tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

エンゲル係数上昇の主因は?

2017年03月30日 16時01分03秒 | 経済
エンゲル係数上昇の主因は?
 今回もまた総務省の家計調査ベースの問題を取り上げました。3回ほど前に40歳代サラリーマンの貯蓄が、9年前の同世代に比べて 大きく減ったことを見て来ました。
 
 今、日本経済は、基本的には成長段階に入る条件が整ってきた中で、消費不振が成長の大きな足かせになっているという困った問題がありますが、この辺りの問題のコアは当然「家計の消費行動」にあるわけですから、日本経済の順調な成長のためにも、問題点を見ていかなければならないという意識が今回も背後にあります。

 今回はエンゲル係数の問題です。ご承知のように、エンゲル係数というのは消費支出の中で、食料への支出が何%あるかという数字で、貧しい時は食い物が一番大事で「学生の頃、俺、カネがないからエンゲル係数50%の生活」などと冗談を言ったものです。

 今の日本の家計ではエンゲル係数は23%程度で安定という状態で、所費支出の中で、食料への支出は4分の1以下という状態ですが、この1、2年それが上昇し、4分の1の25%に達し、日本人の生活は貧しい時代に逆戻りといった変化が、統計上では現実に、「家計調査」で出ているのです。

 具体的な数字を見ますと、(総務省「家計調査報告年報」)
総世帯       2,008年23.2%、2015年25.0%
単身世帯      2,008年23.0%、2015年25.1%
2人以上世帯    2,005年23.0%、2015年25.0%
内、勤労者世帯   2,005年21.5%、2015年23.6%

 といった状況で、どのグループをとっても、エンゲル係数の上昇は明らかです。しかも時系列の流れを見ますと、2013年までは大体安定した動きで、2014年、2015年に至って突如上昇するという事になっています。
 2014年は、黒田日銀総裁が 異次元金融緩和を開始、為替レートが$1=¥80から100円に2015年には120円になって、アベノミクスが始まった時期で、春闘の賃上げも再開され、人手不足と相まって、所得は上昇し始めた時期です。

 さらに付け加えれば、所得は増加しても、消費が増えないという「消費性向低下」が顕著になった時期です。国民所得統計では2015年度には雇用者報酬は前年度比1.5%の増ですが、総所帯の平均月額消費支出は前年の251千円から247千円に減っています(家計調査)。
 消費を増やさず貯金して、生活を切り詰めるという意識が家計を支配し始めたという事でしょう。

 その中で食費は、あまり切り詰められないようで、食料の中ではっきり減っているのはコメと酒類の消費ぐらいで、生鮮食品(値上がり)も加工食品(お惣菜が売れる)ばかりでなくほとんどの品目で伸びています(上記総所帯の平均食費2014年→2015年:60.272円→61.833円と2.6%増)。和食が無形文化遺産になったせいもあるのでしょうか。

 その代わり、自動車関係費は大幅減、耐久消費財、住宅関係、教養娯楽、雑費(身の回り品・サービス)、小遣いなどが減って、2014、2015年、上記の様に消費支出が減っています
 さらに検討をする必要があるかと思いますが、エンゲル係数の上昇はやはり家計の 消費性向低下のためで、将来不安からの家計費切り詰め指向が、あたかも所得低下、家計が貧しくなったかのような統計上の特徴として現れた、という事のように読めそうです。

 繰り返し指摘している将来不安による消費性向の低下、中堅世代の貯蓄残高の大幅減少、といった「失われた20年以来の日本経済・社会の歪みが、格差社会化の中で改善、解消されてこないことへの不安感、焦燥感が背後にあるように感じられます。

ヒヨドリとムクドリ、争いから共存へ

2017年03月29日 10時52分45秒 | 経済
ヒヨドリとムクドリ、争いから共存へ

2014年の写真


今年の写真
 

 この時期、我が家の猫の額の庭にも、スズメはもとより、ヒヨドリ、ムクドリ、シジュウカラ、山鳩、時にツグミ、ジョウビタキなどが来ます。今年は不思議とメジロが来ません。

 ヒヨドリとムクドリはやせ型とアンコ型の違いはありますが、サイズは同等で、いつも張り合っています。

 ムクドリは割合神経が太いようで、庭に、パンくずや台所のドレーンに残ったご飯粒などをまいておきますと、てくてくと二足歩行で食べに来ます。

 ヒヨドリは神経質で、まず豊後梅の枝に止まって様子を見、糞をして、注意深く降りてきてつつき始めますが、ムクドリが近くに来ると嫌がって木の枝に戻ります。そのあと、低空飛行しムクドリを威嚇したりします。

