高度プロフェッショナル制度の本質
働き方改革法案は今日採決されることになるようです。
この法案の意図する2つの主要点は、「長時間労働の是正」と「同一労働・同一賃金」という事だったと考えていますが、「同一労働・同一賃金」のほうは正社員には適用しないという事で、パートと正社員の均衡といった良く解らないものになりました。
「長時間労働の是正」は残業の上限規制など、生真面目で勤勉な日本人が、働き過ぎにならないようにという事を目指すのかと思っていましたが、裁量労働や高度プロフェッショナル制度など抜け道を作る事で、本来の趣旨が良く解らなくなっていました。
裁量労働の方は根拠にしたデータが余りに杜撰という事で取り下げになりましたが、「高度プロフェッショナル制度」は残っていて、長時間労働が無制限に認められると野党は反対という事でしょう。
ILO(国際労働機関)条約の第1号が「週40時間制」であることからも知られますように、労働時間を適切な長さにするという事は、歴史的にも働く者の悲願でしょう。
高度プロフェッショナル制度というのは、その意味ではその枠を外すという事です。それが許されるとすれば、それは「労働」ではない働き方や仕事の仕方という事になるのでしょう。
つまり労働基準法などで考えている労働というのは、自分の意思ではなく、他人の意向(指揮・命令)によって働き、その対価を受け取るという行動についてのものです。
他人の掣肘を受けず、自分の意思で働くのは、労働基準法の労働ではないでしょう。
高度プロフェッショナルという方たちは、企業に所属はしているが、働くのは経営者や管理者の意向に(あまり)左右されずに、自分が思うように働くという立場の人たちを想定するという事になります。
現行の労働基準法では「管理者はそういう(自分の意思で働く)人達だ」という事になっているのでしょう。
(管理者の過労問題は周知のことですが、ここでは論じません)
その意味では、高度プロフェッショナル制度の適用の要件に「年収」を用いるという事はどうも趣旨が違うようです。
高度プロフェッショナルとして労働時間の枠を外す要件は「自分で自分の仕事を決められるかどうか」という事でしょう。
これは企業の社員でありながら、実質的には個人で仕事を請け負う「企業内個人請負」でなければならないという事ではないでしょうか。
法案では、この制度の選択は自由という事のようですが、基本的に「集団主義、チームワーク重視」の日本企業の中で、法律まで作ってこうした制度を作る必要があるのかは今でも疑問です。( 日本的な対応策は今までもあるのです)
法律になれば、企業としては、その適用者になる選択はあくまで本人の自由意志といったことの徹底、さらには、こうした自由度の高い働き方を選択する際の従業員自身の目的意識、意識改革など、運用を誤らないためのいろいろな条件が現場では必要でしょう。
与党は他方では副業、兼業などの二重就業を奨励するような考え方もあるようで、働き方改革というのは一体何を目指しているのかどうにも良く解りません。
働き方改革法案は今日採決されることになるようです。
この法案の意図する2つの主要点は、「長時間労働の是正」と「同一労働・同一賃金」という事だったと考えていますが、「同一労働・同一賃金」のほうは正社員には適用しないという事で、パートと正社員の均衡といった良く解らないものになりました。
「長時間労働の是正」は残業の上限規制など、生真面目で勤勉な日本人が、働き過ぎにならないようにという事を目指すのかと思っていましたが、裁量労働や高度プロフェッショナル制度など抜け道を作る事で、本来の趣旨が良く解らなくなっていました。
裁量労働の方は根拠にしたデータが余りに杜撰という事で取り下げになりましたが、「高度プロフェッショナル制度」は残っていて、長時間労働が無制限に認められると野党は反対という事でしょう。
ILO(国際労働機関)条約の第1号が「週40時間制」であることからも知られますように、労働時間を適切な長さにするという事は、歴史的にも働く者の悲願でしょう。
高度プロフェッショナル制度というのは、その意味ではその枠を外すという事です。それが許されるとすれば、それは「労働」ではない働き方や仕事の仕方という事になるのでしょう。
つまり労働基準法などで考えている労働というのは、自分の意思ではなく、他人の意向(指揮・命令)によって働き、その対価を受け取るという行動についてのものです。
他人の掣肘を受けず、自分の意思で働くのは、労働基準法の労働ではないでしょう。
高度プロフェッショナルという方たちは、企業に所属はしているが、働くのは経営者や管理者の意向に(あまり)左右されずに、自分が思うように働くという立場の人たちを想定するという事になります。
現行の労働基準法では「管理者はそういう(自分の意思で働く)人達だ」という事になっているのでしょう。
(管理者の過労問題は周知のことですが、ここでは論じません)
その意味では、高度プロフェッショナル制度の適用の要件に「年収」を用いるという事はどうも趣旨が違うようです。
高度プロフェッショナルとして労働時間の枠を外す要件は「自分で自分の仕事を決められるかどうか」という事でしょう。
これは企業の社員でありながら、実質的には個人で仕事を請け負う「企業内個人請負」でなければならないという事ではないでしょうか。
法案では、この制度の選択は自由という事のようですが、基本的に「集団主義、チームワーク重視」の日本企業の中で、法律まで作ってこうした制度を作る必要があるのかは今でも疑問です。( 日本的な対応策は今までもあるのです)
法律になれば、企業としては、その適用者になる選択はあくまで本人の自由意志といったことの徹底、さらには、こうした自由度の高い働き方を選択する際の従業員自身の目的意識、意識改革など、運用を誤らないためのいろいろな条件が現場では必要でしょう。
与党は他方では副業、兼業などの二重就業を奨励するような考え方もあるようで、働き方改革というのは一体何を目指しているのかどうにも良く解りません。