この所の世界情勢の動きを見ていますと、だれも異常な不安定感に襲われます。
昨年までの世界情勢の常識は、種々、問題はあっても、世界は自由経済社会の方向に進んでいくという見方ではなかったでしょうか。
その中で、民主主義国に脱皮しようとの動きを示したソ連圏が、プーチンというリーダーのもと独裁国家化し、ウクライナ侵攻という、国際社会の安定を脅かす事態を起こしました。
自由世界は一様にウクライナを支援し、ウクライナ自身も地勢のしからしめる不幸の中で勇敢に自由世界の最前線として、大きな犠牲を払いつつも頑張ってくれているという意識だったでしょう。
自由世界は、アメリカ・ヨーロッパを中心にウクライナを支援し、民主主義、自由経済の世界の実現に向けての一致した思いを持っていたのではないでしょうか。
そうした中で今年、アメリカではトランプ大統領の改めての登場が、アメリカ国民の圧倒的に近い支持の形で現実になったわけです。
ロシアのウクライナ侵攻に見ますように、国民の生活を大事にする民主主義国と、国民の犠牲を物ともせず、独裁者の意思で戦争を進める独裁国の間で戦争が起これば、戦争という現実の中で判断すれば、国民がリーダーに絶対服従の独裁国が格段に有利という状況になることは容易に想像がつきます。戦争では民主主義国は不利なことが多いようです。
民主主義国、自由圏の盟主、アメリカで、時に独裁的なカラーを見せ、力のあるトランプさんが再登場したが、これは、この所元気の出ないアメリカに力強いリーダーが必要という民意の結果ということでしょうか。
しかし再登場したトランプさんは、国民の圧倒的な支持を得たという意識からでしょうか、独裁的な意識を殊の外強めてしまったようです。
国連に対し批判色を強め、WTO、ICC軽視を始め、分担金未納、さらには国連憲章まで無視するのではないかといった危惧を持たせるような行動をとる様相です。
グリーンランド、カナダについての威圧的行動、ウクライナの主権を無視するかのような行動を見せるかと思えば、友好的関係に動くかと思ったロシアへの非難を強めるといった錯綜するニュースが、世界中を混乱させているようです。
トランプさんの頭の中には、そうして混乱の向こうに目指すアメリカの栄光があるのかもしれませんが、世界の多くの人は、トランプ大統領の発言、行動によっては、推測のしようの無い不安定な状況が現実かという懸念にもなっています。
勿論、時期尚早な判断は更なる問題を生じる可能性もあるでしょう。しかしパレスチナの状態は、結果的に、元の紛争状態に戻っただけという見方もありますし、ウクライナの問題にしても、動きは余りに流動的で、目的がどこにあるのか、現状では、今後の動きは全く予測不可能のように見えます。
更に、自由世界が大変懸念する問題に、アメリカとヨーロッパの分断といった極めて深刻な事態を含む、異様な不安定性が、可能性としては存在する状態にもあります。
プーチンさんの行動を変えさせることは、ロシア国民にしかできません。しかし、それは多分不可能と多くの人は諦めているのでしょう。
トランプさんの行動をコントロールできるのは、トランプさんを大統領に選んだアメリカの国民しかありません。
世界の平和と安定を実現するためには、何と言ってもアメリカの力が必要でしょう。それは具体的にはトランプさんの発言や行動に大きく影響されます。
その意味で、トランプさんを大統領に選んだアメリカ国民には、トランプさんの言動についての責任があるはずです。アメリカ国民の役割に期待します。