tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

現実知らずの思い込み、働き方改革

2018年03月31日 22時04分02秒 | 労働
現実知らずの思い込み、働き方改革
 絶対多数で「働き方改革」も押し通すというのでしょう。与党は早くそちらに行きたいようです。
 労働時間短縮には私も基本的には賛成です。ただし短ければいいというものではありません。人は仕事をすることによって育成され成長します。法律では残業時間の上限や、インターバル性を定め、あとは企業の人事労務管理に任せればいいと考えます。

 問題は、労働移動の促進、特に大きな問題は同一労働・同一賃金です。
基本論から言えば、「雇用」と言えば皆同じと思うのかもしれませんが、「雇用の在り方」には、大きく2種類あります。

 これは企業(あるいは組織)というものの在り方と結びついたものですが、
① 欧米流:企業は職務の集積体である:職務中心主義、
② 日本流:企業は人間集団である:人間中心主義、
という事になるでしょう。
欧米流では、例えば、研磨工が足りなければ、適切な技能レベルの研磨工を募集して採用します。賃金は職務給で決まっています。中間管理職が辞めれば、経験のある中間管理職を募集、採用します。職務給です。時には社長も募集します。「年収いくらいくらで社長募集」とへッドハンティング会社に頼んで探してもらいます。

 職務があって、人がいないから、その職務が出来る人を採用するのです。職務給が当たり前です。職務給は業界や地域でマーケットが出来ていて、その情報は行き渡っていますから、基本的に同一労働同一賃金です。     
賃金にプラスαがあるとすれば、「job and performance」のパフォーマンスの方でプラス分が査定されるでしょう。

日本流では、採用するときは配属は決まっていません。新卒一括採用です。仕事にはみんな素人で、入社が決まれば、会社とは、仕事とは何かなどとオリエンテーションを受け、OJTで先輩から仕事を教わり、だんだん1人前になっていきます。

管理職も、経営者も、基本的に内部昇進で、無暗に外部採用などすると、内部のモラールが落ちて企業のマイナスになります。
賃金、つまり初任給は新卒マーケットで決まります。初任給は低く、仕事に習熟するにしたがって上がっていきます。職能資格給が一般的です。同じ仕事をしていても、1年先輩の方が高いのが普通です。これが本来の日本企業の賃金制度です。

 こうした日本の企業にも、この所、欧米流の従業員が増えてきました。パート、アルバイト等の非正規従業員です。
 もともとは会社に縛られる正社員にはなりたくなく、自分の都合を重視し、働きたいときに働いて、それなりの収入を得たいと考える人達で、家計の責任者ではない人達です。(ただし現状は、正規で働きたいが正規になれない多くの非正規従業員がいます。これは問題です。)

 そして、非正規の人たちは、企業が、「これこれの職務の人募集」という求人広告業を見て職探しをし、賃金の相場は業種・職種や働く時間帯などで、業種や地域のマーケットで決まっています。これはすでに同一労働同一賃金の世界です

 というわけで、日本では今、伝統的な新卒一括採用という人間集団としての企業を担う従業員(正規従業員)と特定の職務遂行のために雇用された欧米型の従業員(非正規従業員)が併存しているのです。

 長くなるので後は次回にしますが、こうした現状の中で、「同一労働・同一賃金」の意味する所は何で、何を目指して安倍政権は「同一労働同一賃金」をやろうとしているのか、
合理的な説明のできる人は恐らくいないのではないでしょうか。

絶対多数の怖さ、国家予算も、働き方改革も

2018年03月30日 11時17分13秒 | 政治
絶対多数の怖さ、国家予算も、働き方改革も
 2月28日に衆院を通過した平成30年度国家予算が成立の運びとなりました。安倍総理は早く成立させ早く執行することが最大の景気対策と言っています。

 国債依存度は前年度比微減ですが、規模は史上最大、その中身には、北朝鮮有事、安倍総理の言う国難を想定したイージス・アショアの調査費や戦闘機の購入代も入っているようです。その北朝鮮情勢は新展開を見せていますが、この所、国会での議論は森友問題一色で、国民の納得するような状況には至っていません。

 与党は、これから働き方改革の成立という運びにするようですが、「絶対多数」を握る与党には何でもできるようです。与党サイドはこれでモリカケ問題は幕引きと考えているのでしょう。新しい問題が多いから、早くそうしたいという事のようです。

 先の総選挙で、過半数が取れればと言っていた安倍政権ですが、案に相違して、与党で絶対多数が実現しました。
 現在は多くの世論調査で30%台に急落している政権の支持率ですが、安倍総理は、さきの選挙で国民の負託を得ていますからと胸を張っています。

