tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

学卒採用問題に真剣な目を

2012年03月31日 15時38分21秒 | 労働
学卒採用に真剣な目を
 「就活」という言葉が生まれて、もう、かなりになると思います。このことばを聞くたびに、「嫌な言葉だな」という感じを受けます。言葉自体というよりも、それを生んできた社会状況が嫌なせいでしょうか。

 学業を終え、就職するというのは、極めて自然なことで、学生時代というのは、社会に出るための準備段階です。
 準備段階を終えれば、いよいよ社会に貢献する「社会人」になるというのはきわめて自然です。この自然であり当然の変化をするために、極めて不自然で無意味な時期を通らなければならないというのが就活の時期でしょう。

 人生の準備期から活動期へ、この有意義な変化の時期を、心の片隅に不安を持ちながらも、期待に胸を膨らませて通過できるようなものにするための工夫を、今の日本社会は出来ないのか、という情けなさ、出来ないと決める方がおかしい、みんなで考えれば、できないはずなどない、というもどかしさ、などがないまぜになって、就活という言葉の響きを悪いものにしているような気がします。

 もちろん、最も大きな原因は、日本経済の超長期にわたる不況でしょう、2002年から2008年までの、景気回復とは言えないような景気回復、いわゆるいざなぎ越えの時ですら、今に比べれば、学卒就職状況はずっと良かったことは事実です。

 日本経済自体については、このブログが主要課題にしていますように、円高さえストップすれば、回復は間違いないのですが、日本政府は何の事情か、それがなかなか出来ないようです。

 学生は卒業したら、先ず企業に入って、企業の中で、社会人としての基礎的素養を学び、1人前の社会人に育っていくというのが、伝統的な日本社会の在り方です。

 そうした社会の在り方の中で、その出発点で躓く事のマイナスの大きさを考えれば、当事者である学校、労使、政策当局、学生自身などが、それぞれに、より考えを柔軟にし、多様な形での協力関係を進めることによって、キャリア開発の中でほとんど役に立たない就活などに、神経をすり減らすことを最低限にするような知恵を出し合うことは出来るのではないでしょうか。

 今後、折に触れて、この問題に対する具体的な面についても取り上げてみたいと思います。


円高と原油高、どちらがより恐ろしい?

2012年03月30日 13時00分28秒 | 経済
円高と原油高、どちらがより恐ろしい?
 こんな質問が出たら、どうお答えになりますか。「そんなことは一概には答えられない。第一、円高や原油高の幅がどのくらいかによっても違う話だし・・・。」
というのも尤もな答えだと思います。

 しかし私は「それは円高です。」と即座に答えたいと思います。以下はその理由です。

 もちろん、原油高の幅ということもあります。第一次オイルショックの時には、原油価格の引き上げ幅が4倍という事で、世界経済は大混乱に陥り、特に、原油の99.8パーセントを輸入に頼るといわれた日本経済は石油が入ってこなくなったら日本経済は壊滅するという事でトイレットぺーパーや洗剤パニックが起こり、それまでの高度成長が、一気にマイナス成長に落ち込みました。

 それに比べれば、今の原油高は、ユーロの問題も一段落で、行きどころをなくした投機マネーが、イラン問題などを口実に、石油投機で儲けようと企んでいる、などのうがった解説もあり、「上がればそのうち下がるだろう」などという落ち着いた見方もありますから、そう心配しないでよいという見方が大宗でしょう。

 しかし少し違った見方もあります。原油価格の上昇は世界共通の問題です。産油国の会社であっても、安くは買いにくいでしょう。石油生産会社は高く買うところに売ろうとするからです。

 これに対して、円高は、世界で日本のコスト(物価も同時に)だけが高くなり、他の国のコストはすべて相対的に下がるという事です。日本が差別的に不利になり,他の国はその分自動的に有利になるという性質のものです。
 ですから、自由競争の中での影響は、原油高と円高では、全く性質の異なるものです。切り上げで高くなった物価は下がり日本だけが デフレになります。

