tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

地球柑(しまだいだい)

2017年10月31日 11時20分37秒 | 環境
地球柑(しまだいだい)






 何年か前、隣家の盆栽の好きなおじいさんが、盆栽の整理をしておられました。
「ご精が出ますね」などとご挨拶したところ、「私も歳ですから少し整理しておかないといけないと思って」などと言われて、それぞれの由来などを説明していくれました。

 盆栽は私には難しくて、時に人から頂いても、だいたい駄目にしてしまうので、拝見して説明だけお聞きするだけと思っていたのですが、なかに盆栽ではないのですが、面白い実のなっている木がありました。

 「珍しい実ですね」とお伺いすると「これは地球柑ですよ」と教えてくれました。そのうえで「これは丈夫ですから、良かったら上げますよ」と言われました。地球柑はその日に隣家から我が家に移って来ることになりました。

 その後、何年かして隣家のおじいさんは亡くなられましたが、地球柑は、手入れの悪い我が家でも毎年いくつかの実を生らせ、今年に至っています。

 ところが、今年はどういうわけか異変が生じました。地球柑は、葉にも白い縞が入っているのですが、新しく伸びてきた枝のなかに、綺麗な緑だけの葉のついた枝があり、そこにも花が咲きました。

 そして実が少し大きくなって来て、初めて気が付いたのですが、こちらは真っ青な実です。本卦がえりか突然変異かわかりませんが、今年は、一本の木に二種類の実が2つずつ生るとことになりました。

 面白いので、玄関の先に出しておきますと、時に通りがかりの方が、地球柑をみて「これは何ですか?」などと言われます。

「縞が地球のように見えるので、地球柑というのだそうです。だいだい(橙)の一種のようです」 「食べられるんですか?」 「ネットで見ると、食用にもなるとありますが、食べたことはありません」 「酸っぱそうですね」
などと思わず話がはずんだりします。

 真っ青の実の方は、葉の下の隠れていて、あまり目立たないようにしているようです。

企業に3000億円要請:子育て、教育無償化で

2017年10月29日 16時54分55秒 | 政治
企業に3000億円要請:子育て、教育無償化で
 政府は2019年に消費税を10%に増税したら、そのうち2兆円を借金返済ではなく、子育てや教育費の無償化に充てると言っていたように記憶しますが、それは1兆7000億円で、足りない3000億円は企業負担に頼ろうという事のようです。

 安倍総理は「人生100年時代構想会議」で経団連の榊原会長に、3000億円の拠出をお願いしたいと言い、榊原会長も、「従業員が活用できる保育所など、応分の協力はすべきだろう」と受諾の方向を示したと報道されています。

 消費者が1.7兆円、企業が0.3兆円で2兆円ですから、それで何処までできるかですが、当面貯蓄超過の日本経済ですから、政府がそれを吸い上げて、使うというのは、理論的には肯定されるところでしょう。

 前回消費増税を延ばした時「2020年の、プライマリー・バランスの目標には関係ない」と言っていた安倍さんの発言は、ただの言い逃れだったわけですが、今回は消費増税、きちんとやるのでしょうね。

 ところで、企業に、3000億円拠出要請という事は、具体的には、厚生年金の保険料の企業負担部分を3000億円分増やすという事で、(厚生年金の労使折半拠出分は今後の年金支払いのための積立金ですが)この部分は「事業主拠出金」(もともと児童手当の財源)と呼ばれ、政府の収入になります。

 ここで、2つほど問題があるように思います。
 1つは 、いまこの事業主拠出金は標準報酬の2.3/1000、つまり0.23%が料率ですが、この料率は次第に上っています。現在は0.23%(27年度は0.15%)で4000弱程度の金額かと思いますが、3000億円拠出となると0.2%ほど引き上げでしょうか。

 そんなこんなで、事業主拠出金の引き上げが加速して本来の政府の在り方とは些か違うのではないかといったことにならないでしょうか。
 安倍さんは、法人税の減税も言っていますが、その辺りとの関係はどうなのでしょうか。

 もう1つは一度政府の懐に入ってしまうと、コスト高と無駄遣いの可能性が大きくなるような気がすることです。
 旧厚生省の大規模年金保養基地は巨大な無駄を生みましたし、「こどもの城」は廃館になりました。旧労働省の、「スパウザ小田原」や「中野サンプラザ」は雇用保険会計の企業だけに上乗せされた負担部分を活用したものですが、結末は悲惨でした(ネット検索で知られます)。

 総理のご意向ですから、そんな無駄はないと言いたいところですが、いわゆる「モリ・カケ問題」の帰趨はどうなるのでしょうか。

 企業拠出を受諾する方向の経団連ですが、よほど確りした監視体制を取らないと、折角出したお金が、十分に生きてこない可能性が出てくるかもしれません。

消費者物価は安定状態、家計には朗報

2017年10月28日 08時38分45秒 | 経済
消費者物価は安定状態、家計には朗報
 昨日金曜日に今年9月分の消費者物価指数が発表になりました。マスコミの情報は「連続上昇」などというのもありますが、基本的には物価の上昇は極めて弱く、2%インフレを望んでいる政府にとっては残念かもしれませんが、私共家計にとっては有難いことです。

