tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの現状を憂う

2024年07月20日 14時41分13秒 | 国際関係

「もしトラ」という言葉がいたる所に見られるようになりました。しかもその「もし」が、次第にその確率を上げてきているような状況ではないでしょうか。

一方では、民主党支持者の中にもバイデンさんは高齢で、体力的にも記憶力でも問題がありそう、という意見が強くなっているようで、今回のアメリか大統領選挙はこれからどう展開するのか、世界中が心配しているのではないでしょうか。

もともと、バイデンさんであれば、今後のアメリかの行動についての予測もある程度可能という見方が多く、トランプさんになると予想外のことが起きそうで心配というのが「もしトラ」の意味だったのでしょう。ところが、この時期になってバイデン下ろしが動けば予想のつかない要素がさらに増えることになります。

こうした事になるのも、民主党が、あるいはバイデンさん自身が後継者を育てて来なかったことの結果でしょう。

こんなことで「もしトラ」の可能性がさらに大きくなれば、世界も国連も今後の地球社会の予測困難による不安定化に悩まされる事になりそうです。

かつてのトランプさんの時代を思い出してみても、あの北朝鮮の金正恩さんとの世界のテレビ画面を巻き込んだショーはいったい何だったのか、イランの核問題から「一抜けた」行動の結果は何だったのか、アメリカ自身が言い出したTPPからこれも「一抜けた」でよかったのか、ユネスコなど国連機関からの脱退は何をもたらしたか、中国との関税戦争は何か解決したのか、国会議事堂占拠をまたやるのか、などなど、世界のトラブルや混乱の種がまた増えるのではという危惧が先に立つようになりそうです。

口では国際社会の安定・発展を言いながら、トラブルメーカーになる国や人はいつの時代にもいるものです。日本もかつては、アジアの平和と発展を謳いながら、アジアや世界に多大な迷惑や苦難もたらした過去を持っています。

だからこそ、戦後の日本は、平和憲法を掲げ、世界の中でトラブルメーカーには絶対ならず、常にトラブルシューターであることを心掛けて来たのではないでしょうか。このブログでも、日本は徹底して常にトラブルシューターであるべきと言ってきているつもりです。

ところで、アメリカは日本と同盟関係にある国です。そのアメリカが「もしトラ」でトラブルメーカーになるのではと心配されそうな様子です。

「もしトラ」の「トランプ」が現実になって、その「トラ」が「トラブル」の「トラ」になるなどという事のないのを願うところですが、もちろん、トランプさんも、今言われている「石油をガンガン掘ってガソリンの値段を下げ、中国のEVは買わない」と言い続けるかわかりませんが、米中問題は経済だけでは収まらない可能性もなしとしません。

首脳の外遊が多い割に、外交政策については極めて下手の日本のようですが、世界のトラブルシューターとして、日米関係を含め、日本に、これから何が要請され、日本として何が出来るのか、追随から自主へ、日本も本格的に変わって行かなければならないのではないでしょうか。


<月曜随想>アメリかについていくのですか?

2024年07月15日 15時01分46秒 | 国際関係

アメリカでまた大変な事件が起きました。トランプさんが演説中に狙撃されたというのです。狙撃した人物は即座に射殺されたということです。

日本だって安倍さんが銃撃されて死亡しているではないですか、日本のずいぶん野蛮な国ではないですか、という人もいます。

言われてみれば確かにその通りで、世界でも民主主義の先進国を自任する国でこうした恐ろしいことが起きるのです。

ただ、違うところもあります。安倍さんの場合は、政治問題というより、私怨による犯行ということのようです。

アメリカの場合は多分政治問題に関わる事なのでしょう。しかし犯人が射殺されているのでその辺は解りません。

警察の対応も日米では違うようで、日本では逮捕して犯行の理由を突き止めようとしますが、アメリカでは、射殺することが多いようです。

世界を驚かすようなことが起きたので、つい書いてしまいましたが、本題は日米関係のことです。

日本経済がおかしくなったきっかけは「プラザ合意」(1985年)で日本が円高になってからと、このブログでは書いていますが、宮沢喜一さんが「回顧録」を出されたとき、一番よくわかっているのは宮沢さんだろうと思い、早速「回顧録」の「プラザ合意」で円高が進んだ時期の頁を開いて見ました。

しかし、書いてあったのは「あの時は毎日のように大幅に円高が進んで大変困りました」といったことだけだったので、「え!それだけ」と落胆したのを覚えています。

昨日の朝日新聞に、「宮沢喜一・日録(戦後政治の軌跡)」でちょうど「プラザ合意」の所になっていたので読んでみました。

記事の冒頭に「竹下さん、あなた、自分が何をやってきたか解っているのですか」という宮沢さんの言葉がありました。プラザ合意から帰国早々の竹下登蔵相を、居並ぶ政府与党要人の前で面罵したのだそうです。

回顧録では「困りました」だけでさらっと書かれた言葉の背後に、あの時起きていたことが「日録メモ」にはつぶさに書いてあったようです。

大蔵省出身で当時経済・財政には最も通暁している人として知られ、自民党総務会長だった宮沢さんは、円高の恐ろしさを十分に先見していたのでしょう。

それからのアメリかのベーカー財務長官との交渉の過程も「日録メモ」には詳しく書いてあったようです。

「プラザ合意」の翌年の7月には、中曽根内閣の蔵相に就任、その翌年には竹下内閣の副総理兼蔵相として、日本に円高を強いたアメリカのベーカー財務長官との共同声明で円高阻止を狙う努力を続けたようです。

一時は話に乗る気配もあったベーカー財務長官も、もともとアメリカの対日貿易赤字削減の奥の手の円高要請ですから言を左右にしたようで、宮沢さんの職をかけるという意気込みも結果的には成功しなかったようです。

