tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

成長経済回帰への具体策 その5 日本は何をすべきか-2

2010年05月30日 13時39分57秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その5 日本は何をすべきか-2
 前回、日本の歴史の中で、素人考えですが、日本人がそれなりに満足していた時期もあったのではないかと書きました。
 その時代の上流階級などは、世の中平和で、物質的にもこれで結構と思っていたのかもしれません。

 しかし今の人間から見れば、「世の中というのは、もっともっと進歩して、豊かに快適なるのですよ。 その程度で満足していてはダメですよ」という事になるのでしょう。
 平安時代の駕籠や牛車で移動するのと、今日の新幹線や飛行機で移動するのと、どちらが人間にとって良いかという問題については種々議論もあるでしょう。しかし人間は否応なしに後者を選んできたのです。

 おそらく、人間は従来と同じ行動を繰り返して「進歩」していくのでしょう。人間は、より豊かさと快適さを求め、半面で環境問題などを引き起こし、その解決を求めて更なる快適な社会の実現に進むしかないのでしょう。生態系の一環である人間の存続と社会の進歩を両立させるための基本概念は「サステイナビリティー」、つまり「持続可能性」です。

 我々が平安時代や江戸時代を見るように、何百年か後の人たちが、今の日本人を見れば、「世の中はもっともっとこんなに変わるんですよ。そんなところで立ち止まらずに、もっと確り前に進んでください。」と言うことでしょう。

 どらえもんに聞かなければ解らないこともありましょう。しかし我々にも十分解っていることもあります。
 増加するエネルギー需要のクリーンエネルギーによる充足、地球環境のための脱化石燃料社会の実現 、ますます不足が予想される真水資源確保のための水浄化技術などなど、これらはまさに今の人類社会にとって喫緊の課題です。

 そしてこうした技術において先端を走り、真っ先に人類社会に貢献できる、その最も近いところにいるのは日本ではないでしょうか。

 経済活動というのはその社会の人々が、何か目的を持って動き出した時に活発なるものです。財政政策や金融政策でお金さえ出せば経済が活発になるといった「昔懐かしい 」経済理論はヤメにして、日本人が、いま、世界経済社会の中で何をすべきかを見定め「日本の為すべき事」を明示して、国民の意思のベクトルを揃える様な政策が必要なのでしょう。

 望まれる経済政策の役割とは、先ず、国民がその気になるよう、進むべき方向を明示することでしょう。


成長経済回帰への具体策 その4 日本は何をすべきか-1

2010年05月28日 11時54分26秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その4 日本は何をすべきか-1
 周囲の人たちによく質問をします。「何か買いたいものありますか?」ほとんどの方がしばらく考え込んでしまします。そして「差しあたって、特にないですね・・・」 「テレビもデジタルにしたし、車も、これが最後のマイカーだと思ってハイブリッド車にしたところだし・・・」

 エコ減税や補助金、エコポイント は結構効果があったようです。「エコポイントが住宅リフォームにも広がったから、少し家を直そうと思っている」という人もいます。
 多くの人たちは現状でそこそこOKと言うところなのでしょうか。「将来不安まで考えたらキリがないけどね。マア、政府が何とかやってくれるでしょう・・・。」

 日本では「現状はまあまあ、しかし将来はわからない。その頃、俺はもういないよ。冗談、冗談。」と言うのが一般的で、一方、途上国へいくと、「現状は厳しく、大変。しかし将来は明るい(と信じている。)」という人が多いようです。考えてみれば戦後の日本もそうでした。

 多分、いま、日本は経済発展の踊り場にいるのでしょう。何故踊り場になってしまったのかというと、ひとつには、それなりに豊かになったという事もあるでしょう。それにもうひとつは、プラザ合意以降の失われた10年20年の間、日本経済は、あまりに巧くいかないことばかりなので、やる気をなくしてしまった、という事もあるでしょう。

 日本には、歴史的にも、こういう踊り場はあったように思います。(歴史の専門化には笑われるかもしれませんが)平安時代とか、室町時代とか、元禄時代とか言われる時期はそうだったのではないでしょうか。
 その時代の生活レベルは、今に較べれば大変低いのですが、その時点では、それなりに豊かで、人々はその生活をそれなりに楽しんでいたのでしょうか。そういう時、日本では、いろいろな「芸術・文化」が花開いています。

