tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

夏休みとライフバランス

2017年07月31日 14時42分51秒 | 労働
夏休みとライフバランス
 明日から8月、夏休みシーズンも真っ盛りに入ります。皆様の企業の夏はどんな具合でしょうか。

 日本では多くのサラリーマンは8月中旬、お盆の際に故郷に帰省して、親兄弟、懐かしい友人たちと祖先や昔の生活を偲んだり、青春時代の思い出を旧友と語り合ったりという習慣がありました。

 それぞれの地方のお盆の夏祭りは、地方で育ち、東京で働く人の多かった集団就職時代から、いろいろな形の「リユニオン(再会)」の色彩の強いものとして、サラリーマンの夏の夢のひと時といったい意味で定着してきた時期もありました。

 しかし時は移り、今は、いわゆるワーク・ライフ・バランス、労働時間の短縮といった法律制度上の問題などという形、年5日有休消化義務論議などを含め、何か人間味の薄いもになりつつあるような感じです。

 確かに、有給休暇の平均取得率が50%を切る日本は特異な国と思われることも多いようで、欧米では「会社が有給休暇を取りにくくしている」と考えている人も多いようです。

 私のサラリーマン時代の経験で言えば、本人が何となく取らないで過ごしてしまうケースと、周囲を気にして取らないケースと、割合で言えば、半々のような感じがしていますが、皆さまの感じはいかがでしょうか。

 本来から言えば、仕事も面白いけど、自分の時間も欲しいからとサラリーマンが自分で適切に判断できるようになるのがベストでしょうが、矢張り日本人は仕事優先志向なのでしょうか。
 
 労使協議で、工場や会社自体を休みにしてしまうというのは、労使にとっては適切な方法でしょうが、これは主にメーカーの場合です。しかしこれも、せいぜい1週間でそれ以上にはなりまぜん。

 もともと「夏」休みというのは、四季がないと成り立たないことですし、3~4週間連続して休むというのはヨーロッパの一部の国の常識(気候風土の関係)であっても、一般的になりうるものではないでしょう。

 日本では、どちらかというと、正月、花見、お盆、紅葉狩りと四季折々の自然を愛でる伝統文化に従って、有給は分散取得の意識が強いようです。春と秋にはゴールデンウィーク、シルバーウィークが対応しています。

 こうした問題で、法律の果たすべき役割は、最低限に規定で、それが守れないような企業の場合、従業員が辞めてしまうか、あるいは、従業員サイドが労使関係という形で、解決できればっそれがベストでしょう。

 そして、そのベースになるのは、従業員一人一人が、自分の1日あるいは1年、さらには自分の生涯時間の中で、どれだけの時間を「ワーキングライフ」にかけ、どれだけの時間を「プライベートライフ」に充てるかのバランス、つまり、自分の人生設計(ライフプラン)の中の時間配分のバランスを確り考えるという事のように思います。

圧力一辺倒と硬軟両様

2017年07月30日 09時27分52秒 | 国際政治
圧力一辺倒と硬軟両様
 北朝鮮はロケット技術で急速な進歩をしているようです。
 比較的簡単な発射台で、飛行距離1万キロに及ぶ大陸間弾道弾を発射できるようになったなどと報道されています。

 アメリカは、本意かゼスチャーか知りませんが、極めて深刻な脅威といって、対北朝鮮の経済制裁を一層強めるという姿勢で対抗しようとしています。
 しかし、経済制裁を強めていけば、北朝鮮が「参りました。もうこんなことはやりません」と言って降参するでしょうか。

 もしアメリカが本当にそう考えているのであれば、やはりアメリカは単純な考え方の国だという事になるでしょう。
 アメリカがいかに制裁を強めても、中国やロシアは、「話し合いで解決」といい、アメリカに従うとは限りません。それぞれが、アメリカと同じ主権を持った国です。北朝鮮自身が主権を持っているわけですから、アメリカの意のままにはならないのも当然です。

 イソップの「北風と太陽」は誰でも知っている話ですが、アメリカは「北風方式」を信奉し、それに則って解決できると思っているのでしょうか。

 今の国際情勢は、西部劇の世界とは違うのです。本当はアメリカもそれを知っていて、しかしメンツもあって、「北風主義」を標榜しているのでしょうか。
 それとも「太陽の流儀」も解っていて、どこかでうまく使い分けるのでしょうか。

 知的な行動原理から言えば、「圧力一辺倒」より「硬軟両様」の方が優れていると考えるのが一般的でしょう。
 ここは、覇権国に力の誇示の最終結果と、硬軟両様で、最終的には無用な混乱や犠牲を避ける方式での予想される結果を、ともに十分シミュレーションしてみるとこが必要のように思われます。

 我々日本人にしてみれば、かつて、ABCD包囲陣などと列強の圧力一辺倒と意識した状況の中で、国民は「鬼畜米英」などと教え込まれ、最終的には自力突破しかないという結論に達し、暴発した経験があります。

 当時の日本と、今の北朝鮮は、北朝鮮の報道の様子などを見ていますと、かなり似ているように感じられます。当時と違うのは「核の抑止力」なのでしょうが、今の北朝鮮の状況を突き詰めていけば、「暴発」に至る危険は必ずしも小さくないように思われます。

 まさに人類の知恵が問われているのでしょうが、かつて、暴発した経験を持つ日本が、深刻化する現状の中で、何ら積極的な意思表示や行動もできず、単に右往左往しているだけのような状況に多くの日本人も深い憂慮を感じたりあるいは、失望、落胆しているのではないでしょうか。

回復するか「平均消費性向」?

