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アンデスの旅,グアナコ,リャマ,アルパカ,ビクーニャの群れを見たか?

2013-05-09 10:04:43 | ラテンアメリカ旅は道連れ<南米旅日記>

アンデスを旅すると,高原地帯で草を食むグアナコやビクーニャの群れをしばしば見かける。チリ北部のアリカからボリビア国境にあるラウカ国立公園を訪れた時も,標高3,500mを越え4,500mに至るアンデス湿潤高原地帯で,ビクーニャの群れ(写真)に何度か出会った。ペルーからチリ北部にかけての海岸線はほとんど雨が降らないため景色は砂漠そのものであるが(谷に沿ってのみ雪解けの水が流れ,人が住む),アンデス山脈の高所にはうって変わって草原が現れる(アンデスの峰は雪に覆われる)。

「遠くに見えるのがビクーニャの群れです。アンデス原産の動物には,グアナコ,リャマ,アルパカ,ビクーニャの四種の近縁種がいます。身体の大きさでいうと,大きいのがグアナコとリャマ,一番小さいのがビクーニャです・・・」

「あの岩陰の動物がビスカッチャ(アンデスウサギ,写真),ここは動物たちの聖地ですね」

ガイドの説明が続く。

 

また,アンデス山脈の南端アルゼンチン・パタゴニアからチリのプエルト・ナタレスに向けバスで国境越えした時も,グアナコの群れに出会った。

「グアナコの群れです。バスを降りて近づいてみましょう」

運転手は群れを指さし客に説明しながら,ゆっくりと停車した。

脚がすらっとして気品のある野生動物だ。厚い毛をまとい,愛くるしい目をしている。インカの時代に比べ生息数が激減しているので(一部では保護されている),野生の群れに出会う旅は記憶に残る。

これ等の動物は日本の動物園でも飼育されているので,アンデス原産の動物としてリャマ(ラマ),アルパカの名前を知る人は多いだろう。

 

「リャマは,ボリビアやペルーの山岳地方で古くから家畜として飼われ,荷物の運搬用,毛や皮を衣類に加工し,肉を食べることもあり,糞は燃料に利用されてきた。また,インカ帝国の時代には儀式の生贄として捧げられ,現にラパスの市場ではリャマの胎児のミイラが売られていて,これは家を新築するときに埋め家内安全を願うという生贄風習の名残だ・・・。一方,アルパカは毛を利用するために飼われ,アルパカ毛は羊毛より軽く世界中で品質評価が高い。インデイオもマントやポンチョに加工し,お土産として売っているよね・・・」と,私たちは知っている。

 

インカ時代に重要な家畜であったグアナコ,リャマ,アルパカ,ビクーニャは,ラクダ科の近縁種である。リャマはグアナコを家畜化したもの,アルパカは毛をとるためにグアナコ・ビクーニャから改良された派生種と言われ,分類学上の系統図には諸説あるが,以下の分類が有力のようだ。

 

1 ラクダ科(Camelidae

  1-1 ラクダ属(Camelus

 1-2 ラマ属(Lama

 1-2-1 グアナコ(Lama guanicoe

 1-2-2 ラマ(リャマ,Lama glama

 1-3 ビクーニャ属(Vicugna

 1-3-1 アルパカ(Vicugna pacos

 1-3-2 ビクーニャ(Vicugna vicugna

 

格好は似ていて遠目には区別が難しい。体の大きさに違いがあり,グアナコとリャマ(体高1-1.2m,身長1.5-1.6m,体長約2m,体重約100kg)が大きく,アルパカ(体高0.9-1.0m,体長約2m,体重50-55kg)が中間,ビクーニャ(体高約0.85m,体長1.3-1.6m,体重33-65kg)が小型と言える。

 

毛の長さは,アルパカが長く,ビクーニャは短いが細くて高級,グアナコはその中間とされる。セーターを着てみれば羊毛とは違う満足感を覚えるだろう。

 

   

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1 コメント

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とても魅力的な記事でした。 (履歴書の自己pr)
2013-09-01 12:34:28
また遊びに来ます!!
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