 今、日本は経済成長はダメです。しかし、J-ポップ、アニメ、ゲームソフト、ジャパニーズ・クール、日本食文化などなど、日本からの文化の発信は今までにない強さと広がりがあるようです。

 これもひとつの方向です。日本人のエネルギーレベルの高さは、常にどこかに噴出口を求めているという事でしょう。

 「まあ経済は一休み」と言ってしまえばそれまでですが、これまで経済、経営に入れ込んできた人間としては、経済もなんとかなって欲しいと思ってしまいます。
 日本人にはそれが出来るでしょうし、世界も多分それを必要としているのではないでしょうか。


成長経済回帰への具体策 その3 賃上げで景気回復は?

2010年05月27日 10時22分42秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その3 賃上げで景気回復は?
 国際金融の混乱はまだ続きそうですね。巨大資本力とノーベル賞級の金融テクニークを持っていて、キャピタルゲイン獲得のために相場の乱高下を期待(演出)する人たちがいるようですから、そう簡単ではないでしょう。

 ドイツでは、真剣に空売り規制や過剰なヘッジ、デリバティブの禁止などを検討しているようですが、ボルカールールには米国内でも異論も多く、金融規制はなかなか進まず、Naked Short Selling (ハダカ空売り)などが、平気で行われるような状況のもとでは、何かちょっとしたことが原因で、まさに「一犬虚に吠えて、万犬実を伝う」のような経済混乱は避けられません。

 ここでの問題はそのトバッチリの円高で、まともに悪影響を受ける日本経済です。ということで、話を実体経済に戻して、日本の消費拡大問題です。

 労働組合にも時々ありますし、評論家にもありますが、消費を増やしたいのだったら、賃上げをすればいいではないかという主張です。「所得が増えないのに、消費を増やすわけがない」といわれれば、「そうか」と思う方もおられると思います。

 経済の拡大過程ではそうした場合もありえましょう。しかし、今問題になっているのは、生産したGDPはきちんと分配しているのに、それを「使い残している」という問題です。

 具体的に考えて見ましょう。今の企業は高度成長期のように、見込み生産をしません。需要があってはじめて生産をするわけです。今の状況では、企業が利益を削って賃上げをしても、需要はあまり増えそうになく、それでは、企業も、日本経済も自滅です。

 今の日本経済にとっては「はじめに需要ありき、需要は神なりき」(はじめに言葉ありき、言葉は神なりき:聖書)でないと、とても動かないといったところでしょうか。

 人類の生活の最初は採集生活でしょう。需要は人間とともにありますが、生産は、「需要するもの」が手に入らないところから始まります。黒マグロもウナギも、需要があれば、養殖の研究開発が進み、需要の充足が目指されます。

 必要なのは、消費者が、欲しいものを持つことです。消費者の需要があれば、生産(企業が担当)はついて来ます。

 では今、消費者は、何を欲しがればいいのでしょうか。もう、そんなに欲しいものはないよ。現状で十分満足といった声も聞かれるこのごろです。


成長経済回帰への具体策 その2

2010年05月25日 12時01分09秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その2
 ドイツではIFO研究所のエコノミストがドイツ経済の安定を強調し、ショイブレ財務省は金融機関は産業に資金を供給する役割を果たしていないと述べ、BMWは黒字回復の予想を示すなど、国際金融が経済を撹乱する中でも実体経済の重視とそれへの自信を示しているようです。

 前回も触れましたように、ユーロ安はドイツ経済に大きなプラスでしょうし、そうした中で実体経済重視の視点を確り持っていくことは大変大事ですし、いかにもドイツらしいと感じます。

 日本の場合は、そう簡単ではありません。円高の負担は、大きくのしかかってきています。評論家たちはFXの立場ばかりで、実体経済には、あまり関心がないようにも見えるほどです。

 しかし日本は、とても国際金融で飯を食う能力はないでしょう。それは金融ルールの主導権を取れない限り不可能でしょうから。
 矢張り日本は「実体経済」を発展させることで、経済を発展させ、雇用を維持していかなければならないのでしょう。
 
