tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの行動パターンと日本の選択

2024年07月02日 13時27分24秒 | 国際政治

アメリカで、バイデンさん、トランプさんという大統領候補のテレビでの公開討論がありました。見ていてつくづく感じたのは、これが世界の覇権国の大統領候補の討論でいいのかといった感覚でした。

トランプさんの言っていることは「インフレがアメリカを殺す」といった発言に象徴される様に、理屈も説明もなく、バイデンさんは駄目だという相手のこき下ろしが多すぎますし、バイデンさんの方は、真面目な発言が多いのですが、発言がスムーズでなかったりしたことが大失点と捉えられるといった状態で、流石アメリカの大統領候補と感じるようなものではなかったように思います。

にも拘らず、アメリカではそれでいいようで、討論が終わってみると、アメリカ中がこの討論で先行きが決まるような熱狂ぶりです。有権者自体が、あの相手を攻撃するばかりのような討論に満足していると見受けられます。

アメリカから民主主義を教わった日本の党首討論なども、揚げ足取りは多いものの、も少しまともなものでないと国民が冷めてしまうのではないでしょうか。

日本にとってのアメリカという視点で考えてみますと、こんなアメリカに寄り添っていて日本は進む道を誤るのではないかとういう危惧感がさらに強くなった感じです。

政治の面で、アメリカ行動パターンがどうだったかをし量ってみますと、トランプさん時代には、国内中心で、国際関係にトラブルを起こすようなことが多かったですし、日本にとっては集団的自衛権をOKさせています。

そしてこれはバイデンさんになっても変わりません。CSISのシミュレーションのように、台湾有事の際は日本が参戦しなければアメリカが負けるといった演出までありました。

経済的には万年赤字国のアメリカは日本の貯蓄に大きな関心を持っているようです。アメリが言い出したTPPでは、自由貿易だけは意味がないと、言い出した本人が脱退しています。日本に膨大な防衛予算を組ませ,高価な防衛装備品を大きく値上げしながら買ってもらう事も視野にあるように思われます。

防衛装備品の開発についても日本と共同開発で資金協力を求める姿勢ではないでしょうか。

東日本大震災の時に即座にアメリカの財務長官が、日本は復興のために保有するアメリカ国債を売るようなことはないと発言したことも記憶に残ります。

日本は平和憲法を持って戦後一貫して武器を持ってで人を殺傷することなく、世界の平和維持に努めてきました。

このままアメリカに協力し、行動していくことは、世界に冠たる平和国家の理念の逸脱に行きつくのではないかという懸念は日本国民に強くなっていると思います。

今、日本国民が最も憂慮しているのは台湾有事でしょう。すでに沖縄南西諸島では種々の工事が進行中のようです。

日本は平和国家として等距離外交で、歴史的にも関係の深い中国と理解と親善、経済協力を進める事が日本らしい道ではないでしょうか。    

今回のアメリカの大統領選の熱狂は、そうしたヒントを日本に与えることになったのではないでしょうか。


国連の改革は困難ですが急務ですね

2024年02月24日 21時13分39秒 | 国際政治

ロシアのウクライナ侵攻2年で、国連の安全保障理事会の閣僚級会合では昨23日、激論があったことを外電が伝えています。

先ず事務総長のグテーレス氏が、ロシアの侵攻は国連憲章と国際法の両方を侵害ていると訴え、ウクライナの主権や領土の一体性を守る必要性を訴えました。

会議では、イギリスのキャメロン外相やフランスのセジュルネ外相や、日本の辻外務副大臣も出席し、事務総長の発言を支持し、辻外務副大臣は、力による領土の現状変更は決して許されないと強調したようです。

これに対しロシアの国連大使のネベンジャ氏は、いつも通りの東部でのロシア系住民を守るという主張で、ウクライナと欧米を非難するだけです。

国連の安全保障理事会の現状はこんな事の繰り返しになっているようで、決議をしようとすればロシアは必ず拒否権を行使、絶対に纏まることはないという状態です。

常任理事国5か国は拒否権を持っています。拒否権というのは、民主主義であっても、過半数が誤った考えを持つことは絶対ないとは言えない。そういった異常事態に一人でも拒否権を持った人がいれば、誤った判断は回避できるという考え方なのでしょう。アメリカでは大統領だけが持っています。

即ち、今の国連では安全保障理事会の常任理事国の中に意見の対立があり、その対立が解けない限り今後も何も決まらないという事なのです。

結果は世界の「安全を保障する」はずの国連機関の中に戦争や紛争をする国が一国でもいれば、世界の大多数の国が正しいと考える「安全が保障されない」のです。

この説明ではロシアが不満でしょうから、アメリカもイスラエルのハマス殲滅作戦の即時停止の決議では拒否権を行使しています。

もともと拒否権が存在するという事は「最高の賢者」がリーダーとして拒否権を持ち、大衆の誤りを正し世界の安全を守るという理念でしょうが、現実は理念通りにはいきません。

困ったことに最高の意思決定者が誤った判断を持つこともあり得ます、その場合にも、多数の意見は拒否権で葬られます。民主主義の基本理念が通らない事が起きるのです。

こうして、多数意見と拒否権の鬩ぎ合いということになるのですが、安全保障理事会に最高の賢者が5人もいて、意見が違うということが、機能しない国連の核心でしょう。

人類の経験からすれば、一国の最高の賢者の立場の人には往々誤りがあり、どちらかというと平凡な大衆の感覚、認識、思考、行動の総合の方が正しいのではないでしょうか。

こう考えれば。国連の組織で最高の意思決定機関は安全保障理事会ではなく『国連総会』でなければならないことになります。安全保障理事会は国連総会の意思決定に従って、世界の国々の国民の安全の保障をする執行機関という事になるのではないでしょうか。