 少し長期に見るために、消費者物価の主要な3つの指標、「総合」、「生鮮食料品を除く総合」、「生鮮食料品とエネルギーを除く総合」について今年の4月から9月までの対前年同月上昇率(%)を並べてみます
・総合―――――――――――――――0.4、0.4、0.4、0.4、0.7、0.7      
・生鮮食料品を除く総合―――――――0.3、0.4、0.4、0.5、0.7、0.7
・生鮮食料品とエネルギーを除く総合―0.0、0.0、0.0、0.1、0.2、0.2

 ご覧になってお解りと思いますが、総合が上がっている原因は生鮮食料品とエネルギーによるところが大きいという事です。天候や海外事情に左右されるこの2つを除くと、1年前に比べて0%から0.2%です。ただ、何となくじりじり上昇というのが気になります。今後さらに加速すると、家計を圧迫します。要注意かもしれません。

 「生鮮食料品とエネルギーを除く総合」の上昇の原因は前月にも述べましたが、サービス関係の料金などが中心で、原因は殆どが人件費の上昇です。
 宅配業界などに典型的ですが、これは経済構造に起因するもので、生産性の上がりにくい対個人サービスなどを中心に、今後物価がじり高になることも考えられます。

 政府の希望通り、賃上げが加速すれば、物価もそれにつれて上がるでしょう。問題は、日本経済全体の生産性を上げて、コストアップを吸収するような政策については、政府は無関心で、時には邪魔になったりします。例えば、 完成車の検査制度なども、もっと合理化すれば、生産性も上がるでしょう。

 コスト(賃金水準)が上がっても物価が上がらないためには「生産性向上」が必要で、そのために日本はもっともっと努力しなければならないでしょう。
 日本の生産性は、日本生産性本部の調べによれば、OECD参加国34のうち21位だそうです。

 政府は、物価上昇が2%になるようになどといって賃上げを奨励するより、日本の産業界がもっと生産性向上がし易くなるような制度や規制の見直しや、生産性向上の促進のための法律制度を、民間の意見をよく聞いて進めることが大事のようです。

2018春闘も政府主導?

2017年10月27日 14時22分01秒 | 労働
2018春闘も政府主導?
 先週、連合が中央執行委員会で 2018春闘の要求を2%と決めたことは書きましたが、また今年のそれを追いかけるように、政府が3%の賃上げを目指すべきだと言いだしています。

 安倍さんは、これからは「謙虚に」などといっていますが、政府が賃上げに介入するのは謙虚どころか、まさに 「越境発言」です。
 本来、賃金問題は労使の専権事項で、歴史的に見ても、アメリカで嘗てケネディ大統領が鉄鋼労組の無理な賃上げ要求に対し、経済安定のために介入し、世界中で話題になった例ぐらいしかありません。

 賃金を上げろというのだから「みんな喜ぶだろう」と思っての発言なのでしょうが、それなら、勝手に言うのではなくて、政労使の懇談会などを作って、当事者の意見を十分聞き、その上で意見が一致するようにお膳立てをするのが政府の役割でしょう。

 そもそも賃金引き上げが可能になる条件は何かといえば、生産性の上昇です。それも、為替レートの安定を必要条件として、生産性上昇によって産業企業で増えた付加価値(その合計が経済成長)を、それぞれの企業の労使が、分け合った結果が賃上げなのです。

 付加価値は労使が交渉して、賃金と利益に分けるのですが、それを賃金の上げ方だけを政府が勝手に発言するのですから、全く理屈も常識も通らない行動です。

 政府にしてみれば、このところ、見ていると利益の方が増え過ぎているから、もっと賃金を上げろと言ってもいいだろうという事なのでしょうが、それなら去年の様に利益が下がった時は賃金をあまり上げるなというのかと思うとそうではありません。

 多分、賃金を上げれば消費が増えて、景気が良くなるし、物価上昇も2%になるだろうという思惑の結果の発言でしょう。
 しかし、この所の日本経済を見ても、賃上げで消費が増えた形跡はありませんし( 平均消費性向は下がっています)、 物価が2%も上がったら年金生活者も、サラリーマン家庭も困るでしょう。

 今の経済情勢(世界も日本も)を見ていきますと、消費不振の原因は別の所にあるようです。お金があっても、賃金が上がっても、消費者が消費を控えて、貯蓄を増やす原因を、政府は解っていないのでしょうか。

 消費不振の最大の原因は、将来不安でしょう。結婚して子育て不安、年金生活者の年金実質目減り不安、 ゼロ金利で貯蓄が全く増えない現実。その背後には、日本の格差社会化があります。格差社会化は歴史的に見ても消費不振につながっています。

 こうした原因に、国民が納得するような根本政策がなく(今度発表するそうですが、結果は今迄の繰返しでしょう)、その時々の人気取りのパッチワークばかりが目立ちます。

 政府のやるべきことは、こうした日本経済の構造問題を、国民に分かるように「丁寧」に説明して、例え今日苦い薬を飲んでも、明日は日本経済が一層の健康体になるというような本格的な処方箋を、書くことでしょう。

 まあ、政府が出来なくても、今迄の実績を見れば、労使が真面目な努力で、日本経済を健全な方向に育てて来ています。
 政府は自分のやるべきことが出来ないのなら、余計な世話など焼かない方が、民間経済は健全な方向に動くような気がしています。