 そうした視点から改めて、実体経済の回復のための具体策を考えて見れば、先ず、自分たちの生産したGDPを使い残さないことから始めるべき、つまり、お金を余して金融(対外資産)に回すより、消費支出に回して国内経済活動の活発化に役立てるべきだという事になるはずです。

 今年度使い残すはず(政府経済見通し)の15.8兆円を、先ず国内の経済活動に使いましょう。そのためには、従来も述べてきましたが、大きく2つの方法があります。
○ 1つは、政府が更に15.8兆円国債を増発して、政府支出で使いきる方法
○ 2つは、国民が、自主的に消費支出を増やして使いきる方法

 2つ目のほうが、合理的で健全だという事は誰にもお解りでしょう。
 ところが、いざ「それでは是非使ってください」という事になると、「もう買うものがありません」「今の生活で十分です」「無理に無駄遣いをする気にはなれません」「使うお金がありません」「将来が不安なので貯蓄します」「・・・・・」 といったことになるようです。

 これでは堂々巡りです。経済成長のマイナス要因になるだけです。それでは今のままでいいのですかといえば、「賃金が上がらない」「就職口がない」「年金・医療・介護はどうなる」「将来不安を感じる」「・・・・・」と決して満足していません。

 「体力が落ちできました」 「トレーニングで回復しますよ」 「トレーニングは嫌です」
さてさて、コーチ(政府)の採るべき政策は・・・・・?


ユーロ相場下落の読み方

2010年05月19日 09時27分08秒 | 経済
ユーロ相場下落の読み方
 ユーロの相場が大幅に下落して、世界経済の大変不安定な状況をもたらしていることが報道されています。
 GDPで言えば、僅かユーロ圏全体の2.5パーセント、日本の神奈川県ぐらいの経済規模の国の経済問題が、何故世界経済を不安定にするほどの影響を持つのか、実体経済の規模をベースに考えれば、奇妙な話です。

 もちろん、ギリシャだけでなく、PIIGSなどといわれるように、他の国に波及する心配が言われたりしていますが、ただ心配していてもしょうがないことで、EUやIMFも、当該国も、世界経済に迷惑をかけないように出来るだけ早く手を打って世界中を安心させるのが筋でしょう。

 世界経済が安定してしまってはビジネスチャンスがなくなる国際投機資本にとっては、何とか不安を煽って、相場を乱高下させる事が多分目的でしょうから、まさに思う壺かもしれませんが、実体経済の上に成り立つ国際経済機関や共同体の政府、各国政府、さらには経済学者や経済評論家も、相場の乱高下を演出する国際投機資本が巨利を得たり、無用な経済的混乱を招いたりしない様にもっともっと頭をひねり、汗もかくべきでしょう。

 ギリシャがEUに入っていなければ、ギリシャのドラクマが暴落して、ギリシャの責任で解決される問題といった論評もあり、確かにそうでしょう。しかし計算すれば、ギリシャの赤字がユーロ圏という40倍の経済規模に拡大された場で起こるのですから、40分の1に薄められるはずです。なのに、現実に起こっていることはユーロ圏全体が潰れるのかと思わせるような激震です。

 本当にそんな危機なのでしょうか。ギリシャ以外のユーロ圏の国では2割近いユーロの下落で、国内コストがそれだけ下がります。 そしてその分だけ国際競争力が急激に高まっているはずです。丁度、日本の円が現時点で110円ぐらいに円安になったようなものです。コスト高で悩んでいたユーロ圏主要国にはまさに干天の慈雨ではないでしょうか。

 実体経済とかけ離れたこうしたおかしなことが起こるのも、実体経済に関わるマネーよりも、異常に巨大な国際投機資本が、さらにレバレッジを効かせたり、さらには『空売り』(特に"naked" short selling)で、マネーマーケットの動きを大幅に増幅するからでしょう。

 金融の果たすべき役割は、実体経済に奉仕すること、実体経済の安定的発展に役立つ事がその本来の目的という金融のあり方の原点を、世界中の関係者がもっともっと真剣に考えるべきではないでしょうか。アジア金融危機、サブプライム・リーマンショック、日本では土地バブル、教訓はいくらでもあります。