結局、プラザ合意後1年ほどはアメリカの貿易赤字は減少しましたが、赤字体質是正は役に立っていないのが現実です。一方日本はその後30年も円高に苦しんでいます。

もともとアメリカ経済そのものが生産より消費が多い体質ですから、それが治らない限り黒字国にはなりません。

日本に対して円高政策を取り、その後中国にも人民元切り上げを要請しましたが、習近平さんに断られ、今度は関税の引き上げで、習近平さんとトランプさんの泥仕合になりましたが、アメリカは中国に工場を作り、中国はアメリカに製品を輸出するという関係が出来ていますから、ともに返り血を浴びるような結果で、お互いに巧くいかないのは当然です。

アメリかも自己主張の強い良い国ですし、中国もその点では負けていませお互いに損をしながら意地を張り続けているようです。

この辺りは、アメリカが民主党であろうと共和党であろうとあまり変わりはないようです。

日本は現状アメリカについていこうというのが自民党政権の態度ですが、それで日本にとっていいことはあまり無いようです。

日本はもっと自分について確り考え、にほん自身の存在意義を明確にして、米中両国に、喧嘩するより仲良くした方がお互いに上手くいきますよと説得する役割を果たした方が余程世界のためになりそうな気がします。

そんな難しい事が出来るのは、世界広しと言えども日本ぐらいではないでしょうか。


心配なアメリカ経済の今後と日本

2024年05月15日 16時27分26秒 | 国際関係

アメリカ経済はサービス部門の活況で、雇用も堅調、賃金も上昇で、その結果が消費者物価の上昇率が3%を切らず、この所は前月比も上昇という事のようです。

経済が元気という事は結構なことですが、生産性の上がりにくいサービス部門が好調というのは何か心配でもあります。生産性が上がらないと人手不足、求人増につながり、雇用増が経済の活発化、好況の先行指標と考えるアメリカの見方ではいいかもしれませんが、そのせいで賃金が上がり、消費者物価が下がらないという事になりますと問題が出て来ます。

というのは、FRBはインフレ目標2%を掲げ、それが達成されれば金利を引き下げ景気抑制策を止めると言っているのですが、この所消費者物価が3%がらみでそれ以上低くならないといった様子だからです。

FRBのパウエルさんは、この分では金利引き下げは当面視野に入らないといった発言をしています。アメリカの経済成長率の予想は、今年は2.6%(実質)で良いのですが金利が下がらないと住宅建設や製造業の景気は良くならないので、来年は1.8%の成長に減速の予想だそうです。

これはアメリカにとっても良くないのですが、アメリカの金利が下がらないと、日本との金利格差が開いたままになる可能性が大きく、日本は円安が更に進むとか、アジア諸国なども通貨安になってインフレ進行、経済不安などが言われ始めています。

アメリカは、今、国際情勢の不安定で、ウクライナ支援をはじめ出費が多ですから、ドル高の方が良い面もあるかもしれませんが、国際競争力という面では当然問題が出るでしょう。

その具体的現われかどうかは解りませんが、バイデン大統領が、中国製電気自動車(EV)の関税を25%から100%に引き上げるというショッキングな発言をし、更に中国対象に電池やソーラーパネル、加えてアルミや鉄鋼といった工業原材料の関税引き上げにも言及しています。

中国は当然これに反発して、何かトランプさん時代の関税引き上げ競争のような雰囲気になってきそうな気配です。

覇権国、基軸通貨国のアメリカが果たさなければならない役割は大変かと思いますが、残念ながら、アメリカの経済力はそれについてけないのが現状でしょう。

日本も、アメリカら防衛装備品など、色々な物を買わなければならないようですが、円安もあり大変な値上がりのようです。

今の対米関係では、NY市場と東京市場の関係のように、アメリカに依存して動くものがたくさんありますから、アメリカの経済情勢には最大限の注意を払わなければなりませんし、同時に、日本経済自体も、もっと確り力をつけなければならないのでしょう。

それにしては、日本の政権の現状は、一体何を考え、何をやっているのかコップの中の泥仕合という情けなさです。これではダメだと思っている人は大勢いるのでしょうが、それでは何をすべきかをきちんと考える人が出てこないというのが今の日本の一番の悲劇のような気がします。


中仏首脳会談の成果、日中首脳会談は?

2024年05月08日 14時29分46秒 | 国際関係

中国の習近平主席がフランスを訪問、マクロン大統領と2日間に及ぶ首脳会談が持たれました。

パリ・オリンピック開催中の戦闘停止の呼びかけで合意するなど当面する世界の関心事に大きく関わる合意が発表されるなどの大きな成果が発表され、世界的に大きな反響がありました。

フランスはヨーロッパ連合の主要国、自由世界の雄としてロシアのウクライナ侵攻についてはウクライナ支援の国です、一方中国は共産主義国家として国連の常任理事会ではロシアを支持し自由世界と明確に対立する国です。

この2つの、意見の相対立する国の首脳が、2日間にわたり親しく話合うという事に驚いた人も多いのではないでしょうか。

しかし、国という組織体を経営する立場にある首脳であれば、対立はあっても、協調、協力した方が共に裨益し合う事もいろいろある事は当然思慮の内にあるのでしょう。

考えてみれば、政治的、イデオロギー的に対立するという面はあっても、経済的に協力が出来ればその方が良いという事も当然色々あるわけで、対立点はあっても協調できる事は進めるというのが外交のあるべき姿でしょう。

今回の中仏首脳会談でも、五輪中の戦闘停止の呼びかけだけではなく、中国も平和のために力を尽している、ロシアに武器売却をしない、関連品の輸出管理をしているといった中国側の発言もあり、原発や航空機の共同開発、フランスの果実、酪農製品の輸出など多様な話し合いが進んだようです。