一国のリーダーの選び方

2017年10月25日 12時50分12秒 | 政治
一国のリーダーの選び方
 5年に一度開かれ、今後5年の中国のリーダーを決める中国共産党大会が昨日閉幕しました。
 習近平総書記の第2期に入るわけですが、党規約に、習近平の名を冠した「習近平による新時代の特色ある社会主義思想」を党規約に盛り込み、習氏の権威付けが大きく進んだようです。
 個人の名前が冠されるのは、毛沢東、鄧小平に次いで3人目という事だそうですが、確かに、AIIBの創設、一帯一路構想の展開など、経済大国として世界に認められた中国の経済力を背景に、国際的な場に大きな一歩を進めた功績は、中国にとって極めて大きいものでしょう。国内的には「汚職撲滅」が国民の心をつかんだようです。

 南沙諸島に軍事基地を建設、近隣諸国の反発を受けながら、国際仲裁裁判所の判断を「ただの紙屑」と無視した勇み足(?)もあったりして、国際的には心配される部分もありますが、大国として力をつけたことは間違いありません。

 ところでここで考えるのは、そうした問題ではなく、リーダーをどう選ぶかという問題です。世界のほとんどの国ではリーダーは選挙で選んでいます。
 それだけ「民主主義」が広範に根付いているという事でしょうが、中国は相変わらず「共産党一党独裁」で、今後についても、従来のリーダーの選び方で良いと確信しているという事のようです

 共産党一党独裁のソ連邦は崩壊しましたが、中国は、鄧小平以来「社会的市場経済」という概念を導入、習主席も「中国の特色ある社会主義を堅持し発展させる」と明記、現体制の発展の方向を明確にしています。

 資本主義が社会主義的な「福祉国家思想」を取り入れサバイバルを果たしたように、対局にある社会主義が「市場経済」を取り入れサバイバルを果たすというのは「中間にある真理を目指す動きなのかもしれませんが、ここで全く違うのが「リーダーの選び方」です。

 選挙でなく、中国方式で何時まで行けるのか、と考えてしまうのですが、発想を変えてみれば、企業の経営者の選び方は、選挙ではありません。官僚のトップ(次官)の選び方も中国方式に近いでしょう。 
 そして、企業や官庁は、そうしたリーダーの選び方が、矢張りいいのだと考えているからこそ、それが続けられているのでしょう。

 こうしたリーダーの選び方の違いは、何によるのでしょうか。組織の性格や目的の違いでしょうか、それとも社会文化の違いでしょうか。
 経験から見れば、どちらにも、結果的には成功例、失敗例があります。どちらが成功例が高いのかという経験がしからしめているのでしょうか・・・。

 リーダー選択の失敗の場合のチェックの可能性という考え方は基本的に大事だと思われます。であれば、どちらの制度も、失敗の場合のチェックシステムをしっかり持つことが大事になってきます。
 
 リーダーの選び方は組織の命運を左右します。我々は、その点で、どこまで進歩しているのでしょうか。

これからの経済政策、本当に必要なことは

2017年10月24日 14時41分23秒 | 経済
これからの経済政策、本当に必要なことは
 思わざる圧勝(多分)に気をよくし、改めて自信を持つことになった安倍政権のようですが、その割に低姿勢で、今後本当に動き出したらどうなのだろうと思わせるような態度です。

 経済政策には力を入れるとのことですが、日本経済は民間の頑張りで、すでに健全な成長の入り口に辿りつき、元気で動いています。
 その中でも株価は仇花といってなんですが、15営業日連騰と記録を作っています。

 株価は日銀の異次元緩和継続などいろいろな思惑があってのことでしょうが、本当に重要なのは実体経済です。
 実体経済の総合指標であるGDPを見ますと、我が国のGDPは、昨年、2016年が537兆円で、前年が530兆円、この水準を遡って見ますと、1997年の534兆円というのがあります。日本経済は、実に、19年前の経済規模を昨年やっと回復したのです。

 戦後の日本経済は、常に成長していて、オイルショックでゼロ成長になった時は大混乱でした。それなのに、足掛け20年もGDPが過去の実績以下のマイナス状態に低迷したなどというのは、考えられない事です。
 この原因は基本的には「プラザ合意」の受け入れという、 外交上、経済政策上の大失敗ですから、これからは政府にはこんな大失敗をしないように願う以外ありません。

 というわけで、安倍新政権が経済に力を入れるというのなら、政策の失敗で日本経済を台無しにするようなことは間違ってもしないように願うわけです。
 もちろんこうした重大な失敗は、あとになって気づくことです。そして、失敗の原因は常に多様で、同じものはありません。

 そうした意味で、これまでの安倍政権の経済政策を見てみますと、黒田日銀総裁を任命して、 不合理な円高の是正を実現し、竹下蔵相のプラザ合意受け入れという大失敗を30何年ぶりに幾分取り返したことは評価できますが、それ以外は見るべきものはありません。

 最大の問題は、「格差社会化の進行」でしょう。今の日本経済は世界でもかなり豊かな経済です。それなのに国民の多くが窮乏感を持っているというのは、格差社会化の進行が大きな原因でしょう。

 日経平均の15営業日連騰も結構なことですが(16に伸びそう)、今の状態ではこれも格差社会化進行の原因になってしまうのでしょう。これに影響しているだろう日銀のとめどない金融緩和を政府はどう見ているのでしょうか。

 同じようなことは財政にも言えます。財政の健全化と言いながらやっていることは目標の先延ばし。当面の経済指標が良くなればという政策では、平均は上がっても、ピケティの言うように少数者の富の増大と多数者の貧困という格差社会化が進行するのが常です。