 しかし今年は、何となく少し離れていますが、共に餌をつついたり、同じ梅の枝に、止まって、平和共存したりしていることが多くなったような気がします。

 鳥たちも、争うより共存したほうが楽だと解ってきたのでしょうか。
 それを象徴するような写真が撮れたので、上に並べて載せてみました。最初の横長の1枚はかつてお互いに威嚇しあっていたとき、下の2枚は一昨日のものです。

痛ましい表層雪崩事故に思う

2017年03月28日 11時14分29秒 | 安全
痛ましい表層雪崩事故に思う
 那須のスキー場で、痛ましい雪崩事故が起きてしまいました。前途有為の高校生たち、引率の先生、ご冥福を祈るばかりです。

 ブログの趣旨からは外れますが、敢て、こんなことも何かの役に立てばと思い書くことにしました。
 私がスキーを始めたのは昭和30年ごろからで、その頃はリフトもなく、赤倉の宮様ゲレンデに木組みのリフトがやっと1本出来た頃でした。今でいうバックカントリーを滑っていたことになります。

 その頃毎冬行っていたのは燕温泉スキー場でした。帰途は燕温泉を出てすぐ下が七曲りという難所(当時の話)で、その先少しくと関温泉スキー場でした。確か、七曲りでは一度表層雪崩で1人死亡者が出たことがあったと記憶します。

 その燕温泉の宿のおばあさんが、いつも言っていたことを思い出したのです。
 「うわ雪崩(表層雪崩)は、雪がやんでから出れば大丈夫だから。雪がやむまで出ちゃだめだよ。」
 こうした昔からの知恵の伝承が、今回生かされなかったのが残念です。

 ラッセルは足腰を鍛えるのには大切ですが、表層雪崩の可能性が大きい天候状態のもと、降り続く雪の中では矢張り危険だったのでしょう。

 もうひとつ気になったのは、助かった方が、雪崩が来た時「伏せろ」という声が聞こえたと言っていることです。
 私共の頃は、「表層雪崩の中を泳いだ助かった」という話をよく聞きました。表層雪崩は底雪崩(全層雪崩)と違ってふわふわだから、泳げるんだよ」というのです。
 なるべく上に顔を出せという知恵だと思っていました。

 雪崩への対応の理論も、時代と供に変わるのかもしれませんが、古老の知恵も、場合によっては役に立つのではないかと思って、あえて書いた次第です。

年齢階層別貯蓄に見る日本経済の姿

2017年03月27日 12時25分40秒 | 経済
年齢階層別貯蓄に見る日本経済の姿
 前回、日本人の個人金融資産が1800兆円に達し過去最高になったことを書きました。将来不安から貯蓄に励む日本人の姿が目に見えるようですが、中身を見ると高齢者に偏るなどいろいろ問題はあるようです。今回は、50歳を境に、年齢階層別には、貯蓄についてもかなり状況が違う事を見てみました。

総務省「家計調査」の年齢階層別の貯蓄残高です。(2015年・2人以上世帯・単位万円)、
  40歳未満  貯蓄 608 負債 942 純貯蓄 -344
  40~49歳  貯蓄1024 負債 1068 純貯蓄 -44
  50~59歳  貯蓄 1751 負債 645 純貯蓄1106
  60~69歳  貯蓄 2402 負債 196 純貯蓄2206
  70歳以上  貯蓄2389 負債 83 純貯蓄2306
  平均    貯蓄1805 負債 499 純貯蓄 1306
 50歳未満の2階層では、貯蓄から負債を差し引いた純貯蓄はマイナスになっています。

 これは私自身の経験からしてもそうですが、住宅取得、子供の学費、車の購入などローンを利用するライフステージにあるという事情もあるでしょう。

 しかし貯蓄残高はあるのですから、平均的には、資金繰りはついている、毎月の所得の中からローンをを支払って、ローンは徐々に減っていくというプロセスです。
 50歳台になると、ローンは減り純貯蓄が急増しています。

 勿論、「子育て終了」といったライフステージの変化の影響が大きいでしょう。しかしこの統計は同じ人の生活がこうなるというのではなくて、2015年の50歳未満の人と50歳以降の人を比べてのことです。時代の影響も反映しています。

 という事で、次に同じものを9年前の2006年で見てみましょう。
  40歳未満  貯蓄 630 負債 690 純貯蓄 -60
  40~49歳  貯蓄1167 負債  945 純貯蓄 222
  50~59歳  貯蓄 1752 負債 556 純貯蓄1196
  60~69歳  貯蓄 2412 負債 255 純貯蓄2157
  70歳以上  貯蓄2481 負債 121 純貯蓄2360
  平均    貯蓄1722 負債 499 純貯蓄1223

