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パラグアイ便り2005―牧歌的な遠い国

2011-02-11 13:46:11 | ラテンアメリカ旅は道連れ<南米旅日記>

成田空港を午後5時に離陸したRG8837便は,ロサンジェルスを経由し,翌日の710分サンパウロに到着する。さらに,RG8902便に乗り換え2時間のフライトを経てパラグアイ共和国の首都アスンシオンに到着するのは1125分。成田を出発してから28時間余り,地球の反対側に位置するパラグアイは地理的にみて日本から最も遠い国である。

世界が狭くなったとはいえ,遠方の国の情報は私たちにとって必ずしも十分なものではない。パラグアイと聞いて脳裏に浮かぶのは,サッカーが強い,牧畜の国,或いはまたロバート・デ・ニーロが主演した映画ミッションの一場面(撮影場所はパラグアイではないが)くらいのものであろう。しかし,実際のパラグアイは大規模畑作が展開される農業国であり,多くの日系移住者が活躍するなど我が国と緊密な関係にある友好国である。

◆おおらかな国民性,牧歌的な国パラグアイ

 先ず世界地図を広げてパラグアイの位置を確かめてみよう。パラグアイは,ブラジル,アルゼンチン,ボリビア3国と国境を接する南米大陸中央部の内陸国で,南緯1918分~2730分(この緯度は台湾から沖縄に相当,亜熱帯性気候)に位置する。国土面積41k㎡(日本の1.1倍),人口630万人(同1/20),我が国と同程度の面積に北海道にほぼ等しい人口である。

国土はパラグアイ河によって東西に二分され,人口及び産業は東部に集中している。東部パラグアイは当初亜熱帯性の森林丘陵地帯であったが近年開拓が進み,大豆・小麦生産など畑作農業がブラジル及びアルゼンチンとの国境を流れるパラナ河に面したテラ・ロサ土壌地帯を中心に展開されている。一方,チャコ地方と呼ばれる西部は,潅木が茂る大平原で,河川流域は低湿地帯となっている。年間雨量は東部の農耕地帯で1,700mmに達するが,西へ行くにつれ減少し,西部のボリビア国境地帯は僅か600mmに過ぎない乾燥地帯である。

民族は先住民ガラニー族とスペイン人との混血が97%を占めるが,近年ヨーロッパ及びアジアからの移住者も多く,7~8千人の邦人が各地で活躍している。

経済的には南米の大国ブラジル及びアルゼンチンの影響を大きく受け,両国の狭間で苦闘しているように見える。約30%が生活困窮者であると言われるほど経済的には貧しいが,温暖な気候に恵まれて国民性は穏やかである。旅行案内書には,「南米の大いなる田舎,あなたも旅に疲れた身体をパラグアイで癒しませんか」とある。赤い大地に緑の樹木と白壁の家,燦燦と降り注ぐ太陽。「まあまあ,何をあくせくするの,気にしないで,落ち着いて,明日があるさ」そんな声が木陰から聞こえてきそうな牧歌的な国,パラグアイ共和国。

参照:土屋武彦2005「パラグアイ農業,最近の話題」北農72(1),101-106.

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