tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

格差縮小の再配分と格差拡大の再配分

2021年03月31日 10時14分36秒 | 文化社会
格差縮小の再配分と格差拡大の再配分
 (税金とマネーゲームの役割)
 前回も、前々回も触れていますが、証券(株式など)のトレーダーの巨額報酬(賃金)の問題は折りに触れて、議論になりますが、その主な原因は、その仕事によって得られるGAIN(利得、収益)が往々にして超巨額だからでしょう。

 実業においては、一般に収益が大きいという事は、その仕事の社会に提供する財やサービスが社会に広く受け入れられ、GDP(付加価値)の増加(経済成長)に貢献し、その結果企業の利益が大きくなり、賃金も高くなるという形が一般ですから、賃金上昇は社会への貢献の報酬として得られるという事になります。

 しかし、株式などのトレーディングによる収益は、付加価値の生産には関係なく、マネーが移転するだけで、GDPはゼロサム、マネー(購買力)が移転する形での既存の富の移動という面が大きく、マネーゲームに成功すれば、それは投資銀行やファンドの収入となり、担当のトレーダーに巨額の報酬が支払われるという事になるのでしょう。

 問題の根本は、社会における既存の富の移転がビジネスとして認められ、デファクトスタンダードとしてのルールができそれに従って、付加価値を作らないビジネスが巨額な資本蓄積をすることが出来るという富の再配分のシステムが認められているということでしょう。

 社会の富の再配分といえば、近代国家では、政府が税制と補助金によって、社会正義にしたがって、所得格差縮小のための再分配するというのが本来の方法だったように思うのですが、民間の企業や個人が、マネーゲーム(ギャンブル)で再分配出来ることになって、結果的には、所得・資産の格差の拡大をもたらすということになっているのが現実なのでしょう。

 客観的に見ますとこれは決して良い事ではない(社会正義の追求に反する)と思われるのですが、歴史的にはアメリカが赤字国に転落してから、こうした動きが進んできたようです。資本の自由化、金融政策の多様化、金融工学の発展、キャピタルゲインとインカムゲインを区別しない、全てのマネーは出自に関係なく同じ価値を持つという意識の一般化が進められてきています。

 これは、ハッキリ言ってしまえば、万年赤字国になったアメリカが、その赤字を資本収支で埋めるために考案し導入してきたシステムのように考えられるのですが、その影響は大きく、「額に汗したカネ」と「あぶく銭」を識別してきた日本も、近年はアメリカ流の考えになって来ているようです。

 ピケティが「新資本論」を書いて格差拡大傾向を憂い、日本でもマネー資本主義で資本主義は破綻すると論じる向きも少なくないのですが、現実は、金融危機やコロナ禍が余剰マネーの供給を強いる中で、マネー資本主義の活動はますます大きくなるような状況です。

 リーマンショックを経験し、今また、アメリカのファンド破綻によるクレディスイス、野村HDなどの巨大な損失の可能性が報道される中で、マネー資本主義はますますの広がりを見せているようです。
 こうした世界的な動きに適切に対応する経済政策の方法論は、まだどこにも見当たらないようです。



株式投資は企業支援かギャンブルか?

2021年03月30日 13時33分27秒 | 経済
株式投資は企業支援かギャンブルか?
 企業というのは、法律的には株主のものという事になるのでしょう。経営者は、株主から委任されて、株式会社を経営し、利益を上げて、株主に収益を還元する役割でしょう。

 しかし、現実には、企業は経営者がほぼ全権を握って運営し、株主に対しては年に一度の株主総会で経営状態の説明をし、株主へのの配当(収益の株主への還元)を支払って、経営者の方針に株主は賛同し、いわゆる「シャンシャン総会」で責任を果たすというかたちになって来ています。

 もちろん、機関投資家が多くの株を買って、経営者に経営のやり方について注文したり、経営者の首の すげ替えを要求したりするケースもないわけではないでしょうが、いわゆる「経営者革命」を経て、企業は独立の法人格を持つといった認識が一般的になっています。

 こうした経営社会の中で、株主は(経営権への口出しもままならないのに)株を持つのでしょうか。
 多分、その企業が良い経営者のもと立派な仕事をしているので、応援してやろう、業績もいいから、配当もいいし、株も値上がりするだろうといった思考回路の結果その企業の株を買うのでしょう。

 いわば、株式を買う事で、その企業の応援団に入って、狙い通りの配当や株価上昇の恩恵にあずかろうという事でしょう。株式投資は、優良会社の株を長期にも持つことで、その会社とともに、自分の資産も成長するという考え方で、気に入った会社の株を買うのです。そして、もしその会社が思ったように発展しなければ、経営者に注文を付けるのではなく、株を売って、別の気に入った会社の株を買えばいいのです。

 本来株を持つという事はこんな感じのものだったのでしょう。(現に、株主優待を見て株を買う人も多いようです)
 しかし、こうしたのんびりした考え方は、今の忙しい世の中では、だんだん流行らなくなって来ているようです。その会社の株価が上がっても下がっても長期に会社の発展を期待するなどはのんびりし過ぎで、株価が上がったら即売って、次の値上がり期待できる株を買うという形で回転率を高くした方が収益はずっと多くなると考えても当然でしょう。

 こうして株式投資は、プロのトレーダーを生み、回転期間をますます短く、デイトレから、コンピュータを使った秒トレ、更には1000分の1秒を争うまでになって来ているようです。

