tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

イギリスのインフレ深刻、アメリカは鎮静か、ドイツは?

2022年08月18日 22時05分33秒 | 経済
インフレが世界経済を脅かしています。
インフレは何か原因があると始まって、人びとの心理に乗って進行するようです。

今回のインフレは、コロナ、原油の値上がり、ロシアのウクライナ侵攻問題などが原因になって、世界に広がって来ています。

幸いなことに、最初にインフレを発症したアメリカでは物価上昇に頭打ちの様子も見られるようで、これで落ち着けばOK、という所ですが、今度は、イギリスです。

17日の発表でイギリスの7月の消費者物価指数は1年前に比べて10.1%と2ケタ上昇になったとのことで、40年ぶりの高さだとのことです。
これはサッチャーさんが、一生懸命インフレ(スタグフレーション)退治をやっていたころのインフレと同じ水準です。

値上がりの中身を見ますと、エネルギー関係が70%と最も上がっていたり、コーヒーやミネラルウォーターが11%も上がっていたりで輸入依存度の高さの反映が大きいのですが、輸入と関係ない「エネルギーと食料を除く総合」の上昇率も5.5%と結構高いです。

この部分は、輸入インフレに触発されて起きた自家製(home-made)インフレですから、便乗値上げやインフレカバーのための余計な賃上げが無ければ起きない部分という事でしょう

日本の場合はそれがないのでインフレ率が極めて低くなっています。メノコで計算すれば欧米10%日本3%程度のインフレですが、自家製(home-made)インフレがなければ中間の5%ぐらいが国際価格上昇による世界的インフレで、これは、原油が下がったり戦乱やコロナが収束すれば、ある程度は元に戻るといったのが正常な状態ではないでしょうか。

アメリカのインフレが9%台まで上がって、パウエルさんの金融政策で7%台に下がったのも、金融政策を適切にやれば、インフレは正常な状態に収斂も可能という「可能性」を示しているのかもしれません。

その意味でもバーナンキさんの世界金融恐慌回避のゼロ金利政策に続いて、パウエルさんの、輸入インフレの自家製インフレへの移行の抑制が成功することを願うところです。

ドイツでも、物価高に対抗してルフトハンザの地上職のストがありました。ドイツはインフレに敏感な国ですからどうなるか見ていましたが、ストは単発で妥結したそうです。
会社側の説明では18か月協約で、賃金(グロス)引き上げ額は、高給者は8.3%、低賃金者は19.2%に相当する上げ幅になるとのことです。

 
恐らく、コスト競争力も考慮しての労使の交渉の結果でしょう。

1970年代の2回の石油危機に端を発した先進諸国のインフレはスタグフレーションに悪化し欧米主要国は80年代にかけて苦しみ抜き、独りインフレ抑制に成功した日本にプラザ合意で円高を迫ることになりました。

今回も日本だけがインフレとはほとんど無縁(日本政府は慌てていますが)の状態です。
日本としては欧米主要国が自力でインフレを抑止してくれることを願うところでしょう。