 安倍政権になって、数を頼んで、怒号の中で議事録も正確に取れずに採決がなされるなど、いわゆる強行採決が重なっています。安倍総理は「強行採決」などは考えたこともしたこともないと言います。

 民主主義政治というのは一体何でしょうか。絶対多数を取れば何でもできるのでしょうか。それを阻止するために解散総選挙に持ち込んでも、また前回のように、思いがけず与党で絶対多数が取れてしまった、という事もあるのです。

 与党が得票したのですから、与党が悪いというわけにはいかないでしょう。では国民が間違ったのかといえば、投票する多くの国民は与党が絶対多数を取るとは思っていないのかもしれません。
 世論調査でいつも言われるように、「他の政権よりよさそうだから」という事で投票した結果でしょう。

 では野党がだらしないのかといえば、そうかもしれませんが、野党も国民の適切な意思表示と支持で育てられるのでしょう。それではやっぱり国民の意思表示と判断が最も重要という事になるのでしょうか。

 理屈はいろいろあるでしょうが、矢張り絶対多数には問題があるようです。絶対多数を取れば何でもできるという事になれば、取った瞬間に独裁すら可能になりそうです。

 ナチスの故事を引くのは適切でないのかもしれませんが、現状の支持率30%台に低下した政権が、絶対多数を盾に、「国民の負託を受けた」と開き直る現状をどう理解したらいいのでしょうか。
与党、野党、そして究極の主人公である国民はどう考えていったらいいのでしょうか。

北朝鮮問題、解決本格化か

2018年03月29日 11時00分19秒 | 国際関係
北朝鮮問題、解決本格化か
 金正恩氏の電撃訪中が報道されました。映像から見れば、習主席は「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」を思わせるような様子で迎えました。

 北朝鮮に帰りつくまで隠密行動でしたが、金正恩氏にしてみても、この間まで悪口を言っていた相手です、命運を賭けた行動だったのかもしれません。

 「結果良ければすべて良し」ではありませんが、その席で、非核化への道筋も示し、対韓、対米会談へのレールも何とか敷けたという所でしょうか。
 極東における癌とも見られた北朝鮮の、こうした変貌が現実になれば、極東の安定だけでなく、世界各地の紛争にも、何らかの影響がありうるかもしれません。

 このブログでも去る3月7日[ 南北対話の進展」に期待したわけですが、その折、金正恩氏も『強兵』より『富国』がいいと気づくことがあればと書きました。

 金正恩氏もサンクション(制裁)の徹底でそこへ追い込まれたのか(アメリカの視点)、核とミサイルで、対米対抗能力ができ、北朝鮮の力、自らの統治能力に自信を持ち、転換は可能と自身が考えたのか、その両方か、心の内は解りませんが、この変化は単なるゼスチャーではないように感じられます。

 いずれにしても、5月の米朝会談の結果いかんで方向は決まって来るのでしょうが、平穏と平和の方向で物事が進展することを世界は望んでいるのでしょう。

 微妙な問題ですから、あからさまに取り上げているのはあまり見られませんが、金正恩氏の、ある意味では最大の望みは(わが身の安泰も含めて)「金王朝」の存続でしょう。尊敬し、敬愛する金日成、金正日という祖父と父、そして三代目の自分自身の時代に、アメリカに対抗できる国に作り上げ、極東の孤児から世界に認められる国となったといった自意識は強いでしょう。

 問題は沢山あります。数多の脱北者という現実が示しますように、極貧の国内には問題も多いでしょう。粛清と独裁によるガバナンスが今後も維持できるかはこれも賭けかもしれません。

 米朝、中朝、南北の国際問題の軋轢は安定化、正常化に向かうかもしれません。しかし、金正恩氏にとっては、これからの国内問題はさらに重要でしょう。予断は許されないのではないでしょうか。

 近隣国としての日本、拉致問題を抱え、それも今はアメリカ頼みの日本です。これからの展開をどう見、どう処するか、(蚊帳の外などといわれていますが)これからが日本の外交力の問われる所のようです。

公示地価上昇、一部にバブルも?

2018年03月28日 09時42分41秒 | 経済
公示地価上昇、一部にバブルも?
 昨日、国土交通省から2018年1月1日現在の公示地価が発表になりました。
 バブル崩壊以来ずっと低迷してきた地価が、この3年じりじりと上昇に転じたようです。

 背景には、長期不況を脱した日本経済が回復基調を明確にしてきているといった基本的事情があることは当然ですが、それに加えて、異次元金融緩和の副作用、さらに、一部地域においては、訪日外国人の増加でホテル需要、高級別荘需要などが急増など、バブルに近いような値上がりも起きているようです。