 格差社会の進行は中間層の減少で、将来に対する不安感を齎し、(特に日本では) 消費過少社会を招くのです。これは現状、日本経済の成長が鈍い最大の原因でしょう。

 もう1つ、働き方改革につてですが、長時間労働是正は結構でしょう。しかし安倍流の同一労働同一賃金は、日本の経済社会の伝統的に優れた特質を希薄化させ、欧米流の困った労働経済への移行を強制するものです。

 未だいろいろあるでしょうが、少なくともこの2つ「格差社会化」と「 同一労働・同一賃金信仰」は、日本経済の成長を阻害します。
 政府が、民間の頑張りの邪魔をしないように願いますと繰り返しておきたいと思います。

国民の選択は当面現状維持に?

2017年10月23日 10時49分28秒 | 政治
国民の選択は当面現状維持に?
 第48回衆院選の結果が明らかになりました。与党圧勝でした。

 この結果について、想定内と思っておられる方、予想外の結果と思っておられる方夫々と思いますが、ここまで与党圧勝とは・・・。私もびっくり。

 おそらく安倍さんも予想外の結果にびっくりしておられるのではないでしょうか。何せ目標は過半数と謙虚な姿勢でした。圧勝の予測が既に出ていたにも関わらず、安倍さんが立候補者の名前の上に赤いバラをつけるときの表情に笑みが無かったことに気づかれた方も多いでしょう。ここで勝ち誇った顔はまずいと考えられたのでしょうか。

 いずれにしても、選挙はありましたが、今後の政権運営は、基本的には選挙が無かったのと同じことになって続いていくのでしょう。首班指名が終われば、安倍さんも今までと同じになるのでしょう。

 激震(?)を受けたのは野党の方でしょう。枝野さんの立憲民主だけが野党第一党に躍り出ましたが、ほとんどが思わざる痛手を受け、特に希望の党は惨敗でした。
 組織票といわれえる共産党も当選者が減り、同じく組織票といわれる与党公明党も減らしました。
 何か、組織というものが、統合から分裂へという最近の風潮を映したように感じられます。

 当初感じられたように、今回の選挙は、安倍政権への反発というバネで、自民党支配という長い歴史に、信頼に足る安定した、まともな政権交代の受け皿の形が、なにかしら見えてきて、二大政党政治体制に近づく第一歩になるのかなという事だったようですが、矢張り一強多弱の多弱が糾合して力を持つという所には遠かったようです。

 希望の党との合体を考えた前原構想はその方向へのユニークなものだったのかと思いますが、政治の世界の「根回し」という視点から見れば、あまりに拙かったし、希望サイドの小池さんの対応も、些か読みが足りないもので、結果は失敗だったようです。
 信念を守った立憲民主の躍進(?)もこの規模では現状を変えるものにはなり得ません。

 結局、国民は野党のゴタゴタを見て、選挙までの短い期間に、急速に知名度のある与党候補者支持に変わっていったような気配が、種々のデータから見られるように思います。

 こうした結果を受けてでしょう、今日の日経平均は、これまでの15営業日連続の状況をそのまま受けて、200円超の値上がりです。日本企業の堅実な歩みを素直に反映し、その上にマーケット特有の保守性を上乗せしたという事でしょうか。

 この間まで、森友、加計、多様な忖度、記録があったりなかったり、そんなことで空転していた政治ですが、選挙があっても、何も変わらず、相変わらずこれまでのようなことが繰り返されるのをまたニュースで見ることになりそうな気がしてなりません。

長時間労働是正に必要なこと2つ

2017年10月21日 23時08分36秒 | 労働
長時間労働是正に必要なこと2つ 
 連合も、来年度春闘方針で「長時間労働の是正」を、賃上げと共に二大テーマに上げています。長時間労働の是正は経営側も政府も言っています。
 もう何年もこうしたことをやってきていますが、現実はなかなか進みません。

 かねてから私は大きな理由が2つあるように感じています。私のサラリーマン経験(労働組合活動も含め)から振り返れば、政府や労組・会社のトップが言っても進まない原因は「現場」にあるという事でしょう。

 現場というのは、上司と部下(複数)が、如何に仕事をこなすかを課題に「人間関係」で動いています。長時間労働の原因は大抵ここにあります。
 日本人は子供のころから「働くことは良いこと」「働かないのは良くないこと」と教わっています。

 ですから、よく働く人だということを上司や仲間に理解してもらう事で、現場の人間集団の信頼関係を築こうとします。結果はともあれ、一生懸命やったという事が評価される雰囲気はどこにもあります。
 実はこれが長時間労働を是とする基本的な原因でしょう。

 ということになると、先ず一つ大きな問題は、仕事を「こなす」ことについての「新しい、別の概念」を確立する必要があります。それは「効率」という概念でしょう。これは単位時間当たりの生産性で、長時間労働とは逆の概念です。

 最近流行りの言葉で言えば、カタカナになりますが「スマート」という概念といったほうが受けるでしょうか。
 使い始めはスマートグリッド(多様な電源と多様な電力消費者を巧くつなぐ回路)あたりでしょうか、今ではスマートフォン(スマホ)、スマートハウス、スマートシティ、スマートキッチン、スマートドア、などなど、カッコ良くて使い勝手がよく、誰もが使いたくなるようなものは皆「スマート」がついているようです。

