tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

最近感じた2つの素朴な疑問

2022年08月06日 14時39分46秒 | 文化社会
マスコミ情報だけからで恐縮ですが、最近報道される2つのテーマについて、何かおかしいなと疑問を感じていることがあるので、今回はそれを取り上げてみました。

一つは、安倍元総理に関するもので、弔辞をはじめ業績賞賛などの文章や発言の中に「日本で最も長く首相を務めた」という表現が大変多くみられることです。

自民党の総裁任期は連続二期と決められていましたが、このルールを大切にし、守った人の場合は、上の様な賞賛の言葉には勿論当てはまりません。

先人の知恵から生まれたルールを守らず、長く居座って人がこうした賛辞の対象となるのですが、これは先人の知恵を無視することで大変危険なことです。

プーチンもそうでしたし、今、習近平が国家主席の連続2期を改めて権力維持を図っているようです。共に任期延長とともに独裁色を強めます。

安倍政権も「安倍一強」などと言われたように「絶対多数」と「忖度」をベースに、強行採決を繰り返した政権でした。

総理の業績は政権が長期で あったことよりも、その中身の問題でしょうし、ルールを守ることこそ大事な態度でしょう。「最も長く」という言葉が賛辞になるのは矢張り疑問です。


2つ目は、建設受注統計の不正で、GDP統計が嵩上げされていたので、それを訂正しなければならないという問題についてです。

マスコミ報道では例の二重計上などの問題で、2013~2020年の8年間に受注金額合計が、累計34.5兆円過大になっていると昨日、国土交通省が公表したとのことです。

この問題には2つの疑問があります。
先ずこれは「建設受注統計」です。GDP速報にこの数字を使うのはいいとして、本当の数字は「建設着工統計」「建設竣工統計」などで確認できるはずですが、こうした統計が見当たりません。

この疑問については、今回の国土交通省の弁明で、「受注統計」で日本の建設工事は完全に実態を反映している。GDPもすべて「受注ベース」で決まってしまっているのだ(それ実態把握は十分)という事なのでしょう。
毎月の受注を積み上げているから、それでいいのかなと思っても、何か腑に落ちません。

更に大事なことは、調査票の書き直しの件です。国土交通省は、34.5兆円過剰だったという数字を出しました。これは正しい数字より34.5兆円多かったという事です。しかし、はっきりいてこれは「フェイク」でしょう。

何故なら、本当の数字は、作業の現場で「消しゴム」で消してしまっていますから『無い』のです。

無いものは復元できません。すべては推定と仮定を重ねて捏造(言葉が悪いですね)した数字です。「でもできるだけ真実に近く・・」などと弁明はあるでしょう。しかし真実は消えています。

1945年度、1946年度、この2年間、日本には「国民所得統計」がありません。これは終戦の年とその翌年です。国民所得統計がなくても「そりゃそうだ」とみな納得するでしょう。

国の経済社会の活動を現場で記録した調査票は、国の動きの記録の原点である「原票」です。これに書き込んだ結果を「消してもいい」という指示をした人(国家公務員)がいたことになるのですが、そんなことが起きるはずがないのに、なぜ起きたのでしょうか。それが疑問です。