「あ,雪虫だ!」
晩秋の空に多数の小さな虫が群れている。北海道では初雪の降る少し前に現れることが多く,その動きは雪が舞うように見えることから,冬の訪れを告げる風物詩ともなっている。「雪虫を見たか?」と挨拶をする季節になったのだと青い空を見上げた。恵庭市恵み野,10月15日午後のことである。
不順だった天候も回復し,昨日の朝には樽前山と恵庭岳山頂に初冠雪を認めたばかりである。公園の木々や街路樹の紅葉も始まったばかりなのに,冬の使者が足早にやって来た。冬支度を急がねばと思い始める季節でもある。北国の秋は短い。
ところで,「雪虫」とは白腺物質を分泌する腺があるアブラムシの通称だと言う。体長は5mm前後,綿で包まれたように見える。アブラムシは通常,羽のない姿で単為生殖しコロニーを形成しているが,秋になって越冬する前には羽をもつ成虫が生まれ,交尾して越冬のために産卵する。この時の羽をもった成虫が蝋物質を体にまとい飛ぶ姿(アブラムシの飛翔力は弱いので風に流されて飛ぶ)が雪を思わせるのだ。
雪虫の具体的な種としてはトドノネオオワタムシ,リンゴワタムシ等がある。「ワタムシ」「しろばんば」等の俗称もある。
デジタル大辞典(小学館)には,「雪虫」①雪国で,早春の積雪上に現れて活動する昆虫。セッケイカワゲラ,ユキガガンボなど。②北海道や東北地方で,雪の降りだす季節に現れる昆虫。リンゴワタムシなど。体に白い分泌物をつけて群れて飛び,雪が舞うように見える。わたむし。と記載されている。
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