 いわゆる「失われた20余年」、「人口減少、高齢化」が併存する時期が対象となる時代ですが、一見して特徴的なのは、40歳未満と40~49歳層、つまり50歳未満の階層の状況悪化と、50歳以降の世代の安定という大きな相違があるという事でしょう。
 40歳未満のマイナス純貯蓄(純負債)は大幅に増え、40歳代も純貯蓄から純負債に転落しています。

 恐らくこれは長期にわたる就職氷河期、就職しても非正規も多く、またほとんど昇給もない時代の反映でしょうか。大きな爪痕を残しているように思われます。
 50歳以上の世代は、何とか逃げ切ったという所でしょうか。

 これでは若い世代が、増えない所得からでも貯蓄に励む気持ちは解ります。消費性向はなかなか上がりません。
 然し、過去の過酷な傾向は2014年以降の為替レートの正常化による経済の回復で反転の様相が見られるようです。この統計では、40歳未満の純負債も、2014年を底に減少(改善)に向かいそうな気配です。
 経済が成長を取り戻し、雇用がタイトになり、賃金が減額から上昇に転じた影響は、矢張り大きいのではないかと感じられます。

 ところで、10年後には、高齢化のピークと言われた2025年になります。過去の最悪だった9年前と今日(2015年)との貯蓄の変化を見て来ましたが、 就職氷河期による歪みの回復も期待しつつ、経済成長の効果を感じられるような世の中になり、消費・貯蓄の行動についても次第に正常化することを期待するところです。

個人金融資産1800兆円で過去最高

2017年03月25日 13時10分36秒 | 経済
個人金融資産1800兆円で過去最高
 先日、2016年末の個人金融資産が1800兆円に達し、過去最高になったという数字が日銀から発表されました。
 GDPが約500兆円ですから、その3倍以上です。

 借金もあるよという方もおられますので、借金の方はどのくらいかといいますと391兆円ですから、純資産でも1400兆円になります。
 こうした数字は日銀の「資金循環表」に出ているもので、その中の家計部門というのを見ればわかるのですが、この中には自営業、つまり農業・漁業・商店なども入っています。法人になっているものは法人の方に入っているから家計には含まれません。

 マスコミの解説では、トランプ効果で株が上がったのが大きいなどと書いてありましたが、短期的にはそうでも、全体から見れば株式などはそう多くありません。
 1800兆円の内訳を見ますと、
   現金・預金   937兆円
   国債       25兆円
   投資信託     96兆円
   株式等     167兆円
   保険・年金等  524兆円
   その他      51兆円
   合計     1800兆円  となっています。

 現金、預金が圧倒的に多い(ゼロ金利に関わらず)のが日本の特徴で、次いで多いのは保険・年金等で日本の家計の堅実さが表れています。
 しかし、長期的に見ると、株式等が、株価水準によって増えたり減ったりしながら増加傾向、また、リーマンショック後は大きく減りましたが、その後、割合コンスタントに増加しているのが投資信託です。

 貯蓄というのは、将来の支出のために、現在の購買力を抑えていることですから、現在の日本経済が消費不振で喘いでいるのを、家計の力で何とかできないかというのがこのブログでの主張でもありますが、今の政治・社会情勢ではやはり 将来不安の方が大きい ようです。

 確かに、今の国会も、TV中継を見るのも不愉快な(といって見ている)状況です。総理大臣夫妻が、教育勅語を幼稚園児に暗唱させる学園に肩入れしたことから始まった様で、議論のプロセスで、「忖度」などという難しい日本語が、誰にも理解されるようになり、国民の国語力向上には良いかもしれませんが、もう少し本当に大事な事に力を注いでほしいと思っている人は多いと思います。

サプライチェーン全体への適正な付加価値配分

2017年03月24日 12時14分27秒 | 経営
サプライチェーン全体への適正な付加価値配分
 2017春闘も3月15日の大手集中回答日を過ぎて、今、中小の交渉が年度末を目指して進行中という事でしょうか。
 途中集計結果も出ていて、大手が昨年を下回る一方、中小でも大手を上回る賃上げ率とか(額では難しい)、パート・アルバイト賃金の上昇が顕著といった情報もあるようです。

 格差社会化が進む中で、いわゆるトリクルダウン仮説が否定され、連合白書でも、「サプライチェーン全体への適正な付加価値配分」が主張され、労組だけでなく、日本全体でも(世界的にも)格差社会化反対の意識は強いようです。

 連合が上記主張と同時に、取引価格の適正化(公正取引)といいう、本来は経営にかかわる問題にも積極的に言及していますが、企業内でも、企業間でも、賃金格差が異常に拡大することは社会の不安定をもたらし、望ましいことではないという意識でしょう。

 ピケティも「所得格差は、放置すれば常に進行していく」と指摘していますが、それは「その流れは止めなくてはならない」という意識があってこそでしょう。
 背後には、所得は生産性の向上によってもたらされるもので、その配分は勝手にゆがめられてはならないという基本的な考え方があるはずです。