中国はアメリカの干渉を意識しつつも、フランスの独自性を尊重し、フランスも自由圏の国、ヨーロッパ連合であることと、独立国であることの意義を意識して中国との対話を進めるという意欲が見えてくるのではないでしょうか。

こうした、当面する立場に違いがあっても話し合い、協調、協力の出来るところから交流を広げ、紛争を避け平和を進めるという姿勢は、独立国である限り可能なのだと考えれば、そうした視点を、翻って、日中の関係に積極的に持ち込むことの重要性を意識する人は多いのではないでしょうか。

特に日中の場合には、千数百年に及ぶ交流の歴史があり、日本文化の中には、漢字が日本の表現様式の基本をなしているように、また殆どの諺が中国の故事に因んでいる事からも明らかなように、基本的に共通な文化があるのです。

しかも改革開放以来の日中交流は、双方の関係を近代化の中で大きく進めたはずです。その中国に頻繁な外遊を揶揄されるほどの岸田総理が、この重要な時期に、日中首脳会談を持たないのは、何故でしょうか。遠いヨーロッパでフランスのマクロン大統領が、自国のためだけではなく世界のために中国とのコミュニケーションを進めたように、日中の間ではさらに多くの二国間そして世界的に役立つコミュニケーションが出来る可能性はあるはずです。

平和憲法を掲げ、先の大戦の衷心からの反省をし、世界の安定に役立とうという日本であるはずなのに、「君子危うきに近寄らず」でしょうか。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という気概と行動が取れないのでしょうか。

「去る者は日々に疎し」では、日本の平穏な明日は来ないのではないかと心配する人も多いのではないかと思うところです。


岸田首相国賓待遇で訪米、日米関係は何処へ

2024年04月09日 13時23分21秒 | 国際関係

支持率が23%(NHK調査)まで下がった岸田内閣ですが、自民党崩壊の危機などと言われ、混乱を極める自民党の党首の岸田さんをアメリカが国賓待遇で呼んだのです。

今迄に国賓待遇でアメリカに招かれた日本の首相は小渕恵三、小泉純一郎、安倍晋三そして今回の岸田文雄という事だそうですが、アメリカは、世界中の情報を最も多く、最も確り掴んでいる国で、日本の事などは、我々よりずっと良く知っているはずですから、岸田さんを今、国賓待遇で招待するについてはそれなりの理由があるのでしょう。

細かいことは解りませんが、アメリカの欲している事は、今迄の日米関係からほぼ想像がつきます。

1つは、日本が万年経常黒字国で、アメリカは万年経常赤字国だという事から来る問題です。アメリカは赤字をファイナンスしなければならない立場ですから金策をしやすい相手が欲しいでしょう。その点では日本は合格という事でしょうか。

2つは、戦後アメリカは日本を戦争をしない国にしようと徹底努力しましたが、今は違って日本を戦争の出来る国にしたいようです。理由は、敵国だと思っていた日本が、味方だという事が解ったからでしょう。

その外いろいろあるかもしれませんが、大きくはこの2つでしょう。

そしてアメリカにとって日本の長期政権党である自民党が、政党として最も相互理解が進み、安心してお付き合いできる、いわば信頼関係のある、少し俗な言葉でいえば、最も与しやすい相手だと確り研究し分析していると考えているのではないでしょうか。

勿論、国民の中には色々なことを言う人もいますし、いろいろな立場の政党もありますが、選挙をすれば、殆ど自民党が勝ち、時に自民党が野に下っても、少し経つとまた自民党が政権党に復帰しているというのが今までの実態だという事もアメリカはよく知っているのでしょう。

そんなふうに考えますと、やっぱり日本は、アメリカにとって、いろいろな意味で、大変役に立つ国だという事なりそうです。

だから、国内ではどうにも人気の出ない岸田さんでも、アメリカにとっては日本の政権党の党首で、現職の総理大臣ですから、国賓待遇で招待してもそれだけの価値のある人なのだという事になるのでしょう。

そして、出来得るならば、アメリカが岸田さんを評価しバックアップする事で、岸田さんの力の回復が出来れば、それはアメリカにとっても、岸田自民党にとっても、大変望ましい事ではないかと考えても、それも1つの考え方という事にもなるでしょう。

岸田さんにとっては、これはまたとないチャンスで、これを十分に活用して、今の混乱を収め、国民の信頼を取り戻す強気を取り戻すための大きな自信(過信?)にもなるのではないかと考えられます。

岸田さんの今回の訪米は、現在の複雑な諸事情を、こんな形で日米同盟の強化をさらに確実にするアメリカにとっても重要な動きの一環とも感じられてしまうところです。

ところで、これが日本の将来にとって、いかなる結果を齎すか、日本人は、それぞれに日本という独立国の一国民としての立場で、他人の意見などに頼ることなく、自分自身の意見を確り持たなければならないのではないかという気がするところです。


日本はアメリカにどこまで物が言えるのか

2024年03月07日 20時33分12秒 | 国際関係

日本はアメリカにどこまで物が言えるのか

第二次大戦後のアメリカは圧倒的な経済力、軍事力、技術力を持って世界に君臨し、覇権国、基軸通貨国としての地位を確立してきました。

しかし、リーダーの役割を引き受けたからには勝手に止めるわけにはいきません。経済力が弱ってもやる事はいろいろあるし、止めて普通の国になるという事も沽券にかかわるという意識もあるでしょう。