 ここまで来ますと、株主は株を持つことで企業に出資していることは確かですが、株の売買による収益は、出資を生かして企業の作った付加価値の分配ではなく、サイコロ目やカードの代わりに、株式相場を使ったギャンブルという事になって来てしまいます。(ギャンブルは既存の付加価値の奪い合いをするだけで付加価値は創りません)

 しかも投資資金は実際の出資金とはかけ離れたレバレッジのかかった額になっています。現物取引などは株式売買のごく一部という事でしょう。
 これが今日の株式投資の実態だとすれば、こうした株式投資は殆どギャンブルで、ただ、サイコロなどの代わりに経済指標を利用して行うという事で、あたかも経済行為のように思われているだけのことではないでしょうか。
 これを業とする職務が、その所得の大きさのゆえに巨大な報酬(賃金)の対象になるという事は、あまり合理的ではないようです。
 
 さて、エッセンシャルワーカーの賃金の低さが問題になっているとき、こうした問題をどう考えたらいいのでしょうか。

  

 

 
 






エッセンシャルワーカーの賃金問題

2021年03月29日 14時37分14秒 | 労働
エッセンシャルワーカーの賃金問題
 エッセンシャルワーカーという言葉を最近よく耳にします。
 エッセンシャルというのは「基本的に必須」という意味でしょうか。説明では、社会が正常に機能して行くために必須なインフラに関わる仕事がエッセンシャルワークで、それを担当する人たちがエッセンシャルワーカーということになっているようです。

 その意味では、エッセンシャルワーカーの範囲は大変広いのですが、いま特に問題になっているのは、コロナ禍のせいもあり、医師、看護師、保健師、介護関係者などについてです。
 確かに、危険で、重労働で、人手不足なので休みもなかなか取れずしかも賃金は安いといったことが問題になっているのです。

 確かにこうした仕事は対個人サービスが基本で、人間どうしの1対1のサービスが中心なので、生産性が上がりにくい分野です。
 賃金理論では、賃金は生産性の成果(付加価値)の配分ですから生産性が上がらなければ賃金も上がらないという事になります。

 しかし、対個人サービスという仕事は、いかに科学技術が発達しても、必ず社会に必要なものとして残る仕事で、無くなることはないでしょう。
 という事で、こういう仕事の賃金を、どう決めたらいいのかという問題は常に起こりうるのです。

 しかも、こうした仕事は、多くの場合、肉体労働を伴う事が多く、頭を使いのと同時に身体で覚えるといった部分が多いのです。
 一方、伝統的な賃金理論の感覚でいえば、肉体労働は、頭脳労働よりも賃金が低いといった通念が一般的なのではないでしょうか。
 
 もしエッセンシャルワーカーの賃金の低さに、その一因として、こうした通念があるとすれば、これは、これからの経済社会の骨組みの重要な一部をなす賃金システムについて、エッセンシャルワーカーの仕事の価値(=賃金)をより高いものとして基本的な見直しをして行かなければならないのではないかと思うのです。

 というのは、実業によって経済が発展してきた経済が成長する時代の通念を、金融工学をベースに、マネー経済学が急速に発展する現在、同じように持ち続けることはどうも妥当ではないように思われるからです。

 皆様ご存知のように、アメリカの投資銀行などの花形のトレーダーが巨大な報酬を得て当然と思われているようですが、トレーダー養成を目指す場合は初任給を引き上げようといった動きもあるようです。

 投資銀行というのは、本来、起業や企業発展のために資金を用意し、産業企業を育て、そこで生み出された付加価値の中から投資収益を得ようという仕事でしたが、今は、証券、債券、そのデリバティブなどへの投資を通じて、マネーゲームとして「キャピタルゲイン」を得ることが大きな仕事になっているようです。

 この点につては、「 金融業と付加価値」で指摘していますが、キャピタルゲインというのは元来、付加価値を生み出すものではなく、他人の作った付加価値をマネーゲームによって自分の懐に入れることなのです。
 一時は頭脳労働の先端を行くともみられた金融工学ですが、それを駆使して他人の富を自分のものにするような頭脳労働が高賃金職種の筆頭になるような賃金システムは、結果的に経済・社会に衰亡をもたらすものでしょう。

 随分以前に「 金融資本主義の行方 」で古い寓話を取り上げたところですが、話を元に戻して、頭脳と同時に体で覚える部分を多く担わなければならないエッセンシャルワーカーの賃金水準の問題を考えるとき、頭脳労働にもいろいろあるという事を、頭の隅にきっちり入れておかなければならない問題のように思っています。
 
 

対コロナ:菅政権は過去の検証、将来計画の明示を

2021年03月28日 12時49分20秒 | 政治
対コロナ:菅政権は過去の検証、将来計画の明示を
 結論から言ってしまえば、菅政権は国民への説明義務を果たしていないのではないでしょうかという事です。

 今、国民が最も気にかけているのは、コロナ問題の終息について政府はどう考えているのかでしょう。例えば、感染を最も恐れる高齢者の場合(私も高齢者ですが)ワクチンをいつごろから、「どの程度のスピードで」接種してもらえるのか、2回目の接種はどうなのかと板、日常のの生活に直接関係するもんだ愛についての政府の確りとした説明でしょう。

 買い物など、老々相互介護の方も多いのでしょうから、買い物等交代で行くとしても、緊急事態が解除された途端に第4波の始まりの様相がみられ、県によっては、独自の緊急事態宣言もありますし、更には緊急事態に代わる新しい行動制限の要請もあるようですが、何故無理して緊急事態を解除したのか理由は不明です。

