tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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岸田内閣支持率上昇、政策の現実は?

2023年05月29日 16時38分55秒 | 政治
岸田内閣支持率上昇、政策の現実は?
岸田内閣の支持率が46%に上ったようです。イギリスのスナク首相の支持率は上がっても18%というのと比べれば大変結構ですし、ご子息の不行跡も関係なくて一安心でしょうか。

何となく日本経済が上向き傾向という追い風が吹いているのが強みでしょうが、少子化対策に力を入れている事が大きな効果を持っているようにも思われます。

18歳まで支給とか、第3子には小学生まで月6万円とかいった案が出されたりで、それは3万円に修正されたようですが倍増です。所得制限なしというのも賛否両論でしょうが、貰えるモノならという事もあって賛成でしょうか。

そして「こども金庫」などという言葉も出て来て、何だか財源が湧いてくるような印象も与える効果がありそうです。

元もとの問題は、防衛費で使い切った財政の上に年間少なくとも3兆円ぐらいの負担をどう捻出するかですが、岸田総理は消費税を含め増税はしませんと言い切っているので、国民は安心しているのかもしれません。

然し岸田さんはその同じ口で、財源については社会保険料への上乗せなども念頭にと言っているのです。ところが、社会保険料というのは、一般的には社会保障税とも言われ、税金の概念の包括されるものです。

税金と社会保険料の合計を国民所得で割ったものを「国民負担率」と呼び、国民の負担としては区別できませんし、片方だけの負担という概念は成立しません。

税の一体改革は日本でも随分議論されてきましたが、社会保障の財源として、社会保険料によるか付加価値税によるかは、何処の国でも国民負担の中の政策選択の問題なのです。

こんな、かつての安倍総理の「ごはん問答」(朝ごはんは食べていません。パンを食べました)みたいなことは何の意味もないのです。

岸田総理は、これに加えて、3兆円のうち2兆円程度は徹底した歳出削減で捻出ということにも言っていますが、防衛費の削減も考慮の内なら結構という意見もあるでしょう。
それより扶養控除の撤廃が歳出削減に入るのではという心配もあるようです。

つとに「異次元の少子化対策」はカネの問題なのかといった本質論も広くある中で、異次元とはカネさえ出せばという事なのかという意見に対しては具体的な議論もないままです。外国では、フランスの例などを見てもカネの効果への過度の期待は疑問です。

内閣支持率が上がれば、それで結構という事であれば、これでもよいのかもしれませんが、現状、日本の財政問題も背景にある国際関係も極めて複雑で深刻です。

一方で平和憲法の下でも戦争に巻きこまれる可能性を大きく孕む防衛費の急増政策、もう一方で国民生活の平穏を目指す少子化対策を、2つの政策の整合性の議論もなしに同時進行させようとする岸田政権の支持率上昇をどう見ればいいのかです。

国際関係に翻弄される今日の日本ですが、岸田内閣も、支持率上昇に気を良くするだけではなく、上昇に相応しい成果を挙げてほしいと願うところです。

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