それまでの金為替本位制で金の価値に繋がっていたドルを金と切り離し、変動相場制にしてドルを切り下げ、国際競争力をつけてリーダーの地位を守ることにしました。

しかし世界ではいろいろな国が経済力をつけて来て、経済力でアメリカを超える可能性も出て来ます。

まず日本です。石油危機を乗り切って経済成長を続け、繊維、鉄鋼、自動車と対米輸出を伸ばしてきます。

何とか日本の勢いを止めようと、日本に「円」の切り上げを要求し、結果的に日本の国際競争力を半分にし、日本はその対応に努力しましたが、30年も成長が止まり、アメリカは安心しました。

次に伸びてきたのが中国です。中国は人口がアメリカの3倍以上ありますから、1人当たりGNPがアメリカの3分の1でも、GDPの規模はアメリカを越えます。

アメリカは中国にも人民元の切り上げを要求しましたが、中国は日本の例に学んでいてOKとは言いません。

それで、中国製品に関税を掛けたり、知財その他の問題で、対米輸出を抑えようとしましたが、アメリカの企業の中国での生産が多かったりでなかなか上手く行きません。

中国は、アメリカに対して「中国の発展を客観的かつ理性的にとらえ、両国関係が安定し、健全で持続可能な発展になるように考え方を変えるべきだ」(最近の王毅外相発言)などと言ってアメリカの圧力に反発します。

さて、こうなると、過去に大失敗の経験を持つ日本は、中国の主張をどう理解すべきか少し真剣に考えなければならないのではないでしょうか。

勿論、中国の主張は言葉上は正論です、中国のその他の言動を見れば、多くの問題があります。それと同時に、アメリカの日本に対する態度も、日本にとって適切でない事も沢山あります。

本来であれば、日本はアメリカに「ハイハイ」ばかり言わずに、日本自体の立場に立って、国際的に見て本当に適切なことをきちんとアメリカに言うべきなのでしょう。

しかし、現状は、アメリカに対して日本として、内外を貫く正論を確り言う事は大変難しいようです。

日本は今、国の存立の意義にかけて、先ずアメリカに、そして世界のどの国に対しても、戦後の日本が心掛けてきたように、正論を率直に話して行かなければならないのではないでしょうか。


今年の8月15日、今年は2つの問題点が

2023年08月17日 12時30分09秒 | 国際関係
今年の8月15日、今年は2つの問題点が
終戦の日を2日過ぎました。今年も8月15日を中心に、「戦争」についての沢山の記事、解説、意見などが報道だれました。

既に1年半になるウクライナへのロシア侵攻による悲惨な現実を背景に、戦後78年、平和憲法のお陰もあって、戦闘行動は行わず、平和を享受出来た日本でも、新たに2つの問題への指摘が多く見られたような気がします。

1つは、「戦後」という常用語に加えて、「戦前」という言葉が混じって来た事です。
しかも、最近の「戦前」は太平洋戦争前の「戦前」ではなく、今日現在が「戦前」だという意味なのです。

典型的、象徴的には麻生太郎氏の「戦争の覚悟」が必要という発言に見られるような、新たな戦争を予感させる「新し戦争の前の時期」という意味です。

つい昨年までは誰もそんな事を考えなかったのではないでしょうか。それが、日米の集団的自衛権という盟約が、台湾有事という「現実的可能性」と結びついた時、急速に広く意識されるようになったのです。

そして日本政府は、沖縄の南西諸島のミサイル基地化を進め、大量の防衛装備をアメリカから購入することを決めています。
これが、戦争を抑止する効果を持つのか、戦争を招き寄せる効果を持つのか、日本人すべてが、その判断をしなければならない立場に立たされているのです。

もう一つは、戦争の中での必然である「殺戮」についての被害者だけでなく、加害者の意識、精神状態、その経験と人間性の問題などについての報道や意見です。

今迄はこの忌まわしい問題を正面から取り上げることは何か控えられていたところもあったようですが、今年は、この問題に正面から取り組む報道が、かなり多かったような気がします。

戦争は殺戮を伴います。それは個々、具体的な現実としては殺人です。通常の人類社会では決して認められる事のないその行為を戦争は常に容認するものなのです。

しかし、戦争の中とはいえ、人間がそうした行為をした時、それが、人間の心・精神にいかなるトラウマを齎すかといった問題も含めて、真剣な記事や論調が多くみられました。

ロシアの核による脅し、ウクライナでの悲惨な現実に触発された面も大きいと思われますし、ミサイルや無人機といった、人間が直接手を下さない遠隔殺人の問題も意識した、人間の本源的な意識の表出のようにも感じられます。

これは世界人類共通の大きな課題ですが、過去の戦争の結果に学び、平和憲法を掲げこの78年間戦闘行為を行っていない日本人にとっては 、特別に重要な問題でなければならないのではないでしょうか。

21世紀の今日、戦争というのは、ごく少数の異常な精神構造を持った人が、偶々一国のリーダーになったというケースしか起こりえないような人類社会になりつつあるのではないでしょうか。

国連を始め人類の組織も個人も、こうした極く少数な危険な事態を、あくまで平和的な手段によって解決に近づけるような知恵と努力を、協力して作り上げなければならないのでしょう。

特に平和憲法を掲げる日本のリーダー、それを選ぶ日本国民は、戦争の不条理と結果の悲惨さを徹底理解し、かりそめにも「戦争」などという言葉は使わず、平和維持という人類の王道の中で、問題解決に率先努力する選択と行動を心がけるべきではないでしょうか。

ロシアのウクライナ侵攻は世界の損失

2023年07月19日 17時17分08秒 | 国際関係
ロシアがウクライナに侵攻して500日が過ぎました。

侵攻当時、プーチンは数日で終わると思っていたなどと言われましたが、既に500日、そしてまだまだ先が見えないという見方が多くなっているようです。

すでにウクライナ東部の諸都市は廃墟と化した様子がTVの画面に映し出されますが、客観的にみれば、こんなに破壊した上で領土を広げたいと考えるのかとプーチンの妄執の愚かさと恐ろしさを感じるだけです。

