最も高い方でしょう、サブプライム・リーマン・ショックで$1=¥120が、$1=¥90になり、さらにユーロショックで70円台までドル建てで3割以上、高くなった日本の物価が、国際水準に戻るためには、$1=¥100位にならなければ。駄目でしょう。
 でなければ日本人の生産性向上努力で日本の物価を15パーセント程度下げなければなりません。

 その前にまた円高が起こる可能性の方が大きいとすれば、いつまでたってもインフレは来ないでしょう(確かにこの20年来ませんでした)。

 そんな訳で日本にとって必要なことは、先ず円高からの防衛を日本経済の防衛と考えること。次いで、生産性を上げて、日本の物価を下げる努力ということになります。インフレはなかなか来ません。


株が上がった原因は?

2012年12月22日 15時31分29秒 | 経済
株が上がった原因は?
 順調に上がってきた株価ですが、21日・金曜日には、アメリカの財政の崖への対応がはっきりしないということで突如、下げました。円もいくらか円高に振れています。何かあれば円高という状況は、基本的には変わっていないようです。

 前回の冒頭にも、触れました様に、株が上がった原因は、安倍さんの発言で円安が進んだことが原因でしょうが、円安が進んだことの原因は、日銀が超金融緩和に踏み切れば、日本の金利が下がり、日米金利差から円安になるという投機筋の思惑によるものでしょう。

 結局は未だ思惑に域を出ませんから、それが思惑通りに進んだ、あるいは進むという実績を作らなければ化けの皮が剥がれた後が怖いということになります。
 そこで次の段階は、日本の実体経済の動きでこれを裏打ちしなければなりません。安倍さんは2パーセントのインフレ目標を本物にしようとお考えのようですが、このブログでは、もう一つ別の事も、その方が王道だということで言ってきたつもりです。

 それは日本が、万円経常黒字国であることを止めようという主張です。経常赤字になれば、程度の差こそあれ、日本もアメリカやギリシャ、イタリアと同じ赤字国ですから、状況は変わってくるはずです。

 しかも、日本の経常黒字が減れば、世界の経常収支はゼロサムですから、赤字国の赤字が減る。更に経常黒字を使い切る段階で、その分日本のGDPが増える、つまり経済成長するというオマケが付きます。2010年の慶州G20では「過度な経常収支の不均衡の是正」、が謳われたわけですから、これこそが王道ということは当然でしょう。

 もちろん、日本のようなアリ型の国では、これもなかなか容易でないかもしれませんが、キリギリス型でないから、万年赤字国転落といった危険性も少ないとうことも可能でしょう。

 一方、インフレ率を上げて、円高に対抗するということは、論理が逆です。もともとインフレターゲットを決めるのは、所得政策の手法で、インフレを「抑える」ためのものです。日本も第一次オイルショックのあとにはインフレを抑えるために賃上げにガイドポストを設けるという努力をしています。
 今はデフレで、その原因は円高ですから、このままでは出来ないことです。だからインフレを約束して、円高を円安にしようという逆立ち政策です。

 次回は、この辺りを考えてみましょう。


世界の見本になるような日韓関係の改善を

2012年12月21日 11時44分35秒 | 国際政治
世界の見本になるような日韓関係の改善を
 日本(?)も韓国も新しい政治のリーダがーが登場しました。韓国の経済力、国際競争力、技術力は日本を脅かすようになりました。時に、領土問題などでトラブルも起きたりしています。

 一方、客観的に見れば、両国の関係はますます重層的に重要になり、文化面も含め、ますます良好な相互依存関係の必要性が増しています。

 これを好機にして、両国はこれからの両国の関係を、いかにすれば、世界の見本になるようなものに作り上げられるかを、本気になって、実験、実践したら如何でしょうか。

 このところ小異を言挙げして、大事を見失うようなことが日本にも多くありまあした。
 日本と韓国との関係は、世界の超大国の関係から見れば、取るに足りないものかもしれません。しかし、今のヨーロッパに経済統合の動きも、当初はベネルックス3国の関税協定から始まったことを考えれば、今の日韓の間に、理想的な二国間関係を築くことは、将来、超大国の二国間関係改善についても、必ず役に立つ何かを提供すると思われます。

