tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

カナダG20も具体策なし?

2010年06月30日 13時44分19秒 | 経済
カナダG20も具体策なし?
 今回のG20では、世界経済については「黒字国に内需拡大を要請する」みたいなことで何となくまとめてしまったようです。
 多分、急いで現状を改革することは、困難で、どの国も積極的発言は避けたいという事なのでしょう。

 気持ちは解りますが、アメリカという巨大なキリギリス(経常赤字国)の意識改革 は、アメリカ人がその気にならなければ出来ないでしょうし、中間選挙もあってアメリカ政府もアメリカ人も、当分その気にはならないでしょうから、現状はなかなか変わらないでしょう。
 
 さらに前回も触れましたが、アメリカ以外の国々も、アメリカが経常赤字をたれ流しながらも内需拡大で成長率を高めてくれれば、対米輸出が伸びて、自国経済にプラスだと、アメリカの景気回復を(国際経済バランスなどは棚に上げて)歓迎しているような様子が見えるのですから、これはますます容易ではありません。

 経常赤字国が悪いのか(ギリシャの場合は悪いことになっていますが)、経常黒字国が悪いのか、どちらが責任が重いのか、国際政治論議は、国々の「力」が決定的な役割を演じているように見受けられます。国際政治とはそういうものなのでしょう。

 しかしだからといって、それをそのまま放置していいということではないでしょう。人類も、それが作っている国際関係も、進歩して行かなければならないのです。それは人類が歴史の中で選んできた「人類のあり方」です。 それを無視するべきではないでしょう。

 個人や家庭の単位で見ても、地方自治体でも、国でも同じです。収集と支出をバランスさせないとトラブルのもとになります。トラブルを避けるのは人間の知恵でしょう。

 残念ながら、今の日本は国際的なリーダーシップを取れるような資質も力もありません。日本に出来ることは、先ず自らを律して、世界に見本として見せることぐらいでしょう。
主要国が日本を見て、やっぱりそうすべきだと気が付いて、次第にその気になってくれるのを待つという事でしょうか。

 日本は率先して内需拡大をして、万年経常黒字を解消し、いつかG20で、「日本はこうして経常黒字を解消しました。経常黒字国も、赤字国も、みんな収支バランスの回復に努力しましょう。やれば出来るのです。」ぐらいの提言ができる程度になってみたいですね。


これから必要になる経済政策

2010年06月22日 11時45分54秒 | 経済
これから必要になる経済政策
 前々回、アメリカの万年経常赤字の是正に必要なのは「生活スタイルの見直し」ではないかと書きました。 実は、これは経常黒字国も、経常赤字国もともに考えるべき問題です。

 日本は、プラザ合意後、アメリカから「内需拡大」をいわれ、金融の超緩和で、バブル経済を招いて大失敗をしました。必要な経済政策が何か解っていなかった証拠です。

 この状態は、今も続いています。クリーンエネルギーへの補助金、エコカーの補助金や減税 エコポイント の実施など、多少の政策の進歩はありますが、高速道路の無料化や子ども手当が、本当に内需拡大になるのかわからないままに、政策を打ち出し、迷いに迷っている政府の様子が見え見えです。

 国民も何とか現状を抜け出したいと思って真剣です。かつて「これを言い出したら政権が変わる」と信じられていた消費税増税が「与野党から共に」打ち出され、国民も、一部は、日本の財政や経済の健全化のためには「こうなったらやるしかないのか」と納得し始めています。

 しかし、消費税増税は、国民と政府間の経済バランス(国内バランス)は改善しますが、海外とのバランス(国際バランス)の改善とは必ずしも関係がありません。
 消費税率が上がって、国民が一層堅実な生活を考え、消費を切り詰めるようになれば、経常収支黒字は続き、国際バランスは改善しません。日本人の場合、その可能性が大きいでしょう。

 一方、アメリカの経常赤字の改善には「過剰消費」の是正が必要ですが、アメリカの消費が伸び、雇用が改善すれば世界経済にプラスと信じられている今日の状況の中では、アメリカ人のライフスタイルが改善する気配は感じられません。アメリカという巨大なキリギリスは容易に変わらないでしょう。

 では、どうすればいいかですが、世界経済の中で、経常黒字国と経常赤字国が発生することは当然です。問題は「万年黒字国」と「万年赤字国」をなくし、中、長期的には、各国が経常収支をバランスさせることに責任を持つべきだという原則を経済学の基礎知識として、世界中の政府やエコノミストが確認し、国民にも常識として周知することでしょう。もちろん時間はかかります。