 GoToトラベルについては政府は当分やらないと言っていますが、第3波の時、GoToの影響は、感染者も100人程度で、エビデンスもないといったいたのになぜ今回は止めたのか、本当はGoToの影響が大きかったと解ったからではないのか、それなら春休みの人出も徹底的に防ぐ必要があるのではないか、など疑問は山ほどあるのですが、政府の説明は何もありません。

 今日のNHKの日曜討論でも政府代表は、ワクチンもその他の対策もも確りやっていきますと「希望的な総論」は言うのですが、現実問題としていつ頃にどこまで出来るといった具体的な説明は何もないのです。

 一番心配なのは、アメリカが、ワクチン接種のスピードを上げ、ワクチンは不足気味、EUもワクチンはまずEU内部といっているようで、政府は海外の民間会社との契約をしたという事のようですが、本当に予定通り来るのか、何かお先真っ暗のような感じです。

 アストラゼネカのワクチンは日本で作り始めているようですが、それを当てにするのでは当分接種は無理でしょう。民間企業開発の効率よい注射器を認めるようですが、そんな民間のいじましい努力を政府は当てにしているのでしょうか。本当に情けない状態のようです。

 コロナ終息への具体的な方法や見通しが何も示されず、国民は政府の言う行動制限を守れと言われても、一体いつまでそんなことをしていればいいのかといった疑問や、政府への不信感が、国民の真面目な努力に水を差すようなことになっているのではないかという感覚を多くの国民が持ち始めているようですし、それがこの所の人出の多さにも関係しているように思われるところです。

 そうした事態を、政府は自らの説明不足を棚に上げて、「巣ごもり疲れ」などというレッテル貼りで国民のせいにするのであれば、国民としては、全く納得いかないところではないでしょうか。

 総理は、バイデンさんに会う事を大変な楽しみにしているようですが、ワクチンやカジノはこれまで通りで、対米協力やその負担などの中で密約も含めて背負って帰って来るといったことにならないように、ぜひ頑張ってほしいと思うところです。

賢明な平和的解決を期待する米中関係

2021年03月26日 19時38分58秒 | 国際関係
賢明な平和的解決を期待する米中関係
 バイデン大統領の就任後初めての公式の記者会見での発言が報道されていますが、その率直な物言いは、我々日本人にとっては、些かショッキングなものです。

 習近平さんから、大統領就任を祝福する電話があり、2時間も話したそうですが、バイデンさんとしては対決(confrontation)するつもりはないが、厳しい競争になるだろうし,アメリカとしては、中国に国際ルールに則ることを徹底して言っていくという事のようです。

 バイデンさんは副大統領のころから、習近平さんとは誰よりも長い時間話をしているとのことですが、習近平さんの考え方については厳しい見方をしていることが強く感じられます。

 バイデンさんの言うには、習近平はプーチンと同じように専制主義をよしとする人であり、専制主義こそが将来へのうねりであり、専制主義でなければ、この複雑は世界を統治することは不可能と考えている人間だ、と明確に指摘となっています。
 彼の頭の中にはデモクラシーの「デ」の字もない、と言いきっています。

 我々日本人には、アメリカ流の交渉術というのは、なかなか理解できないのかもしれませんが、これからどんな形の(対決ではない)競争が行われていくのか、ドキドキ、ハラハラしながら見守っていくことになりそうな気がします。

 専制主義にはファッショのような右派も、ミャンマーのようなクーデターによる軍政も、共産党一党支配の左派もあるのですから、これからの問題理解は「民主主義対専制主義」「自由主義対独裁主義」といった形で定義されなければならないのでしょう。

 しかし、ロシアにしても中国にしても、一応ロシアには政党も対立候補もあり、中国の全人代も各地の代表が集まって賛否を決するのですから、形は民主主義を取っているといった見方も可能でしょう。

 専制主義、独裁主義は、その中で対立候補の行動を規制したり、シャンシャン総会になるよう権力を使って根回ししたりして特定のリーダーだけがリーダーになれるようにしているという事ではないでしょうか。

 ある意味では、トランプさんや安倍さんにも、異論を権力によって封じるといった行動はそれなりにあったわけで、専制主義、独裁主義は、リーダーの個人的な要素が大きく左右するというのが共通する点ではないでしょうか。

 そうして意味では、専制主義、独裁主義はどこかに暗い闇の面を持つ、何らかの犯罪によって支えられる面を持つという事がありうるのではないかと思われます。

 恐らく今後は、左右の思想的対立と考えられた東西対立ではなく,左派か右派かではなく、民主主義と専制(独裁)主義が対立する世界 という事になるのではないでしょうか。
 勿論人類社会にとって、正義はいずれにあるかは明らかでしょう。

 これからの21世紀の前半は米中の「競争」を主軸に、この難問題を人類社会がいかに解決していくかの歴史的実験が行われることになるのではないでしょうか。
 あまり激しい事にならないことを願うばかりです。 

科学技術開発後進国にならないために

2021年03月25日 20時03分18秒 | 科学技術
科学技術開発後進国にならないために
 先に日本はワクチン後進国になったことを見てきました。これはコロナ対策についていて見ていくいく中で気づかされたところです。
 まず気になるのは、政府がハナから自主開発という考えを持っていないことでした。海外から購入する契約にしか関心がなかったようです。