 だれかが言い出さなければなりません。ならばこの際、新政権が言い出したらどうでしょうか。


政府と日銀でインフレ率が決まるのか

2012年12月20日 14時14分22秒 | 経済
政府と日銀でインフレ率が決まるのか
 18日、安倍さんは、早速白川さんとの政策協定の話し合いに入りました。もちろん、選挙期間中の「金融緩和」発言が功を奏し、株式市場が急速に活況をとり戻したという実績をさらに確実なものにしようとの思いからで、大変結構なことだと思います。

 おそらく安倍さんとしては「なんだ、こんなに簡単に効果が出るものだったのか」という感じでしょう。確かに驚くほどの効果がありましたね。成功体験は人の気持ちを強くします。

 「こまでは大変巧く行きました」と更なる一歩を踏み出したわけで、これでインフレ目標が1パーセントから、アメリカと同じ2パーセントになれば、もっと良くなるはずだ、国民もみんな喜んでくれるだろうという気持ちだろうと思います。

 政府・日銀の話の内容は解りません。日銀も発言を控えています。しかしこれまでの話の経過から見れば、新政権は、政府と日銀の間で話が付けば、インフレターゲットは何とでもなると思っておられる節があるようにも思われます。

 経済政策という視点から言えば、インフレ率は、財政政策と金融政策で決まるという筋書きになります。今の段階では、まだそれでも結構でしょう。しかし、具体的に、1パーセントか2パーセントとかが問題になるような精密さのインフレを起こそういう事になると、もう少し精緻な理論が必要になると思います。

 それがお分かりの上で、当面今のようなゼスチャーで済ませておられるのかどうかは別として、その辺の問題も先回りをして確り考えておきたいと思います。
 
 第1の問題は、現時点の為替レート、$1=¥84で日本の物価は国際比較して高いのか低いのかです。物価にしても原単位や質の問題もあり、購入者の好みの問題もあり、簡単に国際比較などできるのもではありません。

 しかしそうしたものをすべて総合して「デフレが続く」ようであれば、総合的な物価水準は外国に比べて「高い」と判断すべきでしょう。国際比較で物価が高ければ、国内政策でインフレを起こしても外国から安いものが入って来ますからインフレにはなりません。 
 参考になるのは、プラザ合意を克服して、「いざなぎ越え」が始まった2002年あたりの物価の動きでしょう。十分検討の必要があります。

 第2の問題は、アメリカが簡単に円高の是正を認めるか、国際投機資本はどう反応するかといった問題です。

 アメリカは従来、日本が単独介入などで円高を是正しようとすると、明らかに、不快感を示していました。円高にしておきたい気持ちは見え見えです。日本にアメリカ国債を売らせたくないのも同じ理由でしょう。

 安倍さんは早速訪米しますが、アメリカが何というでしょうか。 当然TPPは絡めてくると思います。 更に第3、第4の問題もあります。


株価上昇をどう感じますか

2012年12月15日 11時16分50秒 | 経済
株価上昇をどう感じますか
  明日はいよいよ選挙です。 ところで、このところ株価が上がっています。政府などが出している経済指標は、総じて良くないのですが、株が上がっているので、何となく民心が明るくなっているのではないでしょうか。

  政府発表のデータは過去1年とか半年とかのものですから悪いのですが、選挙戦の始まるころかれ、急に株価が上がって、雰囲気が変わってきました。原因に気づいている方も多いと思いますが、選挙の人気取りの中で、超金融緩和が言われ、それに反応した国際投機資本が円売りに走り、円安になったことが大きいと思われます。

  実は今の経済はこんなことで動くのです。「一犬虚に吠えて、萬犬実を伝う」まさにこれがぴったりです。日本経済は円高さえ止まれば、ほとんどの病状は改善します。原因がオオカミ少年でも、嘘でもいいのです。円安になれば、景気は回復するのです。

 もちろんすべてがそれだけだとは言いませんが、最大の原因はそれでしょう。ですから、それが嘘だとわかればまた円高に戻って、元の木阿弥になるでしょう。
  円安になって、株が上がって、国民の気持ちが明るくなり、企業が投資に動き、国民の消費が少し上向けば、経常収支の黒字が減って、国際投機資本が「これは本物か」とビビり、円売りに動けば、景気は本当に回復を始めるでしょう。