成長経済回帰への具体策 その1

2010年05月17日 16時18分12秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その1
 前回、成長経済を取り戻す方法の基本線について書きました。「理屈はそうかもしれないが、どうやってやるの?」というご意見もあろうかと思いますので、具体的方法論を検討し行きたいと思います。

 最初の命題は、「GDPを使いきること」です。今年度の『政府経済見通し』を見てみましょう。平成21年度のGDPの実績見込みは473.1兆円、22年度の見込みは475.2兆円で、名目成長率0.4パーセント、実質成長率は1.4パーセント(GDPデフレーター、つまり物価上昇率がマイナス1.0パーセントで、1パーセントのデフレ経済を予想しています。

 何故、デフレから抜けられないのかといいますと、経常収支黒字15.8兆円(GDP比3.3パーセント)という見通しで、折角のGDPを3パーセント以上も使い残すことになっています。円は最も堅実な通貨であり続け、平均円レートは$1=¥89.1で、円高が進む見通しです。

 政府経済見通しは、今までの縮小均衡・デフレ路線の延長そのものです。これでは日本経済に救いはありません。
 ここでの提言は、GDPの中で使い残す予定の15.8兆円を、国民(家計)の協力を得て、全額消費の拡大に向けることです。それができれば、民間消費支出と住宅投資の合計が、政府見通しの296.6兆円から312.4兆円に増え、国内民間需要が5.4パーセント増えます。

 単純計算ですから、ピッタリ正確とは行きませんが、ほぼそんな形でしょう。経常収支はプラマイ・ゼロ。多分円高傾向は止まり、GDPデフレーターはゼロ近傍、デフレはなくなるという見通しに変わります。日本経済は、ようやく内需中心に舵を切れたことになります。

 経常黒字が国内民間需要に切り替わったことの経済効果は、金利水準と付加価値率の差だけGDPを拡大させますから、経済成長は政府見通しより大きくなることになります。

 問題は、どうやって国民(家計)にお金を使ってもらうかです。政府の知恵の出しどころでしょう。この問題は、経済学の問題ではありません。社会学の問題であり、政治学の問題です。
 国民に健全にカネを使ってもらう、このブログでも触れましたように、エコカー減税やエコポイント もそのための方法としてかなり効果を上げたようです。

 しかし本当に大事なことは、「日本の場合、今の国際経済情勢の中では、GDPを使い残さないことが、成長経済への復帰のためにどうしても必要なのだ」という理解と認識を、国民が共有することでしょう。


経済成長を取り戻す方法 その10 活性化への正攻法

2010年05月14日 14時19分37秒 | 経済
経済成長を取り戻す方法 その10 活性化への正攻法
 これまでの日本経済の分析から考えていけば、今の日本経済が元気を取り戻すのは、経済学の教科書が教えるような金融政策と財政政策でないことは明らかでしょう。従来の経済学は、現状が証明しているように、ほとんど無力です。

 ということですから、ここでは新しい社会経済学 による経済活性化の方法論を考えて見たいと思います。
 先ず簡単に「あらすじ」だけを整理して見ましょう。方法論の検討は後からです。

出発点は現状の日本経済です。
① GDPの使い残しをなくす。これは言い換えれば、経常黒字を出さないようにすることです。
② それを先ず消費拡大中心に行う。消費が先行しないと成功は不可能です。
③ 消費拡大は賃金水準上昇ではなく、消費性向の上昇で賄う。貯蓄ゼロを目指すわけです。

それが出来れば、効果として
④ 貯蓄分(GDPの2~4% )だけ「消費拡大」つまり、経済成長率押し上げの効果があります。
⑤ 経常黒字がなくなるので円安効果が現れ、そして多分金利上昇効果も出ます。

そこで何が起こるでしょうか。
⑥ 円安効果でデフレがなくなるでしょう。
⑦ ゼロ金利状態からの脱出が可能になるでしょう。(金融政策復活の可能性も)

