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アメリカでもヨーロッパでも程度の差はありますが「自国ファースト」の意識が強まっているのが最近の状況です。
しかし、誰も、これが人類社会にとって望ましいと感じてはいないでしょう。やむを得ず言わなければならないという感じだと思います。
その理由は2つでしょうか。①我が国の文化(identity)が壊れる事、②国民にとって経済的なマイナスになる事、でしょう。
前回も指摘しましたように、国と家族は本来出入り自由ではありません。そして侵入者には警戒的です。
しかし昔から「労働力」は必要でした。とくに労働を苦役と考える文化では被征服者を奴隷労働力としてきました。日本では縄文時代から戦争はなく、征服、被征服の関係も奴隷制度もなかったようです。
「自由・平等・博愛」の思想が一般化してからは、人権は普遍的で、博愛意識が必要となりました。
しかし、国と家族についてはそれぞれの独自性は広く認められています。その中で認められる「博愛」は、多様性の共存、経済協力、途上国援助、難民対応などの形で進んできたのでしょう。
然し、1960年代に入り、世界各国が経済発展を競う時代になり先進国で労働力不足が深刻になると、途上国から方の労働力に移入が活発化しました。
アメリカは中南米からヨーロッパはアフリカ・中東・アジアからといった感じです。当然移民問題も発生しました。
日本の場合は、差別意識に繋がりかねない単純労働力の導入は是とせず、アジア諸国の若者の技能向上に協力する目的で、技能実習制度が発足しています。(欧米と日本の文化の違いが見られるところです)-注-
今、欧米で問題にされ、日本でも意識が高まりつつある問題は、先進国経済が外国からの労働力の移入を必要としていることが大きな原因でしょう。
そして日本でも「日本人ファースト」をいかに考えるかが話題です。
観光客急増の問題:これは日本にとって圧倒的にプラスが大きいものでしょう。日本らしい受け入れ方で確り親切な対応が必要でしょう。
技能実習制度:本来素晴らしい制度だと思います。しかし良い制を作れば、必ずそれを悪用するケースも出てきます。その点の防止が重要でしょう。
社会保障制度の危機:感情的な判断ではなく、定量・定性両面の検討が必要でしょう。日本への好感を維持する必要も大きいでしょう。
難民受け入れ問題:母国が安定すれば帰る人たちです。母国の安定に、日本政府の積極的努力も必要でしょう。
永住希望者の場合:最も大事なのは、日本文化への包摂、統合が出来るという点でしょう。現実には、そういう人達が日本に帰化、永住しているのではないでしょうか。
戦争をしない国日本ですから、更に日本を理解し、日本を好きになってくれる人が世界で多くなってくれることが最も大事ではないかと考えています。
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-注-『幻のジパング』田中恒行著、幻冬舎 技能実習制度を舞台にした珍しい小説参照。