一人の人間の意思決定でこんなことが起き、国連という世界人類のための組織を持ちながらその解決のために効果的なことが出来なという現状が500日以上続いているのです。

国際交流の活発化のため、世界人類の生活文化の向上のために建設されたインフラが破壊され、安定した経済社会の交流のためのシステムば機能を停止、広範囲な食糧危機の可能性すら出て来ています。

プーチンは核の威嚇に言及し、世界は核戦争の回避に、改めて真剣な考慮を払わなければならないような状況にありますが、同じ核問題でも、チェルノブイリの原発の管理はどうなっているのか、世界最大と言われるザポリージャ原発の管理は安全なのか、今後の戦況の中で予断を許さないのではないでしょうか。

当事国のロシア、ウクライナは勿論、NATO諸国も兵器、弾薬の生産に追われ、アメリカは国際条約で禁止されているクラスター爆弾のウクライナへの供給の方針などという報道まで(アメリカは条約不参加)取りざたされています。

戦争が長引くと戦略施設や基地の破壊だけでなく都市の破壊、インフラの破壊、社会システムの破壊、人間生活の破壊、人命そのものの破壊まで、破壊の範囲は限りなく拡大していってしまうようです。

第二次世界大戦の破壊の大きさを省み、世界の平和と経済文化の発展を目指したはずの人類の行く先に、改めてこんな人類社会の破壊の現実が待っていたとは、考えてもみなかったことではないでしょうか。

こうした現実を見ていますと、人類社会が平和と安定を実現すればするほど、その社会は暴力に対して脆弱になるというパラドックスが成立するという事なのでしょうか。
今の国連中心のシステムの国際社会におけるガバナンス能力が、十分なものでないとすれば、改めて国連という組織、システムの在り方を考えなければならないという事になるのかもしれません。

リヒテンシュタインが提起している国連安保理における常任理事国の拒否権の在り方についての検討は、小さい一歩ですが、何らかの示唆を与えるものかもしれません。

国連中心主義を標榜してきている日本も、改めて、国連の国際社会におけるガバナンスの問題について真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

ロシアのウクライナ侵攻問題は長引きそうだという悲観的な情報に暗澹とした気持ちになるしかないのでしょうか。

改めて日本は米中関係安定に努力を

2023年06月22日 13時54分37秒 | 国際関係
イギリス訪問中の林外務大臣が、イギリスの王立国際問題研究所で、日本の外交政策と日英関係をテーマに講演しました。

大変大事なのは、林外相はその中で、インド太平洋地域の平和と安定を述べ、特に中国の立場の重要性に触れ、中国は、力や威嚇によって国際秩序を変更しないという戦略的な決断を下さなければならないと指摘したとニュースが伝えていることです。

その上で、中国とは国際社会が直面する共通の課題では協力する事が大事だとして、建設的で安定的な関係の構築を図る考えを強調したという事です。

詳しい講演の内容を見ているわけではありません。また、林外相の訪英が、日本政府のいかなる意図で行なわれたのかも詳細を知るところではありません。

然し、この時期に、日本の外相が訪英し、中国に対する平和的で建設的な関係が、今の世界にとって必要だという事を強調したことは大変良かったのではないかと思います。

ブリンケン米国務長官が訪中し、米中対立の片隅に微かな意思疎通の部分を作ったことは、まさに、アメリカでなれば出来ない事ですが、この所、世界からもアメリカべったりのように思われそうな日本が、日本として世界に役立つことを堂々と「日本として」主張することはまさに大事でしょう。

アメリカでは、ブリンケン国務長官がようやく対話の道を付けた直後なのに、バイデン大統領が習近平は独裁者(来年の選挙を意識してか)などと言ってしまい、またトラブルのもとになりそうです。

中国も対立激化は避けたいでしょうから、大事に至らなければいと思いますが、「禍は口より出ずる」の諺は、アメリカでも同じでしょう。

こうした、何かあれば米中をはじめ、バランスが崩れそうな微妙な世界情勢の中で、不戦を謳う日本は、痩せても枯れても世界第3位の経済大国ですから、地道に真剣に世界平和へのバランスの回復に、日本らしい独自の立場で、世界の多くの国々が納得るような主張と行動を常に心がけることがその役割なのではないでしょうか。

ロシアの様に異次元の感覚を持つリーダーが、世界中が望まない暴挙に踏み切り、剰え、核の脅しを乱用するような情況の中で、常に破壊を否定し、世界の平和と繁栄のために発言する日本というあり方を明確に堅持することが、今の世界情勢を考えれば考えるほど、日本の果たすべき役割と思念すべきでしょう。

そのためにも、日本が、アメリカと話すだけではなく、中国とも積極的に話し合い、米中関係の安定に最善の役割を果たすという旗印を世界に向けて掲げることを、先ずは、今日の時点で、日本の現政権に期待するところです。

米中関係は「争い」から「競い」に脱皮できるか

2023年06月20日 14時47分53秒 | 国際関係
アメリカのブリンケン国務長官が中国を訪問しました。
マスコミは、習近平主席にまで会えるかと懐疑的な所もあったようですが、この訪中は大成功だったと言えるのではないでしょうか。

秦剛外相との会談は数時間に及んだようですが、長時間の会談は、米中の思いの共通部分を理解し合う成果を齎したのでしょう。
そして、外交トップの王毅氏との会談に進み、最終的に習近平主席との会談も実現することになりました。