2017年07月28日 12時16分53秒 | 経済
回復するか「平均消費性向」?
 今朝、のニュースの中で、先月(6月)の有効求人倍率が、バブル期を越えたと報道された今年の4月をさらに上回ったというのがありました。企業の人手不足感は益々強まっているようです。

 労働市場が売り手市場になるという事は、賃金水準にとっても引き上げへのボディブローになると同時に、雇用確保への安心感や賃金水準の上昇期待から家計消費についても多少前向きの影響もあればいいな、などと考えていました。

 そんな中で、これも今朝発表された、総務省の「家計調査」の今年6月分について、消費支出が1年10か月ぶりに名目・実質ともにプラスになったという報道が眼に入りました。
 そう関連して順調に物事が運ぶという事はないでしょうが、こうしたことが巧く続いていけば、景気上昇の足枷になっている家計消費にも動きが出るかもしれません。

 発表された6月の家計調査の報道では、2人以上所帯で、消費支出が前年同月を2.3%上回ったという事です。
 早速「家計調査」に当たってみますと、2人以上所帯で、消費支出は、名目で2.8%、実質で2.3%前年同月を上回ったそうです。消費者物価は0.5%上昇という事ですね。

 そこで、より詳しく調査されている「勤労者所帯の2人以上」について、さらに関連数字を見ていきますと、収入の方では実収入が735,477円(ボーナスの月ですね)で、名目で0.6%、実質で0.1%の上昇、可処分所得(手取り収入)は593,992円で名目0.7%実質0.2%の上昇です。

 一方、消費支出の方は296,653円で、前年同月比で、名目7.2%、実質6.7%増えています。
 つまり、実収入や、可処分所得よりも消費支出の方が増え方が大きいというわけです。

 去る5月31日に、「 消費不振は続く気配?」で最近2年間の消費性向のグラフを載せましたが、動きが変わるのでしょうか。

 平均消費性向というのは消費支出/可処分所得」ですから、上の数字からから計算出来るわけで、49.9%(注)です。
 では、昨年の6月の平均消費性向はいくらだったのかというと、46.9%ですから3.0%ポイントの上昇でこれはかなり大幅です。

 日本の年間消費支出300兆円が、もし3%ポイント上がれば、消費が9兆円増えて、GDPが2%近く増えるという事です。(経済成長率が2%高まる!)
 さて7月以降どうなるのでしょうか。政治は揉め、将来不安は尽きませんが、家計の財布の開き具合がますます気にかかるところです。
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(注)ボーナス月ですから低いですが、年間平均では2016年は72.2%です。

改めて諺の大切さを知る

2017年07月27日 10時59分48秒 | 社会
改めて諺の大切さを知る
 安倍総理は「桃李言わざれども、下自ずから渓を成す」の諺からその名を掲げた成蹊大学の出身ですから、桃(もも)や李(すもも)の故事には造詣も深いのではないかと思っています。

 先日も「李(すもも)下を冠を正さず」といわれたようですが、こうした諺も、どう理解し、どう活用するかは大変重要なようです。

 矢張り諺の本来の意味を十分に理解して使わないと、折角由緒ある諺を使っても、諺は味方になってくれないのではないか、などと感じてしまいます。

 今回連続して問題になっている籠池氏、加計氏に関わる問題にしても、「李下に冠を正さず(李園過ぐる時は冠を整さず)」という諺を本当に理解して使っていれば、こんなことにはならなかったのではないでしょうか。

 この言葉の由来は、斉の威王の娘の虞姫が、あらぬ疑いを掛けられ、父である王に問い糾され、私は潔白ですが、疑われるようなことになったのは私の不徳の致すところです。たとえ死を賜っても、これ以上申し開きはしません、といったということからきているという事です。

 たとえ潔白であっても、疑われるようなことをしてしまったのは、私の不徳の致すところと、あえて自身の不徳を認め、責任を取ろうという虞姫の心を示しているのです。

 そういう意味では、安倍総理は、矢張りこの諺の意味を十分に理解していないで使ったと思われても仕方ないのかと思います。

 家族ぐるみの付き合いといわれた安倍家・籠池家の間柄、米国留学時代からの極めて親しい友人という加計氏と総理の関係という事を前提にしますと、小学校や獣医学部を作るという希望を持ったこうした友人に対しては、

「誠に申し訳ないけれども、貴方たちのような親しい方は、私が総理をやっている時に政府の許認可にかかわる大きな仕事を進めのは、何とかご遠慮いただきたいj、『李下に冠を正さず』という諺にもあるように、親友に便宜を図ったといったことを言う人が必ず出てくる、宜しくご配慮頂きたい。」