 ついでに申しあげますと、原油高のように、世界中が一律に同じ影響を受ける場合には、それにより巧く対応できる(省エネ、代替エネルギー開発など)国は、結果的に競争上優位に立ちます。 
 第二次オイルショックを経て、対応の下手だった、欧米に比し、対応の巧かった日本が、ジャパンアズナンバーワンと言われるようになったのは、こうしたはっきりした理由があってのことです。

 ついでに言えば、これに対して欧米の取った対抗策がプラザ合意による円高という事になるのでしょう。欧米の打った手はまさに的中、そこまで気付かなかった日本は、今度は「完敗」という事になりました。


デフレ脱出へ総力戦を

2012年03月28日 13時50分50秒 | 経済
デフレ脱出へ総力戦を
 西村日銀副総裁のデフレ脱出宣言らしきものも出て、それぞれの人たちから、それぞれに「もうデフレはこりごりだ、早く脱出したい」という気持ちが語られ始めたことは大いに歓迎すべきではないでしょうか。

 $1=¥75台まで行って、多くの日本人が、これはもう生命線、これ以上円高が進んだら日本経済社会は壊滅しかねないと考えるに至りました。
 一番恐ろしいシナリオは、70円を切り上げるような水準までじりじりと円が切りあがり、どこで手を打つかもつかめないままに、日本経済が「茹でガエル 」ならぬ「凍死ガエル」にならないかという事でした。

 国際投機資本は日本経済がどうなろうと、自分がマネーメイクさえ出来れば、「それが全て」ですから、彼らに円高への思惑を持たせるようなことは徹底的に排除し、円安を連想させるような条件をあらゆる努力で作り上げることが必要でしょう。

 そういう意味では日本はあまりに無防備すぎました。何があっても円は健全、何かあったら、差し当たって円を買っておけば間違いない、といった雰囲気のもとでは、サブプライムでもリーマンショックでもギリシャ問題でも、何かあれば、すべて円高につながります。

 円高になった分だけ日本の物価は国際比較で上がりますから、国際的に高い物価は下がる、つまり世界中で日本だけがデフレになるのは当たり前です。
 逆に、どうも円を買うと下がって損しそうな雰囲気と思わせれば、国際投機資本は円を敬遠するでしょう。円高にならなければ、デフレにはなりません。

 日銀の金融政策は変わったようです。政治の混乱は「日本は頼りにならない国だ」という印象を与えているでしょう。これはいいことではありませんが、円高阻止には効果があるかもしれません。
 
 一方、実体経済の面では、円高が止まれば日本経済は、確実に回復する。それは、アメリカにとっても、EUにとっても、アジア諸国にとっても、世界にとっても、日本経済が色々な面で貢献を強められるという意味で、必ず大きなプラスをもたらすことになるでしょう。日本にはその用意があります。逆に、日本経済が円高で苦しむことは、世界にとってマイナスです、という事を、事あるごとに説明することでしょう。

 困ったことに、今の国際経済の中では、金融経済と実体経済が全く反対になっていて、日本がそんなに元気になるのなら、すぐ円高になることにつながるということです。


メダカの春

2012年03月23日 12時15分53秒 | 環境
メダカの春
  昨年の春の事です。近所の花屋さんの看板に「メダカ入荷しました」と書いてありました。以前からメダカを飼いたいなと思っていたので、いろいろ考えました。

 わが家には道に面してカーポートがあり、カーポートと庭の境は下半分がブロックの垣根です。垣根の内側に庭の雨水を下水に流す3メートルほどのU字溝があります。そのU字溝の下水につながるドレーンの手前に発泡スチロールの板で堰を作り、コーキングをしたら水が溜まるようになりました。

 これなら巧くいきそうだと、250Lの雨水タンクをネットで買い、カーポートの樋につなぎ、雨水タンクの蛇口からポトポトと雨水がU字溝に入るようにして準備完了です。

 早速メダカを20尾ほど買ってきて放しました。U字溝の鉄格子の蓋は取り外して、毎日、水量を調節しながら、「メダカの学校」の鼻歌とともに見ていました。
 長年たまった泥と落ち葉の上を澄んだ水がゆっくりゆっくり移動し、メダカ達は静かに群れ、時には素早く逃げ、なかにはU字溝の隅から隅まで探検するのもいて、なかなか飽きない景色です。