 ところで、生産性測定の技法の中で「ダブル・デフレーション」というのがあります。
 日本の産業構造は大手親企業アセンブラーの下に、複数階層の下請けという形が多くみられます。
 円高不況の頃は、親会社が子会社に対し一斉に、「納入価格3割引下げ!」といった通告をするといったこともありまあした。また「下請けにしわ寄せ」などという言葉も良く使われますが、こうした問題が合理的かどうかを客観的公正な基準で判断するための道具が「ダブル・デフレーション」です。

 3割値下げをするには、3割生産性を上げなければなりません。親企業が輸出する価格が円建てで3割下がったから、下請けにも3割り値下げを要求するという事でしょうから、サプライチェーン全体が3割生産性を上げて、対抗するという事です。

 逆に円安になって、円建て輸出価格が3割上がったら、皆3割値上げしていいよ、というのが、サプライチェーンの付加価値の均等配分です。

 これを正確に測定しようというのがダブル・デフレーションです。理屈は簡単で、親企業から下請けまでの各階層で、販売価格と材料・サービスの購入価格の両方の変動を記録し、価格が変動しなかったと仮定した場合の付加価値生産性を測定します。それと現実の付加価値生産性を比較して、現実の付加価値生産性の方が低ければ、「生産性を上げて頑張ったが、仕入れと販売の価格変動で食われてしまった、という事になります。

 各段階で、こうした数字を比較すれば、配分が均等だったかどうかわかります。
 日銀では「企業物価統計」の中で、産業別の「投入・産出」(仕入れ・販売)、の物価水準を出しています。例えば。鉄鋼産業の値上げが自動車産業の付加価値にどう影響したかといった分析が(ある程度)可能です。

 生産性は付加価値の源泉で(付加価値は賃金の源泉で)、価格変動はそれに直接影響を与えるのもですから、「ダブル・デフレーション」の考え方は、重要だと思っています。

家計調査から消費動向指数へ

2017年03月23日 13時09分16秒 | 経済
家計調査から消費動向指数へ
 現状の日本経済の不振の最大の要因として、家計の消費支出(個人消費)が伸びないことは、このブログでも、家計調査の「平均消費性向」が上がらないという形で繰り返し触れてきていますが、総務省は、個人消費の動向についての指標として、新たに「消費動向指数」導入するという事になったようです。

 今までの家計調査は、かつては単身世帯の調査がなく2人以上所帯が中心でした。単身世帯の調査は平成7年から始まっていて、2人以上世帯は毎月ですが単身世帯は四半期だったりで、多少軽視の形ですが、だんだん充実し、今では全所帯の数字も出されています。

 ただ統計を利用する立場から見れば、なかでも使いやすいのは2人以上所帯の中の「勤労者所帯」で、いわば標準的、しかも大方の傾向はサラリーマン所帯の数字をつかめばわかるという事で、最近の「賃金は上がっても消費は伸びない」などの分析にはよく使われるわけです。

 しかし、総務省では、もっとしっかり個人消費全体をつかみたいという事でしょう、「消費動向指数」CTI(Consumption Trend Index) を個人消費の指標として使おうという事のようです。

 CTIの中身はまだ良く解りませんが、基本は小売業の基本統計である「商業動態統計」や業界統計など販売側の調査に置き、家計調査やネットアンケートなど消費者側の調査で補足という事のようです。
 いずれにしても、実額ではなく指数ですから、何パーセント上がった下がったという形でしょう。収入がいくらで、消費がいくらという具体的な金額を示す数字ではありません。

 官庁統計は、あらゆるデータのベースになる基本的なものですから、家計調査のような基礎データは大事で、いくつかの統計を合成したものになるほど正確性は落ちます。

 総務庁自身が、家計調査より強めの数字になるが、意図的に高い数字を出そうという事ではない」とコメントしているようですが、統計行革も言われた後で、新たな統計を作ることに早めの言い訳でしょうか。

 「李下に冠を…」とは言いませんが、消費不振が最大の問題になっている時期です。
 国際的にも評価の高い日本の官庁統計に新たな1つを新設するのですから、よりよく実態を表す、整合性のある指数になる事を願っています。

トランプ効果の行方

2017年03月22日 11時42分44秒 | 経済
トランプ効果の行方
 このところ日本の証券関係の方々の意見では、トランプ効果でしょうか、先高観が一般的のようですが、(本当にそうであれば結構ですが)どうでしょうか。
 昨日のNY市場ではダウが200ドル以上下げ、今日の東京市場はそれを見習って、300円以上下げています。