 という風に、「私の立場も解って欲しい」と話することが、本来の諺の意味を理解した行動という事になるのでないでしょうか。

 安倍総理がそうしていれば、前国会の混乱、国会論議で無駄な時間を費やすことは大幅に避けられたという事でしょう。

 諺というものは千年百年の人間の知恵の積み重ねの中で生き残ってきたものでしょう。それをよく理解し、行動を律することは、いろいろな所で役に立つように思います。

高度プロフェッショナル問題、連合、日本的労使関係

2017年07月26日 10時39分55秒 | 労働
高度プロフェッショナル問題、連合、日本的労使関係
 いわゆる残業ゼロ法案、一口で言えば、高度の専門能力を活用して、他人には出来ないような専門的な仕事をする従業員については、年収1,075万円の以上の場合、残業協定が適用されないという制度の導入について、連合内部が大きく揉めているようです。

 連合の反対で長らく棚晒しのこの法案について、改めて、連合が休日日数、インターバル制度、健康診断などの条件付きで認める意向を政府に伝えて事がきっかけです。
 問題は、連合のその意思決定の際、組織全体の合意をしっかり取り付けていなかったことのようです。

 労働組合組織というのは、最も民主的でなければならない組織の1つでしょうから、トップ批判が出ることは健全なのでしょう。
 報道の様子でも、問題になっているのは、方針の中身より、組織運営の在り方が主要な問題点といった印象を受けます。

 超長期の不況の中で、労組の活動が不可避的に活発さを欠いてきたことは否めません。こうした問題をきっかけに、連合内の活発な論議が復活してくることは、問題の中身は兎も角、ある意味では必ずしも悪いことではないという見方もできるのではないでしょうか。

 勿論、組織運営の問題は連合としては、最大の課題でしょう。しかしその問題と同時に、当然「高プロ」問題への取り組みの在り方が論議されなければならないでしょう。
 そしてそれは当然に、経営サイドを巻き込み、政府を巻き込んだ「政労使」の本格的な話し合いに発展していくことが考えられます。

 いわゆる「失われた30年」の中で、経営は非正規雇用の増加を中心にコストカット注力の経営に走り、労働サイドも深刻な環境の中で適切な対抗手段を持ちえず、春闘は終焉、日本的労使関係は死んだ、などといわれてきた中で、日本経済の回復基調とともに、改めて真剣で健全な労使関係の復活が、「高プロ」問題をきっかけに進むとすれば、今回の問題は決して無駄ではなかったという事にもなりうるのではないでしょうか。

 労働条件の問題は、政府の専管事項ではありません。本来は労使関係という土俵で、労使が専管して論議するべきものです。その結果が法律になるというのが物の順序でしょう。
 労使が声を挙げず、現実にも現場にも理解の浅い政府が主導すべき問題ではないはずです。

 連合内部の問題はいろいろあるでしょう。しかし、岡目八目かもしれませんが、傍らから見ていると、何とかこうした問題をきっかけにしてでも、活発で積極的、新たな日本経済社会を作るために、産業と人間に関わる問題については、労使関係、労使が主役という、あるべき状態に近づくことが出来れば、日本はもっと良くなると考えているところです。

IMF、アメリカの成長予測を下方修正

2017年07月25日 13時06分24秒 | 政治
IMF、アメリカの成長予測を下方修正
 去る23日、IMF(国際通貨基金)はアメリカの今年の経済成長予測を2.5%から2.1%に0.4ポイント下方修正しました。
 理由は、トランプ大統領が、選挙中から掲げていたインフラ投資などの成長政策が、当初の予想ほどの規模にならないという事のようです。

 それに引き換え、日本については、1.2%の当初予測を僅か0.1%ですが上方修正して1.3%にしています。

 アメリカ、日本共に、政治は大混乱になっています。政権に対する支持率はともに半分以下に落ち、トランプ支持は36%、安倍内閣の支持も35%(NHK)だという事です。
 政権に対する支持率が30%台になって、経済政策などもまともに打てるのかという事になるのは当然かもしれませんが、それにしても、アメリカの下方修正に対して、日本は上方修正という事ですから、まあ結構といえるのかもしれません。

 もともと日本の成長率は低いからという見方もあるでしょう。国民が真面目によく働く日本はもっと経済成長率が上がってもいいはずだと私などは思い、政府のやることがブレーキになっているように感じていますが、それでもIMFが上方修正したのは民間の力を評価したのでしょうか。
 
 確かに、日本の場合、経済政策はどこかに行ってしまっています。金融だけ緩めておけばというような様相で、財政再建の見通しもなく、アベノミクスなどはどこかに消え、国会は、ないはずの記録があったり、記憶がないが記録文書が出てきたり、まさに「藪の中」の様相で終わり、また閉会中の審査で、同じ「藪の中」をもう一度「より丁寧に」繰り返しています。

 これではいくら民間が頑張っても、限度があります。民間では企業も家計も、それぞれに将来計画を考え、それに沿って生産や消費を進めていこうと真剣ですが、国会がこんなことをしていたのでは、これから日本の国がどうなっていくのか見当がつかなくなってきます。