恐らくいま世界の多くの国の人々は、そう考えているのでしょう。問題はそれを実現する方法手段なのではないでしょうか。

機能しない国連を改革するのは国連に参加する国々です。日本もその1つです。誰かが言い出さなければならないすれば、平和憲法を持つ日本の果たすべき役割は極めて大きいのではないでしょうか。


岸田政権の視線の先:アメリカか世界か

2023年10月23日 16時47分53秒 | 国際政治
今日は、岸田総理の1日遅れた所信表明演説です。

すでにマスコミでも、総理が時限的な所得減税の指示をしたとか、野党は社会保険料の軽減とか給付金支給とか、物価と庶民生活の問題についての論点は賑やかですが、いずれも国民所得の分配構造といった基本問題より、実質賃金の低下といった表面的な事象へのパッチワークをどうするという議論のようです。

そのあたりはこれからの与野党の議論を見ていくしかありません。今日は、パレスチナ問題で世界中が大きな心痛を抱く「報復の連鎖」についてです。こうした問題に根本解決はないという視点と、日本の取るべき態度について考えてみたいと思います。

パレスチナ、ハマスの問題は歴史を遡れば、十字軍の時代にい達するといわれます。
但し、宗教の問題は、歴史の中でも宥和の時代もあり文化的にも、イスラム教文化とキリスト教文化の融合は、ヨーロッパでもたくさん見られるところです。

庶民の世界では宗教の平和共存は日常生活の中で一般的なものでしょう。宗教が違えば対立しなければならないというのは、宗教が政治と結びついて、権力者が自分の権力拡大の野心を持つ場合に限られるのではないでしょうか。

この実態をつぶさに見れば、宗教の違いは実は口実で、本心は自分の権力の維持拡大のために宗教の違いを利用するというのが真実に近いようです。

ロシアの場合は、プーチンの領土拡大の野望が原点であることは明らかですし、イスラエルとパレスチナにしても、双方の住民の間では摩擦も相互依存もあり、ミサイルや空爆による相互に巨大な犠牲を強いる破壊と殺戮を望むなどという事はありえないでしょう。

にも拘らず、巨大な人的、物的犠牲を無視して、テロと呼ばれる攻撃を仕掛けるのは、自分の権力・立場の誇示、相手に大きな 損害や衝撃を与えれば権力者としての権威を誇示できるという、事の前後もを弁えない衝動の結果でしょう。

対立する相手は、当然こうした攻撃を座視することが出来ません。戦争に引き込まれざるを得ない事は正当防衛(反撃行動)が国際法上も認められているように、避ける事の出来ない状況に追い込まれるのです。

そして、こうした行動は、歴史的に見れば権力者の権力意欲が強いほど「報復の連鎖」となって繰り返されるのです。

この「報復の連鎖」を断ち切る話は、日本では仇討禁止令や菊池寛の「恩讐の彼方に」などいろいろあり、人類は知恵を発揮して来たのでしょうが結局は個人の場合は怨念、組織や国の場合は権力者の欲と人間性の在り方に帰結するのでしょう。

システムとして「権力者の欲望」を封じ込める主要な方法は民主主義でしょう。歴史が示すように戦争を起こすのは独裁者が殆どです。庶民は何時でも何処でも平和を望んでいて、その願望は武器の進歩とともに強くなり、原爆については決定的な反対となっています。

という事で、それでは、最後に日本のあるべき姿につてです。
日本は憲法で戦争放棄を謳う国です。そしてこの70余年、国際対立を無くすべく常に努力して来ています。
その成果は、多くの国が「多くの対立関係がある世界の国々の中で、日本は、対立を抑止し、話し合いを尊び、紛争を抑止するための考動の出来る国、という見方に結実しています。

ところがトランプ=安倍の蜜月以来、アメリカ追随の行動が多くなり、その見方にひびが入りつつあるようです。

アメリカが国際関係について一方的な見解を取る時、日本はアメリカに「対立は非、話し合い、融和こそが持続可能な世界の平和と安定発展を齎す」と率直に発言すべきだ、と言ってほしい。それが言えるのは日本しか無い、という意見が聞こえています。

つまり日本にはアメリカだけではなく世界全体を見てほしい、日本なら、アメリカに率直に意見を言えるはずだという見方でしょう。

こうした意見がある事を日本は誇りに思わなければなりませんし、日本国民もそれを望んでいるでしょう。

岸田政権の視線の先には、アメリカだけではなく「世界人類社会」全体があって欲しいとという広汎な願いを岸田政権はどう理解するのでしょうか。

国連のさらなる役割に期待

2023年10月17日 14時07分25秒 | 国際政治
善と偽善をどう判断するかの典型のような事が、国連を舞台にして起きているようです。

ロシアがハマスの名を出さずに対イスラエル紛争の即時停戦と人質の解放、人道支援などを組み込んだ決議案を国連安保理に提出しましましたが、16日、否決されたそうです。

同様の決議案がブラジルからも提出されているとのことで、これは今日17日に持ち越されているとのことです。

常識的に考えれば、ウクライナに勝手に侵攻して破壊と殺戮を繰り返しているロシアが、どんな顔をしそんな決議案をと思うところですが、ロシアは自らの行動は正当なものとして偽善を押し通す国という事を天下に示したという事でしょうか。

ブラジルの決議案の採決結果はまだ解りませんが、こうした極限状態に至るまでに、国連の果たす役割はあったのではないかという事を感じさせるのはグてレス国連事務総長の記者団への発言です。

グテレス総長は、ガザでは100万人の人達を食料も水も不足し、住む所もないガザ南部に移動させることは危険で不可能ではないかと言い、イスラエルの包囲作戦の撤回を要請したようです。

