tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

為替レート切り下げで逃げ切れるか

2012年06月28日 17時11分48秒 | 経済
為替レート切り下げで逃げ切れるか
 今の世界経済は本当に不健全な状態になっていると思います。先鞭をつけたのはアメリカで、いまだに世界経済を牛耳っているのはアメリカですから、それを見習う国が出て来ても仕方がないのかもしれませんが、それで世界経済は救われるのでしょうか。

 問題がどこに在るのかをはっきりさせておきましょう。
 アメリカは円との比較でいえば、世界が固定相場制だった1960年代までの$1=¥360から今日の$1=¥80円までドルを切り下げました。イギリスはポンド=1008円から今日の120円がらみまで切り下げましたフランスフランやイタリアリラは、ユーロ統合以前にやはり円に対しては大幅に切り下げられていました。
 
 切り下げた理由は、切り下げないと国際競争力が弱くなって、輸出が出来なくなり、国がやっていけなくなるからです。経済統計で見れば、国際経常収支が赤字になって、毎年毎年どこかから借金しなければならなくなっています。

 なぜ国際競争力が弱くなるかと言いますと、基本的には、「生産性の上昇より賃金の上昇が大きく、その結果インフレになる」からです。
 さらにその原因にさかのぼれば、労使関係が悪く、労働組合が大幅賃上げを要求して、経営側が安易にそれを認めてしまうという労使関係の非合理性が全ての原因です。

 ですから、インフレのひどい国ほど、大幅に自国通貨の価値が下がります。日本、ドイツ、スイスなどは、労使の合理的な行動で、インフレを一生懸命抑制してきた国です。

 1971年、基軸通貨国アメリカが、先ず競争力の弱体化にこらえきれなくなり、ドルと金の兌換をやめて 、ドルの切り下げを行いました。
 その後は、アメリカの主唱で、世界は変動相場制になり、インフレのひどい国ほど貨幣価値を切り下げることになりました。

 プラザ合意やリーマンショックによる円高は、そのプロセスの中での現象で、マネー資本主義、国際投機資本の巨大化などは、それがやり易くなるように発達してきたものです。今では、政府が頼まなくても、マーケットが自動的に赤字国の通貨を切り下げてくれます。

 ユーロ圏では他国の赤字をドイツが負担し、対外的にはユーロ安になり、一方日本は、アメリカ国債の購入や円高承認という形で、アメリカなどの赤字を負担してきました。
 では、インフレをやり赤字を出している、アメリカやギリシャ、スペイン、イタリアのような国々は、為替レートの切り下げで逃げ切れるのでしょうか。
 今回のユーロの経験では、やはりギリシャは逃げ切れないという事が半分解ってきたようです。

 アメリカは基軸通貨国で、その立場を生かしてもう40年以上も赤字を垂れ流しながら、国内景気を保たせていますが、基本的には同じで、いつか限界を迎えるでしょう。

 インフレと国際収支赤字、為替レート、政権交代、国際金融システム、国際投機資本、実体経済対マネー資本主義、などの問題がごちゃごちゃに入り組んで、問題の本質が見えにくくなっていますが、この問題の根源は「労使関係」にあると見るべきでしょう。
 そこから見れば、すべては極めてクリアになります。

 次回そのあたりを整理して、確りと見てみましょう。


労使関係は死んだのか

2012年06月24日 16時17分46秒 | 労働
労使関係は死んだのか
 失われた10年以降、日本では、「春闘」という言葉の影が薄くなり、同時に労使関係についての報道や論評も少なくなりました。
 かつては、俳句の季語でもあった春闘はどうなってしまったのでしょうか。

 エズラ ボーゲルが「ジャパンアズナンバーワン」を書いたころ、経済の主役は労使関係でした。
 労使関係が注目されるようになったのは、戦後のイデオロギー闘争の時からでしょうが、イデオロギー闘争の時期から、経済闘争の時期に移っても、経済に最も大きく影響するものの1つとして、春闘、労使関係は経済動向を左右する重要な要因でした。