 つまり、スマートな働き方、という概念を、働く人一人一人が、従来の「真面目に一生懸命」と同様に重視するという職場の雰囲気を作ることです。
 という事で両方を合体すれば、「スマートな働き方を真面目に一生懸命追求するのが良い働き方」という事にしなければ、長時間労働問題は解決しないという事です。

 次にもう1つ大きな問題は、現場では主任、係長、班長、課長代理、課長といった管理監督職が労働時間管理のカギを握っています。
 部下への仕事の与え方、任せ方、指導の仕方で現場の労働時間は大きく変わります。何回でもやり直させ「これもOJTだ」と言っていては、長時間労働問題は解決しません。

 管理監督職が、スマートな指導をせずに、余計な仕事を部下にさせ、長時間労働を作り出していることもよく見られます。部下は通常、それに反論できません。
 管理監督者は、スマートグリッドのような思考回路を持って、仕事の采配をしなければならないのです。
 これには、スマートな管理監督法を管理監督者に十分訓練しなければならないでしょう。

 つまりは、長時間労働は働く人たちの意識改革がなければできないという事でしょう。「法律で結婚を幸せにすることはできない」といいますが、労働時間短縮も似たようなものではないでしょうか。

 こうした職場、現場の意識改革を具体的に促進する手段もあります。それは、日本の工場などでかつてからやってきたQC、TQMといった小グループ活動を上手に使う事です。 
 上手に使うカギは、現場の管理監督者の態度にあります。「このほうがよりスマート」、つまり効率的であるという事を素直に認め、受け入れるマネジメント能力です。

 長期不況で忘れられたこうした職場の活動をうまくやれるような管理監督者を、早く大量に育てる事がまずは必要なようです。

18年春闘、連合はベア2%要求へ

2017年10月20日 14時28分10秒 | 労働
18年春闘、連合はベア2%要求へ
 連合は、10月19日の中央執行委員会で、来春の18年春闘で2%のベースアップ要求を決めました。

 通常、企業では平均2%近い定期昇給があります。今春の賃上げは連合傘下の企業でベア、定昇合計で1.98%(前年は2.0%)と発表されていまして、ほとんどが定昇部分、ベア部分はせいぜい0.5%前後のようです。ちなみに厚労省の発表では今春の賃上げは2.11%(前年2.14%)です。

 連合の神津里季生会長は、記者会見で、「賃上げと長時間労働の是正」が最大の課題としていますが、賃上げについては「賃上げは毎年あるもの」という意識を定着させたいという事のようです。

 確かにプラザ合意やリーマンショックで円高不況に苦しんでいた時期とは違って、何とか安定成長路線を着実に進もうとしている日本経済ですから、経済成長の成果が毎年賃上げの形で従業員に配分されるというのは当然で、毎年賃上げ期待はあって当然でしょう。

 2%要求についても、政府も2%を超える経済成長をめざし、日銀は2%インフレを目指しているのですから、それが実現した暁には労働組合としては、4%のベア要求をして当然という計算になるわけです。

 連合は同時に、今春闘では、サプライチェーン全体に、賃上げが均霑するようにという主張をし、労働組合サイドから「格差社会化の阻止」に取り組み、大企業と下請けの関係にも配慮すべきと言い、今春闘ではその成果が出始めたので、それを是非来年にも繋げたい」としています。(日本の労働組合は立派ですね)

 世界中、いろいろ問題や紛争はありますが、世界経済はリーマンショックによる金融の混乱から立ち直り、アメリカ、EUの中央銀行の政策にも見られますように、世界経済は成長を取り戻し、日本経済も為替レートの正常化と企業の自助努力の結果、安定成長路線への復帰が見通されています。

 連合の要求に対し、経営側が如何なる対応をするかは年末にならないと解らないのが例年です。政府の態度は、選挙が終わってみないと全くわかりません。
 しかし、漸く安定成長路線に入るかという日本経済です。政労使の三者が、その知恵を十分発揮し、春闘という年一回の付加価値(GDP)の配分論議の中で、日本経済の将来のためにより良い配分を、実現してほしいものです。
 経済・経営の 将来を決めるのは、今日の配分の在り方如何なのですから。

「子育て・教育」は異口同音の選挙戦

2017年10月19日 14時11分32秒 | 政治
「子育て・教育」は異口同音の選挙戦
 今回の選挙戦で、ほとんどの党が異口同音に主張しているのが、「子育て・教育」です。
 確かに新しい国民が、生まれ、育ち、教育を受け、次代の日本を背負っていくのですから、子育て・教育に力を入れようというのは、大変結構なことだと思いますし、誰も多分反対する人はないでしょう。

 日本では折に触れて語られるのが、長岡藩の「米百俵」の故事ですが、それだけ日本はかつてより教育立国の精神は確りしていたようです。
 しかし、上杉鷹山然り、二宮尊徳然りですが、領主であっても民間人であっても、教育が成功した例は、教育の中身が優れていたからでしょう。

 私の世代、昭和一桁といわれる世代も、時の政府は、尋常小学校を国民学校と改称、「生めよ増やせよ」とともに「少国民」の知育、徳育、体育に力を注ぎました。
 しかし、教育の中身は、知育は「神国日本」であり、徳育は「尽忠報国」であり、体育は徴兵検査での「甲種合格」でした。