 国会論議がこんなことになってしまうのも、正確な記録をきちんとしておかないからでしょう。何でもかんでもきちんと記録は取る、そして確認しでキチンと保存する、国会論議で、重要な事なのに「記憶がない」「記録がない」では困ります。
 要職に就く人はもっと記憶力のある人に限るとか、記憶力の弱い人は確り記録を取る癖をつけるといった訓練をしてから仕事をさせるべきでしょう。

 こんなことで政権に対する不信が増すという事は、直接に、企業や家計の行動にブレーキを掛けることになるようです。
 家畜の群れに川を渡らせる時、霧で対岸が見えないと渡らないそうです。霧が晴れて対岸が見えると渡り始めると専門家が教えてくれました。
 今の日本国民には、進んでいく先が確り見えているのでしょうか。

分裂の原理、統合の原理

2017年07月24日 13時06分17秒 | 国際関係
分裂の原理、統合の原理
 戦後、世界は統合の原理で動いてきたように思います。ところが、戦後70年を過ぎて、最近は、何か一部に分裂の原理が働いてきている様に感じられます。

 自由主義主要国の戦後の意識の中には、国際連盟に代えて国際連合(国連)を組織し、改めて世界を新秩序の中で統合していこうという基本的なものがあったと思います。

 しかし現実は国連の常任理事会の舞台で、世界の統合を考えるべき常任理事国の中で米ソ対立が深刻化し、世界は鉄のカーテンで仕切られました。
 しかし自由世界の中では統合の過程が進行していたのは確かでしょう。

 象徴的なのはEUです。ベネルックスの関税協定、欧州炭鉱鉄鋼共同体といった組織の面、フランスとドイツは今後絶対闘ったりしないという強い合意もあり、イギリスも巻き込んでEEC、EC、EU、と発展していきました。
 アメリカ大陸では米州機構が生まれ、アジアではASEANが生まれました。

 現象面で、統合の原理が最初に崩れたのは1990年のソ連の崩壊でしょう。これは共産主義国家の破たんという、ある意味では必然性を持ったものでした。
 ですから、これで世界が自由経済主義、民主主義で一色で統合の方向が進むかと思った人も多いと思います。

 しかしその後次第に様子が変わってきました。
 EUは人の移動の自由が、難民・移民問題と重なって、問題が深刻化しています。もともと難民や移民が大量に発生するという状態の方が問題なのですが、国連の常任理事国の権力争いが途上国の内紛に影を落とすという残念な状況の反映です。

 一方、アメリカは、経済的な理由で統合よりも自国の保護優先の姿勢を強めることになりました。
 統合・結束を進めようとする動きが依然として活発なのはASEANぐらいでしょうか。

 
 地球市民の共生と発展を考えるとき、分裂よりも統合の方が合理的であることは容易に理解できるでしょう。それは個々人の人間関係でも国と国の関係でも基本は同じでしょう、社会を作る動物「人間」は、孤立よりも、協力によってより良い成果を享受できるのです。

 70年この方、統合の方向を目指してきた地球市民の一部で、分裂・孤立を善しとする動きが出てきたという事は、人間の心に内在する「我儘」がそうさせるのでしょう。
 統合を望む社会では、自分の意志と同時に、他人の意思も「忖度」(良い意味の)が必要です。これは人倫というべきものかもしれません。

 しかし、場合によっては自己を抑え共生を優先することは、個人にも国にもある程度の不満を齎します。統合の仕方などで、統合指向と個人あるいは国の意識・不満のバランスが崩れると、時に不満が強まり、分裂への指向が生じるのでしょう。

 個人の生涯でも、世界の歴史でも、人類は時に「我儘」を優先して失敗を繰り返し、反省して統合の方向を目指すという事を繰り返してきているようです。

 最近の一部国家に見られる分裂志向が、過去の教訓を忘れた一時的な誤りの類で、出来るだけ早期に分裂、孤立の愚を悟り、改めて統合の方向が正しいことに気づくことが望まれます。

 その点、アメリカの行動様式、多国間協議を嫌い二国間交渉でという形は、統合を嫌いながら、孤立も嫌で、二国間で実を取るという思惑が垣間見え、覇権国のとる態度としては、些か「 NGR」意識に欠けるように思われるところです。

2017年、今年のヘイケボタルの不思議な結末

2017年07月22日 10時41分23秒 | 環境
2017年、今年のヘイケボタルの不思議な結末
 今年のヘイケボタルは幼虫の育ちが順調で、最終的に270匹を庭のU字溝に放流しました。
 これまでの経験で言えば、恐らく100匹ぐらいは羽化して初夏の我が家の夕べの楽しみを増やしてくれると期待していたのですが、世の中なかなか思い通りには行かないもののようです。

 6月中旬には羽化と期待していましたが、すでに7月も下旬になり、未だに羽化はゼロです
 U字溝の中で幼虫は良く光っていました。U字溝の両端に作った上陸用地に上がって光っているもいました。しかし羽化はゼロです。