そしてその結果、
⑧ 消費拡大と円安で企業活動は活発化することになります。
⑨ 売り上げ増大、付加価値増大は経済成長(まず消費拡大分の2~3%)を意味します。
⑩ 経済成長が始まれば、日本経済は正常な回転を始めるでしょう。

あとは、収益増加、賃金上昇、消費と投資のバランスをとって成長路線を目指せる正常な経済活動の継続になっていくでしょう。 ただし、万年経常黒字には要注意です。(また円高で苦労する可能性があります)

 すべては過度の円高 で、デフレに起因する縮小均衡経済に入ってしまったことが発端です。円高がなくなり、デフレがなくなれば、問題のほとんどは自然に氷解することになるでしょう。

 さて、何から手をつけ、どう始めればいいのでしょうか。
   (この推論の過程で、「ここがおかしい」と思われる所がありましたら、コメント欄でご意見など頂ければ幸甚です。)

経済成長を取り戻す方法 その9 負の循環を引き起こしたもの

2010年05月11日 11時51分06秒 | 経済
経済成長を取り戻す方法 その9 負の循環を引き起こしたもの
 かつて、「為替レートとゴルフのハンディ」というタイトル で書きましたが、その例えを引いて、このところの日本経済が「何故、さえない状況を続けているのか」を考えて見ましょう。

 プラザ合意の前の日本経済は、為替レートの実力は、$1=¥200ぐらいだったのでしょう。実際のレートは240円、丁度、練習で実力を上げ、実力ハンディ20のゴルファーが登録ハンディ24でプレーしているようなもので、入賞、優勝も当たり前といった状態でした。

 あまり勝つので、プラザ合意で「お前のハンディは以後12」と決められてしまいそれから10年以上(失われた10年)全く勝てないようになりました。
 それでもトレーニングを積んで、2000年から2002年ごろには何とか実力ハンディ14~13ぐらいになり、そろそろ入賞も夢ではないところまで来ました。

 こうして、日本経済も部分的には多少の上向き状態になり、「調子のいい時には上位に顔を出す」という、だらだら景気上昇の「いざなぎ越え」の時期を迎えました。
 競争力の強い企業は良いが、多くの一般企業ではまだ不況感、とても景気回復とはいえないといった程度の経済状態でした。

 それでも、リーマンショック前には、何とかハンディ12($1=¥120)でもやれそうな実力に到達するかなという事になっとき、サブプライム問題、リーマンショックで、今度はハンディ9($1=¥90)でやれよという事になったわけです。
 水面に顔を出せるかと思ったら、また水中に引き戻されるといった感じです。

 さらに、今回のギリシャ問題で、$1=¥80台の可能性がチラッと見えました。国際金融市場は、なかなか日本を水面に出してくれません。日本経済はだんだん弱ってきています。

 何故こんな事になるのでしょうか。理由は、日本経済が逆境の中でも常に頑張り「必ず何とかする、日本は当分PIIGSにはならない」という海外の認識があるからでしょう。頑張りが仇となって逆境(円高)を強いられる状態です。

 日本国民がその貯蓄で国債を買い続ける限り円にデフォルトの危険はなく、何かあると国際投機資本は円に逃避する、円高になる、という図式ではないでしょうか。 郵貯の預け入れ限度がつが2000万円になり、郵貯の豊富な資金が国債を買えば、それを助長しそうです。

 これでは日本経済は永遠に水面下です。ここから如何にして脱出するかを考えるのが今必要な経済政策でしょう。


ギリシャ・ユーロ・国際投機資本

2010年05月07日 11時50分31秒 | 経済
ギリシャ・ユーロ・国際投機資本
 ギリシャ問題で、世界の経済がゆれています。

 ゆれているといっても、実体経済がゆれているわけではありません。日本の状況を見てもそうですが、企業の決算状況が発表され、まあまあ順調な回復基調が見えてきているように思えます。

 それなのに、株価は毎日暴落を続けています。この一両日の株価の動きは実体経済と関係ないことが明らかです。アジア経済も、世界経済も、何とかリーマンショックから立ち直って、まともな動きをはじめようと努力しているところです。

 ギリシャの財政状態が不安になっても、それはユーロ圏やIMFが協力すれば、そんなひどいことにはならない程度の規模でしょう。実体経済に注目すれば世界を震撼させるような巨大な問題ではありません。