勿論、国連事務総長に直接の責任があるわけではありませんし、この際、圧倒的な力を持つイスラエルに自制を求めるのは適切なことでしょう。

問題は国連としての普段からの対応という点で、何かもう少し適切な助言や要請があれば、こうした極端の事態になる事は避けられる場合が多くあるのではないかという気がしてしまうところです。

プーチンの様に端から見れば妄想と思われるような考えに捉われて突然に外国を侵略するというのはどちらかというと稀有なことで、今回のハマスの暴挙の場合も含め、外からの圧力に耐える限界が来て暴発というケースが多いのではないでしょうか。

勿論暴発せずに何らかの形で解決策があればという所ですが、そこで一番大事なことは、相談して解決できる機関などかあるかどうかという問題でしょう。

これは個人のいじめの問題でも、国同士の問題でも基本的には同じことでしょう。

若し国連が本当に頼れる組織であれば、国連に頼って解決するというのが最善の手段でしょう。

しかし今の国連は、現在の安全保障理事会の実態に見るように、地球人類に平和と安定を齎す力はないようです。

ロシアのウクライナ侵攻では、グテレス総長は国連の非力を嘆いておられました。
この状態を放置する限り、今回の様な問題が繰り返される可能性は消えないし、若し国連が何らかのガバナンスを持てば、人類社会はずっと安定したものになるでしょう。

矢張り既に広く認識されていますように、そのカギは安全保障理事会の改革、その名前通り「安全保障」の役割を果たす組織になる事でしょう。
人類がそう思うならば、出来ない事ではないでしょう。
人類の知恵が問われています。

平和の破壊者が居なくなる努力こそ必要

2023年10月16日 16時06分45秒 | 国際政治
平和の破壊者が居なくなる努力こそ必要
ロシアのウクライナ侵攻が長引き、世界の懸念が消えない状況が続く中で、ハマスの大規模なイスラエル攻撃が起きました。

既に双方に2000人を超える死者が出、こうした紛争への恐怖、惨状、希望を失う人々の苦悩の声が大きくなるばかりですが、こうした平和の破壊者がまた行動を起こしてしまったのです。

プーチンのあからさまな平和の破壊行動が、今回のハマスの行動に影響を与えたかどうかは解りませんが、プーチンがハマスの行動を自らの行動の正当化に利用しようとしている事は明らかです。

勿論ハマスにはハマスの事情があり、中東戦争も繰り返し起きていますが、今回の紛争は急激かつ近代兵器を多用した強烈な衝撃を与えるものです。

とはいえ、かつてはオスロ合意に到達するという世界の人々がホッとするようなこともあったイスラエル・パレスチナ問題です。
戦後のアメリカ主導の世界の中で、イスラエル、パレスチナの問題は未だに暫定自治区といった形で残っているのも不自然に感じます。

そしてイスラエルはキブツの活動から始まり急速に近代国家として発展し、パレスチナは、国としてのガバナンスの問題もあってでしょうか、ハマスのような勢力が実効支配する地域を持つという不安定状態にあるようです。

一方、アラブ世界も地球環境問題、脱石油、再生可能エネルギーといった大きな地球人類の歴史の変化の中で、新しい経済体制に脱皮の必要の迫られることを予見し、壮大な変革期に入っているようです。

こうした巨大な変革期の中で、覇権国であるアメリカの在り方は極めて重要でしょう。少なくとも、国連の申合わせを無視して大使館をエルサレムに移すようなことをするリーダーが出て来ると、世界は混乱するばかりでしょう。

武力による紛争、特に最近のミサイルや無人機を多用する紛争・戦争では仕掛けられた方は勿論、しかけた方も忽ちに大きな人的被害が発生るのは必定で、その多くは平和な日常を求めている一般市民なのです。

そうした犠牲を承知のうえで紛争を仕掛けるのは、多くは領土や独立性の問題がきっかけですが、それはその国の国民の意思ではなく、偶々リーダーになった人の個人的な意思によるのが一般的ではないでしょうか。

だからこそ国連憲章の第2章第4項は、「そうした行動は慎むべし」とはっきりと掲げているのです。

こうした問題は、仕掛ける国がなければ起きません。交渉、話し合い、ビジネスベースなど方法はいろいろあり、今日のような情報化の進んだ地球社会では、世界の世論を背景に国連憲章に則った結論を得ることは民主主義の原則が通れば容易でしょう。

若し、威嚇や武力で出した数多の犠牲の上の結論が罷り通ることになれば、平和より己の力を過信するリーダーは、こぞってそうした行動に出、地球社会は混乱するばかりでしょう。

今必要なことは、そうして紛争に走るリ-ダーが居なくなる事であり、そのためには、そうした企てが成功することはないという事、国連憲章の精神を蔑ろにするリーダーは、平和を愛する世界人類の意思によって、必ず自らの責任を取ることになるという実績を着実に積み重ねることでしょう。

国連の改革で人類社会の平和の実現を

2023年09月20日 16時47分19秒 | 国際政治
終末時計は、人類終末まであと1分30秒を残すのみになってしまいました。ロシアのウクライナ侵攻、核の脅しなどの世界情勢から昨年より10秒進みました。

そうした中の国連総会です。岸田総理は、G7議長国として、国連改革を訴えると報じられています。

国連中心主義を掲げる日本としては、国連が人類社会の役に立つ組織であることが最も重要です。そして、世界の大多数の国も同じ思いでしょう。

報道されている岸田総理の一般討論演説は、現状の問題点を的確に指摘する適切で説得力のあるもののようです。

国連の中枢機関である「安全保障理事会(安保理)」の常任理事国5か国の中の1国であるロシアがウクライナ侵攻を進めるという異常事態を前提に、国際法を蹂躙するロシアの行動を強く非難したうえで、国連の安保理常任理事国が国連憲章に違反し、人権蹂躙を行い、核の脅威を利用するような状態は即刻是正すべきと主張するようです。

