イギリスのインフレ深刻化の様相を憂う
過日、イギリスのインフレが10%を越え、40年来の高さになったことを書きました。
今回は、いわばその続きで、輸入インフレと国内インフレの問題です。
嘗てサッチャーさんがいわゆるサッチャリズムで、労働法の改正や最低賃金制の一時的廃止までやって、猛威を振るう労働攻勢を抑え、賃金決定の正常化、スタグフレーションからの脱出を成し遂げたころの物価上昇率と同じになったという事です。
ニュースによれば、バス、鉄道、地下鉄などの交通関連のストが始まり、港湾や郵便などの分野でもストを予定するなど、激しくなるインフレの中で賃金引き上げ要求が強まっているようです。
嘗てのイギリスの強い労働組合攻勢を彷彿させるような、人流、物流を担うこうした業界でのストライキは経済社会の正常な活動を阻害しますし、それを背景に大幅な賃金上昇が行われれば、それは賃金インフレという新たなインフレ要因になります。
そうしたかつてのインフレ、その結果のスタグフレーション化を懸念させるような状況の再発のように思われ、折からの政治的な不安定の中で、今後が心配されるところです。
今は変動相場制の世の中ですから、それで英ポンドが下落すればそれがまたインフレの要因になるといった恐れも出てきます。
サッチャー改革の後、イギリスの労働組合も大人しい温和しい時代が続きましたが、ここにきて、輸入インフレに触発されて、改めて強硬な姿勢に変わろうというのでしょうか。
こういう時には、労使関係がどうか、労働組合が如何なる考え方を持ち、如何なる行動を取るかは極めて大事で、一国経済の行方を左右します。
ところで、ドイツは伝統的な労使ともにインフレを嫌う国ですから、インフレをひどくしない範囲で労使は賃上げの選択をするのではないかと思っていますが、その辺も、次第に明らかな以なるでしょう。
アメリカは、金融資本主義が経済の主流となり、金融政策でこのインフレを切り抜けようと試み、きっかけは掴めたようです。これについては過日、8月12日に見てきましたが、
矢張りこれからに注目です。
日本は輸入インフレ(世界的資源インフレ)の国内価格への転嫁がいくらか進む様相が見えていますが、問題は消費者物価の上昇が賃金にどの程度の影響を与えるか(与えないか)が決め手ですが、賃上げ圧力は余り強くなさそうです。
少し余計なことを付け加えますと、日本は嘗てドイツの労使の協調行動路線などに学び、更に1970年代の2度の石油危機を通じて学んだ、賃金決定の経済整合性(経済合理性に基づいた賃金決定)を労使が共に重視しているというのがその特徴でしょう。
この点については以前「経営者と政治家」で書いたところですが、あの経験は、世の中が変わっても日本の労使関係に刻み込まれているような気がします。
資源問題や国際関係いかんで、今日のような問題は、SDGsを重視する今の世でも、繰り返される可能性は高いでしょう。
世界の主要国は、今回も、また、これからもこれに似た局面に遭遇し、その対策にそれぞれに苦労するのではないでしょうか。
歴史は繰り返す、しかし局面は少しずつ違ったものになっているでしょう。それぞれの国の知恵が試され続けるという事でしょうか。
過日、イギリスのインフレが10%を越え、40年来の高さになったことを書きました。
今回は、いわばその続きで、輸入インフレと国内インフレの問題です。
嘗てサッチャーさんがいわゆるサッチャリズムで、労働法の改正や最低賃金制の一時的廃止までやって、猛威を振るう労働攻勢を抑え、賃金決定の正常化、スタグフレーションからの脱出を成し遂げたころの物価上昇率と同じになったという事です。
ニュースによれば、バス、鉄道、地下鉄などの交通関連のストが始まり、港湾や郵便などの分野でもストを予定するなど、激しくなるインフレの中で賃金引き上げ要求が強まっているようです。
嘗てのイギリスの強い労働組合攻勢を彷彿させるような、人流、物流を担うこうした業界でのストライキは経済社会の正常な活動を阻害しますし、それを背景に大幅な賃金上昇が行われれば、それは賃金インフレという新たなインフレ要因になります。
そうしたかつてのインフレ、その結果のスタグフレーション化を懸念させるような状況の再発のように思われ、折からの政治的な不安定の中で、今後が心配されるところです。
今は変動相場制の世の中ですから、それで英ポンドが下落すればそれがまたインフレの要因になるといった恐れも出てきます。
サッチャー改革の後、イギリスの労働組合も大人しい温和しい時代が続きましたが、ここにきて、輸入インフレに触発されて、改めて強硬な姿勢に変わろうというのでしょうか。
こういう時には、労使関係がどうか、労働組合が如何なる考え方を持ち、如何なる行動を取るかは極めて大事で、一国経済の行方を左右します。
ところで、ドイツは伝統的な労使ともにインフレを嫌う国ですから、インフレをひどくしない範囲で労使は賃上げの選択をするのではないかと思っていますが、その辺も、次第に明らかな以なるでしょう。
アメリカは、金融資本主義が経済の主流となり、金融政策でこのインフレを切り抜けようと試み、きっかけは掴めたようです。これについては過日、8月12日に見てきましたが、
矢張りこれからに注目です。
日本は輸入インフレ(世界的資源インフレ)の国内価格への転嫁がいくらか進む様相が見えていますが、問題は消費者物価の上昇が賃金にどの程度の影響を与えるか(与えないか)が決め手ですが、賃上げ圧力は余り強くなさそうです。
少し余計なことを付け加えますと、日本は嘗てドイツの労使の協調行動路線などに学び、更に1970年代の2度の石油危機を通じて学んだ、賃金決定の経済整合性(経済合理性に基づいた賃金決定)を労使が共に重視しているというのがその特徴でしょう。
この点については以前「経営者と政治家」で書いたところですが、あの経験は、世の中が変わっても日本の労使関係に刻み込まれているような気がします。
資源問題や国際関係いかんで、今日のような問題は、SDGsを重視する今の世でも、繰り返される可能性は高いでしょう。
世界の主要国は、今回も、また、これからもこれに似た局面に遭遇し、その対策にそれぞれに苦労するのではないでしょうか。
歴史は繰り返す、しかし局面は少しずつ違ったものになっているでしょう。それぞれの国の知恵が試され続けるという事でしょうか。