 戦後の日本は全く違った教育を行うことになりましたが、そこでもいろいろな事がありました。企業に入ってきた後輩が、「社会科で企業は金儲けのために公害など悪いことばかりしているように教わりましたが、結構良いこともいろいろやっているのですね」などと真顔で言われたこともあります。
 何かというと外国の例ばかり取り上げられ、日本人は自分の良い所は外国から言われて初めて解るといったことは最近も沢山あります。

 こんなことを書くのも、「子育て・教育」はいいのですが、本当に大事なのは、その目的や中身だとつくづく思うからです。選挙戦では中身はあまり語られていません。
 
 さらに問題なのは、「子育て・教育」にはそれなりのカネがかかることです。特に、良く考えなければならないのは、子育てや教育は、基本的は、対個人サービス、つまり「マン・ツー・マン」の仕事で、極めて生産性が上がりにくい分野だという事です。

 こうした「対個人サービス」充実するための資金は、国民経済から言えば、生産性の上がる部門の付加価値(GDP)の増加の中から、その分野に所得再配分をしなければならないのです。

 端的に言えば、製造業で生産性が10%上がっても、賃上げは5%にして、余った部分を「子育て・教育」の無償化に使うという形でないと基本的には不可能という事です。
 ヨーロッパでは大学まで学費なしという国も多いのですが、そういう国の 国民負担率は日本よりずっと高いのが普通です。

 企業減税を言ったり、消費増税を否定して、「子育て・教育」の支援ができるはずはないのです。出来るとすれば、民間のカネを国債で吸い上げて、借金で賄うことにならざるを得ません。財政再建は常に先延ばしでしょう。

 選挙ですから、みんなの耳に心地よいことばかりが聞かれますが、日本国民は政治家が思っているほど愚かではないでしょう。しかし、異口同音で選択肢が無くては、選挙演説の裏を読もうと、迷いに迷うことになりそうです。

日本の財政立て直しは誰がやるのか

2017年10月18日 21時47分47秒 | 経済
日本の財政立て直しは誰がやるのか
 選挙も後半戦です。今回の選挙の結果がどうなるのか、皆目見当がつきませんが、強く感じるのは、日本の選挙も随分品が悪くなったという事です。

 アメリカでは、近年、相手の事を悪し様に言い、痛手になるようなことを取り上げた、まさに中傷合戦のようなことになってしまって、あきれていたところですが、日本にとって、アメリカは何でもお手本なのでしょうか。

 国民はアメリカよりよほど思慮深く、まともだと思うのですが、選挙となると、候補者の行動は意識、無意識にアメリカに倣っているようです。

 むかし、「隣の車が小さく見えます」という某自動車メーカーのコマーシャルがあって、そういう比較は不適切との批判で取りやめたことがありましたが、今の選挙では、あることないこと比較して中傷し合っています。

 そうした中で、いちばん判断に困るのが、財政再建と消費増税の問題です。
 政権維持のために消費増税をやらず、プライマリーバランスの達成を公約に反して反故にしてきた与党が、今度は消費増税をやると言い、そう言われてしまうと、野党の方は賛成とは言えないということになるのでしょう。

 野党は一致して消費増税反対で、こんなに生活が苦しいのに、消費増税などできるかと言ってるようです。
 しかし今は30何年ぶりの好況です。生活が苦しいのは復調した日本経済の中で配分が歪んでいて、格差社会化が進んでいるせいでしょう。

 与党は、今迄も都合が悪ければ増税先延ばしの前科者です。野党は選挙公約で、消費増税はやらないと言ってしまいました。
 世界最大の借金を背負っている政府をどうするのか、どこに投票すれば、本気で財政再建(これは格差社会化の阻止との組み合わせでなければならないでしょう)をやってくれるのか、皆目見当がつきません。

 中傷合戦の中では論争は理論的、合理的なものにはならないのです。ツイッターのような短い言葉で、合理的な説明や説得は不可能です。何かすべてが刹那的、近視眼的になってきているのではないでしょうか。

 こんな状態ですと、どこが勝っても、財政再建は無理のようで、国際的に見ても日本経済の最大の問題、政府の借金は、相変わらず拡大を続けることになりそうです。
 日本経済は民間の頑張りで健全化していきていますが、民間には、経済力をつけることはできても、国民所得の配分を決める権限はありません。

 数日後に迫った投票日、多くの有権者が迷いに迷い、何かむなしさが残る選挙になりそうな感じがするのですが、こんな事でいいのでしょうか。

アメリカと中国、世紀のすれ違いと今後

2017年10月17日 14時35分42秒 | 国際関係
アメリカと中国、世紀のすれ違いと今後
 世界最大の経済を誇るアメリカが、トランプ大統領の下、今、内向き政策を推進しようとしています。
 一方、世界第二の経済規模を持つ中国は、この所益々海外進出、国際化を進めています。
 世界経済の中の2つの超大国が、ちょうど反対の方向に向かいすれ違い状況です。

 アメリカは、第二次大戦後、今まで世界の面倒を見ようとして、アメリカなりに頑張ってきました。しかし、トランプさんは、「そんなコストのかかることをしているから、アメリカは損ばかりしている」と内向き路線を選択したのでしょう。

 中国は、今、一帯一路政策を掲げ、AIIBを立ち上げ、ユーラシア大陸からアフリカまで急速な国際化を極めて積極的に進めているようです。
 それによって、中国経済の発展の可能性がますます大きくなると確信しての活動の推進でしょう。

