tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

息切れか? アベノミクス

2014年02月27日 12時26分01秒 | 経済
息切れか? アベノミクス
 景気の動向を解り易く示してくれる指標に、上場系業の決算数字があります。証券会社の研究所や日経新聞などが発表してくれるものですが、さし当たって今3月期は、製造業大手企業などを中心に、かなりの増収増益基調のようです。

 輸出企業などの中には、当初の利益予想を上方修正する所も少なくなく、その主要な原因は、控えめだった円安予想を見直した結果ということのようです。

 企業収益が高まっていれば、それは企業活動の活発化につながることは容易に予想され、それは、雇用増、残業増、ボーナス増、さらにはベースアップの可能性にもつながって来るということは、誰しも予想するところです。

 そんなわけで、企業の増収増益が今後も続きそうかどうかを端的に示してくれる上場企業の決算予想は、重要な景気の先行指標になっているわけです。

 その決算予想に何となく翳りが見えるのが最近です。今3月期決算でも、利益の下方修正をする企業もあったり、来期については、必ずしも増益を予想しないところも出て来ているようです。

 理由はいくつかあると思いますが、主なものを2つほどあげてみれば、その1つは、実現した円安が、何となくじりじり後退していることです。

 もともと今回の景気回復は20~25円幅の円安によるところが殆どだと思っていますが、それがじりじり円高に戻り、このブログでも毎度指摘している円高再来の恐れについては、安倍政権はどうも上の空で、何も言いません。企業は相変わらず疑心暗鬼です。当然、国内生産回帰には、未だ二の足といったところでしょうか。

 加えて、アメリカのテーパリングがアジア諸国の経済に影を落としています。それだけなら、まだ良いのです。そこに日本の出番があるかもしえません。
 しかし困ったことに、対中、対韓、最近は対米までの関係の悪化があります。KY(空気読めない)気味の安倍政権の木で鼻をくくったような物の言い方が、状況をますます悪くしています。

 マスコミや経済学者は消費税増税ばかり気にしますが、為替の安定が確保され、国際関係が順調であれば、企業は先行きがある程度見通せますから、行動も積極的になり、労働組合の春闘も手応えのあるものになり、消費税での財政の増収分は、政府によっておそらく、何かに支出されるでしょうから、それなりの経済効果を持ち、結果的にマイナスの影響は極小になりうるでしょう。

 しかしこうした好循環は、現状では期待できそうにありません。折角期待した日本経済の再生路線ですが、「なんだ、この程度で、あとは息切れですか・・・」なんてことにならないように、何とか考えてほしいというのが、多くの人の気持ちではないでしょうか。


ギリシャ、7年ぶりプラス成長へ

2014年02月24日 15時38分29秒 | 経済
ギリシャ、7年ぶりプラス成長へ
 今回は前回の追伸になりますが、ギリシャ経済についてです。
 
 すでに御承知の皆様も多いかと思いますが、今月7日に、発表されたギリシャの予算案で、ギリシャ経済が、今年(2014年)7年ぶりにプラス成長の予想になっています。
 
 企業でも同じjことで、赤字続きでは、成長の形は整いませんが、利益が出るようになれば、成長の可能性が見えてきます。

 企業でも、経済でも健全な成長にはその形が整わなければなりません。生み出した付加価値(GDP)が人件費(雇用者報酬)と利益(営業余剰)に適切に分配され、借金をしなくても資本支出が可能になり、それによって生産性の向上が実現するというのが「成長の基本的な形」です。

 もちろん資本支出は、借金でもできます。しかし借金には金利がかかりますし、資金が引揚げられれば、成長は止まります。自力での成長ではないからです。

 今、アメリカのテーパリングで、途上国の経済成長への悪影響が懸念されていますが、この辺りの状況は、資本支出(投資)がどの程度自らの資本蓄積で賄われているかによって決まります。

 この辺りのメカニズムは昨年3月「付加価値で読む経済分析1~7」に書いた通りですが、前回指摘しましたように、EUの経常赤字国が黒字転換したことによって、今後EUの成長率は高まり、EU経済の健全化は進み、結束力も高まって、EU経済がより強いものになることはおそらく確実でしょう。