 問題は、この問題を捉えて、あぶく銭を儲けたい国際投機資本が、針小棒大に危機感を煽り、PIIGSなどといわれる他の国にも飛び火したら大変などといいううわさを撒き散らして、自分たちに有利な投機環境を整えようとしていることです。

 投機マネーは、マーケットが平穏では仕事になりません。乱高下があってこそ、ビジネスチャンスが生まれるのです。ですから乱高下を起こしたいわけです。ギリシャという火種を利用して、ユーロを売りぬき、ユーロの下落で巨利を得る事を当然考えるでしょう。現にユーロは大幅に下がっています。多分空売りのせいでしょう。
 自分たちの手で問題を起こしそれで利益を得る。それはインサイダー取引よりも悪質です。

 問題は、投機資金が巨大( レバレッジ過大?)なため、行きすぎた投機の動きが実体経済の正常な活動をマネーマーケットを通じて破壊することです。実体経済を犠牲にしてあぶく銭を儲ける動きが再び起きつつあることは明らかでしょう。G20の投機抑制の申し合わせはどうなっているのでしょうか、ボルカー・ルールの適用はどうなっているのでしょうか。

 ユーロ下落で、ドイツを始め、ユーロ圏各国は、大幅なコスト低減で、国際的には大変有利な状態になっていると思います。それによる実体経済の回復、そのシナリオを明示することで、無用な危機感を煽ってキャピタルゲインを稼ごうとする投機資本の思惑が実現しなくなるような、賢い政策は取れないものでしょうか。

経済成長を取り戻す方法 その8

2010年05月06日 10時38分50秒 | 経済
経済成長を取り戻す方法 その8
 前回は半分冗談ということで、日本の財政が破綻するという思惑で円安になり、その結果、日本経済はコストが下がって、経済が回復するという「結果オーライの経済回復」の可能性を書きましたが、国際投機資本が、もし、日本の財政の不健全さを警戒して、円売りに転じたら、この結果オーライのシナリオは、実現の可能性が出てくるでしょう。

 問題は、日本の財政の不健全化を、国際投機資本が、どの時点で、どう判断してくれるかでしょう。日本人は財政が不健全化しても、一層節約志向になるだけで、どんなに貧しても、GDPの範囲内で生活し、経常赤字は出さないと判断し、円売りをしなければ、日本経済は、赤字財政深刻化の中でも、円高が続き、縮小均衡で弱体化を続け、ジリ貧、再起不能になっていく可能性もあるでしょう。

 これが最悪のシナリオです。気がついたときは、二流、三流の国に成り下がっている、技術面でも国民の気概においても、アジア諸国に追い越され、回復が容易でないレベルまで退化した国になっているといいうシナリオで、一部の経済評論家などが言う「国債価格暴落、金利急上昇、財政破綻、ハイパーインフレ、・・・・」などというのはこのシナリオの延長線上という事でしょう。

 しかし、ここまで行くためには、日本人が本物の心神耗弱状態にならなければならないのでしょうから、多分そういう事にはならないでしょう。
 日本人が真面目に国の将来を考え、気概を持って、人材の育成と技術の開発に取り組んでいる限り、どこかでこれまでの失敗に気づき、発展へのシナリオの構築に改めて取り組もうと努力を始めるはずです。

 もちろん、この取り組みは、早いに越したことはありません。日本経済の体力、技術力の消耗が少ないうちに新しい取り組みを始めれば、それだけ有利という事になります。

 今、企業の決算状況を見ても、ようやく、リーマンショックを克服し、収益向上の先行きが見えてきています。
 この機に乗じて、新しい日本の成長サイクルの路線に乗り換えるシナリオを描き出し、タイミングよくそれに乗り換えていくことが、まさに肝心ですし、今がそのチャンスのように思えます。

 そのために一体何が必要なのか。100点満点の答があるかどうかは解りません。しかし確率の高い仮説を立てて、実験をしてみることは可能です。巧く行ったら万歳、100パーセント巧くいかなくても「今よりはよくなる」といったシナリオを考えてみようではありませんか。