更に、国連安全保障理事会が、ロシアの拒否権発動でほとんど機能しない現実を指摘、拒否権の行使抑制に言及して安保理の信頼回復を図るべきと述べ、更にそのためには安保理の理事国、非常任理事国の増加が必要と訴えるとのことです。

こうした国連改革の理念は、「人間の尊厳」「人間中心の国際協力にある」との趣旨に立ち、人類社会の平和と安定・発展こそが国連の目指すものとの視点を明確にしています。

このままでは終末時計は、人類の残り時間1分半からさらに短くなる可能性を示唆しているわけで、いざとなったら核の利用も辞さずといった、人類のために何にもならない事を言って国連を機能不全にするロシアのリーダー、それに同調する少数の国のリーダーたちの覚醒を改めて促すという日本の意思は、広い賛同を得るでしょう。

各種の情報によれば、ロシアの国民の多くも、プーチンの政策に賛同しているわけではないでしょう。ロシアから出国する若者は多く、国内にいても出来れば反政府運動をという人も、今のロシアは良くないと思っている人も大勢いるのでしょう。

「人間中心の国際協力」を如何に力のあるものにするかも大きな課題でしょうし、人類全体の民主主義の在り方を考えれば、世界人類全員投票は無理でも、国連総会の意思決定を安全保障理事会の上に置くことが必要という事になるでしょう。

国連中心主義を標榜する日本としては、現存する地球人類の危機を如何に国連改革で辞湧現するか、その実現まで、取り組みを緩めない事が最も重要ではないでしょうか。

人類分断への道か? 共存への道か?

2023年08月19日 15時10分12秒 | 国際政治
アメリカ、韓国、日本の3国のトップが集まるサミットで岸田総理は勇躍ワシントンに出発し、3国の関係を更なる高みに引き上げることで一致したようです。

バイデン大統領のアメリカ主導のアジアの安定の枠組みが今後どう展開するのかは解りません。おそらく、米中会談がその方向を決めるのでしょう。

しかしアメリカとしては、中国の隣国で、民主主義国である韓国と日本の動きが、米中会談にも大きな影響を持つと考えるのが当然でしょう。

今回の3国サミットでは、首脳級会合の定例化、連絡網の強化といった、情報共有システムの基本的な枠組みで一致したのに加えて、高性能ミサイルの共同開発や、北朝鮮のサイバー攻撃に対する対応といった具体的のものもあるようです。

三首脳は、キャンプ・デービッドにあるバイデン大統領の山荘で行われ、その結果については「キャンプ・デービッド原則」や「共同声明」としてまとめるという事ですが、名前の付け方については、アメリカ側も、かなり気を使っているようです。

米国での報道では、サミット事務局によれば、これは3国の軍事同盟や共同防衛へのコミットメント(公約)ではなく、エンゲージメント(約束)と言っていたとのことで、秋に実現を希望している米中首脳会談なども踏まえ、「米中は競争関係」とも言っているバイデン大統領の気遣いの反映かとも思われます。

アメリカとしても、プーチンはどうにもならないが、習近平はまだ、話せば解る可能性もあるだろうし、アメリカの多くの巨大企業が、いかに中国の労働力を利用しているかもわかっているはずです。

また中国にしても、アメリカは最大の輸出相手国であるし、アメリカと種々トラブルを起こしながらも、アメリカと付き合う事で得るものは沢山あるという現実は認識しているでしょう。

どう考えても、アメリカと中国を分断することは、米中双方にとって、圧倒的にマイナスの方が大きい事は解っているのではないでしょうか。

同じことは日中関係についてもいえることでしょう。中国はその歴史に見るように権謀術策の国ですから、競争の中では、優位に立つような多様な術策を使うでしょう。
しかし決定的にマイナスになることは避けるという認識はあるでしょう。もし、そうした認識から外れるとすれば、それは習近平の年齢による焦り ではないでしょうか。

台湾併合という(プーチンにも共通な)旧領土への郷愁が、独裁者の地位が長くなるともに強くなり、逆に残された時間は限られてくることで、常軌を逸する判断と行動の可能性が出て来る事は有り得るかもしれません。

常識は「共存」を判断し、年齢と独裁者という地位が「分裂」をあえてする、という情景が、ロシアにおいては明確になり、中国についても心配され始める、というのが「習近平3選」以来の今日ではないでしょうか。

「家康どうする」ではありませんが「習近平どうする」、「バイデンどうする」そして「岸田どうする」で、脚本を書くのは、独裁国では「独裁者」、民主主義国では「国民」という筈ですが、さて日本はどうでしょうか。

日中関係は100年の計で

2023年08月12日 13時24分50秒 | 国際政治
今日は土曜日だから少し勝手な事を書くという訳ではありませんが、麻生太郎氏が台湾で、「日本も戦う覚悟を持て」と言い、公明党の北側氏が賛成したなどというニュースが入って来ますと、日本はこんな人達が政治をしているのだと情けなくなってきます。

自民党の国会議員などは勿論、平和愛好のはずの公明党も、与党となればこんなことになるのかと思うからです。

言っている理屈は、本気でケンカするという姿勢を見せれば、相手はケンカしないだろうという理屈です。これでは子供のケンカと一緒です。強がって見ても、相手が強くてケンカをしたければ、残念ながらそんな理屈は通らずボコボコになるだけでしょう。

