tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

7月、アメリカのインフレ鎮静に注目

2022年08月12日 19時56分19秒 | 経済
この春からアメリカの消費者物価の上昇が急速に進み、同様な傾向がヨーロッパにも起きて、心配されています。

アメリカは、インフレの発生も早かったのですが、FRBのインフレ対策への打つ手も早く既に0.75%の利上げも2連続で行い、ffレート(日本の公定歩合に相当)は、1月の0.25%から2.5%に達しています。

FRBは7月の0.75%の引き上げで、インフレ抑制にある程度の効果がみえてくると見込んでいるようで、次回はもう0.75という大幅引き上げでなくてもいいのではないかとの意向も見せています。

この辺は、市場のインフレ心理との心理戦争で、パウエル議長の胸三寸という事でもありますが、10日発表になった7月の消費者物価上昇率が年率8.5%で前月と同じとなり6月の9%台から鎮静の気配が見えるという事で昨日はダウ平均が大幅に上げ、それが今日の日経平均に波及しているようです。

細かく見ますと上昇率が前月と同じというだけではなく前年の7月が対前月上昇率がゼロだったので、今年の7月の対前月上昇もゼロだったという事で(消費者物価上昇が止まった)、もっと厳密にいうと、原指数で6月の295.328から7月は295.271に微かに下がっているという事になっています。

まあ、それはそれとして何が、どんな費目が下がっているかといいますと,燃料油(ガソリンを含む)がマイナス11%、先月まで高かった中古車も下がっています。
ガソリンは、バイデンさんが、産油国に増産を要請した効果もあるでしょうから金利引き上げの効果だけではありませんが、いずれにしても何か少し風向きは変わって来たようです。

インフレムードや賃金コストアップを反映するコアコア(食料とエネルギーを除く総合)の伸び率が0.3%になった(年率3.6%)のが(従来年率5~6%)一時的なものか風向きが変わったのかは今後解って来るでしょう。

今回のインフレ熱の発症はもともと原油価格の高騰から発したようですから、金融政策でそれにどこまで対抗できるかが問題であったわけですが、現実には原油供給を含む複数の変数が複雑に変わることで、インフレ鎮静が本物になるかどうか、7月の消費者物価の動きだけでは簡単には読み切れません。

ただ、アメリカ経済が金利の大幅上昇で傷つかないうちに、金利引き上げという解熱剤がおまく効いてくれば、スタグフレーションの懸念も小さくなるでしょうから、期待しながら見守りたいと思っています。