 これはすべて、それらの国々の国民、労使が、何年間かのマイナス成長に耐え、経済の健全化に協力した結果です。これは素晴らしいことだと思います。

ギリシャ経常収支、黒字転換へ

2014年02月20日 13時54分46秒 | 経済
ギリシャ経常収支、黒字転換へ
 ギリシャの経常収支が黒字になってきたというニュースがありました。2013年の1~11月の累計で、14.6億ユーロで、昨年同期の41.4億ユーロの赤字だったそうですから大幅な改善です。

 このまま行って通年で黒字になれば2008年の対GDP比14.9パーセントの大赤字からの黒字転換ですから大変なことで、しかも経常黒字はユーロ加盟以来ということだそうで、ユーロのお荷物だったギリシャ経済が、一転してユーロの安定に寄与することになれば、ユーロ圏にとっても、世界経済にとっても大変結構なことだと喜びたいと思います。

 解説によれば、黒字化の主因は観光収入が大きく伸びたからで、元々観光収入に支えられる面が大きいギリシャ経済ですが、ホテルやレストランが一方で値下げして頑張り、もう一方でサービスの向上に力を入れた結果だということです。
 ギリシャ語でレストランは「タベルナ」だそうですが、それを「タベテヨ」にしたかどうかは解りませんが、日本式に言えば、「おもてなし」の原点に返ったのでしょう。
 
 最初は、政権を変えれば、何とかなるかとデモをやったりストをやったりしてゴタゴタしていたギリシャですが、結局、国民がみんなで頑張るしかないと気づき、ユーロ加盟以来の無理な経済の底上げ、例えて言えば、履いていた高下駄を脱いで、 足を地面につけて、地道に努力するようになった結果でしょう。

 もちろん、これは簡単なことではないと思います。戦後の日本にも「竹馬の足を切る」といわれたドッジライン(緊縮経済)によるドッジ不況(安定恐慌)の経験がありますが、此の所のギリシャの実質GDPの推移を見てみますと、経常赤字比率が最大だった2008年の2104億ユーロから、2013年(実績見込み)の1614億ユーまで、23.3パーセントの落ち込みになっています。つまり、この間毎年数パーセント程度のマイナス成長に耐えてきたということです。

 此の所ユーロ圏全体の経常黒字も安定し黒字幅も最大を記録したりしているようなので、かつてユーロの不安定化の要因として問題になった、イタリア、スペイン、ポルトガルなどについても調べてみますと

イタリア 経常収支はGDPの -3.51%(2010年)から-0.01%(2013年推計)に縮小、この間、実質GDPは3.8パーセントの減少。
スペイン 経常収支はGDPの -10.0%(2008年)から1.43%(2013年推計)に黒字転換、この間、実質GDPは6.8パーセントの減少。
ポルトガル 経常収支はGDPの -12.6%(2008年)から0.9%(2013年推計)に黒字転換、この間、実質GDPは7.1パーセントの減少。
となっています(データは「世界経済のネタ帳」)。

 これらの国々は、EUやヨーロッパ中央銀行との間でいろいろなやり取りもあったのでしょうが、結局は、経済の本来のあるべき姿に従って、生活水準を引き下げ、自らの稼ぎの範囲で生活する様にし、例えて言えば、膝を屈して力を蓄え、次のジャンプに備える準備をしているのです。

 世界中でアメリカだけが、金融政策さえ巧くやれば、経常赤字という背伸びをしたままでジャンプが出来るという政策に固執し、頑張っています。
 さて、アメリカは本当に成功するのでしょうか。


2014春闘:労使に論議して欲しいこと

2014年02月16日 16時37分57秒 | 労働
2014春闘:労使に論議して欲しいこと
 長い間春闘も出来なかった円高不況から脱し、ようやく正常化路線に乗ったかと思われる日本経済の中で、久しぶりの春闘が、いよいよ労使の論議たけなわの時期を迎えようとしています。