 ならばこの際、この動きを着実に進めるような手を打つことが大事です。例えばエコカー補助金の予算が底をついたなどと言わず積み増す、家庭用のソーラー発電、燃料電池の補助金もさらに積極化するなどなど。

 そしてこの際とくに重要なのは、笹子トンネルの天井崩落などで国民に不安が高まっている既存の重要インフラの老朽化の問題に耐震構造化なども含め、思い切って積極的な手を打つなどです。

 新幹線や高速道路の延長などはカッコよくて、政権党にとっては早くやりたいことでしょうが、この辺りは何が本当に重要か、国民の本心を聞くべきでしょう。
 すべては、今年度、来年度から経常黒字を使い切り、世界のどこかで何かがあれば、「その度に円高進行」という悪夢の桎梏から抜け出すための緊急脱出策です。
 
 その成功なくして、「新しい日本を作る」などというスローガンは、忽ち色あせ、日本経済・社会はさらなる円高デフレ、ゼロ・マイナス成長、社会の劣化という無間地獄に苦しむことになると思われます。


ますます必要な国民の連帯

2012年12月14日 12時15分12秒 | 社会
ますます必要な国民の連帯
 「世界に1つだけの花」というのも、われわれ一人一人が「それぞれに自信を持って咲きましょう」というためにはいいと思います。しかしその花々が「連帯」の気持ちを持って咲き競えばもっと良いのではないでしょうか。
 
 今度の選挙は小党乱立です。同じようなのに、何か違いを強調しているように感じます。販売戦略には「差別化」というのもありますが、人間社会は最終的には、差別化ではなく、連帯しなければなりません。
 神と悪魔が永久に対立する宗教では、必ずしもそうでないのかも知れませんが、八百万の神々が共存し、神仏すらも習合出来るような日本社会には、そうした二元論よりも、「調和」「連帯」の方が似合うようです。日本古来の「和」の精神でしょうか。

 以前、「舶来崇拝からの早期脱出を」と書かせて頂きましたが、まだ難しいようです。
 今、日本のおかれている状況もそうですが、戦後最大の国難と言える状況ではないのでしょうか。

 プラザ合意という自らの外交の招いた失敗の中で20余年のデフレ不況を経験し、世界経済に何かあれば、世界が「¥」に皺寄せするような悪い経済習慣を定着させ、経済の停滞から派生する民心の不安定、格差社会、その結果の社会の劣化を引き起こし、日本人自らが、自信を喪失、先進国からの脱落さえ認めるような体たらくです。

 こんな国難の中にありながら、説明を聞いても良く解らない程度の違いを言い募り、分裂していく様相を、冷静な国民はどう見ているか、一体だれが考えているのでしょうか。

 古事記によれば、天照大神が天の岩戸に身を隠された時、八百万の神々は、高天原、天の岩戸の前に集まり、いかにして、天照大神に岩戸から出て来ていただこうかと、みんなで相談されたとのことです。

 たかが神話と馬鹿にするのは簡単でしょう、しかしそこからは何も生まれません。いま日本に必要なことは、国債は借金だから子孫に残すべきではない、などという、プラザ同意前には似合った論議ではなく、「先進国から脱落した日本」を子孫に残すのかどうかといった、もっと、もっと深刻な問題なのです。

 「貧すれば鈍する」という諺は確かに存在します。しかしその諺どおりになるのが良いのであはありません。諺は、そうした失敗をしないために言い伝えられて来たものです。


暗中模索の選挙戦

2012年12月12日 21時33分32秒 | 社会
暗中模索の選挙戦
 戦後の選挙の中でも、今回のような、わけの解らない選挙はなかったように思います。
 二大政党が政権を競うというのが、成熟した民主主義国の形のように言われて久しいのですが、日本の戦後民主主義は殆ど自民党政権の下でした。

 細川政権の下での政権交代は短期で潰え、3年前の民主党政権の誕生で、二大政党らしき形が見えたように思いましたが、結果的には今回の選挙です。
 考えられることは、矢張り政権を担うには経験が必要でそれには、それなりの時間がかかるということでしょうか。

 どこかで十分に経験を積まない限り、急に政権を担っても、事はそう簡単ではないようです。そういえば学校の先生でも刑事でも、営業職や技術職のサラリーマンでも、もちろん経営者でも、家庭での親業でも、ある程度の期間、実務をしながらコツを覚えないと、初めから巧く行かなくても当たり前です。

