tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価上昇、そろそろ要注意水域か

2023年05月19日 13時04分32秒 | 経済
今日、総務省統計局から2023年4月の消費者物価指数が発表になりました。
一口で言うと、消費者物価、上昇傾向収まらず、というところですが、上昇しているのは特定の分野に絞られてきたという感じになっています。
       
         消費者物価、主要3指数の推移

                     資料:総務省統計局「消費者物価指数」

上のグラフで見て頂きますと2月は電力料金に政府の補助金が出て下げましたが、その後の上昇角度は相変わらず急角度です。
6月からは政府の認可で電力料金は値上げになりますから2月の下げは帳消しになるのではないでしょうか。

エネルギーの影響を受けない緑色の線は一貫して上昇角度を強めています。この「生鮮食品とエネルギーを除く総合」は天候やエネルギー価格に影響されない日本国内事情によるインフレが中心ですから、これが日本経済の基調的な物価動向を示すという事でしょう。

物価上昇の内訳に入って、10大費目のそれぞれの動き(前年同月比)の説明を見ますと、上昇が目立つのは食料(8.4%)、うち、生鮮食品は鶏卵、生鮮魚介ですが、加工食品・調理食品、外食などの9.0%上昇というのは気になる所です。

家具家事用品の10,0%も目立ちますが、エアコン価格の上昇が大きいようです。
その他、被服・履物と教養娯楽が3%台の上昇ですが、その他の費目は1~2%で、落ち着いてきているように感じられます。

昨年春から始まった多様な品目の一斉値上げの動きも、そろそろ終盤かと思われましたが、上記緑色の線の上昇がなかなか沈静化しないのに加えて、鳥インフルの影響が鶏卵やから揚げに出るなど、予想外の事態もあって、台所も大変です。

6月からの電気料金の値上がりが、また統計の自然な動きに影響を与えますが、やはり注目すべきは緑色の線の動向です。

長期に亘った価格転嫁の出来ない状態から一斉に価格転嫁に動いたのが昨年来のインフレの大きな原因ですが、輸入品などの海外からのインフレ要因はすでに小さくなっています。この辺りは主要3物価の分析でも見られるところです。消費者物価はいまだに上昇中で、6月の電気料金の値上げがまたグラフを歪めるでしょう。

         消費者物価主要3指数対前年同月比の推移(%)

                        資料:上に同じ

一斉値上げの波はそろそろ鎮静化という見通しは変わらないと思いますが、緑色の線がこのまま上昇を続けるようですと、日本経済がインフレ体質になるという危険水域という事も考えられますので、注意深く見ていきたいと思います