 そしてそのためには、為替レートの変更や財政政策ばかりでなく、各国の国民自身に、できるだけ、自国のGDPを基準にして、使い過ぎたり、使い残したりすることを、恒常化させない、という努力(生活スタイルの調整)を、意識してもらうことが必要でしょう。

 「キリギリス」になりっぱなしはもちろん、常に「アリ」というのも、決して良いことではないのです。世界経済の安定には正常なバランス感覚が必要という国民への基礎教育が必要なようです。


通貨切り上げで出来ること・出来ないこと

2010年06月20日 12時09分11秒 | 経済
通貨切り上げで出来ること・出来ないこと
 前回の問題を、もう少しはっきり言えば、「アリ型」の国の通貨価値を切り上げることによって、「キリギリス型」の国の経済のバランスが改善する(経常収支の赤字が改善する)のかどうかという問題が、いま、アメリカを始め世界の主要国の政府や金融当局、各国のトップクラスのエコノミストなどが本気で考えなければならない問題だということでしょう。

 ガイトナーさんは、声高に「中国は人民元を切り上げるべきだ」といいます。中国は、やるときは自分の判断でやりますといっていましたが、このほど対ドルの人民元相場の弾力性を高めると表明したようです。

 あくまでも、自国経済の状況(不動産バブルへの対応など)を考えての行動のようですし、人民元切り上げの裁量権は中国が握ることを明確に打ち出しています。「国際投機資本の勝手にはさせない」という意思表示ははっきりしています。
 国際投機資本がどう対応するかですが、多分何も出来ないのではないでしょうか。

 ところで、他方では、中国は、今回、2011年からの所得倍増計画を策定中と発表しました。これは池田内閣当時の日本の所得倍増計画とは違って、「5年間で賃金を2倍にする」としているようで、日本の所得倍増計画が実質国民所得ベースだったのに対し、中国の場合は賃金ベースのようです。

 考えて見ますと、もし人民元を2倍に切り上げれば、国際的に見て中国の人件費水準は2倍になります。しかし、どうせ賃金水準を2倍にするのなら、賃上げを毎年15パーセントやって5年で賃金水準を2倍にしたほうが、国民はずっと喜びます。
 日本のように、「円高で日本の賃金水準は世界一になった」といってだれも実感できなかったのとは違うでしょう。

 中国は、日本の失敗の経験から、極めてよく学んでいるように、私には思われます。
 アメリカの考えている、アリ型の国とキリギリス型の国の国際経済バランスを回復させるために、アリ型の国の通貨を切り上げさせて、競争力を弱くすればいいといったことでは、世界経済にとって大きなマイナスになるだけで、キリギリスはアリにはなりません。

 世界経済にとってプラスになるためには、世界経済のトータルのGDP が増えなければなりません。これには各国の実体経済が健全に成長することが大事です。プラザ合意 で日本を追い込んだように相手国をゼロ成長に追い込んで、自国の優位性を保っても意味はありません。

 実体経済を見ず、マネー・テクニークばかり重視し、自国中心で考えるという最近の経済政策は、「世界の実体経済の繁栄を目指す」という王道へと視点を変える必要があるようです。


国際競争力への誤解

2010年06月16日 11時02分49秒 | 経済
国際競争力への誤解
 正確には、「国際競争力と経常黒字」との関係といったほうが良いのかも知れませんが、ここでの命題は、「日本のように、万年経常黒字の国は、国際競争力が強すぎるからだ。」という世界中に蔓延している誤解を検証することです。

 さらにその上に言えば、現在の中国について言われるように、「巨大な貿易黒字を積み上げているのは国際競争力が強すぎるのだから、人民元は切り上げて当然である。」といった主張は、経済理論としても、現実の経済を理解する上でも、必ずしも正しいものではないという 事を理解してもらうためです。

 経常収支や貿易収支が黒字になったり、赤字になったりするのにはいろいろな原因があります。にも拘らず、多くの国の政治家や経済学者は、「黒字イコール国際競争力」だから「対抗策は通貨の切り上げ」と極めて短絡的に考えてしまう傾向が強いように感じられます。

 しかし、どうでしょうか、イソップの寓話ではありませんが、例えば、人間の中にも「アリ型」の人間と「キリギリス型」の人間がいるのではないでしょうか。社会にもアリ型とキリギリス型があり、国にもアリ型とキリギリス型があるという事は考えられます。
 例えばギリシャやアメリカは、典型的なキリギリス型でしょう。