 所で、政府関係者の国会答弁などは、ほとんどが官僚が書いているという事は広く知られていますが、この度ニュースになった、官僚が僚が作ったであろう法案に数多くのミスがあったという事です。
 官僚の質が急に落ちたとは考えにくいので、一般的な人事管理の理論を応用しますと、官僚がやる気をなくしているという事になりそうです。

 企業では、こういう時は、トップのリーダーシップの欠如や人事政策の失敗であることが多いのですが、最近、官僚の人事を官邸が握っていると言われ、選ばれて出世した官僚の虚偽答弁や不行跡が国会でも年中取り上げられています。
 やっぱり何かおかしいと感じる人も多いでしょう。どうも政府の人事管理の失敗のように見えてきます。

 人間の仕事の仕方につきましては、マズローは欲求5段解説を書き、ハーツバーグは動機づけ理論を提唱しました。
 人事管理の専門家の意見では、従業員がやる気を持っている場合と、やる気を失っている場合と比べれば、生産性に2~5倍の差が生まれるという説もあります。

 さて、ここからが本題ですが、日本の科学技術開発はここ何年来韓国や中国に追い上げられています。どうもワクチンだけではないようです。
 考えてみれば、「もんじゅ」の失敗から、原発メルトダウンの処理まで、エネルギー政策という最重要な分野でも、政策の方向がはっきりしません。また身近なマイナンバーカードに関わる行政のデジタル化でも、リーダーが本格的な利用についてどこまで本当に考えているのか解らないように思われることも少なくないようです。

 更に統計を見ますと、日本の科学技術開発は、結構大きな金(米、中、EUに続いて4番目)を使っていますし、研究者の数も多い(中国、米国についで3番目)です。ただ、特徴的なのは科学技術開発への政府の投資が主要国に比べると少ないこと、そして最も目につくのは研究開発投資額がほとんど増えていないという事です。

最近10年間の研究開発費の伸び率(2007~2017)
    中国  4.8倍
    韓国  2.5倍
    米国  1.4倍
    日本  1.0倍  
資料:」科学科学科学技術・+政策研究所

 つまり、カネも人も注ぎ込んでいるのですが、政府の基本方針がはっきりしないので、研究機関も民間も何をやったらいいのか解らないこともあるでしょうか、その結果、研究開発の効率が悪くなっているという事のように感じられてなりません。

 結局、コロナでも原発問題でも、後追いや後始末の方に金も人もかかって、結果的に効率は大変悪くなっているという事ではないでしょうか。

 日本政府が、科学技術立国を改めて旗印に掲げ、時代を先取りするような明確な目標を打ち出し、人間もカネも生きて使われるような政策を明示し、後追いでなく前向きな科学技術開発のために、積極的に予算をつけ、研究機関や大学、企業などがその気になるようなリーダーシップを持てるかどうかがカギになるような気がしています。

 そのためには、まず政府が、国民の声を十分に聴き、国民の願望が生きるような説得力と納得性のある基本方針を明示し、国民に明日の希望を与えることが必要なようです。
 今の、アメリカ一辺倒の政府に、それだけの力量があるか、先ずは国民に気力だけでも見せてほしいものです。

経済、財政再建に動くアメリカ 

2021年03月24日 14時49分57秒 | 経済
経済、財政再建に動くアメリカ 
 アメリカでも喫緊の課題はコロナの制圧でしょうが、ワクチン接種は3月上旬で人口の1割を超えたとのことです。ワクチン不足とは言われながら、このところは1日200万回と接種のペースが上っているとのことですから、15日で3000万回(人口の1割弱)という事になるわけで、夏になる頃には、ワクチン接種は国民に行き渡り、対コロナ作戦の目鼻も付きそうです。

 という事でしょうかバイデン政権は、いよいよアメリカの経済、財政の再建の方向を見定め始めたようです。

 担当するのは イエレン財務長官、前FRB議長で 、金融政策でトランプ大統領を相手に確りと渡り合い、金融の独立性を守った経緯から見ても、今度は財務長官として立派に仕事をされるだろうと期待されるところです。

 アメリカは現在2兆ドル(200兆円)という巨額なコロナ対策を含む経済対策を実行中ですが、バイデン・イエレンラインは、3兆ドルの経済再建策を打ち出しているようです。

 これはバイデン政権が掲げる大規模なアメリカのインフラ整備(自動車のEV化のためのインフラ含む) を中心とするもののようで、この際、アメリカの老朽化したインフラを徹底的に見直すことが、アメリカ経済の活性化の最も必要という施策の実行計画を示すものでしょう。
 イエレン女史は、インフラ整備は、アメリカに質の高い仕事を生み出すものと指摘しています。

 この政策を裏打ちするものとして、同時にイエレン財務長官が打ち出しているのは、再生再建のための増税計画です。これは企業増税や富裕層への所得税を中心にしたもののようです。

 かつてスタグフレーションに悩むアメリカの経済再建のために、いわゆるレーガン減税と言われる減税政策がとられ、法人税の減税、所得税のフラット化(最高税率の引き下げ)が行われたことは記憶されているところですが、今回イエレン財務長官は、財政健全化のために増税路線で、積極的な財政政策の裏打ちをしようという経済合理性に立つ考え方をベースにしたもののように読み取れます。

 アメリカの法人税についてはレーガン減税で35%に引き下げられ、その後レーガン政権のもとで20%に引き下げられています。
 所得税については、レーガン減税の最高税率28%はその後、37%に引き上げられているようですが、矢張り所得格差が異常と言われるまでに拡大している中では納得性のあるところではないでしょうか。