 今年は、飼育している人のどこに聞いても、羽化が遅れているというのは一致したご意見でした。異常に羽化が少ないという方も多くおられました。しかし「ゼロ」ではないようです。我が家には何か特定の原因があると考えるべきでしょう。

 推定してみれば、原因は、上陸用地の作り方にあるという事になりそうです。赤玉土の上にミズゴケを敷き、その上に庭のコケをはがしてかぶせるという従来通りの方式でしたが、庭の苔に何かがあったのでしょうか、まさに自信喪失です。

 ホタルの飼育は、いくら頑張っても1年に1回しかできません。高齢の私にとって、今年の失敗は、かなり厳しいものです。
 しかしこれにめげず、また来年に向けて頑張るしかありません。現在は、数は確認できませんが、5月末から6月初めの羽化したゲンジボタルの残した卵からかえった幼虫を、何とかうまく育てようと努力中です。

政策迷走・経済好調のアメリカ

2017年07月21日 10時43分58秒 | 経済
政策迷走・経済好調のアメリカ
 日本経済は何かエネルギー不足ですが、アメリカ経済はトランプ政権になる前から、上向きはじめ、雇用も好調で、トランプ政権の政策迷走にもめげず、好調を維持しています。

 日本にしてみれば、羨ましい話で、日本人はこんなに頑張っているのに、アメリカの方が先に行くのかと言いたいところです。

 一つ大きな原因を挙げるとすれば、シェールオイル・ガスの開発によって、世界トップクラスの産油国になったことはあるでしょう。この開発が始まったころから雇用の堅調は続いています。

 金融面から見れば、もともと、リーマンショックによる金融恐慌の危機を、バーナンキ流の超金融緩和で何とかしのぎ、経済活動が何とか回復、正常化するという回復過程にあったアメリカ経済です。

 バトンタッチを受けたイエレンFRB議長は、経済の正常化に合わせて金融の正常化を始めました。その手法は極めて手堅く、利上げによるドル高、景気回復へのブレーキを最も警戒しつつ、時間をかけての金融正常化の途上です。

 登場したトランプ大統領は、「アメリカ・ファースト、アメリカの栄光を取り戻す」と元気のよいファンファーレを鳴らし、1兆ドルのインフラ投資、大幅減税といった具体策を並べ、自国中心の保護貿易政策で国内産業を守ると言い、企業には、自国企業、外国企業を問わず米国内に投資し、雇用機会を提供することを強力に求めるという意思をツイッターなどを通じて徹底するという方針を示しました。

 日本では、お蔭でトヨタの株価が下がるなどいう事態になるなど、内外の企業に種々の影響を与えたようです。

 ところが指摘されていますように、トランプ政権になってから、まだほとんど法案が成立していないというのが実態のようです。
 多くの専門家が、そのうちに問題が顕在化するのではないかといった懸念を言ってはいますが、経済は相変わらず好調とは言えないまあでも、順調な動きをしています。

 こうした動きが、単に公約を先取りしたもので、公約の実行が不可能になればいずれ蹉跌するのか、それとも、アメリカの草の根の経済活動が「アメリカ・ファースト」の掛け声に刺激されて目を覚ましたのか、これからが見もののように思われます。

 もともとアメリカは「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」で世界を変えたような開発力を持ち、今でも、先端技術では世界のトップを行く国でしょう。その後楽して儲けようと、マネーゲームに狂奔し、リーマンショックに至りました。

 しかし、シェールオイルの開発もあり、「アメリカの栄光」の掛け声に乗って、実体経済の開発、発展の面に関心がもたれれば、政治の動向は兎も角、アメリカ経済が変質する可能性もないとは言えないでしょう。

 嘗て、アメリカは「エルトン・メーヨー」の「ホーソン工場実験」からハーツバーグの「動機づけ理論」その後の多くの「リーダーシップ論」など、「産業における人間の働きと生産性の研究」に於て、世界をリードし、産業の競争力を育て、アメリカの栄光を築いた国です。

 さて、「腐っても鯛」なのか、「次世代の鯛が育つ」のか、どちらになるのでしょう。

2020年プライマリー・バランス回復公約は反故に

2017年07月20日 11時05分16秒 | 経済
2020年プライマリー・バランス回復公約は反故に
 一昨日の経済財政諮問会議で、政府は、中長期の財政試算を発表しました。
内容は、名目3%の成長があっても、国際公約でもある「2020年度の国と地方の財政のプライマリー・バランスは達成には程遠い状態で、8兆2000億円の赤字になるというものでした。
 
 写真には、安倍総理、麻生財務相、菅官房長官が並んで映っていましたが、別に申し訳ないような顔もしていませんでした。
 民間企業の株主総会で、何年度黒字化しますと言って、それが達成できなかったら、当然企業トップはそろって株主に頭を下げるでしょう。

 政府の公約というのは、その程度のものでしょうか。それを信用する国民の方が馬鹿だというのでしょうか。

 このブログでも、昨年6月に「 消費税延期の経済計算」を書きましたが、そこでも取り上げた安倍総理は、消費税を延期しても大丈夫という趣旨の発言をし、その中身(根拠)の説明はなにもなかった事を指摘ました。