 同じ人間でも、若くて働き盛り、将来を考えて堅実な生活をしている時期はアリ型で、その時期を過ぎて、後はゆっくり人生を楽しもうという時期にはキリギリス型になるかも知れません。 アメリカも第二次大戦後、1960年代までは経常黒字国でした。
 もちろん性格的に、もともとアリ型の人やキリギリス型の人もいることも考えられます。

 ところで、「アリ型」と「キリギリス型」をどう区分するかですが、それは次のようです、
   アリ型: 稼ぎの範囲で生活し、貯蓄を残す
   キリギリス型: 稼いだ以上に遣い、借金を残す

 経済学上は、「アリ型」の国は経常黒字の国、「キリギリス型」の国は、経常赤字の国となります(下段の注参照)。という事になりますと、経常黒字の国が「国際競争力が強く」、経常赤字の国は「国際競争力が弱い」というわけではなく、単にライフスタイル、生活習慣上の違いという事になります。

 そして現実に起こっていることは、「アリ型」の国の貯蓄を「キリギリス型」の国が借りて使ってしまっているという事態です。使ってしまった借金は簡単には返せません。
 今、国際競争力という形で論じられている問題は、こんなことのようです。 円や人民元の切り上げで解決できるのでしょうか。 本当に必要なのは生活スタイルの見直しなのでは・・・。

(注)  GDP=消費+貯蓄+税金等   (収入の分配面)
     GDP=消費+投資+政府支出+輸出-輸入  (支出面)
              消費+貯蓄+税金等=消費+投資+政府支出+輸出-輸入
     両辺から消費を引いて、投資と政府支出を左辺に移項すると
         貯蓄-投資+税金等-政府支出 = 輸出-輸入
         (過剰貯蓄)      (財政赤字)    (万年黒字)
 つまり、消費でも投資でも財政赤字でも使い切れないGDPが国際収支の黒字になります。


成長経済回帰への具体策 その9  提言

2010年06月13日 18時17分51秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その9  提言
 ここまで些か回りくどくなったかもしれませんが、いろいろな面から日本経済の再生のためにやるべきことの検討を重ねてきました。

 世界にその健全な成長の実績を誇っていた日本経済が、一転して20年に亘る苦難の時期を迎えることになってしまったきっかけは、プラザ合意による2年間で2倍の円高($1=¥240→120)という、戦後の世界経済の中では例を見ない、多分、空前絶後のハプニングによるものだったことは、大方の合意を頂けるところでしょう。

 G5(プラザ合意)で日本に円切り上げを強いた国々も、まさかあそこまで円高にしようとは思っていなかったでしょうし、日本も、そこまでの円高は予想していなかったのでしょう。
 しかし、急激に進む円高に対して、各国も日本も放置し、日本は、それを耐え忍んで、何とか日本経済のサバイバルを果たすという努力をやってしまいました

 製造業は、中小企業まで含めてコストの安い海外に展開し、空洞化した国内では、雇用確保のために仕事を分かち合い、賃金を引き下げ、非正規労働力を多用し、十数年をかけて、2倍の円高による2倍のコスト高を克服したのです。

 日本経済はほとんどゼロ・マイナス成長でした。しかし日本人は、家計も企業も収入が減れば支出も減らし、自分できっちり「始末」をつけ、外国から借金するようなことはしませんでした。

 海外から見れば、日本はまだ黒字国だから、何かあれば円を買っておけば、多分怪我は小さいということで、常に円は買われ、今の$1=¥90にまでなったのでしょう。
 それでもまだ日本は黒字国で、今年度の政府経済見通しでも15兆円の経常黒字、円は89円という見通しになっています。問題はこの 悪循環をいかにして断ち切るかです。成長経済回帰への鍵はそこのあります。

 「提言」
 日本経済の、経常黒字→円高(コスト高)による縮小均衡のプロセスを成長循環に転換するために、経常黒字分を、国債発行や増税による政府支出でなく、「国民が自主的に消費に振り向ける」ことで内需を拡大し、先ずその分経済成長率を高め成長循環のきっかけにする。
 経常黒字は消え、「日本も双子の赤字か」ということで、円売りを誘発、円安傾向になり、日本経済のコスト高は緩和する。デフレは止まり、賃金・雇用は改善する。金利も上がり、金融機関の経営は正常に戻る。政府は国債発行が困難になるが、その必要もなくなる。
 問題は、国民にそうした行動をとらせるリーダーシップを誰が取るかでしょう。リーダーシップをとる人がいなければ、日本経済の困難はまだ続きます。