日中の人口と軍事力から見れば、相手の方がずっと強い(予算規模を較べてください)のです。(また大和魂ですか?)正に「蟷螂の斧」という諺が当てはまりそうです。

まあ政治家が言っても多くの日本人は、多分そんな覚悟はしないでしょう。それより、岸田総理が早く中国に行って、日本は戦争などする気はないと確り伝えることでしょう。

「台湾との関係は、国内問題と言っても、国連も世界の多くの国も認めないから、あくまで平和的な手段で、長期的に考えて、双方犠牲を払わず、相互理解を深めるのが最善ですよ。中国には「愚公山を移す」という諺がありますよね」なんて言うのはどうでしょう。

出来れば、「日本も協力します。アメリカにも、中国も争いはしたくないというなら伝えますし、アメリカも安心するでしょう」ぐらい言えれば素晴らしいですね。

今、習近平が、自分の歳も考え、早期に台湾併合と言っていますが、中国のリーダーの中にも、ここで戦争などしたら、経済的に大きな損失で、出来れば避けるべきという気持ちは必ずあるはずです。
そこを掴むのが、「外交」というものでしょう。

プーチンが旧ソ連やロシア帝国の復活を夢見たり、習近平が台湾併合で我が中国は完成と考えたりするのは、ロシアの場合はゴルバチョフの「ペレストロイカ」のアンチテーゼ(ある意味では反革命)、中国の場合は鄧小平の「改革開放」への同様な一時的な逆向き反応とみるべきでしょう。

「フランス革命」にしても、その直後にナポレオンの帝政時代がありました。
人類社会は、先見的な人達が時代を進めようと行動し成功しても、往々にして古い頭の人が元に引き戻そうとする動きが起きるのです。しかし、それは長続きせず、矢張り時代は進むのです。

日本も100年200年先の世界を目指して「平和憲法」の国になりましたが、あまり長い歴史の先を見たので、この頃、頭の古い人が出て来て、時代を元に戻そうとしているのです。

しかし結局は、時代は進み、人類社会は進歩していくのでしょう。
時代を先取りした人たちの役割は、時代を昔に引き戻そうとする人の動きを出来るだけ上手に封じていく事なのでしょう。

偶々中国には「愚公山を移す」という諺があります。そして日本も昔からその諺を学んできているのです。従ってこれは共通な文化遺産です。
日中関係においても、100年先を考えて、地道に根気よくやることが、一番大事なのではないでしょうか。

TPP、アメリカ離脱、日本がリーダー、イギリス加盟

2023年07月17日 14時01分37秒 | 国際政治
TPP、アメリカ離脱、日本がリーダー、イギリス加盟
TPPにイギリスの参加が正式に決まりました。今の世の中は「何でもアリ」のようです。

TPPは「環太平洋パートナーシップ」という協定ですから。中国が入りたいと言っているのは解りますが「イギリスは太平洋と大西洋を間違っているの」などという人もいるかもしれませんが、狭くなった地球、そんなことはどうでもいいのでしょう。

もともとTPPはアメリカが言い出して、太平洋を取り巻く国が出来るだけ貿易の自由化を進めようというのでしたが、トランプさんが大統領になって、そんなことをしたらアメリカの損になるという事でしょうか「イチ抜けた」と勝手に抜けてしまいました。

アメリカ代表で日本の甘利さんと熱心に準備したフロマンさんは「アメリカにとっての損失」と批判しましたがアメリカ抜きの11か国で出発、今に至り、アメリカではなくイギリスが加盟しました。

言いだしっぺのアメリカが辞めてから日本がリーダー格になって、良い組織にしようと頑張って来ているところですから、大西洋からのイギリス加盟は、評価されたという事でしょうか、喜ばし事と思います。

ところで、今日ここで考えるのは、アメリカは一体何を考えているのだろうという事です。
アメリカが言い出した時の環太平洋12か国には中国は入っていません。

加入申請をしている国・地域は、中国、台湾、エクアドルなど中南米の国、それにウクライナと6国・地域があるのですが、国有企業、知的財産権、労働者の権利、人権問題などの条件から申請にとどまっています。

それはそれとしてアメリカが離脱した背景には、時の大統領がトランプさんだったという事情もあるのかもしれませんが、バイデンさんになっても加盟の話はないので、アメリカにとってメリットがないという事なのでしょう。

このブログでも、アメリカがTPPを言い出した時、何か胡散臭いと指摘していますが、貿易赤字が止まらないアメリカのプラスにするつもりが、フロマン通商代表が大変真面目な方で、本気で公正な組織にしようとしたのが、トランプさん、あるいはアメリカ自体の意識と違ったものになったからでしょう。

アメリカも長い間、覇権国、基軸通貨国をやっていると、万年赤字国に堕しても、そのメリットの維持が大きな目的になって来るのでしょうか。共和党、民主党と政権が変わっても、アメリカとしての権限を維持するという「国の意識」は1つの様に見えます。

個人でも権限を握るとその地位を維持しようとの意識が強くなり、独裁的になるという危険性をこのブログでは指摘して来ていますが、覇権国という立場が長くなると「国」の場合も同様に独善的な傾向が強くなるという事も多分有り得るでしょう。

最近のアメリカの行動パターンを見ていますと、戦後、新しい覇権国として清新の意気に燃えて正義を主張した当時のアメリカとのギャップを感じる事が多いようです。

覇権国、基軸通貨国は、矢張り自由世界、民主主義体制の盟主としての役割を果たさなければならないのですから、何とか初心に立ち返ってほしいと思うところです。

国際刑事裁判所プーチンに逮捕状

2023年03月18日 15時10分48秒 | 国際政治
今朝突然のニュースが入ってきました。
国際刑事裁判所が、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したというニュースです。

