tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2023年「こどもの日」雑感

2023年05月05日 17時35分05秒 | 政治
今日は子供の日、以前は端午の節句、鯉幟もあちこちにみられました。もう50年も前には、毎年我家でも飾りました。
こどもの日、子供の成長を祝う日ですが
長男の初節句の少し前、お向かいに家が建ち、足場を外していました。当時の足場は丸太です。棟梁に、手ごろな足場を1本譲ってくれないかと声をかけると「何にするの」というので「長男の初節句の鯉幟を立てたい」と言いますと「そりゃ芽出たい。手頃なのを1本あげるよ」という事で立派に鯉幟が揚ったのも良い思い出です。

「子供の日」は、鯉幟に続いて、柏餅となりますが、4、5軒先の家に以前、柏の木があり、いつも巻きつくように葉がついていましたが、確かに柏の葉は翌年新緑の葉が伸びるまで、古い葉が落ちません。

柏の葉は縁起がいいというので端午の節句に柏餅という組み合わせが生まれたのは江戸時代と言われますが、古い葉が新しい葉の面倒を見るように残っているのを昔の人も見ていたのだと実感した記憶も残っています。

そういう意味では、「こどもの日」に柏餅というのは平均寿命の短かった昔、親が長生きして子供を産み育てるという代々の重なり合った連鎖が目出度いという事からきているという事なのでしょう。

今はもう平均寿命は男女共に80歳を超えているのですから代々の重なりは問題ないのですが、合計特殊出生率の低下、離婚率の上昇で、柏に例えれば、新芽が出なかったり、残った葉が新芽をカバーしないという問題が起きているのでしょう。

昔の貧しい日本と、今のそれなりに豊かで、健康管理が行き届いて来ている日本という基本的な変化が、柏餅の縁起を理解しにくくしているという事もありそうです。

一方、政府のやっている事を見ていますと、出生率を上げましょう、離婚しても子供の養育に責任を持ちましょうと言っているようで、政府はまさに「柏餅派」のように思われます。

今の日本における、結婚したくない人の増加、出生率の低下、離婚率の上昇の理由は必ずしも解っていませんが、こうした問題と豊かな社会との関係は確り検討しておくべきではないかと思われます。


豊かな社会を実現し、その中での個人の自由と選択肢の多様化を促進しながら、若い人は積極的に結婚を選び、出生率は上がり、離婚率は低下させていくといった、政府の目指すような社会を実現するためにはどんな政策が必要なのでしょうか。

「異次元に少子化対策」がその解答なのかもしれませんが、その内容は、補助金や手当のバラマキなどの経済的援助以外あまりはっきりしません。

人間は本来自由であることを望み、選択肢の多様化を欲する生き物でしょう。豊かになれば、GDPが増えれば、財政の補助を増やせば、政府が望むような、もっともっと子供が生まれるような社会になるというのは本当に正しい認識なのでしょうか。

今の政権は(多分世界中どこでも)、国民生活の豊かさ(経済成長)を目指しています。
一方、豊かな社会になるにしたがって、独身者は増え、出生率は下がり、離婚率は増えるという傾向は多くの国で見られます。

政府には、「異次元」より、実はもっと違った、人間性の本質に迫るような政策が必要なのではないでしょうか。
人間が子供を産むといった行動は生物学的でもあり、人間の知識や意識の問題をその上に構築する深い研究が必要でしょう。

「子供の日」をみんなが、心から祝えるような日本であってほしいというのが国民の祝日「こどもの日」の趣旨であり、願いだと思っています。

最後に付け加えれば、最近の国際情勢は、近い将来、そんなことを考える余裕も無いような状態に日本を巻き込もうとしているように感じられる中で、現政権も「こどもの日」の意義を本気で考えてほしいように思うところです。