債権法改正後の民法においては,法文中に「インターネット」の語が登場する。民法第548条の4第2項である。
改正後
(定型約款の変更)
第548条の4 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
2 定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
3 第1項第2号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。
4 第548条の2第2項の規定は、第1項の規定による定型約款の変更については、適用しない。
ただし,現時において,法令用語としての「インターネット」は汎用といってよいが,定義なるものは,存在しないらしい。
cf. 早貸淳子「法令上の用語としての『インターネット』」
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/column/vol477.html
逆に,「コンピュータ」は,未だにほとんど使用されておらず,「電子計算機」が用いられているようである。
cf. 林佑「インターネットの定義」(参議院法制局「立法と調査」2019年7月号)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2019pdf/20190701203.pdf
「法文における外来語の使用基準は、その言葉が日本語として定着していると言えるか否かという点にあります。また、片仮名で書かれた言葉は、漢字と異なり、見ただけでは意味がわかりにくいので、他に適当な言葉がないかも慎重に検討しなければなりません。しかし、このような判断は簡単ではありません・・・次々に生じる新しい事象に対応するためには、法律も新しい言葉をどんどん取り入れていかなければなりません。わかりやすさと正確さという双方の観点を考慮し、より適切な用語を選択することが求められています。」(後掲・植木)
cf. 植木祐子「法律における外来語―時代に対応しうる法律をめざして―」(参議院法制局「立法と調査」1995年11月号)
https://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column004.htm