国際刑事裁判所(ICC)は、個人の国際犯罪を裁く裁判所です。(国家間の紛争を裁く国際司法裁判所とは異なります)。今回ICCから逮捕状が出たのはロシアのプーチン大統領とリボワベロワ大統領全権代表(子供の権利担当)の2人です。

犯罪と認定されているのは、占領地のウクライナの大勢の子供がロシアに移送されたことで、これは国際犯罪に当たるとのことです。

ロシアでは大統領令でこうした子供たちにロシア国籍の付与を促進、養子の促進の方針が出され、永久にウクライナには返さないという容疑が固まったという事のようです。

何か、北朝鮮の日本人拉致事件と共通するものを感じますが、こんな事が世の中にあっていいものでしょうか、ロシアという国は一体何を考えているのか、日本人としては全く理解に苦しむようなことが起きているようです。

この問題を担当する国際刑事裁判所の判事3人の中には、日本出身の赤根智子氏も入っているとのことです。ご努力に敬意を表するところです。

一方現実の事情はどうかと言いますと、国際刑事裁判所の条約締結国は123か国ですが、ロシアはかつて署名はしたが、撤回か、批准の意思はなことを明確にしているとのこと、アメリカはクリントン大統領の時に批准したが、ブッシュ大統領になって撤回、中国は未加盟ということだそうです。

ロシア外務省は「ロシアはICCには加盟していない。逮捕状は法的に無効で何の意味も持たない」と言っているとのことで、中国の習近平主席は今日ロシア訪問、アメリカのバイデン大統領は「プーチンが戦争犯罪を行っていることは明白」と言っていますが、法的な問題には触れていないようです。

こうした重要な国際的課題を担う国連組織に、安全保障理事会の常任理事国の5か国のうち3か国が入っていないというのが、今の国際情勢ですから、主要国それぞれの考え方、行動の在り方が、国連という組織を通じて、世界の安全保障に役立っているとは、残念ながら言えないと痛感するところです。

結局、国連のグテーレス事務総長の正直な発言の様に「国連は戦争を止めることは出来ない」という言葉がすべてを象徴しているという事なのでしょう。

プーチンの行動を、戦争をエスカレートさせずに止められるのは、ロシアの世論、公式的には選挙の結果あるいは国民の力ずくの運動かしかないのです。

今回の国際刑事裁判所のプーチンに対する逮捕状が、直接、間接を問わず、1人でも多くのロシア国民に、プーチンの行動は誤りであることを気付かせ、ロシア国民自身がこの時代錯誤の悲惨な戦争を終わらせる決定に辿り着くための一里塚になって欲しいものです。
今、人類の知恵が問われているのでしょう。

ロシアのウクライナ侵攻1年経過

2023年02月25日 11時58分53秒 | 国際政治

この問題は、世界中の専門家が論じ尽くして来ています。

その困難な問題をこのブログで論じてみても、特に新しい解決策があるわけでもなく、どうなるものでもないことは解っています。しかしやっぱり何か書いておかなければならないと思い直して、自分の頭の整理のために書くことにしました。

プーチンは、クリミアヤ半島と同じような進展を考えて「三日で解決」といって始めた戦争です。しかし2匹目のドジョウはいませんでした。
多くのウクライナ国民はクリミアの失敗の経験を肝に銘じ、ウクライナが自由社会であり続けることを守り抜く強い意識を持っていたのでしょう。

そして結果はロシアという専制国家と、ウクライナを象徴の戦場とする、自由世界と独裁専制国家との激突の姿に人類社会を巻き込んだのです。

勿論侵攻する国であるロシアの中にも、自由社会を望む人は少なくありません。しかしゴルバチョフの民主化政策からの日が浅く、プーチンの20年を超える専制国家への回帰の政策の下、ロシア国内からの自由社会への動きは弱く、逆にプーチンの力は強く、ロシア国内の自由社会への渇望は、国外逃避や沈黙・忍耐になってしまったようです。

「核」以前の世界であれば、容易に第三次世界大戦に突っ込んだかもしれないと思うような状態です。独裁専制国家と自由世界がウクライナから発した総力戦という形で世界戦争に発展したとしてもおかしくないのかもしれません。

しかし、ミサイルと核の時代です、そしてロシアは公然と「核」使用を示唆、核を知り尽くしているアメリカは、いかにしてロシアに核を使わせないかが最重要な問題と認識しているのでしょう。

こうして戦争はロシアとウクライナの間に限定され、通常兵器による地上戦が長く続き、その悲惨さに世界中が悲しむことになっているのです。

これは、ある意味では、核の抑止力の結果の悲惨な戦争という事なのでしょう。
それでも核の使用による世界的な惨禍、人類の破滅さえ起こりうるという状況に較べれば、ネクスト・ベストなのでしょうか。

結果的にこの戦争の終結については、世界の専門家も見通せない状態になっているのです。

詮無い事ですが、ロシアがゴルバチョフの思想を継承し、ロシアへの支援を具体化しようとしている中国が、鄧小平の思いを進めていれば、こうした問題は多分起きなかったということが出来るでしょう。

プーチン、習近平という個人が問題を起こしていると考えることも可能です。
1人の人間が広く人類世界にトラブルを齎すのが独裁者です。これからの人類社会は、国のリーダーに、そういう資質の人間を選ばない事がいかに重要か、自由社会を守る民主主義の根本を問う問題でしょう。

そうした意味から言えば、ロシアのウクライナ侵攻問題を解決できるのは、ロシアの国民がプーチンをリーダーの座から下ろすしかないのでしょう。そして、現実はそれが出来ないから今があるという自家撞着の世界なのです。