 予定していた歳入が大きく減るわけですから、そんなことはあり得ないはずですが、平然として問題ないと言い、今回の財政収支試算で達成不可能という数字が出ても、何ら弁明もないのでは、恐らく2020年になって、はっきりと達成が不可能になっても、何も説明しないのでしょう(その時はもう責任者でないからノープロブレムというのでしょうか)。

 しかし、ことはそれでは済まないはずです。一国の運営に責任を持つ総理が、国民の前で、不可能なことを可能と言い続けるという姿勢は、今、安倍政権の支持率を急低下させた、国民が、どう考えても疑わしいと思うような発言と同根だと思うからです。

 「丁寧に説明する」のは結構ですが、国民に説明するのなら、「本当のこと」を丁寧に説明してくれるのがリーダーの役割でしょう。

 不健全な財政では、財政政策の役割は果たせません。緩め過ぎた金融も、金融政策の役割を果たせなくなっているようです。
 日本経済は民間が頑張っているから、それでいい、というのでしょうか。

 今週行われる閉会中の集中審査でも、同じようなことが繰り返されるのでしょうか。折角の楽しい夏休みの始まりですが、日本の政治自体が何かと不透明な背景の中で、底抜けに明るい夏休みではなくなりそうです。

アメリカ、NAFTA再交渉へ始動

2017年07月19日 14時19分25秒 | 国際経済
アメリカ、NAFTA再交渉へ始動
 万年赤字の止まらないアメリカですが、貿易赤字削減と雇用の増加を目標とするトランプ政権、先ずは、北米自由貿易協定の見直しから開始という事でしょうか。

 トランプ大統領は、アメリカのラストベルトが衰退したのは自由貿易を進めたからだという考え方のようで、結果が「自由貿易協定の見直し」という事になるのでしょうが、ラストベルトが衰退したのは、アメリカの競争力が弱くなった、つまり、コスト(主要なコストは人件費)の上昇が、生産性に上昇を上回り、あるいは品質の面から競争力がなくなって、良いものを効率よく作る国に負けたという事です。

 負けたという事を自覚すれば、本来は、アメリカの栄光を取り戻すためには「頑張って良いものを効率的に作るぞ」と決心するのでしょうが、そうした真面目な努力は苦手なのでしょうか、自分の努力不足は棚に上げて、輸入制限とか、アメリカに工場を作らないのは怪しからんとか、 外国のせいにばかりするようです。

 もともと人件費の安い国に工場を作って、安いアメリカ・ブランドを世界中に売ったのはアメリカですが、自国産業の空洞化で、今度は人件費の高いアメリカに投資しろ、輸出で儲けるのは怪しからん、という事なのでしょう。

 加えて、もう1つ重要なことがあるようです。それは、「為替条項」が入ることです。
 トランプ大統領は、かつてから、中国や日本を為替操作国だと名指したりしていますが、1985年のプラザ合意を思い出していただければ、為替レートが一国経済にいかなる影響を及ぼすかは明らかでしょう。

 日銀の異次元金融緩和で、$1=¥120までいった円レートですが、この所は110円前半です。FTAなどでは何年かけて数%の関税をゼロにするとかが交渉されますが、1割の為替レートの変更はそんな努力をあざ笑うかのように、1国の競争力に影響します。

 為替レートは価値の基準、度量衡で言えば、『メートル原器』のようなものですから、これが勝手に変わったのでは、経済計画、経営計画などは出来ないはずです。
 戦後、固定レートがいいといったのもアメリカで、変動相場制になったのも、アメリカの赤字が原因です。

 基軸通貨国アメリカの基軸通貨「ドル」の価値にが勝手に動かれては、 まともな国際経済意は成り立ちません。
 その意味で、アメリカが、為替レートはあまり動かさないようにしようと言うのならいいのですが、それなら、マンハッタン中心に動く、 国際投機資本の動きをどうするのでしょうか。

 アメリカの貿易赤字を減らすために、他国の通貨変動に対し規制を掛けるのであれば、アメリカこそが為替操作国という事になるでしょう。
 プラザ合意という苦い経験を持つ日本は、為替についても主張すべきことがありそうです。

平成という時代、日本経済として見れば

2017年07月18日 13時31分58秒 | 経済
平成という時代、日本経済として見れば
 まだ少し気が早過ぎるかもしれませんが、平成という時代もそろそろ終わることがはっきりしてきたようですので、日ごろから思っていた「平成という時代は日本経済にとって何だったのか」を考えてみたいと思います。

 明治、大正、昭和、日本が世界経済の仲間入りをしてからのそれぞれの時代はそれぞれに特徴がありました。

 列強に伍そうと富国強兵に走り、日清・日露戦争に勝ち意気盛んだった明治の45年、一応の豊かさに達し、第一次世界大戦の戦勝国となり、余裕もできて、大正デモクラシー、大正ロマンなども内包した大正の14年、八紘一宇を旗印にアジアの盟主たらんと対中侵攻、さらに第二次世界大戦に突入し、敗戦、占領軍統治下におかれた昭和の前半、敗戦をきっかけに経済国家に変身、経済成長で世界を驚かせ、「ジャパンアズナンバーワン」といわれるまでになった昭和の64年、そして日本は平成に入ります。