成長経済回帰への具体策 その8 日本は何をすべきか-5

2010年06月10日 13時50分39秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その8 日本は何をすべきか-5
 前回、かつて日本では労使が協力して世界をあっといわせるような「社会・経済政策」に成功したと書きましたが、それは何回か触れてきた「オイルショックへの日本の対応」です。
 第1次オイルショックが起きたのは1973年秋です。原油価格が4倍になり、石油の99.8パーセントを輸入に依存するといわれた日本ですから、石油が来なくなったらどうなるという恐怖感からパニック状態になったことはご記憶の方もいらっしゃるでしょう。

 象徴的だったのは、毎日使うトイレットペーパーと合成洗剤がすべて売り切れ、生産は間に合わず、店頭から姿を消したことでした。 消費者物価指数はピークで年率26パーセントも上昇し、1974年春闘の賃上げ率は33パーセントにハネ上がり、これが更なるインフレを呼んで、20パーセントを越えるインフレが続き(5年続けば物価は2.5倍)、資源エネルギーを輸入し加工して輸出する貿易立国の日本は破綻するのではないかと懸念されました。

 このとき、輸入インフレの賃金コストインフレへの転嫁を阻止し、日本経済をインフレ激化から救おうと考えたのは財界(日経連)でした。
 日経連会長だった桜田武は、有名な「大幅賃上げの行方研究委員会」という長い名前の委員会を日経連内に設置し、1975年(昭和50年)春闘に向けて、賃上げ→インフレのスパイラル遮断に果敢な行動を起こしました。

 委員会は、財界人と、学識経験者のアドバイザーからなり、「このままインフレを続けたら日本経済は破綻する」と明確に指摘、「1945年度の賃上げは15パーセント以下、その後は1桁」というガイドラインを明示した報告書を発表、経営者はもとより、政治家、マスコミ、学識経験者、各界のオピニオンリーダー、労働組合の各組織・リーダーに報告書を直送し、土光敏夫経団連会長をはじめ、経済4団体の結束を固めて、全国キャンペーンを張りました。

 副総理兼経済企画庁長官だった福田赳夫は、「政府は来年度の消費者物価指数上昇率を15パーセント以下に抑える」とこれを応援しました。

 結果、1975年の賃上げは13パーセント(前年は33%)になり、その翌年は8パーセントに下がり、消費者物価指数上昇率はそれ以下に下がって、日本経済は安定を取り戻しました。
 桜田武は、1975年春討賃上げ率が13パーセントになったことについて、「これは日本の労使の賢明な協力の結果で、我々の力によるものではない。」というコメントしていたそうです。

 第2次オイルショックの際は、労使ともにこの経験を生かして立派に乗り切り、それが、「ジャパンアズナンバーワン」といわれる大きな要因になりました。

 海外では「春闘は所得政策のための仕掛けである」などとも言われた様ですが、もしこれが所得政策だったとすれば、それは政府の主導する制度や政策ではなく、労使を含む日本人全体が、問題の本質を理解して、自主的に賢い判断をしたことが成功の原因だったと言えましょう。(オランダの政労使のワッセナー合意などはこの流れの中のものと理解できるでしょう)

 金融・財政政策や所得政策の理論から言えば、第1次オイルショック後の日本の行動は、およそ理解できないものだったのでしょう。何か秘密があるのかと対日調査団は引きも切らなかったようです。

 こうした経験からいえることは、金融・財政・税制などなど、十年一日の間接的経済政策よりも、日本の場合には、国民に直接の行動を呼びかける経済政策が可能な場合があるということではないでしょうか。
 内需拡大についても、内需拡大の重要性についての国民の理解をベースにした国民全体の賢明な行動でそれを実現するという、日本でなければできないような政策はありうると思うのです。

 今、打ち続くデフレに呻吟する日本経済の中で、デフレの本質 を国民に理解してもらい、国民の協力を得て、内需拡大(GDPを使い切る )ための消費拡大の実現に向けて国民にダイレクトに働きかけるというデフレ脱出の「日本的な奇策(実は王道)」をリードする動きがでてきてもいいのではないでしょうか。誰かリーダーシップを取れる人はいないのでしょうか。


成長経済回帰への具体策 その7 日本は何をすべきか-4

2010年06月06日 12時02分27秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その7 日本は何をすべきか-4
 前回もついつい余計な事を書いてしまいましたが、こんな論じ方をしていくと、問題は広がりすぎて、私の手にはとても負えなくなってくるので、矢張りここでの話は経済・経営の問題に絞っていく事にしたいと思います。

 総理大臣が変わることになって、また、財政再建、消費税率をどうするという問題が論じられています。確かに財政の健全化は大事です。しかしそれより大事なのは、日本経済を健全な成長路線に戻すことです。