 日本だけではありません。欧米でも、賃金、物価、生産性の関係は経済動向、国際競争力を規定する要因として、1970年代「所得政策論争」が盛んでした。
 アメリカではケネディー大統領が鉄鋼産業の労使交渉に介入し、アメリカ鉄鋼業の国際競争力が落ちないように全米鉄鋼労組の説得を試みたこともありました。

 ヨーロッパでも、ドイツの「労使協調行動」が注目され、オランダは、賃金コスト上昇の抑制のため、いち早く所得政策導入を試みています。

 そうした国際情勢の中で、オイルショックの際の日本の労使の対応が注目されたのは当然かもしれません。思い返せば、アメリカ、ヨーロッパの高コスト体質は1960年代末期からの痼疾だったのです。

 しかし歴史は世界経済の環境条件を変えていきます。日本は、プラザ合意の結果、世界で最も合理的な賃金決定のできる労使関係の国であるにも拘らず、一朝にして世界で最も高コストの国になりましたし、冷戦終結で東欧の自由経済参加、中国経済の躍進などで、賃金コストは安いが、技術水準は先進国からの投資で急速に上昇するという大きな流れが一般的になり、これらの国の製品流入で先進諸国では物価上昇が止まり、労組はそれまでのような賃金要求などできないことを悟り始めました。

 こうして、欧米と日本では、原因は異なるものの、労働組合の存在感、賃金上昇への発言力は、急激に弱まることになったようです。

 代わって力を得たのは、金融、マネー経済です。プラザ合意の経験が明らかにしたのは、一国経済の国際競争力は「為替レート」でも決めることができ るという単純な事実でした。
 その結果賃金コストはどう決まろうと、為替レートを少し動かせば、それは簡単に調整できるという「金融、為替レート」万能の時代が到来したわけです。

 一国の競争力の決定は、「労使関係」という場から「為替市場」という場に移り、労使関係はますますその活動の意義を弱めることになりました。

 経済の主役が「人間(労使関係)からマネーへ」という巨大なうねりは、世界経済に何をもたらすのでしょうか、経済の間化ともいうべきこの動きの行方をどう読むか、労使関係などはもう時代遅れなどという意見も聞かれる中で、経済の主は人間なのかマネーなのかは、「人間として」確りと考えるべき重要な課題でしょう。


$1=¥80で「第2のいざなぎ越え」体制を

2012年06月19日 12時03分13秒 | 経済
$1=¥80で「第2のいざなぎ越え」体制を
 ギリシャの緊縮派勝利で、ユーロ問題は小康状態という事になりましたが、早くもスペインの金利上昇など不安・トラブルの種は尽きません。
 メルケルさんドイツは不本意でしょうが、結局ユーロ圏は、ドイツの黒字で、赤字国の穴埋めをするという構図がまだ続くのでしょう。

 世界全体で見れば、アメリカ以下の赤字国の赤字の穴埋めを日本をはじめとしたごく少数の黒字国で負担する構図は基本的に変わらないでしょう。世界の国際収支はゼロサムなのですから。

 この穴埋めを日本はこれまで「円高」という形で負担してきました。これはいわば、頑張った挙句がゼロ・マイナス成長という形の『なし崩し』の負担で、いくら負担したかがはっきりわかりません。

 これから日本としてやらなければならないことは、「これ以上の円高は日本経済の破綻」という意識が定着した中で、あらゆる手段を使って$1=¥80水準を死守し、「いざなぎ越え」の時期程度の経済の安定(回復)を取り戻すことではないでしょうか。
 世界各国の通貨政策の歴史と現状を見れば、そのための方法が皆無でないことはおのずから知られるはずです。

 いざなぎ越えの時期の円レートが$1=¥120とすれば、80円は5割の円高です。この4年でそれに見合う国民経済生産性の向上があったとは言えませんが、企業は必死で、80円でのサバイバルの努力をしています。その努力に報いるためにも、政府・日銀にはどんなショックがあっても80円を守ってほしいものです。また××ショックで突如70円とか60円などという事は、もう許されないと肝に銘ずるべきでしょう。