 全国平均の地価は2018年1月1日現在、全国平均で、0.7%、内訳は住宅地0.3%、商用地1.9%です。
上昇を先導する3大都市圏(東京、大阪、名古屋)の地価は、1.5%の上昇、住宅地0.7%、商用地3.9%です。
東京圏は1.7%の上昇で、住宅地1.0%、商用地3.7%になっています。
 大阪圏は、1.1%の上昇ですが、人口減少が言われるせいか、住宅地は0.1%の上昇ですがが、商用地が東京圏より高い4.7%です。
 名古屋圏は、1.4%の上昇で、住宅地0.8%、商用地3.3%です。

 地価の上昇には大きく2つの見方があって、1つは、土地というのは、人間の生活の基盤(人間はその上で生活しています)で、生活に必須ですから、そういうものを投機の対象にしたりするのは良くないというものです。
 もう1つは、地価が上がれば必ず景気は良くなるから、経済的には地価の上昇は歓迎すべきものといったものです。

 どちらに与するかは別として、平均的な家計の収入や支出と似た水準の動きであれば、それは正常といえるというのが判断の基準ででしょうか。
 現状では、一部に投機的な動きがあるようではありますが、平均的には一部市街地などを除いて概ね正常の範囲にあるのでしょうか。

 しかし、かつての土地バブル、地価神話とその崩壊で苦労した日本経済、日本人としては、地価の動きには十分留意する必要があるように思います。
大阪の商用地の1年で4.7%上昇というのも、大阪の産業活動の実態と比べてどうなのでしょうか。

 報道によれば、海外からのスキー客などの増加で、北海道倶知安町では昨年比35.6%という全国一の上昇率の所もあるそうで、札幌でも24.7%上昇の所があるそうです。
 外国の高所得者の感覚の土地住宅価格が日本に入ってくるという事でしょうが、今様租界現象とも言えそうです。
かつてバブル期に、銀行の店舗が出来るとその近隣の地価が上がるなどといわれましたが、その背後にも超金融緩和があったようです。
 地価問題については、今後もよく見ていく必要があるようです。

アメリカの本音は? ダウ平均急騰

2018年03月27日 21時48分10秒 | 国際関係
アメリカの本音は? ダウ平均急騰
 今日の佐川さんの証人喚問は、何も新しいものはありませんで、これで収まればいいのか、こんなことで収まってしまっていいのか、立場によって様々な見方があるでしょうが、結局は、問題の解決が先送りされたのだということだけは理解出来ました。

 先送りが得意の現政権ですから、それでいいのかもしれませんが、その話はそれとして、昨日はNYダウ平均は669ドルの急反発。今日の東京市場も、それに倣って551円の上げとなりました。

 主な理由はといえば、中国からの鉄鋼・アルミに高関税をかけるというトランプ政権の方針に、中国が報復の辞さないといったことで下げたわけですから、今度はムニューシン財務長官が「貿易戦争は辞さないが、もう少しいい方法もあるのではないか」といったような示唆をしたという事で、マーケットが安心したという事だそうです。

 日本にとっては直接のプラスは何もありませんで、円レートは相変わらず105円台ですが、東京市場は、ダウ平均に倣って上げているという事でしょうか。
 まあ下がるよりは上がる方がいいのかもしれませんが、政局混迷も経済には関係ないという事なのでしょう。

 しかし、本当に安心できるのかというと、やっぱりアメリカの本音、強いドルと言いながら、選別してドル安にするような政策が選択されているという従来からの手法に変化はなく、日本にとっては(アメリカの望む)2国間交渉がこれからの問題なのでしょう。

 本当は、アメリカも保護主義は自国経済を弱くするということは知っていて、中間選挙も有之、いろいろとゼスチャーをやって支持層に見せているというように考えたほうがいいのかもしれません。

 トランプさんも支持層に対しては義理堅い人だな、などと感心したりするのですが、矢張り、世界のリーダー、覇権国、基軸通貨国のアメリカの大統領ですから、支持層のいう事をすべて聞くわけにもいかないのは当然かもしれません。

 ドル政策と同じように、先ずは「旗印」は高く掲げるのですが、その先の落としどころもそれなりに探っているという(ビジネス上もそうなのでしょうが)なかなかの業師の面も持ち合わせているのでしょうか。

 対北朝鮮の問題も、虚々実々の「口頭戦術」の裏に何があるのか、今日も中朝関係の新しい展開があったようですが、こうした動きが、徐々にでも人類の平穏・平和裏の発展につながるような方向を見せてくれるのであれば、ダウ平均や、日経平均の上昇も、素直に喜べるところです。 しかし、現状はボラティリティー優先のマーケット・ストラレジーがメインの要因のようです。
 
 マーケットは先読みすると言われますが、結局は政治・経済の現実を反映したものにならざるを得ないものなのでしょう。
っそうした意味では、現実世界のより良い進展を願うばかりです。

国会の議論の矮小化の責任は誰に?