 昨日今日の動きでどうこうという事ではありませんが、少し長い目で見れば、今のトランプ経済政策が、本当にアメリカ経済を建直すかどうかには かなり疑問があるはずです。
 あらゆる自由化の流れを主導して生きたアメリカが、突如保護主義の旗を立て、安倍さんはヨーロッパへ飛んで、EUと日本で保護主義に対抗しようと話し合っています。

 もともと、アメリカの自由化推進政策には、それがアメリカに有利だからという意識があったのでしょう。
 自由化の中では、競争力の強い国が有利であるに決まっています。アメリカは、そのつもりでいたのですが、いつの間にか競争力の弱い国になって来ていたようです。

 そして、政治力やマネーゲーム力(?)を駆使してやり繰りしようとしたのでしょうか。しかし今回のTPP交渉では、マイナスの面が目立ってきて、トランプ政権は「やっぱり保護主義だ!」といって選挙戦を制したのでしょう。

 つまり、アメリカは、経済力の弱い国として自覚し、方針転換をしたという事なのでしょう。その結果はどういうことになるのでしょうか。
 経済力の弱い国は、国境の壁を高くし、国内経済を海外から遮断して、国内の繁栄を求めることになりますが、資源国の有利さはあるにしても、今のアメリカ経済は複雑な国際関係の中にあります。

 そこで、その総合調整を、為替レートですることになるのでしょう。つまり ドル安は必要不可欠な条件です。金利を上げても、ドル安指向は変わらず、そのためにはマネーゲーム力が必要です。 金融取引の規制緩和も必要です(ドッド・フランク法廃止?)。

 しかし、為替レートで経済力を強くすることは基本的には出来ないでしょう。実体経済の力は弱まるばかりです。
 今の日銀にも言えますが、金融政策は万能ではないのです。そして結果的に保護主義は、アメリカ経済をひ弱にするでしょう。
 トランプ経済政策のアメリカの将来は、かなり心配です。

東芝の自己資本比率

2017年03月21日 17時04分52秒 | 経営
東芝の自己資本比率
 
 自己資本比率には 2つの見方があることを嘗て書きました。本来、保守主義の会計思想によれば、自己資本比率は高い方がいい、50%以上が望ましいという事だったと思います。

 しかしマネー資本主義が盛んになって、もう一つの考え方が出て来たようです。それを齎したのは、金融を活用する「 レバレッジ」という考え方です。

 レバレッジは梃子の事で、おカネを使うのにも梃子の原理を活用しようという事です。
 100万円の金を準備して、100万円の仕事をするのは梃子を使っていないので、100万円用意したら200万円借金して、300万円の仕事ができるはずだ。 つまり借金を梃子にして3倍の仕事をしようという事です。

 借金を梃子というより。「リスクを梃子」という事でしょう。そしてリスクを取ること積極的で優れた経営、借金のリスクを取らないのは保守的で怠慢というわけです。
 「物言う株主」などには、そうした意見も多いようですが、今回の東芝のケースはこの点からはどうなのでしょうか。

 東芝の自己資本比率の推移は上の図の通りです。良い時で20%(自己資本20、他人資本80で計100)、リーマンショックの時は1桁になっています。
 図はありませんが日立は30%超、三菱電機は50%超です。東芝は伝統的に自己資本比率はあまり高くありません。リスクを取る経営という姿勢でしょうか。

 勿論リスクを取る場合にはリスクの可能性をいかに読むかが大事でしょう。石橋を、叩かないで渡るか、叩いて渡るか、叩いて渡らないか、でしょう。叩いた時の音によります。

 たとえは別として、東芝の場合は運も悪かったのでしょう。結果的には、ウェスチングハウスと、その工事子会社に、1兆円ほどの自己資本をほとんど差し上げることになったようです。(トランプさんは喜ぶかな?)

 レバレッジを利かす経営は時に恐ろしい結果を生みます。このブログでは、常に自己資本比率の重視を言ってきていますが、矢張り自己資本比率を高めることは、 重要な企業目標であるべきだと考えています。

ヒメリュウキンカ(姫立金花)

2017年03月20日 11時11分56秒 | 環境
ヒメリュウキンカ(姫立金花)




 この2,3年、春先のこの時期に、猫の額の庭の隅に綺麗な黄色い花が咲くようになりました。
 
 年々株が大きくなって、子孫が別の所にも移住したようで、3か所ぐらいで咲きます。
 日の当たる塀の際の株は大きく育ち、早く咲いて、今、盛りです。日の当たらない 塀の蔭でも結構元気に育ち、咲き始めています。

 花が鮮やかな黄色で綺麗なのと同時に、葉の緑も濃く、表面につやがあって、その対照がまたいいので、気に入っています。

 草花についての知識はあまりないのですが、春先に綺麗に咲いてくれて有り難いので、やっぱり調べてみようとネットで「春先の黄色い花」と入れてみたら、リュウキンカ(立金花)と出てきました。

