tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

痛ましい表層雪崩事故に思う

2017年03月28日 11時14分29秒 | 安全
痛ましい表層雪崩事故に思う
 那須のスキー場で、痛ましい雪崩事故が起きてしまいました。前途有為の高校生たち、引率の先生、ご冥福を祈るばかりです。

 ブログの趣旨からは外れますが、敢て、こんなことも何かの役に立てばと思い書くことにしました。
 私がスキーを始めたのは昭和30年ごろからで、その頃はリフトもなく、赤倉の宮様ゲレンデに木組みのリフトがやっと1本出来た頃でした。今でいうバックカントリーを滑っていたことになります。

 その頃毎冬行っていたのは燕温泉スキー場でした。帰途は燕温泉を出てすぐ下が七曲りという難所(当時の話)で、その先少しくと関温泉スキー場でした。確か、七曲りでは一度表層雪崩で1人死亡者が出たことがあったと記憶します。

 その燕温泉の宿のおばあさんが、いつも言っていたことを思い出したのです。
 「うわ雪崩(表層雪崩)は、雪がやんでから出れば大丈夫だから。雪がやむまで出ちゃだめだよ。」
 こうした昔からの知恵の伝承が、今回生かされなかったのが残念です。

 ラッセルは足腰を鍛えるのには大切ですが、表層雪崩の可能性が大きい天候状態のもと、降り続く雪の中では矢張り危険だったのでしょう。

 もうひとつ気になったのは、助かった方が、雪崩が来た時「伏せろ」という声が聞こえたと言っていることです。
 私共の頃は、「表層雪崩の中を泳いだ助かった」という話をよく聞きました。表層雪崩は底雪崩(全層雪崩)と違ってふわふわだから、泳げるんだよ」というのです。
 なるべく上に顔を出せという知恵だと思っていました。

 雪崩への対応の理論も、時代と供に変わるのかもしれませんが、古老の知恵も、場合によっては役に立つのではないかと思って、あえて書いた次第です。

労働災害、不適切工事と雇用形態・教育投資

2016年01月06日 21時44分42秒 | 安全
労働災害、不適切工事と雇用形態・教育投資
 新年早々書きたくないような内容のことを書かねばならないというのはまことに残念です。出来るだけ短くします。
 タンクの洗浄で2人の方がなくなりました。報道の中で気になったのは亡くなったお二人とも「派遣社員」と書かれていたことです。タンクの爆発で有毒ガスを吸い込んだためではないかと書かれていましたが、爆発の原因は温度の上がり過ぎとのことです。

 笹子トンネルの事故もありました。千葉県でトンネルのモルタルの崩落もありました。橋梁の不完全溶接問題も報道されました。いずれも現場担当者・責任者の教育訓練の不徹底と感じていしまいます。

 危険と隣り合わせの作業は、十分に訓練を受けた作業員にしてほしいものですが、亡くなられた派遣社員の方々は、危険な洗浄作業のプロとして十分な知識と技能の訓練を受けておられたのでしょうか。
 本来派遣社員というのは業種が限られ、その道のプロといった方が、その腕を発揮して効率よく的確に作業をこなすという形だったはずです。

 長期のデフレ不況の中で、安易に派遣の範囲が広げられましたが、法律はともかく、企業としては、安全には十分な注意を払うというのが日本企業の伝統、基本的な姿勢だったように感じています。かつては、延べ何千時間、何万時間無事故といった記録を競っていたのが日本企業でした。

 安全には徹底した安全教育が必要で、それにコストをかけても、「安全第一」そして「安全はペイする」と考えていたのが日本企業でした。1964年設立された「中央労働災害防止協会」はその象徴でしょう。

 安全教育を受けた即戦力を派遣で使おうといいうデフレ不況の中での企業の発想から、各企業が自社の従業員に安全教育をしなければ安全は確保されないという考え方に転換が必要な時期に来ているようです

 政府が言っている「企業は利益が多いのだから投資を活発に」の中に安全教育投資が入っているのかどうか知りませんが、日本の作業現場の伝統である「安全第一」「安全教育投資」に、改めて企業に力点を置いてほしいような気がしています。