2018年03月26日 21時46分29秒 | 政治
国会の議論の矮小化の責任は誰に?
 昨年春から、テレビの国会中継を見れば、森友、加計、森友、加計、そして今また森友です。

 日本の進む道、日本経済・社会の行く先を議論すべき国会の場で、特定の個人の経営する学校に流れた政府のカネをめぐって、本当はもっと、もっと大きな、大事な議論をすべき国会の時間が費やされている現実を見て、やりきれない気持ちになる人は多いでしょう。

 勿論、こうした問題が起きてしまったからには、きちんと決着をつけなければ、誰も納得しないことは当然です。

しかし、突き詰めていけば、今起きている問題自体もさることながら、こんな問題がなぜ起きてしまったのか、という事、つまりこんな(馬鹿馬鹿しいと言っては語弊があるかもしれませんが)与党と野党と官僚が泥仕合まがいの事をやるような事態がなぜ起きてしまったのかという所に基本的な原因にあるような気がしています。

 与党も野党も政府も、国民が、どこからどう見ても納得する、確かに国民のために真剣に取り組んでいてくれる、と感じるようなことをしてくれていれば、それぞれに多少の意見の違いはあっても、「まさしき願いにいさかうとも、銀河の彼方に共に笑い」(宮沢賢治『ポラーノの広場』)という気持ちで、気持ちよく国会中継を見ることが出来るでしょう。

 そういう意味では国を動かす重要な役来を担う政治家や政府・官僚は、最低限その役割にある間はいやしくも疑いを掛けられるような事はしない。という気持ちでないといけないのでしょう。

 そうした人間の取るべき行動の在り方を古人の知恵として伝えているのが「 李下に冠を正さず、瓜田に靴を入れず」という事ではないでしょうか。
 この本来の意味は「たとえ罪を犯していなくても、犯したと言われるようなことになった自分に責任がある」という事です。

 勿論それは理想論で、そこまで考えたら何もできないという意見もあるでしょう。しかし西洋にも「ノブレス・オブリージュ」という言葉があります。
 世の中で重要な地位にある人ほど、自分の行動に気をつけなければいけないという「人間として心すべき考え方」がその底にあるのでしょう。

 明日の証人喚問で何が出てくるのかは解りませんが、重要なポストにある人々は、法律ギリギリではなく、そのずっと手前、「人の道」あたりできっちりと行動を律してほしいものです。

「信」の大切さ:憲法第9条

2018年03月25日 11時11分42秒 | 政治
「信」の大切さ:憲法第9条
 憲法第9条といえば「戦争の放棄」を謳った日本国憲法の第9条と読み取って頂くが一般的というのが今の情勢ですが、ここでの第9条は、日本国憲法ではなく、聖徳太子の掲げられた「17条の憲法」の第9条です。

 「和を以て貴しと為す」の第1条で有名な「17条の憲法」ですが、これは、聖徳太子が、政治家や官僚に是非守って欲しいと考えられたことを17条にまとめたものと理解しています。

このブログでは、以前、 第3条 、 第17条 などを引いたことがあります。
 今回は第9条ですが、これは
「信是義本」で、「信はこれ義の本なり」という事でしょう。

 「信」は「まこと」で、真心、正しいことを信じる心という事でしょうか。「まごころ」を持つことが「義(正義)」の根本だと言っているのでしょう。
 そしてそのあとに、「群臣(役人)」に信があれば物事は成るでしょう、無ければ何事も失敗でしょう」という文章が続いています。

 技術は進歩しても、ホモサピエンスの脳は、千数百年前と基本的は変わっていないのでしょう。昔の言葉が、現代でもそのまま通用するようです。

 来週はいよいよ佐川さんの証人喚問があり、そこで政治家と官僚のバトルがあるのでしょうか。

 「日本国憲法」の第9条を議論する前に、「17条の憲法」の第9条を、もう一度よく検討して頂きたいような気がします。

諺から現実を見れば

2018年03月24日 11時19分54秒 | 社会
諺から現実を見れば
 前回、世界のいろいろな場面で起きている困った事柄について、いったいどっちに転ぶのだろうという心配について書きました。

 現実に世の中は、何時もまともな方に物事が動くわけではありません。だから紆余曲折などという言葉もあるのでしょう。

 昔からいろいろな人が多くの経験から言い慣わしてきた言葉が諺になっているのでしょうが、その知恵をお借りしようと、諺を引いてみました。

 「無理が通れば道理引っ込む」というのがあります。
 やっぱり、昔から、「無理が通る」ことはよくあるのでしょう。そうすると「道理」は引っ込むのです。
 それでは無理と非道の世の中になってしまうのかというと、長い目で見れば、引っ込んだはずの道理が、確りと復元するから、この諺が言い継がれるのでしょう。