 80円死守が可能になれば、「いざなぎ越え」に似た日本経済を再度実現することは可能でしょう。生産性を上げてもその成果は円高で日本企業に帰属せず、海外に流出してしまうような事態は回避され、努力の成果は日本企業に、日本の労働力に帰属することが可能になります。
 
 それこそが正常な経済活動の在り方でしょう。その上で赤字国への援助が必要であれば、金額や条件を明確にして、公式に援助すべきでしょう。円高でなし崩しに援助というのは最悪です。援助した方も援助の実感がありませんし、受けた方も、受けた有難味を感じません。

 「経済にタダの昼飯はない」と言われますが、ただの昼飯を当たり前のように食べている国と、働きながらそれに応じた昼飯が食えない国があるという構図が、今回のユーロ問題ではっきりしてきました。
 これが、国家間の争いに発展する前に、経済の段階で解決する知恵を人類は持つべきでしょう。第二次世界大戦に至る失敗で学んだことを、改めて思い起こすことも大事ではないでしょうか。


不勉強なIMF見解

2012年06月13日 12時14分13秒 | 経済
不勉強なIMF見解
 IMFの今年の対日報告をまとめるために来日しているリプトン副専務理事が、記者会見で対日報告のポイントを明らかにしていますが、世界の金融問題の最高権威であるべきIMFがこの程度の報告でお茶を濁すことは大変に残念です。

 まず、現状で日本の最優先課題は財政再建で、野田総理の言っている10パーセントでは足りず、最低でも15パーセント程度の消費税率にすべきと述べています。

 また、金融政策と円高については、ヨーロッパの混乱で、安全性配慮から円が買われ、この3月から5パーセント程度の円の過大評価が見られ、これが輸出企業の利益を脅かしているが、為替安定化のためにも、日銀は、より長期の国債の買い入れを含め、さらなる金融緩和に踏み切るべきだと指摘しています。

 その上で、日銀の決めた1パーセントのインフレターゲットは大変結構で、2024年中にそれを実現するようにすべきと言い、金融緩和はインフレ期待の環境づくりに役立つと言っています。

 日本のIMFに対する巨額の拠出金について、感謝の意を表明したかどうかは報道されていませんが、それを言うと、財政再建に消費税引き上げをというのが、もっとIMFに拠出するカネを政府に持たせる意図かなどと言われそうだと思ったからでしょうか。

 冗談はともかく、円の過大評価を言うならば、今年3月からなどというのではなくリーマンショックで$1=¥120から90円という3割を超える円高による過大評価の影響はどう判断しているのか、その上での今回また5パーセントの円高という実態をどう見るのか、もう少し長期視点で判断をしなければならないのは当然でしょう。

 その上で、金融緩和がインフレにつながるのかどうかを云々するのでなければ、正確な判断にはならないことはだれの目にも明らかでしょう。
 それにつけても視点が浅薄だと思うのは、インフレが金融次第で起きるという、昔の貨幣数量説だけで物を言っているお粗末さです。

 対日レポートなら、日本の物価の動きを理解してからやるべきでしょう。
 日本の物価は金融だけでは動きません。80年代後半のバブルの時のように、超金融緩和で土地やゴルフ場の会員権は年に何割も上がっても、消費者物価はほとんど上がらなかったという実績を、理由も含めて勉強すべきでしょう。

 また今のデフレが、国内要因ではなく、円高による国際比較での価格とコストの高騰によるものだという事も確り理解しておくべきでしょう。
 5パーセント円高になれば、日本の物価は国際的には5パーセント上昇しているのですから、経済のグローバル化を前提にすれば、国際価格に向けて下がる(デフレになる)のは国際競争が貫徹している証拠です。それが日本の金融緩和で止まるのでしょうか。

 止まるとすれば、金融緩和で、最低でも5パーセント円安になった時でしょう。さらに財政再建は日本経済への信頼度を高め「円=安全通貨」というイメージを高めて円高を呼ぶでしょう。インフレターゲットはますます遠くなります。