 レーガン減税は日本の税制にも大きな影響を与えていますが、今度のイエレン増税改革はどうでしょうか。
 イエレン女史のFRB議長としてのあるべき金融政策の追求の姿から見れば、この度は財務長官として、アメリカ経済、財政の健全化に向けていかなる舵取りを見せるか、恐らく日本の財務省にも影響を与える可能性もあるのではないかと思われ、今後も注目していく必要があるのではないでしょうか。

緊急事態宣言解除の意味は多分・・・

2021年03月23日 14時13分02秒 | 政治
緊急事態宣言解除の意味は多分・・・
 一昨日をもちまして、新型コロナ対策の第二次緊急事態宣言は、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県を最後に完全解除となりました。

 この、解除という言葉は、かなり誤解を生んでいるようですが、加藤官房長官の説明をよく考えてみますと、本当の意味が理解できるようです。

 加藤さんは「感染防止策のさらなる徹底」、「高い緊張感をもって現状を注視」、「専門家の意見を聞く」と強調していました。

 いろいろ考えてみますと、緊急事態宣言を解除するというのは、
 「現実の事態はすでに緊急事態ではない、これからはずっとこの状態が続くのだから、もう緊急などという言葉は相応しくない、緊急事態ではなく、これが今後の『常態』になったのです、という事だと理解するのが正しいようです。

 という事は、対コロナの心構えや行動はこれまでと何も変わらず、感染防止に更なる緊張感を持って行動してほしい、と国民に訴えたという事なのでしょう。

 そう言われてみれば、地域によっては、まさに第4波が始まるような事態になっていますし、客観的に考えても、事態の厳しさは何も変わらず、変異株が多様化するなど、ますます気を付けなければならないというのが現実でしょう。

 コロナウィルスにしてみても、一生懸命に宿主を捕まえやすくしようと、いろいろと突然変異などを重ね、PCR検査や、人間の作るワクチンをすり抜けられるような新しい変化の努力をしているのですから、宿主として狙われる人間は、ますます要注意という事にになるのは当然です。

 ですから、人間の方は、人間社会の在り方として、まさにコロナウィルスとの「矛と盾』の関係の中で何とか最終勝利を得るための努力を怠れなくなるわけです。

 中国流にいえば、この「緊急事態宣言」に代る「新常態宣言」の中で、更なる困難な社会的行動、「新常態」に適した社会行動をとる必要が出てきます。
 例えば、東京オリンピック、パラリンピックの観客制限、海外観客の入国禁止などはその一環としては当然の事なのでしょう。

 今後も、そうした厳しい人間社会の行動制限の必要性は続くのでしょうが、その「新常態」から、人類社会が巧みに抜け出せるかどうかが最大課題で、多分それは、ワクチン開発能力に依存するのではないでしょうか。

 残念ながら日本は、 ワクチン後進国となってしまっているようで、現状では国内でも、海外でも、積極的な貢献はできないようで、海外で開発されたワクチンの輸入国という立場にとどまるようですが、これからは恐らくワクチン開発が勝負を決めることになるのでしょう。

 最近の報道では、日本でも何とかワクチン開発を成功させようという機運も高まりつつあるようで、このあたりで政府が後追いのカネのバラマキから前向きなワクチン開発にも積極的な支援をするようになれば、人類社会に積極的に役立つ日本になる可能性もありうるのではないでしょうか。

 日本でも、まず政府の頭の切り替え、そして、専門研究機関、更に多様な企業などの連携と積極的な努力を大いに期待したいところです。
 

貝母(ばいも=あみがさゆり)が盛りです

2021年03月22日 15時35分13秒 | 環境
貝母(ばいも=あみがさゆり)が盛りです
 以前にも貝母の花の写真を載せた記憶がありますが、今年も元気に咲いて来ているので、写真で紹介する事にしました。



もともと家内がお茶をやっている知人から頂いて植えたものですが、ネットで見ると栽培が結構難しいように書いてあったりします。  
 幸いなことに我が家では、放っておいても毎年元気に伸びてきて沢山の花をつけてくれます。



 ご覧の通り貝母の花は、うす緑に網状の筋があり、楚々として地味な花です。貝母ユリともいわれるようで、もともと中国原産のユリ科の属する花のようです。
 日本では、茶人が好んで使うようで、わび、さびの世界にぴったりくるのでしょうか。

 半日蔭ぐらいの所が良いのでしょうか、狭い庭の東の端のオオムラサキの下、西に端のアケボノの下が住みやすいようで群生して勢力を広げています。



 西側のアケボノの下は朝日が当たるのでリュウキンカがますます広がっていますが、その背景に貝母が立ち上がっている感じです。

 花壇にびっしりと植えたチューリップは、やっと葉が育ち始めたところです。こちらは花が咲いてから載せたいと思っています。

李下に冠を正しても「結構」、となりそうな日本

2021年03月21日 17時12分13秒 | 政治
李下に冠を正しても「結構」、となりそうな日本
 このブログでは「李下に冠を正さず」という諺を何度か書いています。安倍前総理が、状況を見れば明らかにスモモをもぎ取っていると思われる場面で、堂々としらを切るものですから、桃李の魅力(桃李言わざれども、下おのずから蹊を成す)をその名前に掲げている成蹊大学出身の安倍さんですから、「李下に冠を正すような事」はしないのではないですか?といった趣旨でした。