 「負けるが勝ち」というのもあります。上と似たような状況をとらえて、その先の顛末まで見通しているわけで、無理を言われて徹底抗うよりも、当面負けておけば、結局はその方が勝ちという事になりますよ、という処世の術を言っているのでしょう。

 正義感の貫徹という視点から言えば、「無理は通すべきではない」という事になるのでしょう。欧米や中国ではこうした柔らかな対応策は多分受け入れられないのでしょう。
しかし、そこで対立抗争してこじれた場合と、時の流れと自然法則の合理性を信頼して、当面我慢するという日本的なものとの違いも見える気がします。

 トランプさんの関税問題では、米国内でも「経済合理性に反する、経済的にもマイナス」といった意見もあるようですが、恐らく高関税導入でアメリカの競争力が復活することはないでしょう。

 「負けるが勝ち」という面から言えば、日本は高関税適用国という事態に対して、日本の当該産業は多分、より高度な技術革新に励むでしょう。高関税で守られたアメリカの鉄鋼業は弱くなり、日本は超ハイテン鋼などで、一層の進化が進めば、その行く先は明らかなような気もします。やはり「負けるが勝ち」という事になりそうです。

 ただ、プラザ合意による円高の様に、我慢と努力の期間が長すぎたりすると、負担が大き過ぎることは当然考えられます。
 諺は物事を巧みに言い当てるものだと思います。 一方、現実は極めて多様です。しかし、やっぱり何らかの役には立ちそうな気もします。

歴史が変わるか、決着はいずれに?

2018年03月23日 10時19分41秒 | 国際政治
歴史が変わるか、決着はいずれに?
 国際から国内まで、歴史の転換点のような問題が、一度に纏めて起きてきているような気がしています。
 しかも、その何らかの答えは早晩出るだろうと予測されるのですから、ここ数日から数ヶ月でしょうか、気持ちの安らぐ暇はなさそうです。

 国際という場から見れば、先ずは米朝関係でしょう。トランプ大統領と金正恩委員長の会談の結果はどうなるのでしょうか。核拡散の動きも含めて、これは世界の今後を占う試金石?でしょう。
 結果次第で世界が喜ぶのか、嘆息に沈むのか、良いか悪いか、いずれにしても世界史の転換点になるのかもしれません。

 トランプ大統領の、保護貿易容認の姿勢はどうなるのでしょうか。
 戦後一貫して走り続けてきた、アメリカ主導の自由貿易路線が、保護貿易容認、貿易戦争の時代に逆戻りするのか、それとも、矢張り自由貿易が基本というこれまでの路線に戻りつくのか、今回のG20を見ても判然としません。

 アメリカ自身は、対中国で、知的財産権問題もからめ通商法301条で関税等の制裁措置発動を決め、中国は当然反発、断固反対、報復措置も辞せずの姿勢です。対日政策もはっきりしませんが、これが、貿易戦争に発展するのか、日々、各国の動静から目が離せません。

 一方、中国は、基本的には自由貿易を望むとしていますが、南シナ海では仲裁裁判所の裁定を紙屑といった国ですし、知的財産権などではまだまだ遅れた国です。習主席は永久政権を決めましたが、当面、これが何を意味するかに注目が必要でしょう。

プーチンさんが史上最高の得票率でロシアの大統領に選ばれました。クリミヤ併合も、ロシアではやはり圧倒的に支持されていのでしょう。
 今後ロシアでは、プーチン大統領の個性が強く打ち出される可能性は高いでしょう。旧スパイ問題での英国との対立、アメリカとはトランプ大統領とのロシア疑惑など、何か冷戦時代に逆戻りなどと危惧する見方もあるようです。

 そして国内で見れば、安倍政権の行く方や如何です。現状では、経済政策は先延ばしか放置、支持率急低下の中で、改憲問題を何とか進めようといったところで、与党内部すらゴタゴタ続きです。
 しかし、これも、何時までも続けるわけにはいかないので、どこかで何らかの決着を見るのでしょうが、決着後の政局はまた極めて不透明でしょう。

 せめて民間企業活動の元気な状況に期待したのですが、これも、日本自体の政局、経済政策、そして、アメリカの経済通商政策の影響を大良く受けることは必定です。

 矢張り、今年は、世界も日本も、折角出来つつあった環境条件の改善を、自らの手で壊しながら、先の見えない世の中に無理やり進めているような気がしてなりません。これらがなんとか平穏・平和裡にまともな方向に進んでくれれば、世界も日本も、みんな喜べるのでしょうが。