 成長路線に戻さないことには、何をどうやってみても健全財政には戻れないでしょう。パイが増えない中での配分是正は、必ず誰かがマイナスになって割を食います。しかし成長路線が回復出来れば、成長部分の配分を考えることで、みんながマイナスにならずに、財政の健全化も可能です(消費税増税先行は、多分縮小均衡経済の促進要因 です)。

 釜山のG20で、経常黒字国の内需拡大問題も出たようですが、日本は、外国から言われる前に、率先して内需拡大をやったらどうでしょうか。外国からも歓迎され、日本自身にも大きなプラスになることですから、こんな結構なことはありません。

 ただし、やり方は、かつてアメリカが日本にアドバイスし、日本が真に受けて金融の超緩和をやり、バブルとその崩壊で大失敗をしたようなものではなくて、まさに日本らしいやり方で、世界に新しい見本を示してみては如何でしょうか。

 そのやり方というのは、このブログで今まで述べてきましたように、政府が国民に「直接話しかけて 」消費の拡大を図るというやり方です。
 金融政策というのは、いわば、政府が姿勢を示して、企業や消費者に一定の行動を期待するという「間接話法」の政策です。国民がその気にならなければ、効果はありません。

 今必要なことは、国民が一生懸命働いて生み出す毎年のGDPを「残さないで使いきろう 」ということですから、しかもそれが、日本経済のためにも、国際経済のためにもなるというのですから、国民に「直接話法」でそれを説明し、協力してもらうことがベストでしょう。
それこそが、政府のリーダーシップです。

 かつて日本は、労使が協力して政府を巻き込み、そうした「社会政策」兼「経済政策」を実行して大成功を収め、世界をあっといわせたことがあります。日本だから出来たのかもしれません。しかしそれを真似る国もでてきたのは事実です。 次回は、そのことも少し書きたいと思います。


成長経済回帰への具体策 その6 日本は何をすべきか-3

2010年06月04日 14時26分58秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その6 日本は何をすべきか-3
 日本はその地理的条件からして、舶来崇拝で歴史を作ってきました。古くは織物や陶磁器、漢字の導入から始まり、仏教、蘭学、富国強兵、そして戦後の米国指向、アメリカンウェイオブライフ、科学技術から経済・経営学まで、極めつけは、アメリカ流マネー資本主義の導入でしょうか。

 しかし近年の日本は、こうした舶来文化を咀嚼、消化し、国際的に役立つ技術やノーハウを確立し、海外に影響を与えるようになって来ました。

 QCを導入してQCサークルやTQC、TQM(Total Quality Management)に発展させ、アメリカが逆輸入したのもその例でしょう。コンビニ経営もそうです。所得政策を海外から学び、第1次オイルショックの際にそれを日本流に改変実行して世界の注目 を浴びました。
科学技術では、理論から現場までの総合力で優れた実績を上げています。ドイツでは発明したが、実用化できなかったロータリーエンジンをマツダが実用化し、ル・マンレースで圧勝する実績を上げたのは有名な事例です。

 交通、輸送、情報通信の発達は、島国という、かつては特殊だった環境を雲散霧消させてしまいました。世界中が瞬時に情報を共有し、新しい発展の材料にするわけです。
 島国で、遅れて情報を獲得し、急いでそれを発展させてきた日本は、同時に情報を得れば、より早く新しい発展を成し遂げる癖がついているのでしょうか。

 日本は、前回述べた文化的な面でも、世界の新しい情報を発信していますし、科学技術や社会(含経済)のあり方の面でも、世界のより良い明日に役立つものを沢山持つようになりました。

 残念ながら、まだ日本人の意識には、舶来崇拝の島国根性が残っているようですが、もう日本も、世界中の物事を自然体で客観的な目で見るようにしなければならないのでしょう。

 そうした意味で今の日本を見た時、世界に役立つよう積極的に考え行動していかなければならない材料は一杯あるのではないでしょうか。前回はエネルギーと水に触れました。
 縮小均衡で、自分たちの生活を守ることだけを考え、世界に役立つことなど出来ないと思い込んでいたのでは、それこそ「時代遅れ」です。

 「自惚れ」は日本文化では蔑まれます。しかし日本人の好きな「謙虚さ」も行き過ぎては、世の中のためになりません。自らを客観的に評価し、自信を持つべきところには確り自信を持つこと、そして世界に役立つことは積極的に発信し実行するという行動力、それを引き出すリーダーシップが必要になるのではないでしょうか。