 そのうちに、お腹に卵を付けているのが出てきましたので、これはオスらしき2,3尾とともにホテイアオイを浮かべた水槽に入れておいたところ、夏に入って無数の小メダカが孵っているのを発見してビックリ。

 この子メダカは親に食べられないように別途ベランダの水槽に入れておきました。無数にいた子メダカは、数はどんどん減りましたが、秋には結構育ち、我が家のメダカ人口は50尾ぐらいになったでしょうか。

 メダカ達は、そろって、U字溝の池で冬を越すことになり、そろって泳いでいましたが、寒さが本格的になると1尾も見えなくなってしまいました。そして最近、寒さの緩みととみに、ちらほらと顔を出すようになり、昨日辺りは10尾ほど群れている様子が見えていました。

 さて、最終的に何尾ぐらい出て来てくれるのだろうかと楽しみに見守っているところです。


一体改革論議の盲点

2012年03月18日 12時47分45秒 | 経済
一体改革論議の盲点
 日本経済に追い風が吹いています。為替相場が$1=¥83~84まで戻ったことです。お陰様で、まずは、株式市場が反応しています。多くの企業も、何となくほっとした雰囲気を感じておられるのではないでしょうか。

 そう感じながら同時に不安も大きいのです、またいつ円高に戻るかわかあらない。とても手放しで楽観はできない。国際投機資本や格付け会社は、何か不安のたねを探し提供します。そのたびに円は高くなります。

 こんな具合で、日本経済はいつも円高の不安にさらされ、安心して先行きの計画を展望するといった状況にはまだ遠いというのが実感でしょう。

 税・社会保障の一体改革論議が山場を迎えています。実質経済成長率2パーセント、インフレ率1パーセントといった数字が言われえています。
 これまでの数字を見ればこんな結構は数字はありません。これを前提にしていいという事であれば、わが社の経営計画だって、立派なものが出来そうな気がします。

 どういう経済政策が下敷きになっているのかとみると
〇デフレからの脱却を実現するため、政府として強力かつ総合的な政策努力を最大限行うとともに、日本銀行に対しては、引き続き、政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策運営により経済を下支えするよう期待する。これにより、我が国経済を本格的な成長軌道に乗せていく。
と書いてあります。

 「政府として、総合的な政策努力を最大限行う」は解るのですが、問題は、その中身で、何をどう行うかです。

 今までも当然それを行ってきているのでしょうが、今の日本の名目GDPは、1981年と1982年の間、つまり30年前の水準で、1997年の515兆円から470兆円弱に減って来てしまっています。実質では、リーマンショックの落ち込みが顕著です。

 主因は円高でしょう。大震災、タイ洪水も今年度のマイナスになっています。
 具体的な円高対策のない経済計画は、多分空論になるでしょう。


アメリカの景気回復を喜んでいいのか

2012年03月13日 11時59分38秒 | 経済
アメリカの景気回復を喜んでいいのか
 世界情勢は、経済も政治も軍事も種々不安定要因を含みながら何とか安定的解決を求めて綱渡りの状況ですが、日本にとって当面ありがたいことは、円が$1=¥82台まで行き、当面落ち着いているように見えることです。

 ところで、アメリカ経済についても、意見は交錯しているようですが、雇用指数、消費者マインド、住宅着工の一部などに上向きの動きが出て、景気回復への動きを歓迎する意見が見られます。

 今年は選挙の年ですから、いずれにしても、何とか景気上昇は確保したいアメリカの現政権でしょうから、景気は何とか保たせられるという見方は根強いようです。

 これまでも関連したことは何度も書いていますが、現状のような形でも、アメリカの景気回復を歓迎するというのが、今日の経済学なのでしょうか。そして、それでいいのでしょうかという疑問はいつも頭を離れません。