 民主党も政権党という経験を多少積んだので、野党職では解らなかったこともだんだんわかってきたのでしょうが、本当はまだ時間が必要なようです。
 そのほかの新しい党はどうなのでしょうか、自民党の大物で、経験豊富な方がアドバイザー格で居られたりしますが、それがどこまで生かされるのでしょうか。

 若くて新しい発想の持ち主でないと変化は望めません、しかしそういう人は経験が無いから当然につまらない失敗をし易く、しかも今の日本が置かれた状態は、ベテランでさえ舵取りが難しい状態です。そして、マスコミも国民も簡単にポピュリズムに騙されます。

 正直言って、私自身も、どこの誰に票を入れたらいいのか、本当に決めかねる気がします。民主主義が成熟するには、どこかでこうした状況を通過しなければならないのかと観念すれば、それも致し方ないことになりますが、支払うコストが高いですね。

 官僚依存打破といた意見は、新しい政党には強いようです、しかし官僚を使いこなすには沢山の経験が必要なようです。民主党ではありませんが、巧くいかずに官僚依存に戻れば、当然それが最も保守的、この困った日本の状態がまだまだ続くでしょう。

 どの党にも、官僚にも学者・評論家にも、無欲で、「純粋に」日本を良くし、世界を良くしたいと考えている方々は居られるはずです。今の民主主義という社会政治制度のもとではそういう方が集まるということは至難の業のようですね。
 (今回は泣き言になってしまいました)


社会保障の負担は誰がすべきか

2012年12月07日 16時30分51秒 | 経済
社会保障の負担は誰がすべきか
 消費税増税問題も絡んで、年金、医療、介護などの社会保障、特に年金を誰がどう負担するのかが論議されています。しかし、残念ながら、負担の本質問題、核心に迫る問題についての論議は、あまり聞かれません。ほとんど国債発行との表面的な関係止まりのテクニカルな話ばかりです。

 殆どの人は「老後」という時間を持ちます。歴史的には、こうした個人のリスクの問題は、元気な時に積み立てる(積立方式)、あるいは親の老後は面倒は子供が見る(賦課方式)という、家族内の問題でした。

 社会保障という概念が生まれ、制度が出来ても最初は基本的には積立方式だったのでしょう。当然積立額は年々大きくなり目立つようになると、政府には給付改善で人気取りをしたいという願望が生まれ、貰う側では給付改善の要求が強まり、なし崩しに内実は賦課方式併用に変化することになるようです。
 
 国が成熟すると、一般的には高齢化が進みますし、賃金水準上昇、ホームメイドインフレも相まって、積立金は次第に先食いされ、遂にはほとんど賦課方式に、そして放置すれば、財政破綻して支給開始年齢の延伸、給付減額、それでも財源不足で、増税、不足分の負担は次世代に先送り、最後は外国の金まで当てにするということになるのでしょう。

 こんなことは当然計算すれば解ることですが、どこの国も給付を先食いした結果、困っているのです。
この辺から対応が大きく違ってきます。大きく給付カットをする(例イギリス)、共通通貨で借金し易くして当面を凌ぐ(例ユーロ圏、但し一部の国で馬脚が現れ大問題)、借金して踏み倒したり、ギャンブルで穴埋めしようとする(例アメリカ)、国内の余裕金を借金(国債発行)して使い将来世代に資産と負債を両建てで残す(例日本)などです。

 こうしてみると、日本などは、まだまだまともな方でしょう。だから日本はまだ健全の方ということで、円高なのでしょう。
 やはり基本的には、長い目で見て自分の国の経済成長で賄うことのできる範囲ことをやるしかないのではないでしょうか。発展途上国の経済発展を支援し、そこからのリターンで一部を賄うこともいいかもしれません。しかしそれはあくまで長期投資・経済発展の利子、配当ということであって、マネーゲームベースであるべきではないでしょう。

 基本的には、日本の社会保障制度を「保障」するのは、日本の経済成長という視点を外した論議をすべきではないように思います。その為にも、社会保障問題(特に年金問題)も、経済成長問題、円レートの問題と共に、まさにドロドロした現実の状況を踏まえて、この際徹底的に、各政党に語ってもらいたいものです。