 写真では、花も葉もよく似ているのですが、湿地に育ち、花茎は15~50cmになると説明にあります。

 我が家のはせいぜい20cmぐらいの高さですし、湿地でもないので、何か違うのかなと思ってさらに探していましたら、ヒメリュウキンカ(姫立金花)というのもあって、「リュウキンカとヒメリュウキンカの違い」などと大変親切な解説もありました。我が家の花は多分「姫リュウキンカ」なのだろうと納得しました。

 キンポウゲ科と書いてありましたが、花は確かに似ています。どちらも毒草なんですね。戦後、疎開先で芹を取りに行って、キンポウゲはダメですよと見分け方を教わった覚えがあります。

 リュウキンカはもともと日本にある花だそうですが、ヒメリュウキンカはイギリス原産だそうで、園芸種が広まったようです。
 「どこから来たんだろう」と家内に聞いたところ、「ああ、あの花? リュウキンカですよ。〇〇さんから頂いたの。」
 我が家も、家庭内コミュニケーションの欠如のようです。

「保護主義に対抗」を削ったG20

2017年03月19日 11時06分40秒 | 国際経済
「保護主義に対抗」を削ったG20
 ドイツの保養地バーデンバーデンで開かれていたG20は昨日閉幕しました。
 結果は、アメリカのトランプ政権の威力は絶大という事を世界に示す形となりました。

 第2次大戦後の世界経済は、基本的に自由化路線、保護主義からの訣別を標榜して、世界経済の成長を支えてきました。しかし、その先頭に立っていたアメリカで、従来路線とは正反対の「アメリカ経済保護」「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ政権が登場しました。

 結果はどうかと注目していましたが、表題に書いた通りでした。代わりに入ったのは「世界経済への貿易の貢献を高めるよう取り組む」という文言で、「アメリカが万年赤字のような状態では、貿易が世界経済に貢献しているとは言えない」と読めそうです。

 確かに、アメリカが万年赤字では世界経済は不安定です。赤字をファイナンスするのは金融ですから、いつまたリーマンショックのようなことが繰り返されるのか不安は付きまといます。

 共同声明では、さらに「過度の世界的な不均衡を縮小し、さらなる包摂性と公正さを高め、格差を縮小するために努力する」という事だそうで、解りにくい表現ですが、貿易不均衡を縮小しよう、アメリカの赤字を少なくしようという趣旨なのでしょう。

 為替については、「為替相場の過度な変動や輸出を増やすための通貨切り下げへの誘導はいけない」とのことですが、 マネー・マーケットはどう反応するでしょうか。

 感じられたのは、トランプ路線をそのまま代弁したアメリカ代表のムニューシン氏の威力です。アメリカは悪くない、世界の輸出を受け入れ、輸出国はアメリカに頼り、結果はアメリカの万年赤字、輸出国は節度を考えろ、アメリカへの輸出ばかりに頼るな、という事なのでしょう。

 気持ちは解らないでもありませんが、通常の場合は、貿易赤字だったら、働いて生産性を上げ、産業の競争力をつけ、世界が買ってくれるような良い品物やサービスを出来るだけや安くできるようになることこそが重要なのですよ、という所ですが、今のアメリカにはこうした思考回路はないようです。

 トランプさんはもともと不動産業ですから、製造業などに比し生産性概念が希薄なのかもしれません。
 それでも、アメリカという大猫の首に敢て鈴をつけるような意見は、矢張り出ないのでしょうか。

 翻って日本は、貿易収支はともかく、経常収支では万年黒字国です。何時、不均衡という矢が飛んでくるやも知れません。
 このブログでも繰り返し書いていますように、 消費拡大を本気で考え、黒字減らしを自主的に目指すべきでしょう。
 それはアメリカのためにもなるでしょうが、本来、日本経済の安定成長への道なのです。

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<いつもお読みいただき有難うございます>
 お陰様で、昨日でアクセス数が10万を超えることが出来ました。2006年にplalaのbroachで出発して以来の累計は37万を超えています。お読みいただいている皆様には、心から感謝申し上げます。
 今後も、出来るだけ客観的データをベースに、続けてお読み頂けるような論評を書いていきたいと思っております。
 何卒、宜しくお願い申し上げます。(tnlabo)
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「教育勅語」昔と今

2017年03月18日 17時39分32秒 | 社会
「教育勅語」昔と今
 森友学園の幼稚園での教育勅語暗唱の様子をTVで見ました。
 私の時代は幼稚園では教わりませんでしたが、小学生の6年間を通して、いろいろな式の度に校長先生が恭しく読む「教育勅語」を、頭を垂れ、周りの生徒(自分も含め)の鼻水をすする音とともに聞き、いつの間にか暗唱できるようになっていました。
 今考えてみれば、「朕惟うに我が皇祖皇宗国を肇むること・・」という出だしは、神話から取ったものだという事は誰でも知っています。

