tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ラーメン日高屋の「新しい資本主義」の実践

2022年08月22日 15時54分05秒 | 経済
大分前に「ラーメン日高屋の日本型労組結成」を書きました。
従業員の3分に1ぐらいが外国人労働力だそうですが、企業内労働組合が結成されたという事で。会社側もOKで会社は元気だといった報道があって書いたところです。

ネットによれば、休日の多さや、年2回のボーナス以外に期末手当支給などで特色のある 経営で、コロナ禍の中でも頑張っているようです。
今回はまた特色ある動きで、報道がされていましたので取り上げてみました。

こうした外食産業のお店は、各店舗の従業員数は限られていますから、毎日の出勤の確実な確保が大事だそうです。最も重要なのは出勤の安定という事だそうです。
同時にこれは従業員にとっては「雇用の安定」ということになるわけですから、どこかにwin=winの関係の成立する点はあるでしょう。

今回ニュースになったのは、中途採用の従業員に、年間50万円の手当を出すという、ちょっとびっくりのリクルート戦略です。
この50万円は1年間に月割で支払うのだそうですから、全額をゲットするには1年間の勤続が必要になるわけですが、月4万円強という額ですから、かなり魅力的と思われます。

それだけのコストを払っても真面目に勤務してくれる従業員が欲しいというのが今の外食業界という事なのでしょうが、それに対して思い切ったコストを払って手を打つという発想と、それが収益にプラスという自信が心強いところです。

考えていれば、岸田総理は、当初から最大のスローガンとして「成長と分配の好循環」を掲げています。

それに対しては成長が先か分配が先かなどの議論があり、岸田総理もその後はあまりはっきりしてた発言をされませんが、日高屋(「ハイデイ日高」が企業名)の経営者は、この辺は確り割り切って、出すものは出そう、それによる業務の安定、生産性の向上、収益の確保は「経営戦略」として確り考え、見通しを得ているのでしょう。

日本経済は未だコロナ次第という状況からは抜け出せていないように思われますが、特に外食業界などは、コロナ明けを目指して、そこで増大する需要をどう取り込んでいくかが重要課題しょう。

コロナ下でもなんとか黒字を維持し、持てる力を使って先手必勝、まず分配を梃子に今後を支える人材を確保し、来たるべきチャンスに備えるという戦略の実践ということではないでしょうか。

そしてその2日ほど後から、店頭メニューの値上げを発表しています。7月の消費者物価は上がり、諸コストの値上がりから外食産業界は値上げムードで、消費者もある程度は納得という雰囲気の中です。

このブログでは賃上げと値上げの悪循環からインフレが10%近くになっている欧米主要国について取り上げていますが、日本では賃金も物価もそれに比べれば僅かしか上っていない、ここまで生真面目に堅実を貫くと経済に元気がなくなるし、外国からあらぬ要求(円高)をされかねないと指摘しています。

元々政府・日銀の2%インフレ目標も軽度の賃金インフレを想定したものです。その2%インフレが、輸入物価の上昇で達成されてしまいました。政府も評論家も困って、「これは悪いインフレ」などとよく解らない説明をしてきています。

輸入インフレは世界共通ですから、これははっきり認めて、経済に元気付けをする「物価も上がるけれど、賃金も上がるという経済もそれなりの範囲(外国よりインフレが酷くならない範囲)ではっきり認めることが必要でしょう。

「成長と分配の好循環」はその辺りからで、その先を確り創り上げる経済政策(企業なら経営戦略)に繋げる、国民に解り易い具体策の丁寧な説明がこれからますます必要になるのでしょう。