 世界の2つの超大国が、ここまで違う方針を選んでいるというのはなぜでしょうか。どちらが本来の望ましい政策なのでしょうか。

 勿論背後には、それぞれの国の、国内事情があります。国の総合的な体制、それに関連して、国民意識の状況などがあるわけです。

 同時に、世界にとって、どちらの方向がより望ましいのでしょうか。中国が進出国の経済発展に役立ってくれれば歓迎でしょうが、例えば資源獲得などで自国優先となれば、歓迎されないでしょう。海外進出は共存共栄でないと何時かは行き詰まるものです。
 
 ところで、アメリカの一人当たり国民所得は57,000ドル、中国は8,000ドルです。勿論、アメリカと中国では物価の水準が違いますから、この差が直接生活水準の差という事にはならないでしょう。しかし、やはりその差は巨大です。
 アメリカ人は、それでも不満で、もっと国内生活を改善すべきといい、内向き指向のトランプさんを選んだのでしょう。

 中国でも、勿論国内に不満はあるでしょう。国民1人当たりにしてみれば、貧しい経済力です。しかし中国政府は、現状では国民から集めた金を海外政策の資金として活用できているという事でしょう。これが可能になる要因として、共産党一党支配の体制も重要です。

 アメリカは覇権国になりましたが、その結果、国民が覇権国のコストの大きさに不満を持ち、内向き政策を選んだのでしょう。
 中国は、国内には多くの問題を抱えながら、海外進出を推進しています。生産に集中し過ぎた結果の過剰生産問題の解決にも海外市場が必要でしょう。

 こうした段階では、国際的には中国が確実に有利でしょう。進出先でも中国は重要な国と認識されます。
 そしてこうした状況は、このままでは当分続くことになるのでしょう。まずは、一帯一路構想に伴う経済発展の進み方で、結果が出るのではないでしょうか。

 超巨大な一帯一路構想が中国にとって、収益のもとになりうるのか、それともコストに見合わない結果になるのか、覇権国がコスト高になるのと同じ問題が中国に起きる可能性はあるのか(国民意識の高まりと関係があるでしょう)といった諸点の観察が、これからますます大事のように思われるところです。

アメリカの良識に期待する

2017年10月15日 12時26分15秒 | 国際関係
アメリカの良識に期待する
 トランプさんの北朝鮮への挑発と、北朝鮮の過剰な反応については、裏に何かあるのかないのか知りませんが、世界中が心配しているのはないでしょうか。

 さらにそれに加えて、アメリカのユネスコ脱退の通達のニュースがあり、トランプさんはイランの核合意を認めないと発言し、何か、アメリカは世界最大のトラブルメーカーのような様相になってきています。

 「 トラブルメーカーとトラブルシューター」でも書きましたが、日本では、一般国民の行動はトラブルシューターになってきている中で、一部のリーダーなどが、時に目立ちたいのかトラブルメーカー的な行動があったりします。
 超大国アメリカの場合は、トラブルメーカーになったら桁違いの影響力でしょう。

 ユネスコ意義、重要性については何回か書いていますが、ユネスコ憲章の前文にある「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、平和の砦も人の心の中に築かなければならない」というイギリスの故アトリー首相の言葉がすべてを示しているように思います。

 そのユネスコを「よい組織にする」というのはトラブルシューターですが、「分担金を払わない」とか「脱退する」というのはトラブルメーカーでしょう。
 自分は気が済んでも、世界が迷惑するのです。

 幸いユネスコの新しい事務局長アズレ氏は「ユネスコの改革に協力する時で逃げてはならない。加盟国に信頼される機能と効率性を取り戻す」と言っておられますから、このトラブルシューティングに、アメリカも協力して欲しいものです。

 イランの核合意を認めないという、トランプ発言にはヨーロッパからも批判の声が聞かれ、決定を任されたアメリカでも良識派に期待する声も強いようです。

 何はともあれ、アメリカは覇権国、基軸通貨国で、その一挙手一投足は世界に大きな影響与える立場にあることは否定できません。
 その立場を利用して、トラブルシューターになるか、トラブルメーカーになるかは、まさに世界の一大事でしょう。

 「ノブレス・オブリージュ」という言葉もあります。アメリカも「自分はノブレスでない」とは言わないでしょう。このブログでは NGR(国家の地球的責任)の重要性を繰り返し指摘しています。

 トランプさんをトラブルシューターにするのは容易ではないかもしれません。しかしそういう人を選んでしまったアメリカです。世界が頼むのはアメリカの良識でしょう
 第二次大戦後に、理想の世界秩序を模索した、かつてのアメリカの良識に、世界は強く期待したいのではないでしょうか。

9月の企業物価指数(速報)昨年9月比3.0%上昇

2017年10月12日 22時27分35秒 | 経済
9月の企業物価指数(速報)昨年9月比3.0%上昇
 今日発表された「企業物価指数」は、対前年同月比、つまり昨年9がに比べて3.0%上昇して、8年11か月ぶりの上昇率、リーマンショックの直前以来の高さになったとのことです。

 消費者物価指数は消費者が買う財やサービスの価格の統計で政府(総務省)が調べていますが、企業物価指数というのは企業間で取引されるもの(財のみ:サービスは無し)の価格を示す統計で日銀が調べています。