まさに「早春賦」を思い出させる空模様

2018年03月22日 10時07分15秒 | 社会
まさに「早春賦」を思い出させる空模様
 昨日は彼岸の中日、春分の日、春たけなわのはずですが、朝からみぞれ模様、そのうちに、みぞれは雪に変わりこのまま冷え込めば道路にも雪が積もりそうな寒い日でした。

車で外に出る用事があって、スタッドレスではないので、雪が道路に積もらない内に帰ってこようと早めに出たところその後雨になって一安心でした。

「春は名のみの風の寒さや」などと車の中で歌っていました。
旧鉄道学園、今、国分寺公園の桜の蕾はピンクに色づいているのに、それに大きな雪のフレークが風と共に斜めに降りかかっていました。

2番の「氷とけさり葦は角ぐむ」ですが、これはもうすぐお花見の時期なのにと驚きながら「さては時ぞと思うあやにく」という心持で、
「今日も昨日も雪のそ~らぁ」と歌って、これは「今日も昨日も」ではなくて「今日もあした」もだななどと考えていました。

 さて、3番に来ますと、「春と聞かねば知らでありしを、聞けばせかるる胸の思いを」と来て、またいつもの悪い癖が出てしまいました。

 そういえば、安倍政権は2020年にはGDPを600兆円にして、財政のプライマリー・バランスも回復する、インフレは2年で2%にするというのだから、ゼロ金利時代はすぐに終わって、銀行預金に利息が付くようになるなどと期待していたはずでしたが、
 「公約聞かねば知らでありしを、 聞けば急かるる胸の思いを」・・・

 「早春賦」に例えれば、立派な公約を聞いて、「これならば」と期待してしまったのがいけなかったという事のようです。

 結局は、みんな先延ばしになって、何時になったら日本経済・社会に本当の春が来るのか、あんな公約を聞いてしまったからには、早く何とかならないかと、まさに「聞けば急かるる胸の思い」に、待っても来ない春にしびれを切らす、という構図が現状か、などと考えながら、漸く目的地に着きました。

 幸い、駐車場には空きがあって、用事は順調に済みましたが、お天気と政治には、往々裏切られて、落胆するのがつきものなのでしょうか。

政治家と官僚:望ましい関係とは?

2018年03月21日 09時59分13秒 | 政治
政治家と官僚:望ましい関係とは?
 日経産業新聞に、毎週金曜日でしたか「田中角栄のふろしき」というタイトルで、「小長秘書官の証言」という大きなコラムが載ります。

 小長啓一氏は通産省から田中角栄の秘書官になり、後に通産省事務次官、アラビア石油社長を務められた方です。
 この囲みを読んでいますと、田中角栄の凄さ、小長氏の記憶の素晴らしさ、などなど驚くことがいっぱいですが、こういうのが政治家と官僚のあるべき関係の姿ではないかと、つくづく感じるところがあります。

 政治家は、その人間性、大局観、洞察力、自信といった素晴らしい資質で物事を判断し、官僚は、政治家の人間としての大きさ、傑出した洞察力や判断力に感銘し敬意を払いながら、政治家の行動の細部をきちんと詰めていくのです。

 政治家と官僚は役割が違います。だから選び方、選ばれ方も違いますし、やるべきことも違います。
 しかし、政治家だけで物事は進みませんし、官僚がいて政治家の仕事は進んでいくのでしょう。
 つまり、政治家と官僚がうまく組み合わされて、国という組織の運営が、初めて可能になるのでしょう。

 しかし、政治家は政策の基本や方針といった大きな視点が中心ですから、具体的な政策の勧め方、行動のとり方などの細部の判断は官僚の仕事ですし、そうした点で問題があれば、率直に政治家に話して理解してもらうことが必要でしょう。

 そんなことに今頃気が付いたのかといわれそうですが、この所のニュースなどを見ていますと、どうも今の政権ではこの関係がかなり歪んでしまっているように見えるからです。

 官僚は、実際の政策遂行過程でも問題点を率直に政治家に相談せず、いわゆる「忖度」で物事を済まそうとし、その結果問題が発生すれば、今度は、政治家が官僚の誤りによるものと決めつけるといった、政治家と官僚の泥仕合のような様相すら見えます。

 与党の政治家が、官僚を犯罪者の様に決めつけようとする発言をするような場面さえ見られますが、国民からすれば、これは「政治家と官僚の関係」からすれば、最悪の状態ではないかと感じてしまいます。

 ここまで来たという事は、すでに日本の統治機構は破綻しているのではないか、その修復は容易でないと感じて、前途に暗澹たる気持ちを禁じえない方も多いのではないでしょうか。 こんなことで、まともなに国の運営が進むのでしょうか。

不安定化する国際政治・経済情勢の行方は?

