tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ジャクソンホール会議とパウエル発言

2022年08月27日 16時55分37秒 | 経済
昨日、アメリカのダウ平均は1008ドルの大幅下げでした。影響で、日経平均のCFDも500円下がっていました。

今日からは土曜、日曜で、月曜の市場は日本よりアメリカは半日遅れですが、丁度2日間のクーリング・オフの時間があって、月曜は、どうなるか、投機筋はいろいろな読み方をするのでしょう。

事の起こりは、アメリカはワイオミング州の高原リゾート・ジャクソンホールで行われた通称ジャクソンホール会議という自由圏主要国の主要な国の中央銀行総裁や幹部、著名なエコノミストなどが参加して、自由に意見を交換する金融経済専門家の集まりです。

そこでアメリカFRB議長のパウエルさんが、アメリカ経済の現状について、何としてでもインフレを抑え込むという視点から、強力な金融政策は堅持するという趣旨のスピーチをしたこととのことです。

つい先日のFOMC(金融政策決定会合)では、7月の消費者物価が上昇率を弱めたことから、金融引き締めの指標でもあるffレートの引き上げ幅を、いくらか小幅にする(0.75%→0.50%?)というニュアンスが読み取れ、ダウ平均は上昇していました。

日本は別としてヨーロッパもインフレの急伸に困っているので、アメリカは率先して金融政策でインフレ退治をするという意思表示でしょうか、僅か7月1ヶ月だけのインフレ鎮静では、まだまだ危ないと、敢えて強めの意思表示をしたという事かもしれません。

もともと今回のインフレは原油などの資源、農産物価格の上昇など国際要因に発しているものですから、世界何処の国でも同じように物価が上がるはずですが、低い国と高い国があるという事は、
「海外インフレ→輸入インフレ→自家製インフレ」とつながる国
「海外インフレ→輸入インフレ×自家製インフレ」とつながらない国
があるという事です。

欧米はつながるケースは一般的、日本はつながり「にくい」国という事になっているようです。

という事で、それなら「つながる国」と「つながりにくい国」の見分け方はあるのかという事になるのですが、それは割合はっきりしています。

主要国の消費者物価指数では、「消費者の消費支出」を構成する品目の基準時点の標準的なウェイトを調べ、それぞれの品目の店頭の値段を調査し、ウェイトに値段の上昇率を掛け平均上昇率を算出します。
これが総合指数ですが、その他に、海外要因で変動しやすい、エネルギー関連品目と天候如何で変動しやすい品目を除いた指数を出しています。
「食品を除く指数」と「食品とエネルギーを除く指数」( 日本では「食品」でなく「生鮮食品」)です。

このなかで「食品とエネルギーを除く指数」は輸入品や天候に影響されない部分の物価ですから、国内の経済活動が原因の物価上昇、自家製インフレ(インフレの核心部分という事で「コアコア」などといわれる)という事になります。

コアコアの中身は、大抵輸入品の値上がりカバーのための賃金の引き上げや便乗値上げなどです。
日本の場合コアコアは7月で1.2%(前年同月比)の上昇ですが、欧米では5~6%にもなっています。

此処で当初のジャクソンホールの金融専門家会合のパウエルさんのスピーチに戻りますが、アメリカの5~6%のコアコア指数上昇を、金融政策で抑え、アメリカの7~9%のインフレ率を何とか4~5%以下に抑えようという意思表示と見て取れるところです。

上手く行くといいなと思いながら、そのあたりの可能性と、何故日本はインフレの程度が欧米と違うのか、次回見て行ってみたいと思います。