但し、政府や日銀がインフレ目標にしているのは消費者物価ですから、企業物価が上がっても喜ばないでしょうが、庶民は、企業物価が上がれば、いずれは消費財にも波及して、消費者物価も上がって来るのではないかと心配にもなります。 

 実は、企業物価が9月に急に3%上がったのではなくて、8月には2.9%(前年同月比)上がっています。(3.0%でないと記事にならないのでしょうか)
 昨年の企業物価指数は、対前年度期比でずっと下がっていました。ところが今年に入って上がり始め、1月0.5%、4月からは2%台、9月に至って3%に乗りました。

 日銀は何が上がったか調べています。主因は資源価格の上昇で、特に石油・天然ガスなどのエネルギー関係、それに希少性の高い非鉄金属の輸入価格が上がっています。

 対前年同期の値上がり率の高いものは
石油・石炭製品 13.7%、非鉄金属19.3%、鉄鋼11.8%、電力・ガス等(企業向け)10.7%、などで、これらの影響でしょうか、スクラップ類が44.3%の値上がりです(廃品回収、多いですね)。

 興味を引くのは、石油・石炭製品は13.7%の値上がりですが、化学製品は3.3%、プラスチック製品は-0.1%と、消費者に近づくほど、値上がり率が低くなることです。
 
 輸入物価を見ますと、石油・石炭天然ガスは26%上昇、金属製品は26.8%の上昇(いずれも対前年同期比)ですが、日本国内での加工が進む段階で価格上昇率は次第に低下しているのです。

 多分、日本国内の生産性が高い、裏返せばコストが低い、あるいは、高いと売れないので利益を削る、のどちらかでしょう。前者であって欲しいですね。
 粗原材料の値上がりが21.2%、中間財は5.9%、最終財は1.5%という分類も出されています。

 消費者の手に渡る時は、これにサービス料の部分が加わり、これは殆ど人件費ですから、価格の上昇は更に低くなるのが現状です。

 昨年は景気が足踏みで企業物価も低迷でしたが、今年に入っての上昇は、世界経済の回復による資源価格の上昇に加えて、日本経済自体の回復による、価格水準の回復という面もあるように思われます。
 企業の強気が、生産性上昇を呼び、それに見合う賃金の安定上昇が実現し、将来不安の解消、消費の活発化という好循環につながって欲しいものです。

日経平均20年10か月ぶりの高値、好況持続に期待

2017年10月11日 17時55分44秒 | 経済
日経平均20年10か月ぶりの高値、好況持続に期待
 安倍政権は、今回の選挙は国難突破のための選挙といっていますが、今の日本の状況が、国難だと思っている人は余りいないでしょう。
 
 国難になりかねない可能性は、日本が、トランプさんと一緒になって、北朝鮮を挑発し、北朝鮮を暴発を招いてしまうとか、財政赤字を解決しとうとすることなく突き進んでしまって、国の信用が失墜するとかいった、安倍政権原因ならあるかもしれません。

 しかし現実には、北朝鮮との水面下の何かもあるでしょうし、対話をすべきとする国もありますし、日本だけが国難と騒いでも、本気にしてもらえそうにありません。

 経済の方は国難とは程遠い状態で、統計は日本経済の順調さを示し、投資家の期待を示す日経平均は、この所連騰、失われた20余年の初期、20年10か月前の1996年12月の水準にまで回復したニュースが報じています。

 繰り返し指摘していますが、日本経済のこの状況は、日本人の真面目な働きの成果で、アベノミクスの第一の矢、円安実現により得た奇貨を無駄遣いすることなく経済経営の財務基盤構築に生かし、その後の矢が外れても、日本経済の安定成長の実現にきっちり役立てて来たからでしょう。

 振り返ってみれば、日経平均は、バブルの絶頂1989年の年末に38,915円を記録、その後はバブルの崩壊で20,000円か15,000円に低迷、更にリーマンショックで7,162円まで下がりに下がりました。

 回復のきっかけは、前述の円安実現(1ドル80円から100円そして120円)でこれは安倍さんと日銀の黒田総裁の連係プレーの成果でしょう。
 しかしそれを一時的な円安ブーム、為替差益に終わらせることなく、日本経済、日本企業の体質強化に活用、この数年を掛けて、日本経済の安定成長体質構築に生かしてきたのは、日本人の勤勉な努力でしょう。

 その結果、景気を先読みする株価は、アメリカの株価上昇の影響などもあるのかもしれませんし、日銀の異次元金融緩和という支えもあるかもしれませんが、先行き堅調とみられる企業収益などを見込んで、バブル崩壊後の急降下の一段落の踊り場の水準を回復するところまで来ました。 

 バブル期の株価は勿論まともなものではありません。日本経済自体が、ようやくバブル期の実体経済の水準をGDPレベルでは回復してきているところですから、株価がバブル崩壊後の急降下の踊り場の水準というのは、それなりの意味があるのかもしれません。

 問題は、これからでしょう。これからが、日本経済が本格的に安定した成長路線に乗って、ジャパンアズナンバーワンといわれたころの実体経済の水準を越えていけるかが問われているのでしょう。

 とんだ「自称国難」のとばっちりなどが無ければ、健全な安定成長への態勢は整ってきていると私は考えています。
 これからが、日本人全体に、成長の成果が均霑していく時期に入ることになるのが自然の動きでしょう。それが現実に可能になるような政策こそが期待されるところです。
 政府自体が国難を齎さないことを願うところです。