2018年03月20日 09時59分12秒 | 国際関係
不安定化する国際政治・経済情勢の行方は?
 gooからのメールで「1年前の記事」を見ましたら、このブログで、G20でトランプ政権の影響が出て、例年の常套句になっていた「 保護主義に対抗 」という言葉がなくなったことを書いていました。

 思い出して見れば、トランプ政権は、アメリカが万年赤字なのは、アメリカが悪いのではなく、世界中がアメリカに輸出して儲けているからで、アメリカは、ずっとそれを買ってやって来たからだと最初から主張している様です。

 そして、それから1年たって、トランプ政権は鉄鋼、アルミの輸入に大幅な関税をかけるという形で、アメリカ産業保護の具体的政策を打ち出すことになりました。
 G20で「保護主義に対抗」を削った具体的な結果が1年たって明確に出てきたという事なのでしょう。

 トランプさんはもともと不動産業の人ですから、製造業などの国際競争力といった問題にはあまり関心が無く、日本でアメ車が売れないのは、アメリカの車がカッコ悪く、ガソリンがぶ飲みで、とても日本人が買う気にはならないといったことにはご理解が無く、(関税はすでにゼロですから)さまざまな非関税障壁のせいだとお考えなのでしょう。

 ま、それでは、自動車は買わなくても、イージスアショアや戦闘機を沢山買えばいいという事のようでもありますが、これは、経済行為ではなく政治の問題ですから、矢張り経済問題を政治で解決しようというのは理不尽なのでしょう。

 日本がイージスアショアを買えば、ロシアが日ロ関係上懸念ありと言いますから、日本は板挟みですが、そのロシアは国後、択捉の北方領土に軍事施設を作るわけですから、大国はみんな自分勝手を平気で通そうとするのでしょうか。

 だからといって、それでは日本も軍事大国になりますかといえば、太平洋戦争までの日本の在り方を反省し、憲法第9条を掲げる日本が、急に軍事大国路線をとるなど国民は考えもしないでしょうし、安倍さんも、当面はそこまで考えてはいないでしょう。

 軍事は経済合理性とは全く関係ないところで動きますから、戦争になったらすべては非合理なことばかりになります。
 しかし政治は、平和を前提にする限り、やはり経済合理性の中で考えなければならない面が大きいはずですから、経済合理性に反するトランプさんの保護主義政策には限界があるでしょう。

 政治が経済から離れて、本気で戦争をやろうというのなら経済合理性などは消し飛びますが、今、世界の大国が本当に戦争をやろうとは恐らく考えないでしょうから、矢張り、最後には経済合理性が問題解決の方向を示してくれるのでしょう。

 そう考えたいし、多分そうなるのだろうと思えば、あまり感情的(勘定的)な対立がひどくならないうちに、問題をまともな方向へ引き戻すべきなのでしょう。
 今回のG20はそうした方向へ向けてのチャンスでもありますが、財務大臣は代理で済ます状態です。何とか、少しでも、日本として前向きの貢献をしていただきたいと願っています。

多様な技術革新の時代、広がる日本人の得意技

2018年03月19日 12時20分55秒 | 科学技術
多様な技術革新の時代、広がる日本人の得意技
 経済・社会の発展に技術革新:イノべーションは欠かせません、これまでもそうでしたが、これからは益々多様な分野でイノべーションの重要性は高まるでしょう。

 自動車はハイブリッドかEVか、さらには燃料電池車か、各国、各社がしのぎを削っていますし、その中で、やっぱり重要になるのは蓄電技術だという事になりますから、蓄電に関わる多様な技術が急速に進化しています。

 こうした面でも日本は日本らしい地道な頑張りを見せて着実にトップグループを走っていますが、最近の報道の中で、こんなのもあります。
一度絶滅が言われた小笠原のアホウドリの復活作戦の成功が世界でも評価されているというのです。これなどは特に「日本らしい」という意味で、注目すべきでしょう。

 絶滅宣言後、偶々、鳥島で発見された10数羽のアホウドリを本物そっくりのデコイ(模型)と繁殖期の鳴き声の録音放送で、で安全地帯に誘致、さらに小笠原の聟島への移送にも成功、すでに数千羽までの繁殖に成功したとのことです。まだ安心できないと山階鳥類研究所は真剣な取り組みを続けているとのことです。こうした対生物の分野では、特に日本人の自然との関わりにおける感覚の鋭さ、緻密さ、勤勉さなどが生きているようです。

 この実績に注目、海外からも実習に来るといった動きもあるようですが、こうした、対生物の分野では、世界に先駆けているものに近畿大学で成功している「クロマグロの完全養殖」もあります。
 すでに完全養殖のクロマグロが私共の食卓に上ってきているとの報道も、過日ありました。