そして結局は、戦争を主導するプーチンが、何時の日か、自分で自分の考えを変える(どう変えるか解りませんが)まで戦争は終わらないというのが、結末なのでしょうか。
人類社会というのはまだその程度の段階という事で納得するしかないのでしょうか。

極東の一国の市井の一人間として、人類社会の未熟さを嘆くばかりです。

世界史に果たすプーチンの役割

2022年11月14日 11時38分44秒 | 国際政治
人類の歴史は権力の興亡、その興亡を引き起こす手段としての数多くの戦争で彩られてきていることは残念ながら認めなければなりません。

地球が人類にとってそんなに広いものではないことが解ってからも、第一次世界戦争、第二次世界戦争という二度にわたる世界戦争を経験し、その最後には日本に2発の原爆が落ちることになりました。

そして、最終兵器と言われる原爆は人類そのものの存在を否定する可能性すら持つと言われ、人類の平和共存へ意識は強まり、日本のように戦争放棄を憲法で謳う国も出て、戦争より平和、その中での経済開発という「競いの文化」意識は急速に広まったようです。

然し人間の本性はそう簡単に変わらないのでしょうか、「競いの文化」より「争いの文化」を好む人もいて、自由な思想、民主主義の政治体制を、力でリードする機会を狙う動きも残っています。

自由世界が一般化する争いのない社会が進む中で、ポピュリズムを活用して独裁的な行動を選んだり、軍の力を握って独裁者となるリーダーなどの残存が近年一部ですが目立つようになって来ていたように思います。

その、最も極端な例がプーチンでしょう。
プーチンについては、改めて述べる必要はまったくないと思いますが、ロシア帝国、ソビエトロシアの復活と自らがその皇帝の地位に就こうという願望に従って、1億5000万のロシア国民を意のままに動かすことを考えているようです。

世界トップの数の原爆を保有し、20年以上もかけて作ってきた自らの統治機構を利用して、その可能性に賭けたのでしょうが、その時代錯誤は民心よりずっと遅れてしまっていて、すでに多くの民心は離れ、軍や官僚の一部に支えられた危うい存在でしょう。

期待した軍事力は弱体化、最後の手段は核戦力と「原爆」で世界を脅してみても、それは自殺行為と解っていてのことでしょう。

先の事は解りませんが、これからも多分人類の世界史は、長く長く続くでしょう。その中でプーチンは、独裁性が人類を幸せにしないという事を最終的に「駄目押し」したリーダーという事になるのではないでしょうか。

その日が出来るだけ早く来ることを願って、世界人類はそれぞれの形で、協力し努力すべきでしょう。

岸田首相、国連総会で安保理改革について訴える

2022年09月21日 15時51分04秒 | 国際政治
国政の中ではこの所、信念不明確、内容不明瞭、言語不可解といった不安、不信の印象を受けてしまうようなことの多い岸田首相です。

ところが、今回の国連総会での一般討論演説には目を瞠るものがあったようです。
報道によりますと、岸田首相は、国連の安全保障理事会の常任理事国であるロシアのウクライナ侵攻問題をズバリ指摘し、これによって、国連のへの信頼が危機に陥っていると指摘したとのことです。

ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国ですから当然、世界の安全に責任を持つ立場にあるわけですが、設立当初から、常任理事国5か国は拒否権を持っています。

という訳で、ロシアは世界の安全を保障する立場にありながら、隣国ウクライナに侵攻し、安全保障理事会が、侵攻すべきでないと決議しようとしても、ロシアが拒否権を使えば、その決議は成立しません。

安全保障理事会の常任理事国は第二次世界大戦の戦勝国5か国(米英仏露中)ですが、第二次世界大戦は日独伊という3つの軍事独裁国との戦いに勝った5か国のうち、ロシアと中国は、今や軍事独裁国になっていると言われています。

この二国が拒否権を持っている安全保障理事会常任理事会は今や、独裁国と戦ってしょうりをおさめた国5か国で構成する世界の安全のための組織ではありえないのです。

岸田首相の演説はこの事実を明確に指摘し、今や、世界から信用される組織ではなく、その主因は、国連の運営に絶対的な権限を持つ安全保障理事会の機能不全の現状を引き起こしているロシアの行動の誤りを明確に指摘したとのことです。

その上で、今こそ国連は国連憲章の精神に立ち帰り、力と英知を結集して改革を実施しなければならないと檄を飛ばし、国連改革への具体的着手を呼びかけています。

国連安全保障理事会は常任理事国5か国に加えて非常任理事国が10か国あります。合計15か国が安全保障理事会のメンバーで日本も入っています。
15か国が、多数決で決めても常任理事国一か国が拒否権を行使すれば何も纏まりません。

問題のカギは多分安保理常任理事国の拒否権でしょう。安全保障理事会が多数決で決まるようになれば、世界の安全は大幅に進むのではないでしょうか。

戦後日本は、国連加盟以来、国連中心主義を一貫して国是としてきたはずです。岸田首相が改めてそれを国連総会の場で確認したことは日本外交の一貫性を明確にしたことです。
発言のタイミングはベストでしょう。これからの日本の国連外交がこのレールに乗った力強いものであることを願うところです。

ウクライナへのロシア侵攻の終わり方を考える

2022年08月24日 14時37分58秒 | 国際政治
理不尽で、悲惨を極める戦争がプーチンの手で始まって半年たってしまいました。

ウクライナでは、平和な日常を楽しみ、戦争など夢にも考えなかった多くの市民を含め、何万人もの犠牲者が出ているのでしょう。
戦争を仕掛けたロシアでも軍人・兵隊を中心に何万かの戦死者が出ていると言われています。