 安倍さんもその諺はご存知で、自分はそのようなことはしていないと言っておられたようでした。しかし世の人達は冠を正すだけではなくて、実をもいでいるではないかと思っていたようでした。

 そして今度問題になっているのは、武田総務相の言動です。総務省の若い部下である鈴木電波部長が国会答弁で答弁席に行くために前を通った時「記憶がないと言え」と気合を入れたのではないかという件です。

 最初は誰が言ったか解らないという事だったようですが、国会中継のテレビが画像と音声をとらえていて、声を発したのは武田総務大臣に間違いないという事になるようで、野党からは声紋を調べろといった声もあったようで、これでは逃げ隠れしても結果は逃げ切れなくて、最後に認めるのではあまりに格好がつかない思ったのでしょうか結局名乗り出たようです。
 
 声の主は自分だったのではないかといった多少あいまいな言い方だったようでしたが、結果的には当然だれもが、多分そうだろうと理解することになったようです。
 そこで、今度は、意識的に言ったのではなく、無意識に出た言葉という弁明になったようです。
 人間「痛い!」とか「あちっ!」とかいった言葉が無意識(条件反射)に出ることはありますが、「記憶がないと言え」といった言葉が無意識にでることは夢遊病者でもない限り考えられません。

 鈴木電波部長は答弁で、ハッキリと「記憶が御座いません」と答え、武田総務相の「無意識の発言」については、答弁をするので緊張していて何も聞こえなかった」と言っているとのことです。(問題は東北新社からの外資の持ち株比率オーバーの報告を聞いたかどうかです、そんな大事な報告を忘れていたこと自体が職務怠慢でしょうがこれは今日の問題ではありません])

 「李下に冠を正さず」という諺から言えば、本来、「何もしていなくても、誤解されるようなことになった不徳が罰に値する」という潔さを善しとし、地位のある人の旨とすべき行動規範の厳しさを教えているものでしょう。

 武田総務相は、「スモモの木の下には行きました、冠を直す時にスモモの実も、もぎ取って食べたようです、しかし無意識だったのでよくわかりません。」 だから、悪い事をしたという意識はない、という弁明でしょう。

 安倍さんもそうですが、今回の武田総務相の言動も、責任ある地位の人の行動規範とはいかなるものかといった事にはまったく認識が欠如しているようにしか感じられません。

 日本人の道徳観や望ましい行動規範についての認識が、政府要人の中で、ここまで堕ちてしまったのでしょうか。
 何かの行き違いでこんなことになったが、実体は、もっときちんとしたものだといった説得力のある説明でもなければ、こんな行政のために税金を払っているのかと考え込んでしまう人も増えてくるのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 (私語)最近批判がましい事が多くなって、我ながら嫌になるのですが、矢張り書いておくべきと思うので・・・。


 


万策尽きる日銀金融政策

2021年03月20日 15時13分32秒 | 経済
万策尽きる日銀金融政策
 昨日の金融政策決定会合で、日銀は金融政策のマイナー・チェンジをやったという事でしょうか。
報道によれば、ETFの購入年6兆円を撤廃、最大限12兆円だけ残す(政策の機動性を高めるため)、ETF をTOPICS 連動のものにする(すべての上場株式を対象に)、長期金利をゼロ金利±2.5%(従来は2%程度と見られていたが明示していない)、銀行からの預金に対し上乗せ金利も可能にする(銀行救済策)などの金融政策の柔軟化などで、長期化する低金利政策の副作用を緩和するという説明と受け取ったところです。

 黒田総裁はいつものニコニコ顔で、柔軟な金融政策が可能になったと説明されていました。
 黒田総裁は、いつも政府とともに決めた「2%インフレ目標」を達成するまでは金融緩和策を続けるという、基本的な日銀の態度表明を前提においていますが、今回もそれは変わりません。

 実は、この総裁就任以来達成されたことのない「2%インフレ目標達成までは」という基本方針(恒例の態度表明)は、何はともあれ一番大事だと私も考えています。
 というのは、いわばこの呪文によって、放置すればまた過度の円高に戻りかねない円レートを何とか現状の水準に保つことが可能になっていると思われるからです。

 もし円レートが1ドル100円を切り上げかつての90円80円に向けて円高になっていったら、日本経済は、また嘗ての円高不況にはまり込む可能性が必至だからです。

 はっきり言って、アベノミクス以来の日本経済の回復も、今回の日経平均3万円越えも、少し大げさに言えば、日銀が常に「2%インフレ目標」を掲げ、異次元金融緩和路線を一貫して取っているからということではないでしょうか。

 1913~14年の 黒田バズーカ で、一時は120円までいった円安による経済回復を上手に活用して、日本経済の体質改善を行い、アメリカの喉から手が出るほど欲しい「万年黒字日本の巨大な金融資産」が増えないような日本経済(成長率を高めることで可能になる成長型の日本経済)にすることが必要だった(今でも必要)のです。

しかし政府の方は全く何も出來ずに、すべて日銀にお任せで、モリ、カケ、サクラと勝手なことばかり、菅総理は日経平均3万円達成を「目標の目標のまた目標だった」単純に大喜びといった漫画のような構図です。

 大きな責任だけを背負わされてた日銀には本当に「ご苦労さま」と言いたい所ですが、これでどこまでもつのかと心配になるところです。

 黒田総裁の知恵で何とかここまでもたせてきた日本経済ですが、これからも金融政策だけに任せておくというのでは、政府の役割は一体何かという事になりかねません。
 現状は世界中がコロナ対策一辺倒ですが、コロナ対策にばら撒かれた金は、経済停滞の中で投機資金に回ることが多いのではないでしょうか。
政府の役割は、当面コロナ対策という事になるのでしょうが、コロナも2年、3続くものではないでしょう。