 本当の日本は縄文時代の1万何千年で日本列島に閉じ込められた多様なDNAが混血から純血化し、日本人の原型が作られ、その後中国大陸や朝鮮半島などからの移民の流入があり、「倭国大乱」などという戦いの時代を経て、千数百年前に大和朝廷が誕生するというのが日本の起源だと皆知っています。
 
 現人神であった天皇が、人間宣言をされ、国民の統合の象徴になられ、神話に立脚した日本の歴史や国家観は、合理的なものに置き替わりました。
 教育勅語でよく問題になる「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」も「天壌無窮の皇運」が適切でないという事になったのでしょう。

 勿論「富国強兵」の明治の時代でも(明治23年発布)「教育に関する勅語」ですから、良いことがたくさん書いてあります。 「父母に孝に、兄弟に友に、夫婦愛和し、朋友相信じ、恭倹己を持し・・」誰も文句はつけられないでしょう。

 しかし世の中は往々教えの通りには行きません。総理と籠池氏は「朋友相信じ」かと思ったら、全く違うようですし、籠池氏はどう見ても「恭倹己を持し」ていないようです。
 どう見ても信奉する教育勅語が人格や行動に繋がっていないように見えます。

 1948年に、排除・失効が確認された「教育勅語」が、亡霊のように現れ、今日の政治的混乱の一因となっているのはなぜなのでしょうか。
 亡霊というのは、あくまで亡き者を、人間が意識の中に作り上げているものでしょう。亡霊が恐ろしいのではなく、問題は亡霊を作り出している人間にあることは明らかです。

 宗教の源には、それぞれに神話があるのでしょう。神話は神話でそれなりの意味を持つことは誰も認めるでしょう。しかし、神話を現世に持出すのは、何らかの「意図」があることが多いようです。
 人類が積み上げてきた現代の知識と知恵を、より信頼することの方が、より良い明日を創ることにつながるようです。

クロネコヤマト春闘に見る労使交渉の姿

2017年03月17日 11時38分33秒 | 労働
クロネコヤマト春闘に見る労使交渉の姿
  ヤマト運輸の春闘が決着しました。 
 報道機関のニュースでは、ほとんどが配送時間関係の結果を報じ、通常、春闘の主要問題である賃上げや労働時間については最後に、去年の実績の月額5,024円を上回る6,338円(ベアや手当見直しなど含んだ数字です)の改善で決着した事、労働時間については10時間のインターバルの導入した旨を書いています。

 中には、配送時間に関連した事だけを書いて、賃金や労働時間についての妥結結果には触れていないところもあったりします。
 春闘と銘打っての記事ですから、どうかなと思ったりしますが、それだけヤマト運輸の春闘・労使交渉は多くに人の関心事で、事の中心は、労働条件より、配送時間の問題に(マスコミの)関心が強かったという事でしょう。

 荷受け抑制や、配送時間帯、大口顧客の料金見直しなどの問題は、基本的には「経営方針」の問題でしょう。しかしそれが、労働組合から言われ、経営側も理解し、労使交渉で取り上げられ、マスコミが、ほとんど、そちらの方に注目した報道をしていたという事は、何を意味するのでしょうか。

 すでに書いてきましたように、宅配便は 社会インフラの重要な要素になっています。問題は、そうした人間(ザービスドライバー)の生身の活動が支えるインフラについては、労働条件の改善は、状況によっては経営改革なしには不可能という現実です。

 ヤマト運輸の労働組合は、労働条件改善のために、あえて経営改革に関わる問題にまで要求を広げ、経営側は、それに正面から答えて、経営改革、労働条件改善の一体的な交渉、そして回答、妥結が実行されたという事でしょう。

 いろいろな見方はあるかもしれませんが、これは日本的労使関係一つの典型だと思います。欧米で伝統的な「労使は対立関係でなくてはならない」という考え方は日本にはありません。日本の労使関係は「信頼関係」が基調で、企業の永続的な発展のために労使がチェック&バランスの役割りを果たすことが望ましいとされてきました。

 だからこそ、企業に不祥事などがあった時、「労働組合は何をしていなんだ」といった意見が出たりするのです。

 多言は省きますが、今回の妥結に世論は殆どが好意的です。住宅用宅配ボックスの開発も進むようです。便利な生活のために労働に皺寄せがいくのでではなく、生活は便利に、労働も楽に、という事で初めて社会のサステイナビリティーが可能なのでしょう。
 日本人の合理的な知恵が、こうした問題を柔軟に解決していくのでしょう。

アメリカは利上げ決定、日本は?