 報道によれば、アメリカの財政赤字は、無理な経済対策のせいで膨らんでいます。もともと双子の赤字の国ですから、おそらくそれは経常収支の赤字幅の拡大につながるはずです。

 当然アメリカはその分を資本収支の黒字で埋めなければなりません。この構図、基軸通貨国の万年赤字という構図は、これまでの世界経済の不安定化をもたらした構図そのものです。

 サブプライム問題以来、アメリカにとって、年々の赤字のファイナンスがますます困難になってきている中で、近い将来、何か深刻な世界経済上の問題が起こることは当然予見されます。

 経済学が、経済活動の安定的な発展をさせるための学問であるとすれば、こうした経済の不安定化を避ける方向を論じすべきでしょう。
 行く先の不安を増幅しつつ、目の前の景気さえ良くなれば、というのは、あまりにも近視眼で、学問と呼ぶに値するのかといった気がします。

 こんなことになったのも、マネー経済学の影響のせいでしょうか。


経常赤字過去最大

2012年03月09日 12時13分50秒 | 経済
経常赤字過去最大
 1月の経常収支が過去最大になったようです。

 「これで日本もアメリカをはじめとした世界主要国の経常赤字グループの仲間に入れえてもらえる」という風に行くかどうか分かりませんが、「日本は、どんなことになっても経常黒字の国だから、何かあったら、一寸、¥に逃避しておけば、差し当たって、それでいいんだよ」式の安易な認識に一石を投じたことになるかどうか、興味津々で見守っているといいうのが、本音の所でしょうか。

 ちょうど、日銀の投じた一石で、円安に振れた後で、またすこし円高に戻すかなといった感じになっていたところでしたが、今日あたりも、$1=¥86半ばあたりで止っているという状態ですから、このニュースは国際投機資本の動きにも何らかのインパクトは与えたのかも知れません。

 来年度の政府経済見通しでは、日本の経常黒字は、今年度実績見込みで9.9兆円、来年度の見込みが12.2兆円のですから、よほどGDPが落ち込むか、国民や政府が本気になって金を使わないと、GDPを使い切って、通年で経常赤などは考えられない、というのが常識的な見方でしょう。
 しかし、何はともあれ、単月でも、突如、過去最大の経常赤字というのはニュース性があります。

 そんな中で、最近の現政権、特に野田総理の発言の中では、「やります、やります、政府が負担しますという発言が良く聞かれます。どんどん金を使い、GDPを使い切ってみせるというのも、一度思い切ってやってみたらいいのではないでしょうか。その分はGDPが増えて、景気が良くなるのですから。

 そしてさらに、それで円高が阻止できれば、日本復活のカギを握る技術開発と製造業のモノづくり能力が、円高に押しつぶされることなく、正常に力を発揮できる環境が、少しは近づいてくる可能性が、出てきます。

 今回の突然の「経常赤字報道」は、政府の発言の仕方、マスコミの報道の仕方も含めて、日本経済の動きに対して、国際資本市場がどう反応するかを読みとるうえで、何らかの参考になりうるはずだと思います。
 そういう意味も含めて、為替の動きを、十分に注意深く観察を続けることが大事なのではないでしょうか。


蓄積社会に必要な金融の安定

2012年03月07日 10時40分02秒 | 経済
蓄積社会に必要な金融の安定
 ここ何回か書いてきたのは、日本人は真面目に貯蓄して、世界にまれな巨大個人金融資産を持つ蓄積社会を築いて来ました。そして、失われた20年と言われるような、成長しない経済に陥っても、未だ蓄積を続け、その成果で、社会の安定も、技術開発の原資も、超高齢化もある程度は支えつもりで頑張っています。

 ところがここにきて、金融がますます不安定になり、蓄積社会に種々の不具合が生じています。積み立てた基金で損失が多発。果てはAIJのような犯罪・・・・・。
 蓄積社会には金融の安定が最も大事なのに、なぜ、一番大事な時に、こんなことになってしまったのか。日本としては、巨大な蓄積を無駄にしないためにも、それを避けることは出来ないのか、という事です。