 平成元年は昭和で言えば64年ですが、西暦で言えば1989年です。バブル景気の真っ最中、バブルは、破裂するまで誰も気が付かないといいますが、平成2年には38,000円まで付けた日経平均の暴落が始まり、翌年には地価税の導入をきっかけに地価の暴落が始まっています。

 平成という時代は、バブルの絶頂にスタートして、翌年からは、バブル崩壊、そして、いわゆる「失われた10年」に突入することになるのです。
 そして、当初言われた「失われた10年」は、結局「失われた20年」になり、さらには「失われた20余年」に伸びていくのです。

 その間、2002年から、いわゆる「いざなぎ越え」という統計上、あるいは政府やアカデミアの判断からは景気回復期に入ったという時期がありましたが、企業からも家計からも異口同音に「回復感の全くない回復」といわれる程度のものでした。

 この「いざなぎ越えは」2008年まで続きますが、2009年には、リーマンショックというアメリカ発の金融恐慌に巻込まれ、$1=¥80という超円高の中で、最悪の経済状態に突入、企業も家計も、まさに塗炭の苦しみにのたうつことになりました。

 幸いなことに、2013年にたり、日銀の政策変更もあり、いわゆる「異次元金融緩和」で$1=¥120になり、異常な円高状況は解消されることで日本経済は息を吹き返しましたが、日本の経済主体(企業、家計)はそれまでの苦しみの経験から、その行動は極めて臆病になり、特に今後の高齢化も控えて、家計は消費支出には極めて慎重で、消費不振が経済成長の足かせになって、ようやく1%前後の経済成長に辿りついたのが昨今の状態です。

 さてこれから日本経済はどうなっていくのかと、国民は皆行く先を案じている中で、今上天皇の譲位が決まり、平成の30年は終わろうとしています。

 経済から言えば、平成の30年はまさに「戦後最悪の30年」という事なるでしょう。
 さて、転んでもただでは起きない日本人です。この平成という時代から何を学びそれをいかに将来に生かすことが出来るのでしょうか。
 それが出来て、初めて、平成という時代の意義づけが決まるのでしょう。

AIの能力、人間の能力

2017年07月16日 22時08分07秒 | 社会
AIの能力、人間の能力
 最近のAIの進歩は著しいものがありあます。今に人間のやる仕事は無くなって、みんな失業だなどと冗談を言いう人がいれば、本当にそうなるのではないかと心配する人もいます。
 いったい、機械は人間にどこまで追いついてくるのでしょうか。追いついてくるだけでなく、追い越されてしまったら人間は何をやったらいいかなどといったことに本当になるのでしょうか。

 ずっと先のことは解りませんが、ここ数十年とか100年ぐらいのスパンなら、何となくですが、あまり困ることはなく、人間生活の便利さ、快適さの増進で、社会全体が良くなると考えていた方がいいような気がします。

 今まででも、機械の方が人間より優れていることはいっぱいありました。もともと人間は自分より力の強い牛や馬、ラクダや象を使っていましてが、蒸気機関やモーター、エンジンなどが出来て、牛や馬は要らなくなりましたが、人間の仕事はいくらでもあります。

 これからは、人間の頭脳との競争になりますが、電卓の例で見てみればこんなことです。
 いくら算盤の名人でも加減乗除ぐらいは何とかなっても、累乗根とか 三角関数、微積になると、関数電卓には人間は絶対に敵わないでしょう。それでどうなったかです。

 電卓の登場で人間の仕事はうんと楽になりましたが、人間は電卓を使って、いつも忙しく働いています。確かに昔は盆と暮れだけだった休みが、週休2日制になり、労働時間は短縮されましたが、人間の仕事がなくなったわけではありません。
 自動車が人間より速く走っても、オリンピックは健在です。

 つまり、人間の世界は、人間が主人公ですから、機械が如何に進歩しても、ルールは人間が作ります。機械が経営者になって、社長に命令するのではなく、社長が機械を使ってより効率の良い、誤りのない、仕事をすることになるのでしょう。

 弁護士や医者の仕事でも、人間にはすべての法律や判例を記憶することはできませんし、医者もすべての症状と病理を知り尽くすことはできませんが、人工知能はそれが出来るのです。記憶装置はいくらでも大容量に出来ますし、コンピュータは「忘れる」ことはありません。

 それでも人工知能が裁判官や医者になるのではなく、裁判官や医者が人工知能を使ってより良い仕事をすることになるのでしょう。
 
  それで早く仕事が片付いたら、週休3日制でも4日制でもやればいいのでしょう。世の中より楽しくなりそうです。

<蛇足>
 もし本当に恐ろしいことが起きるとすれば、機械の進化ではなく、スーパーホモサピエンスが発生して、今のホモサピエンスはかつてのネアンデルタールタール人(2万年ほど前に絶滅)のような立場になってしまう事でしょう。