 本当に久しぶりの本格春闘ですから、労使双方とも、春闘のやり方を継承していない幹部も増え、何となく戸惑っているような状況も見受けられるところです。

 かつて、日本の労使は「日本経済社会の安定帯」を共に自負し、それぞれの心情や理論構成、アプローチに違いはあっても、目指すところは「それぞれの企業、産業の発展による日本経済の安定的発展」を目指すところは共通でした。

 この伝統は基本的には、今も確実に受け継がれているようですが、もう一つ、さらに進んだところで言われていた「春闘は、労使を中心にした国民的学習集会」という点については、労使の論争はいささか単純化され過ぎているような気がしないでもありません。

 これも春闘についての知識が不足してしまっているマスコミのせいかもしれませんが、「労組はベアにこだわり、経営側は、賃上げには多様な形が」というのが主たる主張の違いといった印象を受けています。

 一方、今の日本における経営、経済の問題点を見ると、収益好調なのは、どちらかというと製造業大企業中心で、同じ製造業でも中小企業では未だ好況感には、なお遠い所も多いようです。

 また、景気回復が言われながらも、非正規労働の比率は一部には増加も感じられるような状況で、不安定雇用のもたらす生活の不安定な所帯の増加、所謂格差社会の問題の改善はいまだ今後の見通しは定かでないようです。

 かつて春闘では、労使は共に「日本経済社会の安定帯」との視点から雇用か賃金かの問題が論議され、雇用が第一義といわれ、消費拡大には、賃金上昇と雇用の安定のどちらが有効かが論議され、大企業と中小企業の格差改善には下請代金の問題や労労問題(労働者間の配分問題)も巻き込んだ労使共通の課題といった問題も論議のテーブルには載っていたと記憶しています。

 さらに今日的課題で言えば、「円レートと海外生産・国内回帰の選択」といった問題も、国内雇用を重視した場合、労使共通の問題点であり、重要な関心事項のはずです。

 今年はいわば春闘再開第1年です。先ず「ベア」と「多様な賃上げ」が主題になるのはやむを得ないでしょう。しかし、労使は「日本経済社会の安定帯」、春闘は「国民的学習集会」を目指すならば、さらに進めて、日本経済の質的構造の底上げを目指す上記のような諸課題についても、是非 視野に入れていただき、お互い腹を割って、真剣に話し合って欲しいと思うところです。


政治と経済の狭間で:日本の選択

2014年02月14日 13時59分03秒 | 国際政治
政治と経済の狭間で:日本の選択
 問題山積の日本に、毎週末になると大雪が降って、自然も意地悪なのかな?などと思ったりするこの頃です。
 此の所、何か日本の経済、社会、外交なども、皆何となくちぐはぐで、オリンピックのメダルに感激しながらも、多くの国民は、何となく落ち着かないのではないでしょうか。

 新聞の「声欄」でも、種々の世論調査の結果でも、何か日本の先行きに、十分に安心していられないような雰囲気を感じさせるものが多いように感じます。

 金融政策の変更で、円高地獄から脱出し、これで日本経済・社会も順風かと思われた矢先ですが、世論調査でも選挙の関心事でも第1位の日本経済の先行きについての不安感が依然大きいのは、国内問題もさることながら、政治、外交で、日本自体の将来不安を感じるようなことが増えてきていることも大きいようです。

 戦後60余年、日本は種々の軋轢はありましたが、そうしたものを乗り越えて、ただひたすらに、アジアを中心に世界の国々に対して、平和と経済発展に役に立つための努力を積み重ねてきました。
 日本がこうして黙々と積み上げた実績は、アジアで持たれていた日本は侵略国家というイメージを次第に消していったことは明らかでしょう。

 アジアの国々が、「本当の日本は『戦後の日本』だったのではないか」と考え始めたこの折角の時期に、最も日本と関係が深く、同時に、それ故に最も日本に反感も持っていた中国と韓国との関係に改めてマイナスの一石を投じてしまうような失敗を犯してしまったことは残念でなりません。

 多くの日本人もそうでしょうし、私自身もそう考えている「本当の日本は戦後の日本」という「日本の本質」にもう一度気づき直して貰うのには、下手をすればまた何十年もかかるかもしれませんし、誤って感情的対立がさらにエスカレートするようなとんでもないことが起きることを懸念する心情すら、国民の中にあるような気がします。