 未だ細かい点はいろいろありますが、日本政府は、IMFに巨額な拠出をして支援しているのですから、IMFが本来の使命を果たすように(G20も指摘している)、国際投機資本やヘッジファンド、各付け会社などの監督を強化し「国際金融の安定化、健全化」に精出すように忠告したら如何でしょうか。


地域金融機関向け特例措置の延長

2012年06月11日 18時01分39秒 | 経済
地域金融機関向け特例措置の延長
 ドメスティックな金融のみに関わる小さな報道ですが、「時価評価」か「保守会計」かという国際会計基準の基本的問題をどう理解するかについての、解りやすい事例のような気がするので、あえて取り上げてみました。

 今月の6日に、金融庁は、標記の特例措置を2年間延長することを発表しました。国内に営業が限られている地域金融機関だけを対象にした措置で、国際業務を取り扱っているところには認められないことですが、長期保有している株などの有価証券が値下がりしている中で、その含み損を自己資本に反映させなくてもいいという特例措置を2年間延長するというものです。

 理由は、今、株価が異常に下げている中で、本来の制度に従って、含み損の60パーセントを自己資本から差し引くと、金融機関の財務比率が悪化し、貸し渋りなどが発生し、中小企業金融に支障をきたす恐れがあるからという事のようです。

 考えてみれば、金融機関が長期保有する株式などは殆どが業績の安定した企業のものでしょうから、リーマンショックのような外的な要因で一時的に株価が下がっても、日本経済が健全であれば、いずれ回復するので、いちいち気にすることはないという、いわば日本的、というか伝統的、常識的な判断で特例措置を2年延長したという事でしょう。

 もともと日本では(以前は国際的にも)取得価格で評価(取得原価法)するとか、株価が低かった時の低い価格で評価する(低価法)という保守的な評価法がとられていたのですが、それだと株が上がった時に表面に出ない含み益が増えて、本当の企業の財務状態が解りにくくなるということで、欧米主導の時価会計が主流になっています。

 株価などというものは、人気投票みたいな面があり人気次第で乱高下します。新技術開発で株価が一時高騰したが、それが製品化さえた時は普通の株価になっているといったことはよくあることです。
 そういう株価の上下で一儲けしようというのは、投資というより投機でしょう。しかし今日の現実を見れば、投資より投機の方が幅を利かせるような状態というのは明らかです。

 そしてそういう動きの積み重ねが、今日の国際金融市場の不安定に拍車をかけていことは明白です。
 時価会計の方がまともで、時価を反映させないことの方が特例措置だと多くの人が洗脳されてしまったというのが現実かも知れませんが、会計における保守主義というのは、長く積み上げられた知恵の産物です。
 経済の安定発展により役立つ金融というのはどちらか、良く考えてみる必要があるのではないでしょうか。


G7、安住財務相の本音発言

2012年06月06日 12時57分34秒 | 経済
G7、安住財務相の本音発言
 建前ばかりで何も進まなかった過日のG8に不安を感じたのでしょうか、急遽、電話会議でG7が開かれました。

 言い出しっぺはアメリカの様ですが、ほかの国も、G8が、成果なしと受け取られ、国内政治の不安定、株価下落による経済不安の促進という状況にまさに周章狼狽という事でしょうか。まずは不安定な現状の安定化に協力、為替の安定を演出し、株価の下落を防ごうと懸命になっている様子が垣間見えます。

 報道によれば、欧州側も、ユーロ問題に対して、責任を持ち、「事態の安定に向けて、スピード感を持って対応する」という点で一致したという事で、束の間の平穏は確保されるのかもしれません。

 日本にとって特筆すべきは、安住財務相が、欧州の対応を信頼を持って見守っていくと述べると同時に、日本経済について、株安・円高が与える悪影響を説明し、「為替市場の過度の変動や無秩序な動きは経済、金融の安定に悪影響を与える。為替市場の行動に関して、緊密に協議し、適切に協力する。」とした昨年9月のG7での為替に関する合意を共有して欲しいと要請をしたと報道されており、これに対しては、各国からは異論が出なかったということです。

