tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

水素菌登場、脱石油の生分解プラ、燃料、タンパク質を!

2022年08月03日 19時20分47秒 | 科学技術
土の中には、色々な細菌がいるのは知られています。川奈ゴルフ場の土中から発見した細菌をベースに熱帯感染症の特効薬イベルメクチンを開発したノーベル賞の大村智博士の業績は有名ですが、此処でのお話は、100年以上前の1906年に発見された水素菌で、人類の食糧危機と地球の気候変動を救おうという動きです。

すでにNHKの特集でも取り上げられご存知のお方も多いと思いますが、現状、カネカが先陣を切り、土中・海水中で分解され、水と炭酸ガスになるプラスチックの多様な製品を生産して、多くの企業がすでに利用しています。

カネカのホームページでは詳しく報告されていますが、既に年間5000トンの生分解性ポリマー(プラスチックの原材料)を生産し、ポリ袋から、スプーン、フォーク、ストローなどが作られ、多くの企業で石油由来のプラ製品に置き代わっているとのことです。

特筆すべきは、こうした新製品は。通常価格は多少高いが地球環境の改善のためにと使われている事が多いのですが、既に、石油由来のプラ製品と十分競争力があるレベルに達しているという点のようです。

カネカでは、30年来の研究の成果と言っていますが、こうした先行企業の実績に、また最近の環境対応意識の一層の高まりもあるのでしょう、水素菌の特性を利用した各種のスタートアップも活動を始めているようです。

そうした活動の紹介をネットで拝見しますと、水素菌の活用により、脱化石燃料といった巨大、壮大な動きが、着実に現実となってくるような予感がするところです。

全ては「水素菌」の活用次第という事なのでしょうが、水素菌にも多様な種類があって、多くは植物由来の油脂とか、バイオマスを食べるのですが、中でも面白い例は、CO2を食べて、エタノールを作り出す水素菌で特許を取得した、東大発ベンチャー「 株式会社CO2資源化研究所」というところです。

カネカも既にCO2を食べる水素菌の開発は進めているとのことですが、上記の東大発ベンチャーでは、CO2を食べて24時間に1個が1600万個に増殖する水素菌を使って、飼料用植物性タンパク質、高機能タンパク質、バイオジェット燃料、プラスチック原材料などの生産につなげ、食糧問題と脱石油問題の両方を一挙に解決すべく研究開発を進めているとのことです。

最近「水素時代」という事が良く言われ、エネルギー源としての水素が脚光を浴びていますが、水素菌を使った多様な研究開発の進んでいくのを見ますと「水素菌時代」も来ているような気になって来ます。

カネカでは、「当社の開発は世界で最初」と明言していますが、長期不況の中で遅れに遅れて来た日本の研究・技術開発の中でも、こうした大切なものが育っていることを見ますと、これからの日本は何かやりそうだと感じて心強くなると同時に、国としての政策の視点も、もっともっと確りしてほしいとつくづく感じるところです。