 世界中の良心が、ますます平和への希求を強めている今の時代です。ヨーロッパもアメリカも、日本がトラブルを起こすことについては、明らかに批判的です。
 
 問題を経済に矮小化すことは本意ではありませんが、いま日本では経済の順調な発展が色々な意味で(福祉や教育も含めて)国民の最大の関心事項であり、現政権もそれを最重要な政策目標に掲げていることを考えれば、こうした国際政治の問題が、日本経済の先行きに無用な障害をもたらすことは、現政権に百害あって一利ないことを政権、そして政権党自体がはっきり認識し、確り行動すべきでしょう。

 安倍政権が国民の良心を的確に洞察し、国民を安心させ、ひいては世界を安心させるような「本当に日本らしい」行動を早期に選択することを願うところです。


イエレン女史の議会証言:あまり変わりそうもないアメリカ

2014年02月12日 12時19分19秒 | 経済
イエレン女史の議会証言:あまり変わりそうもないアメリカ
 2月11日、イエレン女史の最初の議会証言がありました。バーナンキさんの愛弟子ということなのでしょうから、あまり変わったことはないだろうとは予想していましたが、矢張り当面の流れは変わらないようです。

 まず、テーパ―リングは継続するとのことですが、雇用とインフレ次第で柔軟にという点も従来通りです。インフレ率2パーセントは今のアメリカの経済成長から見れば、1パーセントでいいのではと思いますが、矢張りインフレ気味の方が景気が保つと考えているのでしょう。しかしそれではドルは強くなれません。

 財政はFRBの管轄ではないが、政府債務の上限引き上げは当然やるべきとの考えを質問に答えて言っていますが、仕方ない所でしょう。

 ただ、金融の暴走については、問題を十分認識しているようで、「金融システムの強化につながる規制課題は、経済に長期的かつ重要な恩恵をもたらす」と、マネ―資本主義、国際投機資本を牽制するという一面も見せています。

 雇用については強い関心を払っていることを感じさせる発言は多く、雇用増が自分の予想より少なかったこと、長期失業が構造的に続くことを心配し、労働者の技能向上が必要とまで踏み込んでいるのには、(FRBの管轄外ですが)私も同感です。

 全体を通じて感じさせられたのは、雇用を更に改善し、物価上昇も2パーセントを確保し、アメリカ経済の強さを回復したいという意欲ですが、一方で財政赤字の長期化を心配しつつも、政府債務の上限引き上げは必要ということで、テーパリングは継続しながら、基本的な金融緩和は継続し、財政支出も活用して、アメリカ経済を強くすることに力を尽くす、といった感じのものになっています。

 然し、財政赤字や金融緩和は、アメリカ経済を強くする前に、アメリカの経常赤字の継続(増加?)に貢献してしまって、結局そのファイナンスのための、金融緩和、財政赤維持に行き着くという堂々巡りから抜け出る本当のシナリオにはつながっていない、という印象です。これはアメリカの痼疾でしょう。

 アメリカ経済は、何とか自分を大きく見せようと「背伸び」という無理を続けて来ているのは明らかです。日本流に言えば、「財政赤字・経常赤字(双子の赤字)という2本の竹馬に乗って」という所かもしれません。
 しかし、かつても書きましたように「背伸びしたままではジャンプは出来ない」のです。

 シェールガス・オイルというブースターも力不足のようです。今後もFOMCのたびにガタガタしたり、財政の崖回避に奔走したりという状況は続きそうです。
 矢張り「アメリカは何処へ行く」という心配は変わらないようです。


経常黒字大幅減の読み方

2014年02月10日 16時41分45秒 | 経済
経常黒字大幅減の読み方
 万年経常黒字の日本ですが、このところ黒字幅の縮小が目立つようです。
 昨年の経常収支の黒字は3.3兆円だそうですから、確かに大きく減少しています。比較可能な1985年以降で最低を記録したとのことです。