 特に日本の場合、マネーゲームは不得意、実体経済の頑張りが中・長期的に日本経済の死命を制する国であるだけに、コロナの早期征圧、そしてコロナ後の日本経済の進むべき方法についての本格論議を、今のうちから進めておかなければならないのではないでしょうか。

 政治家も官僚も、身銭を切らずに飲み食いする事その隠蔽策にかまけている時ではないと思うのですが。

自社型賃金決定に回帰する不況下の春闘

2021年03月18日 20時45分53秒 | 労働
自社型賃金決定に回帰する不況下の春闘

 今日は、春闘のいわゆる集中回答日でした。
 結果を見れば、各社の回答はバラバラで結局はその産業・企業の業績を反映したものになりました。
 先行企業がある程度の水準を獲得し、後続の企業がそれを目指すという春闘のパターンは昔の話という事になるようです。

 昔も、「先行疲れ」などという言葉もあって、先行企業の労組として役割を果たすおは結構疲れるので、先行になりたくないといった事もあったようですが、当時なら当然先行企業の役割を果たしたトヨタでさえ、先行企業、パターンセッターという意識は持っていないでしょう。

 トヨタの回答は9200円、一時金も年間6ヶ月の満額回答ですが、一時金は昨年の6.5か月より低く9200円の中身も定昇・ベアの区分は示していません。

 確かに労働サイドとしては、賃上げは高い方いいという意見はあるでしょうが、先の見えないコロナ不況のような環境の中では、労使双方にとって企業防衛は必須で、賃金より雇用優先というのはいつの世でも変わらない現実なのです。
 その意味では、逆境の中では結局自社型賃金決定にならざるを得ません。日航や全日空がどんなに頑張っても賃上げは無理というのが産業不況期の企業の現実なのです。

 必要な事はわが社を、賃上げが労使の積極的な合意で出来るようにするためには何が必要か、労使で徹底的に話し合う事でしょう。現状では、コロナの克服の早い事が最も重要でしょう。しかし、世界的にそれが出来なければならない産業も少なくありません。現状、政府の政策はそれには殆ど成功も貢献もしていません。これも賃上げに、もともと不況の長期化という意味で、深刻な影を落としています。

 労使は、GDP(付加価値)の生産の担い手として、そうした点についても十分に議論し、政治に反映させる力も義務も権利も持っているはずです。加えて、産業における多様な新機軸イノベーションは企業の(労使協力で達成する)専門分野であり、同時に、賃金原資を生み出す原動力でもありましょう。
 端的に言って、コロナワクチンの開発などはその分野の喫緊な問題でしょう。遅れに遅れる政府の対策の尻を叩くのは企業労使でなければなりません。

 大げさなことを言うようですが、政府が国民に本当のことを岩に様なことになった今日、春闘は、単なる賃金決定用の行事ではなく、賃金という国民経済と家計を繋ぐこの重要な「リンク」を中心に置くことで、日本経済・社会、それを統括するべき政治について、 積極的に発言 するための議論を重ね、社会と政府に提言する役割を担っているのではないでしょうか。

 春闘を賃金決定に矮小化するよりも、日本経済に役立つような年に一度の「労使の研究学習集会」に大きく育てることが必要な世の中になているような気がします。

菅総理、また悪い癖が出ましたね

2021年03月17日 20時00分20秒 | 政治
菅総理、また悪い癖が出ましたね
 今日、菅総理から、一都三県の緊急事態宣言は3月21日で解除という意向が表明されました。
 もちろん、解除するという決定ではなく、あす諮問委員会の意見を聞いたうえで決めるという言い方です。

 以前から専門家の意見を聞いてというのは常套句ですが、いままでも、それで結論が変わったことはないようです。ただ、独断ではなく、意見聞きましたという言い訳にはなるだろうという事でしょう。

 しかし、聞く方は解っていて、「最後は私が決めます」とこれもいつも言っているのですから、結論は変わることはないと理解しています。

 TVなどのインタビューでは専門家の方は、解除に対しては疑念をお持ちの方も多いようですが、現実の会合は、菅総理の意向に反対するなという説得のための会合とういうことになるのでしょう。(よりみんなの安心できる結論が出てほしいですが)

 菅総理の説明では、病床の方は余裕が出てきたというのを説得力のあるデータとしているようですが、多くの人は新規感染者の増加、感染者の再生産率の上昇といったデータの方を重視しています。変異株もあり、感染者が増えれば病床はまたすぐ足りなくなります。
 何としても第4波などという失敗は避けたいものですが、もう既にその兆候が出ているという見方もあります。

 菅総理自身、今日の東京の新規感染者が409人と400人台に乗せたという事は「まずいな」と思われているでしょうが、それより、自ら決めた2週間という延長期限を守ることが自分の権威を守ることと考えているのでしょうし。そうした自分の決めたことにこだわる癖は変わらないのですね。

 大体、2週間という延長の際、変異株も含め、2週間先のことが的確に予測できたわけではなく、あくまでも 「一応」の2週間 だったはずです。ならば、必ずしもそれにこだわる必要もないはずで、より、実態に合わせることの方が合理的でしょう。

 真の意味での宰相の器になるためには、まだまだ越えなければならない自分というハードルがあることに早く気づいてほしいものです。

 

総務省官僚接待問題の何故?