ロシアは豊かな天然資源を持ち、それを活用すれば、些細な領土拡張で巨大な犠牲を払ううような事などしなくても、国民の豊かな暮らしを容易に実現できる国です。

それなのに、こんな不合理な戦争を仕掛けるのは、多分プーチン一人の異常な歴史的錯覚によるのでしょう。
そしてそれについていくのは、プーチンが戦争に勝てば、多分自分も出世できると考えているごく一部の取り巻きでしょう。

大部分のロシアの人達は、独裁者プーチンのプロパガンダに騙され、ロシアは戦争に勝たなければならないと信じたり、訳も分からずに兵として戦場に送られたり、反対すると怖いので押し黙っていたり、戦争を避けて国外に脱出したりというのが実態でしょう。

世界の多くの人々にも解っているのは、これは「プーチンの戦争」だという事でしょう。
そしてそれは、「偽装民主主義」によって、国民もこの戦争を望んでいるという「建前」に封殺された「仮装世論」支えられているのです。

これまでの経緯を見れば、自由世界は、敢えて巨大な犠牲を払ってでも、ロシアを倒すことで「プーチンの欺瞞」を白日の下に曝すという努力でしょう。
そして半年が過ぎ、人的犠牲はまだまだ増えていくことになる様相です。

ならば、「プーチンの欺瞞」を白日の下に曝すために、より犠牲の少ない方法はないものでしょうか。そう考えてみる必要もあるように思われるのです。

プーチンを選んだのは、形式的には「疑似民主主義」に則る選挙です。
その意味では、プーチンをその野望の座から降ろす事の出来るのは、基本的にはロシア国民の覚醒した総意でしょう。

恐らく、国民の偽らざる「本音」を誤りなく吸い上げれば、結果はかつてのデモが示したように「プーチンの選択はよくない」となるのではないかという気がしています。
若者の犠牲者が累増していく中で、その傾向はますます進んでいるのではないでしょうか。

いずれにしても、プーチンが戦争を仕掛ける限りにおいてそれへの対応は不可欠でしょう。
しかしそれと同時に、情報化社会のあらゆるメディアや情報戦略を活用し、ロシアの国民に世界の輿論「これが今の世界の正常な認識なのだ」とプーチン否定の現実を、出来るだけ早く理解してもらい、その理解を覚醒した国民の活動に積極的に前進させるような徹底した情報提供、説得活動が極めて大事ではないでしょうか。

ロシア国民が、自らの力でプーチンをリーダーの座から降ろすことが出来れば、それはロシア国民が、その心根において自由世界の仲間であることの証明でもあります。

ロシアが悪いのではない、プーチンが悪かったのだという単純な真実が明らかなることで、世界に平和が取り戻せえれば、後世ロシアの人達は最善の選択をしたという事で何のわだかまりもない平和が実現するのではないでしょうか。

戦争真っ只中の終戦記念日

2022年08月17日 14時13分27秒 | 国際政治
今年の8月15日は、日本にとっての77回目の終戦記念日でした。

ロシアのウクライナ侵攻という、人類社会としてどう考えても理不尽な、プーチンといいう人間の、多分ほとんど個人的な異常な欲求によって始まった戦争の「真只中」という事になっていまいました。

この戦争は、理不尽さが目立つだけではなく、第二次大戦後のどの戦争よりも世界中が心配する様な要素をはらんでいるように思います。

それは、戦争を仕掛けた国が、国連の「安全保障理事会」の常任理事国であり、恐らく世界最大の核弾頭の保有国であり、しかも、その立場を利用して、核の使用も辞さないような発言で世界を威圧するといった様相すら見せているからです。

既に人類の大部分は、第三次世界大戦が始まれば、それは核戦争になり、人類社会は滅亡の可能性すらあるという事を知悉しているのです。

その中で、世界の安全を保障するための組織である『国連「安全保障理事会」の5か国の常任理事国のうちの一国がこの戦争を仕掛け、核を以て世界を威圧すような発言をし、さらに、もう1つの常任理事国の中国は、その行動に異を唱える事を控えているのが現状です。

結果的に、「核の抑止力」という概念は無意味なものになるのではないかとの危惧が生まれ、世界人類が核の危険を実感するという危機感を持つというのが今日の状態ではないでしょうか。

その中で日本としては、平和憲法を掲げ、世界の平和を希求するという国の在り方を、いかに世界に能く示し得るかが試されているはずです。

今年の終戦記念日のテレビでも、マスコミ等での多くの発言や街頭でのインタビューに対する夫々の個人の切実な思いなどが多くありましたが、世界の現状を背景に、数多くの、様々な日本人の平和への希求の強さが、殊更に感じられたのではなかったでしょうか。

戦争は最も野蛮な行動、戦争ほど馬鹿馬鹿しいものはない、戦争の齎すのは破壊だけ、といった人間としての強い意志表示が多かったように感じています。

こうした個人個人の意思、そして発言がどれだけの力を持つのかは解りません。また日本という極東の小国の発言や行動の影響力が如何ほどのものかも解りません。
しかし、第二次世界停戦で国として大きな誤りを犯し、国土がほとんど灰燼に帰すような悲惨と苦難を経験し、就中、2発の原爆の現実の被爆国として、戦争の惨禍と無意味さを、魂の底から悟り、世界平和の希求を国是として再出発した日本です。

この経験を、もう人類としては終わりにしようという意思は広島の原爆記念公園にも確りと彫り印されています。

日本としては、自分の国の「終戦記念日」を世界史の「終戦記念日」に繋げられる様、二国間関係でも、多国間関係でも、特に国連活動の中でも、あらゆる機会に、あらゆる努力をしていくことがその役割ではないでしょうか。