 経常収支はご承知のように、貿易収支と、外国との所得収支、サービス収支などの合計で、その縮小の主因は、貿易収支の赤字が大きくなったことだそうです。

 貿易赤字増加の原因は原発が止まっていて火力発電が中心になり、燃料輸入費がかさみ、しかも円安になってその分輸入価格が高くなったことが大きく、さらに、中国からのスマホの輸入などが増えたのも一因だそうです。一方輸出の方はというと、円安になった割にあまり増えていないからと説明されています。

 かつて2回の石油危機で、原油価格が4倍と3倍になった時でさえ、貿易赤字はこんなに続きませんでしたから、真の原因は日本の貿易構造の変化、経済構造そのものの変化にあると考えなければならないでしょう。

 数字を見れば、輸入は15.4パーセントの伸び、輸出は9パーセントしか増えていません。その結果、貿易収支は10.6兆円の赤字です。加えて、サービス収支も赤字幅の縮小は見られますが、常に赤字です。
 それでも経常収支が黒字になっているのは、所得収支が16兆円を超える大幅黒字になっているからで、日本経済は、外貨は輸出で稼ぐのではなく対外投資で稼ぐという姿がくっきりです。
 
 最近はメイドインジャパンではなくて、メイドバイジャパンなどと言われますが、円高に苦しんだ20年の間に、日本企業のビヘイビアは、国内生産より海外生産という方向へ大きくシフトし、この所の20~25円の円安でも、国内回帰はなかなか進まないようです。
 その結果は当然のことながら、遅々とした国内の雇用改善ということでしょう。

 しかし、考えてみればどうでしょうか、2005~2010年ごろの様な、年間15兆円から、20兆円の経常黒字を計上し、アメリカの国債を年間20兆円も買って、円は絶対安全通貨と認識され、「円買い→円高」でGDPの縮小を繰り返すような経済より、現状はよほど良いのではないでしょうか。

 黒田式異次元金融緩和で実現した円安が、ある程度維持できているのも、海外投機資本の一部が、日本の経常収支の縮小を横目で見て、円の下値を試したりしながら、いつかは円売りを仕掛けてまた大儲けしようと考えているからかもしれません。

 政府も金融当局もアカデミアもマスコミも、この経常黒字の縮小傾向を、いかに政策的に論じ活用するかに知恵を絞る時が来ているのではないでしょうか。


バーナンキ→イエレン:興味津々アメリカの選択

2014年02月04日 16時43分37秒 | 経済
バーナンキ→イエレン:興味津々アメリカの選択
 金融政策ですべては解決できると信じていたバーナンキさんの強い意志の結果でしょうか、テーパリングの継続は全会一致で決まり、アメリカの金融政策はささやかながら正常化の方向へ動き始めところで、FRB議長はイエレン女史にバトンタッチになりました。

 その途端というタイミングですが、アメリカの株式市場は暴落を始めました。そしてそれは、今や世界に波及しています。

 日本の場合は、貿易収支が大幅赤字になり、経常収支まで赤字になっても、アベノミクスが如何にモタモタしても、円は安全通貨という国際投機資本の認識は容易に変わらない様で、こうしたゴタゴタの中で円は買われ、$1=¥101ぎりぎりまで円高に振れ、日経平均も2000円ほど下げて来ています。

 安倍さんも、胸を張っていた第一の矢 (円安への転換)が目標まで届かず、途中で落ちてしまったら、アベノミクスのベースが崩れるので、内心はドキドキしているのかもしれませんが、オバマさんはもっと心配なのかもしれません。

 考えてみれば、ニクソンショック以来、アメリカがパックス・アメリカーナ維持のために推し進めてきた政策、貿易も金融も徹底して自由化し、世界中をアメリカ経済と同質に塗り替えて、世界の富や資源をアメリカが自由に利用できるようにしていくという構想が、今、最終的に問われ始めたのではないでしょうか。

 特に、金融自由化の中で生まれた鬼子とでもいうべき国際投機資本、マネー経済学というメカニズム(?)が、思わざる巨大な副作用を齎すことになったという点をどうすべきか問われることになったようです。