 国民が蓄積の運用に困っているのは、具体的に言えば、「良い金融商品がない」という事でしょう。確かに、普通預金から国債まで、確定利付き商品はあります。しかし、いずれも金利は殆どつかず、ペイオフの危険性はあります。国債暴落の危険性も言われますが、政府は国債は絶対安全ですとは言ってくれません。

 金融機関が薦めるのは、元本が目減りするものばかり、何とか、利回りが安定したものを探した結果がAIJだった、というのが現実に起きていることなのです。
「安定した利回りなど信じるのが馬鹿だ」と言われて反省したが後の祭り、といった所でしょうか。人気の高い、ブラジルボンドやグローバルソブリンでも多くの人はマイナスでしょう。金融機関が実績のピーク時に営業を強める結果でしょうか。皮肉なことです。

 野田総理が、「安定した社会保障で分厚い中間層を」などと言われるのを聞きましたが、社会保障で中間層が出来るでしょうか。社会保障の財源は消費税です。 結局自分で払って自分で貰うだけ、と解ってしまっています。
 もちろん、金利を引き下げ、ペイオフを導入し、年金積立に確定拠出(給付は不明という意味)を入れたのは自民党政府ですが、民主党になっても何も変わりません。

 せめて、ペイオフはやりません。預金は全額保証します。国債は満期まで持っていれば、必ず満額償還されます。国債暴落でご迷惑をかけるようなことは絶対ありません。ぐらい言って、国民を安心させたらどうでしょか。
 蓄積社会を安定させるには、まず金融の安定です。それが出来ないというのなら、次の「何故」、「なぜ出来ないか。これからが一番必要な時なのに」、を問わねばなりません。


年金基金本来の性格

2012年03月02日 16時40分50秒 | 経済
年金基金本来の性格
 公的年金財政はどこの国でも行きづまり、私的年金の重要性は増しています。

 先進国を中心に、多くの人々が、それに自分の描く良き老後を託そうと思っているのです。公的年金は、財政負担の限界から賦課方式が主流とならざるを得ないのかもしれませんが、企業年金などは当然積み立て方式です。積み立てられる額は今後もまだまだ増えていくのではないでしょうか。

 例えば、サラリーマンの貯蓄動機を考えてみましょう。財形貯蓄などを例にとれば明らかですが、大きなものは、子供の教育資金、住宅取得資金、そして最終的には老後のための貯蓄です。もちろん老後資金が最大でしょう。

 この貯蓄は大きく2つの意味を持つ、あるいは2つの役割を果たさなければならない、という事になるのでしょう。
 1つは、積み立てた本人の老後生活の安定、当然これが第一でしょう。そしてもう1つは、こうして積み立てられる巨大な基金を、社会の発展を支える投資活動の原資に適切に回していく役割です。これこそが金融機関そして監督官庁、政治家の役割です。

 豊かで安定した高齢化社会実現のためには、この2つが巧く噛み合って、出来るだけ効率的に組織化され、積み立てられた資金が、適切な収益を生むという成果を上げていくことが大事ではないでしょうか。
 
 個人にとって年金計画は生涯計画です。当然、年金基金は長期の投資に最も適したものです。
 そうした性格の資本が、どういうわけか、キャピタルゲインを目指した短期投資で鎬を削っているのです。本来なら、年金運用は元本を保証しない投資信託ではなく確定利付きの金銭信託でよいのが年金基金といった感じでしょう。

 それがいつからか、投資信託になり、ハイリスクハイリターンのファンドに任され、果ては、確定給付から確定拠出になっていったのです。

 これはどういうことしょうか。「ゼロ金利になったからだ」という答えもありそうです。時価会計で穴が開いたからだ」という答えもありそうです。「デフレのせいだ」という答えもあるでしょう。
 QCではありませんが、「なぜ」「なぜ」・・と5回、原因にさかのぼって、真因にたどり着く必要がありそうです。日本のアナリストや官庁の役人、今の政治家に、それが出来るでしょうか? しかし。根本原因を直さなければ、これは直りません。