 これらは動物の例ですが、植物の例でも数多くの、海外が注目する事例があります。人工栽培のキノコはスーパーに並んでいますが、レタスをはじめ多くの野菜が、徹底した人工制御のオートメ化で、100%クリーンな形で工場生産されるようになっています。
 この技術は中近東諸国などでは、最も興味を持つもののようです。

 更に最近、また少し違った分野での、優れた技術が世界で評判になっています。日本製ウィスキーが世界で評判になっているのです。それも、サントリー、ニッカといった日本での有名ブランドとともに、殆どの日本人も知らなかった埼玉県の秩父蒸留所のウィスキーが世界で注目されています。
日本産ワインも、近年俄然世界の注目度が上がっているようです。勿論日本酒の輸出も好調のようです 

かつての、ジョニ黒から始まった舶来ウィスキー崇拝、ワインはフランスといった信仰(今でもボジョレ・ヌーボーの輸入量は日本が最大のようですが)は薄れて、逆に、これからは、こうしたいわば本場の人たちが、日本産を追い求める時代になったのでしょうか。

 さらには、つい昨日でしたでしょうか、日本の野菜の味の良さが注目され、日本の野菜の種子のビジネスを三井物産が種子企業2社と組んで始めるといった報道もありました。もちろんF1(一代雑種)の種子という事です。

これから、日本のイノベーションも、種々の思いがけないような分野で進むのではないかとなどと予想し、(聞くだけで食欲が減退するようなニュースが多い中で)些か楽しくなったりしている自分を発見して、それとなく意を強くしたりしています。

春たけなわ、リュウキンカ1週間後

2018年03月18日 10時14分15秒 | 環境
春たけなわ、リュウキンカ1週間後



 先週日曜日、咲き始めた、我が家の庭の片隅のリュウキンカ(立金花)を 紹介申し上げました。
 「満開になったらまた」と添えておきましたが、その後日を追って咲く花の数が多くなり、1週間たったらこんなに賑やかになりました。

 自然の素晴らしく元気な、日々成長する姿を眺めながら、少しは、この元気にあやかりたいななどと感じたりしています。
 
 今日も好天です。政治の世界の喧噪に心穏やかでないこの所の日々ですが、春たけなわの日曜日、今日1日ぐらい、元気に心地よく過ごしたいと思っています。

強いられる円高に要注意

2018年03月17日 06時47分05秒 | 国際経済
強いられる円高に要注意
 1月の25日に「 微妙に変化する?アメリカのドル政策 」を書きました。
 トランプさんが「ドルは高すぎる」といい「ムニューシン財務長官」がダボス会議でドル安容認の発言をしたといったニュースが流れたからです。

 そのあとすぐにトランプ政権は、矢張りドルは強くあるべきだという伝統的な主張に切り替えたようですが、そこのは「長期的には」という形容詞が入っていました。
 そして現実のドルの動きは、その後、1$=105円台と106円台を行き来するような円高定着傾向という事になっています。

 マスコミは、鉄鋼アルミの関税問題が、アメリカ経済の足を引っ張るとの思惑でドルが売られ・・・、などといっている様ですが、どうも、基本的にはアメリカ自体が「ドル安」指向になってきているように感じるのは私だけでしょうか。

 これから、中国、韓国、日本などに対して、貿易交渉を本格化するというようなことになりそうですが、国際投資資本を援軍に付けて、ドル安圧力も併せて、交渉に臨むこともアメリカには可能なのかもしれません。

 一時の$1=¥120からみれば15円の円高、最近で見ても5円の円高です。円高は日本の物価には強力な引き下げ圧力ですから、いくら日銀が2%インフレといっても、5%近い円高ドル安で、そんな願望は消し飛ぶことになります。

 こんな大事な時に麻生財務大臣はG20を欠席です。理由は「森友」という極めて低次元の問題ですから、何か日本の政治に虚しさを感じてしまいます。

 2月20日に 政府が円レートについて如何なる姿勢を持っているのか と問いました。
プラザ合意やリーマンショックを顧みれば明らかですが、現状の日本経済にとっては5円10円の円高でも、経済成長路線、財政再建計画に致命的な影響を及ぼす可能性は大です。

 低次元の行政の問題で、国民の不信感を増幅するだけではなく、国際経済関係で見れば、まさにこれこそ国難にも関わるような重要な国際会議に財務大臣が欠席では、安倍政権は、本気で国のため、国民のための政治をしているのかと問いたくなる人も少なくないでしょう。
 
 日本経済は、まさに国民の真面目さが支えているとつくづく実感するこの頃です。政府は、少なくとも国民の真面目な努力の邪魔はしないでほしいと思ってしまいます。