アメリカにはアメリカの事情があり、中国には中国の事情があるのでしょうが、現状の米中関係を見れば、客観的には、対立点よりも、共通点(共益点)の方がずっと大きいのはないでしょうか。

世界の覇権を争う立場にあると言われる2つの国が、より大きい共通点の方を理解し優先するという事は時に困難かもしれませんが、それを願うのは人類社会全体としては当然でしょう。

日本にとってはどうでしょうか。地球人類の平和を希求し、多様性の共存、融合、習合についての文化的、社会的な理解をその原点である縄文時代に持つと言われる日本人にとっては大変望ましい方向への一歩と感じられるところでしょう。

こうした動きに対して、アメリカでは来年の大統領選挙を控えて、アメリカ社会を2分するような動きがあり、現政権としては、外交面での安定の確保が極めて重要だからとか、中国ではコロナ対策の問題もあり、経済不振の様相が懸念されることもあって同様に国際的な安定が望まれるからといった見方もあるでしょう。

更には、アメリカは世界における覇権国という地位の確保を最優先する国で、次の覇権国を狙う中国と、今の時点で、徒に対立することは現状では望ましくないという意識に基づく発想であるとか、中国は満を持して覇権国への力をつけるために有利な政策を選ぶ深遠な意図があるといった解説もあるかもしれません。

勿論世界にはいろいろな立場や意識があり、いろいろな識者が論を戦わせ、またいろいろなマスコミがあって、いろいろな論説があるわけですから、それに最近は生成AIの意見も出て来るのかもしれませんから、議論は尽きないのかもしれません。

沢山の議論があることは大変結構だと思います。多様な意見があって、人びとはそれを見聞きし、学び、咀嚼して自分の意見を持つのでしょう。
反対の意見、視点や角度の異なる意見があって初めて気づきがあり、独善が薄められるのでしょう。

多くの意見に触れることで、次第に個人から国までの行動が、社会全体の望む方向に進むというのが、もともとの人類に与えられた知恵の使い方ではないのでしょうか。

最終的には同じ人間同士というところに立ち帰るという事になれば、世のなか平穏無事に近づき、安定発展の基盤が出来るのでしょう。

こうして、米中関係も、争いによる潰し合ではなく、競いによるそれぞれの成長が実現されることが世界にとって最も望ましい事ではないかと思い、今後のさらなる成果に期待するところです。

米中関係の仲介・改善は日本の役割

2023年05月31日 13時33分27秒 | 国際関係
トルコの大統領の決選投票ではエルドアン氏が選ばれました。マスコミの報道によれば、ロシアとEU・ウクライナの対立の仲介役、エルドアン氏という認識の効果が大きかったということです。

確かにウクライナの穀物輸出問題でもエルドアン氏は重要な役割を果たしました。勿論、ロシアのウクライナ侵攻問題の解決は容易ではありませんが、エルドアン氏の努力は、国際的にも大きく評価されて当然でしょう。

今、世界の安定に大きな懸念を投げかけているもう一つの問題は、米中関係でしょう。
米中の制服組のトップ会談をアメリカが持ちかけましたが中国が拒否したというニュースが入ってきました。

トランプ政権以降、米中関係は明らかに対立関係に進んできました。そして中国が国内問題とする中台問題は、習近平主席の3期目就任とともに一層深刻になるようです。

アメリカも中国も二分論(dichotomy)的な文化を持つ国です。そして地政学的には、中国は次の覇権国を目指しているでしょう。
もし現状を放置し、地球上に仲介役を果たす国がいないと、台湾有事から第二次太平洋戦争の可能性すらなしとしません。

既にアメリカ政府に近いシンクタンクCSISは台湾有事のシミュレーションを発表し、日本の参戦がなければアメリカが負けるというケースまで推測していると報道されています。

こんな状況の中で、アメリカ、中国との関係改善のために最大限の努力をしなければならない国は何処かと考えれば、客観的に見る限り、それは日本でしょう。

古くは中国から学び、戦後はアメリカから学び、痩せても枯れても世界第3位のGDPを持ち、地政学的にも両国の間に位置し、しかも二分論でない、融通無碍な文化的伝統を持つ国です。さらに言えば、「平和憲法」を掲げる国なのです。

日本政府は、「日本にそんな力はない」というかもしれませんが、対立の仲立ちをする国には「力」は必要ないのです。必要なのは信頼関係と説得力でしょう。

企業などあらゆる組織でトップというのは孤独なもので、国のトップの場合も基本的には同じで、トップはいつも、心のどこかで本音で話せる相手を探しているのです。
その本音を親身になって聞く事の出来るものが真の仲介者でしょう。

ユネスコ憲章の前文は、英国の故アトリー首相の言葉を引いています。
「戦争は人の心中で始まるものであるから、平和の砦は人の心の中に築かなければならない」
世界中が知っていますが、実践は人間の心の弱さのために、極めて難しい言葉です。

しかし、米中関係の正常化は、世界中が望んでいる事でしょう。
そして、未だ、事前の話合いで解決出来る可能性がないとは言えない、あるいは「言ってはいけない」段階なのではないでしょうか。

まだ、未然の対処のために残されている時間はあるのでしょう。
日本政府、岸田総理は、敢えてこの役を買って出ようとは思わないのでしょうか。

戦争と平和の間:広島G7サミット 

2023年05月22日 14時04分42秒 | 国際関係
広島G7サミットはどんな形になるか、心配と興味の入り混じる中で見守っていました。

当初、広島サミットの主要テーマとしては、いわゆるグローバルサウス(先進国と途上国の関係)関連問題、ジェンダー問題、AIの進歩とルールの問題、食料や保健の問題といった多様な問題が列挙されていました。日本政府はそれに加えて、広島サミットという事で核拡散問題を上げていました。