日銀の2%インフレ目標は先延ばしより「見直し」を

2017年07月15日 22時54分10秒 | 就活
日銀の2%インフレ目標は先延ばしより「見直し」を
 日銀のインフレ目標2%を前提とした異次元金融緩和への固執については、適当なところで見直した方がいいのではないですかと何回も書いてきました。

 2%はアメリカのインフレ目標と一緒ですが、現状の世界経済、国内経済の状況から見て、また、アメリカと日本のインフレに関する国民の意識から見ても、あまり合理性はありません。アメリカが2%なら、日本は1%というのが妥当なところでしょうか(「 白川総裁のクリーンヒット」参照)。

 確かに異次元金融緩和という「サプライズによる円安誘導」には当初は効果があったものの、次第に効果は薄れ、マイナス金利導入時点では効果は3日しかありませんでした。
 これ以上の円安を政策として目指すのは、日本としたやりずぎとの批判も出るでしょう。

 同時に、日銀が国債やETFを大量に買い上げることが金融市場や株式市況にも歪みをもたらすという指摘も多くなってきました。
 円高阻止という政策目標のために、当面到達の可能性の無いインフレ目標を掲げ、金融市場を歪める意味はとうに消えているようです。

 もともとインフレは低い方がいいのです。勿論デフレ回避は至上命題でしょうが、インフレは2%より1%の方が、国民にとって良いことは明らかです。特に、金利より物価の方が先に上がるようなことになれば、国民生活にマイナスです。

 もしそれで消費を刺激しようというのであれば、それは王道とは言えません。金利の正常化を進める中で、国民の消費性向が上がるような、健全な経済政策が望まれるところでしょう。
 
 物価は金融政策でどうになるものではありません。1980年代後半以来、日本では、貨幣数量説はあまり働いていません。それが働くとすれば、資産(土地など)バブルを起こすぐらいで、そのバブルも早晩つぶれるのです。

 日銀が政策変更するなら、2%を先延ばしするのではなく、当面1%を目標と切り替えるべきではないでしょうか。2%がスイスイ達成されるようになる時は、国際経済環境も、国内の意識も変わって、今度はいかにインフレを抑えるかが問題になる時期でしょう。

高度プロフェッショナル制度、連合の思いは?

2017年07月14日 12時17分45秒 | 労働
高度プロフェッショナル制度、連合の思いは?
 朝日新聞がスクープしたこの問題が、今日は広くマスコミで取り上げられています。連合が、高度プロフェッショナル制度は認めるが、休日日数、インターバル制度、健康診断などの適切な保護条項を提言したものです。
 率直な感想が、「連合は良く思い切って踏み込んだな。その思いは何だろう。」という所でしょうか。

 この問題については かつても論じましたが、対象はごく少数の人たちで、法律で決めるほどの問題ではない、労使で話し合えば十分との考えでした。

 年収1075万円以上、非管理職、高度の専門性を有するという人たちがどのくらいいるのでしょうか。仕事のプロは、成果主義賃金がいいからという事のようですが、日本の正規従業員には成果主義は似合わない制度です。これは保険のセールス職の例を見れば明らかでしょう。これは、かつての日経連の雇用ポートフォリオによれば、高度専門能力活用型で、期間契約・年俸制の世界の話でしょう。

 政府は欧米型の職務給+成果主義がいいと信じているようですが、これは「角を矯めて牛を殺す」の類です。 日本はやはり職務中心ではなく「人間が企業の中心」なのです
 一方企業(現実には大企業の話でしょう)では、今の非正規多用のように、正社員採用の一般専門職レベルまで、この制度を広げたいのでしょうか。そうでなければ、対象の範囲は限られ、個別の対応策はいくらでもあるはずです。

 一方連合の思い何なのでしょうか。安倍政権が支持率低下に焦りを感じ、絶対多数のうちに何でも強行採決でといった恐れを感じての事でしょうか。そのためにまずは最低限の歯止めが必要と感じたのでしょうか。
さらに推測を進めれば、忘れられかけている伝統的な日本的労使関係の再建を目指し、政府、経団連を、嘗ての「政労使の緊密な話し合いの場」に引き出そうという狙いでしょうか。

 突如とした連合の行動に、政府、経営サイド共に驚くと同時に強い関心を示しているようです。
 一方、連合内部にも、驚きと困惑、反対の声があるようです。これは多少心配ですし、また本来理解し合うべき民進党ともギクシャクのようです。

 安倍首相は、経団連も入れ、政労使三者で話し合うつもりのようです。その場で連合の思いも何か見えてくるのかもしれません。そこでは、政労使三者が、是非腹を割った真剣な論議をしてほしいと思います。

 政府は労使の自主性を尊重し、経営は従業員を大切にすることが産業・企業の発展の根幹という日本的経営の原点を自覚し、連合は現場の労使関係・労務管理の現状を産業・企業の最重要なステークホルダーとして、徹底して発言するといった、三者構成の意義を体現するような論議が期待されます。
 連合の「思い」は、そして果たそうとする役割への意識は奈辺にあるのでしょうか。