2017年03月16日 11時29分36秒 | 経済
アメリカは利上げ決定、日本は?
 FRBは3月の金利引き上げ0.25%(.075~1%)を決めた様です。
 アメリカ経済としては、現状、回復は順調で、雇用も改善、インフレ率も目標の2%に近づくといった情勢に適切に反応したという事でしょうが、現在の景気の堅調さがトランプ効果によるものという懸念は当然あるわけで、その点イエレン議長はいつも通り、実体経済を見極めるという慎重姿勢も崩していないようです。

 為替関連の動きは、早々と、年4回の利上げを予測してドル高を演出し、今度は、4回にはならないだろうという事で、ドル安にしたりで、ビジネス・チャンスを作り出しているようですが、こんなことでマネーマーケットは盛況、実体経済には不安定をもたらすといったマネー資本主義は、多分イエレンさんのお好みではないでしょう。

 折しも日本は春闘の集中回答日、主要大手企業のベースアップは昨年を多少下回る水準のようです。
 これは日本の経済情勢からは当然の結果でしょうが、人手不足に悩む中小企業の方が、已むにやまれず賃上げを加速するといった動きもあるようです。

 連合の提唱するサプライチェーン全体の底上げという路線から見れば、望まし事ですが、そのコストアップをサプライチェーン全体の中でどのように吸収するか、あるいは最終価格の引き上げに至るか、今後が注目されるところです。

 マスコミの論評では、賃上げが昨年より下がるようでは消費の拡大に繋がらないという見方が多いようですが、昨年の賃上げも消費拡大につながっていないようですから、消費拡大には、賃上げとは別の政策が必要だという事はこのブログでも 繰り返し述べている通りです。

 その方向とも合致するものですが、日本の金利の正常化を本気で考えるときでしょう。アメリカが頑張って利上げをする今、日本の方向転換には大きなチャンスではないでしょうか。家計の貯蓄にまともな確定利息が付くことは預金者の最低限の希望でしょう。

 為替政策としての、2%インフレ目標のための異次元金融緩和という黒田バズーカは、すでに 賞味期限切れのようです。アメリカは金利を上げても、結局ドル高は回避しようとするでしょう。今日は日銀の政策決定会合ですが、何か出てくるでしょうか。

 すべては複雑に絡んでいるのです。折角の勤勉性と実力を持ちながら、それを活用できずに閉塞状態に苦しむ日本経済、日本国民、政府・日銀には知恵が出ないのでしょうか。それにしても、この頃の国会はなにをやっているのやら。

主体性確立のチャンスを逸した労使関係

2017年03月14日 12時16分32秒 | 労働
主体性確立のチャンスを逸した労使関係
 先日3月10日に「労使の主体性奪回に期待:労働時間問題が契機!」書きました。しかし大変残念な結果が、昨日報道されてしまいました。

 労使の代表が、総理官邸で、安倍総理から繁忙期の残業の上限は100時間「未満」がいいのではないかと言われている様子が、TVの映像になっていました。

 官製春闘などと揶揄されるこの所の労使ですが、今回の労働時間問題は最終的には労使の自主性で決着するものと信じていましたが、「未満」の2文字で自主解決が出来ず、総理に決断を仰ぐという、醜態(言い過ぎかもしれませんが)で終わりました。
  かつての日本の労使関係では考えられないと感じた方も多いでしょう。

 労働時間観管理は職場の管理者の問題です。管理者を教育し、育て、良い管理を現場で行うのは経営者の責任です。
 コスト削減では管理者は現場の協力を得て、寸毫の努力を積み重ね、日本産業を強くして来ました。

 この努力を、労働時間問題に応用すれば、100時間を100時間未満にすることが可能か不可能かではなく、可能にするための努力をしようという発想はなかったのでしょうか。

 経団連の首脳役員の中に、労使間の問題なのだから「未満」で済む程度の譲歩なら、連合の顔を立てて、「自主解決」をしましょうや、という意見はなかったのでしょうか。日本の伝統的な知恵「負けるが勝ち」を理解する人はいなかったのでしょうか、残念です。

 状況から見れば、総理の裁断を仰げば、「未満にしてほしい」という事は誰しも解っていたはずです。経団連も当然そう思いながら、敢て自ら決断せず、労使の自主性という労使関係の本義を捨てて、決断の責任を回避し、他人に任せたという事でしょう。

 経営が本当に「未満」では経営できないというのなら、当然、総理の意見にも反対すべきでしょう。総理の意見を聞いて笑顔で話す余裕はないはずです。

 日本は欧米にない企業別労働組合という特質を持っています。これは日本の社会文化的伝統に根ざすもので、経営者は一様に、日本の企業別組合は良い制度だと認識しています。このシステムの中では、労使関係の改善には経営側の懐の深さが極めて重要です。
 「失われた20年」の中で、日本の経営者は、懐の深さを失ってしまったのでしょうか。