タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

体位、胎向、胎勢、分類、回旋

2012-09-21 21:38:32 | 産科
写真は今週、外来に来てくれたお兄ちゃんです。
2つじゃなくて、ピースだよね。

ところで赤ちゃんって、どっちを向いて生まれてくるか知っていますか?

頭位の場合を想像してください。
陣痛が始まる前は、お母さんの右か左を向いています。
この時、あごを胸に付けるように、引いています。
あごを引きつけることを第1回旋と医学用語では言います。

それが陣痛が来てお産が進むと、お母さんのお尻の方に向かって、
90度、回転するのです。これが第2回旋。

そして最後に頭のてっぺんが見えてくると、
今度はあごを胸から離して、そっくり変えるようにして生まれてきます。
これが第3回旋です。
ちょうどネジ穴とネジみたいな関係になっているのです。

たいていはこんな風に生まれてくるのですが、
中にはうまく回旋できない赤ちゃんもいるのです。
例えばへその緒が首に巻いている場合。
4人に1人が巻いているのですが、巻いていると、うまく顎を引きつけられません。
あごが上がってしまうのは第1回旋の異常ですが、
次の第2回旋もうまくいかなくなります。
だから逆に回って、お母さんのお腹の方を向いて生まれてくることがあるのです。
顔は前で、後頭部が後ろなので、後方後頭位という異常です。
こうなるとお産に時間がかかって、最悪、帝王切開や吸引分娩でしか産めません。

最近あった異常では、何人目だったかのお産で、
お母さんも骨盤が広かったので、
赤ちゃんが回らずに、そのままズボッと、真っ直ぐに生まれてきました。
骨盤が狭いだけではなくて、広すぎてもネジがうまく進まないのですね。

話は変わりますが、妊娠中は赤ちゃんはお母さんの右か左を向いていると言いました。
子宮は平べったいからなんです。
左に背中があれば第1胎向、右にあれば第2胎向です。
また胎盤は子宮の前の壁か、後ろの壁のどちらかにくっついていますから、
赤ちゃんは微妙に真横ではなくて、
横向きなんだけれど、ちょっと前向きと、
横向きだけれど、ちょっと後ろ向きの2つの場合があります。
このちょっと前向きが第1分類、ちょっと後ろ向きが第2分類と言います。
どう、むずかしくなってきたでしょ?

何が言いたいかというと、ちょっと後ろ向きに背中があれば、
第2分類なので、超音波検査の時に顔がよく見えるのです。
反対に第1分類なら超音波検査で顔が見えないのです。
そういう赤ちゃんは何回妊婦検診に来ても、顔を見せてくれないので、
お母さんが、なんだ、超音波検査ってこんなものか、と思ってしまうのですね。

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