2021年03月16日 14時41分24秒 | 政治
総務省官僚接待問題の何故? 
今日もTVをつけたら国会中継をやっていて議論の中身は総務省の高官の接待問題でした。

 NTTと東北新社の社長が参考人として出席していて国会議員の質問に答えていました。
 会社で一番忙しいはずの社長が、連日国会に呼び出されて、長時間拘束されなければならないとうのは、企業としては随分都合の悪い事でしょう。

 先日からのやり取りを聞いていましても、仕事に関わることなどは話に出ていないとか、頼んだり頼まれたりする事は全くないといったやり取りが続いているようです。

野党議員の質問の狙いは、そういう言葉の後ろには何か利害関係に絡むものがあるだろうとデータを集めて問い詰めることで、政府側や参考人の答弁はそういう意味で会食をしているわけではないといったものが一般的です。

政府の答弁の中には、記憶がないとか、記録がないといといった従来から何度も聞かれる言葉がまた出てきています。

いままでもそうしたやり取りの結果、本質がさらけ出されたといったことはなかったように記憶します。

ということで、これを事の本質に立ち戻って考えてみたらいかがでしょうか。
これは、かつて取り上げた「 ルール(規制)の持つ基本的な問題」なのです。ソポーツでも何でもそうですが、まず必要なのは「良いルール」なのです。そして行政(いわゆる官)は、そのルールがきちんと守られるためのレフェリー役を忠実に果たすことなのです。 レフェリーは絶対にプレーに参加してはいけません。携帯料金も政府がプレーヤーに入ってはいけないのです。

こうしたことがきちんと行われていれば、今の総務省のような問題は多分起きないでしょう。
今の総務省は、多分、通信や放送の企業の、大げさに言えば「生殺与奪の」を握っているのでしょう。そういう相手とは仲良くしておかなければいけません。別にお願いの件がなくても、時には共に一献傾けて良い人間関係維持のためのコミュニケーションをというのは当然です。

今、問題になっている携帯値下げの件やシムロックの件も、政府主導であることが実は奇妙なことなのではないでしょう。公正取引委員会の仕事にすべきではないでしょうか。

プロ野球や、プロサッカー、テニス、国技である相撲についてもルールは政府が決めないのです。それぞれの民間の組織や業界の専門組織がが、お客が最も楽しめるようなルールを諮問機関などの意見を聞いて決めています。ルールも政府でなく出来るだけマーケット(民意)で決めてもらうというのが成熟した民主主義社会の在り方なのでしょう。

一つ政府(官)が関わって失敗している件を、分野が少し違いますが、挙げておきましょう。
 かつて日本の労働委員会では、労使紛争の際に、出来るだけ当事者に押し戻し自主解決をするよう民間労使に仕向けました。その結果日本の民間の労使関係は改善進歩しました。しかし当時の3公社などの公営部門(国鉄、電電、専売)は公労委の斡旋に頼る癖がついて、自主解決の能力はつきませんでした。自主解決能力がついたのは民営化後です

今回の問題も、政府が、民間と十分に話し合い、許認可権を大幅に民間に委譲するという事で解決するというのが根本解決策ではないでしょうか。

ミャンマー問題、国連は今何をすべきか

2021年03月15日 14時27分37秒 | 文化社会
ミャンマー問題、国連は今何をすべきか
 過日、SNS時代の国連の役割について書きました。メディアは人類社会の様相を変えつつあります。

 突然、軍が民主主義のルールに反してクーデターを起こし、政権を強奪し、それに反対してデモをする民衆に銃口を向け多数の国民を殺傷するといったことが、今の世の中で起きることの異常さは、世界の多くの人々に想像を絶する悲劇と受け取られているでしょう。  
  
 ミャンマーは近代国家に脱皮しようとする国民のエネルギーによって、急速に近代化の努力の実現に向けて走ってきていました。海外からの投資も増え、経済成長のペースも徐々に改善し、海外で学ぶ人達も急増、遅れてきたアジアの国と言われながらも明日への期待をつなぐ国と見られてきた所ではなかったでしょうか。

 小数民族問題も、次第に平和裏に解決していくだろうと多くの人たちは思って、期待されていました。

 こうした、いわば正常な国の発展のプロセスが、突然国内の軍事力によって中断され、国民と軍が争う流血の国になったのです。

 もちろん、これは国内問題です。然し流血の惨事が常態になるような問題は、人類社会として看過はできないでしょう。世界の国の秩序を纏める立場にある国連には「国連人権理事会」もあるのです。

 事は明白に国連の出番です。人類社会が人権を尊重し、争いから経調へ進み、平和の中で豊かさと快適さを追求する社会への希求を明確にしてきた今日こそ、国連も脱皮する時ではないでしょうか。

 しかるに、第二次大戦の戦の戦勝国という旧態依然の国連後任理事会の中の2国は独裁主義の国です。もちろんこの2国、中国、ロシアも拒否権を持っていますから、常任理事会は機能不全です。

 第二次大戦にとらわれた常任理事会を改組するか、国連総会を権威ある人類社会最高の決議機関にすることで、真の意味での地球人類を代表する国連でなけば、その存在意義は極小になります。

 望むべくは、このミャンマーの問題を契機に、世界に国連のあるべき姿を問い、人類社会のよりよい将来への道を切り開く方向への努力をすべきではないでしょうか。その時は今、と思われるのですが、