これらはいずれも、人類社会が当面する重要問題であることには間違いなく、サミットでの討議が期待されたところでした。

然し、始まってみると、核問題はロシアの核の脅しと広島の原爆投下の惨状に関わる議論、そしてウクライナ侵攻問題に及び、ゼレンスキー大統領の急遽参加で、結果的には戦争のないこと、平和の重要性が決定的な重要を持つといった認識の中で終幕になったようです。

G7以外の招待国の中には、ロシアに対しても等距離外交の姿勢の国もありましたが、こうした国のあることも、ロシアのウクライナ侵攻問題の解決のプロセスでは重要となることも当然予測されます。

マスコミの中には対ロシアの結束の強化を狙うとするものが多いように見受けますが、この戦争がロシアの意思というよりプーチンの戦争と言われますように、独裁者プーチンとロシアとを分けて考えなければならない時期がいつかは来るのでしょう。

G7首脳が、揃って資料を訪問し、原爆慰霊碑に献花したことは、矢張り画期的なことで、これは岸田総理の最大の希望でもあったのでしょうが、(これを岸田総理や自民党が選挙に利用するかどうかは別として)矢張り大きな意味を持つ歴史上の事実という事になるのではないでしょうか。

広島サミットの「まとめ」は、招待国も含め参加国の首脳の心な中ですでに出来上がっているのでしょうが、報道で見聞きした多くの人々もそれぞれに、自分としての結論を出すことも大事のように思います。

当初から議題とされていたLGBTQといったジェンダーに関わる問題も、AIがこれからの社会にいかなる影響を与えるかも、もちろん重要ですが、そうした問題を人類がより快適な人類社会の発展のために議論する以前に、人類がまだ野蛮だった時代の遺物である戦争が「なくなる」ことがまず必要という意識は広く共通するところでしょう。

印象に残ったのは、ゼレンスキー大統領が、原爆直後の広島の写真を見て、ウクライナの戦場も共通するといったことです。規模の大小、放射能汚染といった違いはあるかもしれませんが、戦禍の跡は、基本的には同じ破壊と殺戮の跡なのです。

先程のニュースで、ブラジルのルラ大統領は、交渉がなければ停戦はない、原爆投下は戦争の激化の結果だ、交渉の場を作らなければならないと言っていました。

世界のあらゆる良識の結集を期待したいと考えさせる発言でした。


広島サミット、核問題は重要、しかしその前に

2023年05月18日 15時20分20秒 | 国際関係
広島サミットが目前です。
世界で最初に原爆が投下された都市、広島でサミットが行われることは画期的なことでしょう。

G7の首脳が広島の平和公園に集まるのです。かつて、そこに原爆を投下した国アメリカのオバマ大統領が訪れ、原爆平和資料館を見ました。
今回は改めてG7の首脳に見てほしいというのは日本人共通の意識でしょう。

しかも、岸田総理は広島出身という事で、かつてG8外相を広島に迎えた人です。今回はG7首脳ですから、核廃絶を願う人類の輿望を担って、原爆の悲惨さの記録を直接目にしてもらう事は大きな意味を持つでしょう。

こうした日本の願いが、曲折を経て実現となるようで、その意義を大いに評価し、その今後の国際関係への効果を期待しいところです。

そうした中で、海外からの意見としては、唯一の被爆国である日本が、広島G7サミットへの努力も積み重ねながら、何故核禁条約に参加しないかという疑問があるようです。
日本にしてみれば、核の傘で、アメリカに世話になりながら、核禁条約に参加するのは矛盾だという意識があるのでしょうか。

然し当面する現実はさておき、人類の理想としての核禁条約には核を持つすべての国が入って欲しいという願いを込めて被爆国の悲願として参加するといった意思決定はないのでしょうか。

こうした理想を追う態度と共に、現実を考えてみれば、何の紛争もない所に突然原爆戦争が起きるというものでもないでしょう。

今のロシアのウクライナ侵攻の問題でも、多くの人が懸念するのは、プーチンが思うようにいかなくなり、自暴自棄的な瞬間が来るのが最も恐ろしいなどと言われるように、通常兵器による戦争が行き詰まった時の核使用でしょう。

そういう意味で考えれば、核戦争を起こさないためには、先ず通常兵器による戦争をしないという事が最も重要なのでしょう。

ところでいま日本は、通常兵器による戦争に備えて、巨大な予算を積み上げ、「防衛力の格段の強化」を図っています。

特に「反撃能力」が問題になっていますが、反撃の応酬が、戦争を激化させることは、過去の戦争で人類は十分に承知しているはずです。

考えてみれば、世界唯一の被爆国であり、その悲惨な経験から戦争の放棄を憲法に掲げる日本が、核禁止条約に参加せず、通常兵器による戦争については無理を重ねる予算捻出で重装備の準備をしようというのですから、何か、何処かおかしい、日本は変わるのか、と外国から見られても当然なのではないでしょうか。

勿論外国と言わずとも、日本国内でも、まともに考えれば、いま日本がやっている事は理解不可能と考える人も少なくないでしょう。

これからの世界、何が起きるか解りませんが、本当に国民の生命と財産を守るためには何が必要か、行きがかりに捉われずに本筋を確り考える必要があるのではないでしょうか。

アメリカとの友好・同盟を世界と日本に役立てるには

2023年05月11日 17時03分13秒 | 国際関係
こんな大変な問題を市井の1老人が書くのは、大それたことでしょうが、それでも、現状を見ると、この問題は、世界人類のためにも、日本人全体が真面目に考えなければならない問題の様に思われるので、敢えて書く次第です。