 アメリカ経済を元気づけようとして採用した、いわばドーピングの如き異次元の金融緩和は、ドルが基軸通貨であることから、新興国中心に世界経済へのドーピング効果を持つことになりました。
 その結果、アメリカの金融引き締めは、多くの新興国のマネー不足、ひいては経済活動を凋ませる事となり、アメリカ経済に実体的・心理的に多様な形で跳ね返ってくることになったようです。

 さて、バトンを受け継いだイエレン女史は、やりかけで去ったバーナンキさんの政策をどう引き継いでいくのでしょうか。 
 これは単にアメリカ一国の問題ではなく、アメリカが世界で如何なる立場に立つか、いかなる役割を果たすかという世界経済の構造問題です。

 幸い日本は、その影響を受けながらも、国民の意思と能力で、自らの実体経済をそれなりに守る力を持っていると思います。
 アメリカがいかなる選択するか、興味深く見守りたいと思います。


庭に来る鳥、とりどりの性格

2014年02月02日 21時33分02秒 | 環境
庭に来る鳥、とりどりの性格
 我が家の狭い庭によく生えてくるのはマンリョウ(万両)です。常緑の灌木、冬に赤い実をつけます。
 はじめは何故マンリョウが次々生えて来るのか解りませんでしたが、だんだんわかってきました。ヒヨドリのせいなのです。

 此の所、マンリョウの赤い実が完熟したのでしょう、ヒヨドリが来て盛んにつついて食べています。ちょうど居間の前の所に豊後梅の木があり、その下にマンリョウが2本真っ赤な実をいっぱいにつけています。
 ヒヨドリは先ず梅の枝に止まり、注意深く周囲をよく見まわしてだんだん低い枝に降り最後にマンリョウまで降りて来て、一心に赤い実をついばみ、とりあえず満足すると飛び立っていきます。食べたくなるとまた来ます。

 よく見ているとヒヨドリは、飛来して梅の枝に止まった時、先ず尾羽を持ち上げて糞をします。糞の中には当然マンリョウの種子があるわけです。
 以前に生えてきたのは小粒のマンリョウでしたが、園芸店で大粒のマンリョウが出回ってからは大粒のマンリョウが生えてくるようになりました。

 ご飯の容器を洗った時のご飯粒は、必ず庭に撒きます。雀たちはそれを目当てにお隣の屋根から降りてきます。
 生ごみは場所を決めて埋めます。穴を掘ってゴミを埋め、シャベルで土と混ぜます。そこにはムクドリが良く来ます。梅の枝には小鳥用の巣箱、その下にはエサ台がぶら下がっていて、リンゴの皮や芯、時には蜜柑を置きます。

 巣箱にはシジュウカラが様子見に来ます、エサ台の果物は、メジロ用ですが、ヒヨドリも横取りに来ます。
 キジバト(山鳩)も来ます。大抵2羽できます。鳩のつがいは決まっていて、浮気はないと聞いたことがあります。

 ところで本題ですが、こうした鳥たちの食事の作法はそれぞれ特徴があるようです。
 雀はみんな揃って一緒に食べますが、餌の取りっこは殆どしません。同じ餌を食べようとしても先に食べた雀の取りこぼしがあればつつくだけです。
 ムクドリは大抵複数で来ますが、おのがじし、勝手に食べています。キジバトもそんな様子です。メジロは、はじめは一緒には食べませんが、慣れると2羽、3羽一緒に食べるようです。
 スズメとムクドリは、ご飯粒を一緒に食べています。

 ヒヨドリはかなり違います。果物もご飯粒も食べますが、先ず、至近距離を飛行して他の鳥を追い払います。そうしておいて、注意深く周囲を見回しながら食べます。
 ヒヨドリも2羽で来ることが多いのですが、マンリョウの実を食べているのはいつも一羽で、もう1羽が食べる時は、それを追い払ってから食べます。一緒に食べているのを見たことはありません。

 ハトは元来「一夫一婦制」で、オシドリは実は「おしどり夫婦」ではないと聞いたことがありますが、エサ食べるのにも、共存共生型と、排他的航空識別圏型とあるのかな、などと考えてしまいます。

 人間は単一の種なのに、人によって、とりどりの性格を持っているようです。どういう人が上に立つかで国の姿も変わってきますね。