 自分たちで決めたことですから異論が出ないのは当然ですが、日本が何も言わなければ、しれっとして円高に皺寄せして、知らぬふりというのが彼らの姿勢で、その上に、日本が単独介入すれば、「不快感を表明する」 といったのが実態ですから、あらゆる席で「日本は迷惑している」と表明する事が何よりも大事でしょう。

 為替市場は、円売り介入を恐れて、たちどころに円安に振れていますが、こうした発言がきっちりとなされたことは、先ずは「よかった」と思います。
 毎度書きますが、もともと落ち度があるのは、赤字を垂れ流し、改善努力を怠るアメリカであり、ギリシャであり、スペインなのですから、常に反省の必要を忠告することは必要なのです。

 これも以前から指摘していることですが、こうした問題の底の底には、生産性を超える賃金上昇(unit labor cost上昇の放置)という問題があるのです。それが、生産力を上回る支出増、つまり経常赤字国への転落、為替の不安定、経済活動への悪影響、さらには、投機的手法での赤字穴埋め指向とその失敗による金融不安(破たん)という連鎖です。
 議論がそこまで行き着くのにはまだまだ時間がかかるでしょう。


企業・経済が成長できる形:その3 日本はどうする?

2012年06月02日 09時44分26秒 | 経済
企業・経済が成長できる形:その3 日本はどうする?
 前2回で見て来ましたように、「緊縮も成長も」と言っても、選挙を考えれば、結局、緊縮の方は甘くなり、援助資金は成長につぎ込む可能性が高く、多分消費刺激なんてことになって、コスト高の現実は容易に変わらないでしょう。

 市場はそれを読んで、ドルも下げ、ユーロはさらに下げて、円高だけが進んでいます。
 野田総理は、それがどういう事か解っているのでしょうかと3回前の「G8と日本の立場」で書きましたが、解っていれば、「それでは解決にならない」と一言ぐらい言うはずですから、やっぱり心配です。

 ギリシャからアメリカまでの赤字垂れ流し国がお互いに、我が儘な国民に迎合することになれば、矢張り今後も資金援助が必要で、その資金を出すのは、ドイツと日本です。ドイツ国民からは文句が出ていますが、日本人は我慢強いのか寛大なのか文句を言いません。

 しかも、ドイツの場合は、ユーロ安で得する面もあるのですが、日本は円高で損するだけで、一方的な被害者です。G8の合意では、日本だけが、100パーセント被害者なのです。
 野田総理は、にこにこと写真に納まって帰ってきましたが、もう少し渋い顔をすべきだったのではないでしょうか。

 ¥はまた、$1=¥80を切り上げて、企業も雇用も一層苦しくなり、大震災の負担も大きいのですが、当の野田総理は消費税増税に政治生命をかけると意気込んでいます。
 増税すれば、政府は収入が増え、赤字が減って、格好いいかもしれませんが、企業や国民は、円高で苦しめられた上に又増税で苦しめられることになります。

 政府は、増税で財政を健全化するのは国民のためと言いますが、財政を健全化すれば、それは更なる円高要因になって、企業を苦しめ、国民(みんな企業で働いているのです)は雇用悪化と賃下げに苦しみます。 それでも我慢して、節約し、経常黒字(対外支援の原資)を出し続けるのが、真面目な日本人の生活パターン なのです。

 本当に国民のためを思うのなら、G8の場で、各国に円高にならないような政策を、確り採ってくれと主張すること、つまり、きちんと緊縮財政をやって赤字垂れ流しを是正し、ドルやユーロの価値の安定を図るべきだ、そうしないと「日本ばかりがいつまでも円高で迷惑する」とはっきり発言するのが筋でしょう。

 もともと、赤字を垂れ流す国に落ち度があるわけで、黒字の国に依存するのはあくまでも便法だと内心は皆解っているのですが、何も言わないと、素知らぬ顔をするのが国際舞台ですから、自信を持って渋い顔で「忠告をする」することも大事だと思います。
黙ってにこにこしている場合ではないのです。

 書くことがだんだん過激になっていると自分でも解るのですが、$1=¥80が生命線と言ったからには、本気でやってくれないと日本経済が立ち行かなくなると憂えるからです。