欧米の文化というのは、もともとが二分論が原則のようです。これは、「神と悪魔」という2元論と同根の思想と考えられます。
世の中の関係というのは、対立する相手がいて、それはお互いに譲らないのです。妥協して仲良くなるという事は本来的にあり得ないのでしょう。

この考え方を原則にしますと、世のなかの事象は総て対立する2つの主体に分けて整理しないと気がすまず、それが行動の原則にもなるようです。

それに引き換え日本的なものの見方というのは、対立はあってもそれは絶対的なものではなく、相互理解も和解も渾然一体化もあるといったもののようです。

これは神話の時代からの伝統で、欧米の宗教では悪魔は今でも悪魔ですが、古事記ではオオクニヌシの子で国譲りに反対したタケミナカタは最後までアマテラスの使い タケミカヅチと対立、信州諏訪湖まで逃げて争い降伏しますが、諏訪大社の主神として祀られています。

今、世界は民主主義か独裁主義かの対立の様相ですが、とことん対立するという二元論では犠牲が大きすぎるのではないでしょうか。
最後は対立が解けて、同じ人類社会というベースで共存が望ましいという考え方の方が、余程賢いでしょう。

ロシアの問題も、今後も拡大する巨大な犠牲と共に終わるのでしょうか。
中台問題はまだそうした犠牲を払わずに解決する可能性はある(何とかして探し出す)と考えるのが最も賢明でしょう。

ところが今の状態を見ていますと、「有事」、つまり、中国が台湾に侵攻したらどうするかというベースでアメリカは全面的に考えているのでしょう。
残念なことに、日本政府は、その時どうすればアメリカの役に立つかばかりに熱心です。

二分論、二元論によって立たない日本が、日本の伝統文化をすっかり忘れて、アメリカ追随、中国とは批判や悪口ばかり言いあう関係になってしまっているようです。

関係が悪化しているときこそ、「建前」という二元論でなく、「本音」で「腹を割った」話し合いをすることが分け隔ての緩和、解消に最も重要でしょう。

話す相手は中国だけではありません。二元論を崩して行くことが大事な日本の伝統文化が、地球人類にとっていかに重要かという事を二元論のアメリカにも理解してもらうように、丁寧に説明する事がまず大事だと思うのですが、どうでしょうか。

国際関係の基礎は「競いの文化」で築こう

2023年03月23日 14時10分07秒 | 国際関係
新形コロナというパンデミックが世界を揺るがし、延び延びになっていた第5回WBCの優勝者は「侍ジャパン」でした。

昨年優勝のアメリカは、連覇を目指して途中、対メキシコでの失点もありましたが、満を持して決勝に勝ち上がってきたようです。

日本は準決勝でメキシコに逆転勝ちで決勝進出。夢の日米対決の優勝決定戦がマイアミでくり広げられました。
そして結果は、大谷、ダルビッシュ、村上、それに吉田の驚異の打撃力、そして、メジャーリーガーの強力打線を要所で封じる継投に活躍した投手陣等々の総合的な頑張りで「侍ジャパン」が念願の3度目の優勝を3‐2で飾ったのです。

放送席からは「呆然としているアメリカチーム」などという言葉も聞かれました。
そしてこれは、次回への切磋琢磨、それぞれの力と技の向上で、次回の優勝を目指しての研鑚に繋がっていくのでしょう。

スポーツの世界は「清々しい」世界です。勝っても負けても、それは努力・向上の「糧」となって将来に進んでいくのです。

優勝の感激で少し長く書き過ぎましたが、この清々しさは「競いの文化」に基礎を置くからと考えています。

「競いの文化」の対極は「争いの文化」です。これは今、現実に「ロシアのウクライナ侵攻」という形で起きています。

「争いの文化」では、石や棍棒から戦車、ミサイル、核爆弾まで、武器によって相手を滅ぼし自らの優位を保つという人類の野蛮な時代の遺物のような文化です。

今、この文化が残っているのは世界の少数な独裁国においてで、民主主義国ではほとんど見られない文化です。

そうした意味で考えてみますと、プーチンのロシアは「争いの文化」を是とする国であることをウクライナ侵攻で証明しました。

もう1つの問題国は、中国です。中国は南シナ海、更には台湾問題で、「争いの文化」を含む意識をもつ国であることを示唆する態度・行動をとっています。

但し中国は、これらの問題は国内問題という主張で国際関係には影響しないという立場のようですが、現実が「国内問題」と言えるものかどうかが、中国が独裁国家であるかどうかを(国際的に)に判断する証左になるのでしょう。

こうした中で、最も重要なカギを握るのは、アメリカでしょう。

中国は、台湾進攻を言いながら、交渉による平和的解決が望ましいという事も常に発言しています。
恐らく、独裁者の様相を強めている習近平も、プーチンの様に、国際輿論から「独裁者」と決めつけられるのは避けたいという気持ちはあるようです。

心配なのはアメリカの態度で、揺れ動く習近平の気持ちを、独裁者としての存在に踏み切らせるかどうかは、アメリカがこれからいかなる態度で習近平の中国に接するかにかかっているのではないでしょうか。

経済的には米中覇権争いという問題があります。経済覇権は、あくまでも「競いの文化」の問題であるべきです。経済発展を競い合うべき問題でしょう。
相手の経済力を潰して勝つような、たとえば、行き過ぎた経済制裁、関税合戦、貿易制限などは「争いの文化」の経済版で、人類社会の豊かさへの阻害要因でしょう。

「競いの文化」こそが人類社会の発展を支える文化で、「争いの文化」の要素がそこに入り込むことは結局人類社会の破壊や発展の阻害であることを覇権国アメリカが、十分に認識し、民主主義社会の良さを世界に示すことが期待されているのではないでしょうか。