豆の育種のマメな話

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遠目には満開の桜,ラパチョの花に望郷の想いが募る

2011-06-18 11:08:43 | 南米で暮らす<歴史・文化・自然>

葉が出る前にピンクの花が開き,遠目には満開の桜のように見える。パラグアイの公園や街路樹でその姿を見ることが多い。その樹木の名前はラパチョlapacho, ipé-rosa, Tabebuia avellanedae Lor. ex Griseb.),亜熱帯雨林の中の大木は家具製造などに高価に取引された。パラグアイの国花と間違えている記述があるほど,パラグアイでは目につく(ちなみに,パラグアイの国花はブルクジャ・時計草)。

 

日本から此の地に移住した人々は,原始の森の開墾に明け暮れる中で,この木が開花する頃,桜にも似た色合いに望郷の想いを募らせたという。葉が出る前に花が開く。花の色はピンクが多いが,黄色や白色もある。

 

20079月,ラパチョの花はいつもの年より見事であった。アスンシオンやエンカルナシオンの公園には多数の大木が残され,人々の目を楽しませている。また,国道6号線のカピタン・ミランダ市の街路樹は毎年華やかに咲き誇る。背景には大豆畑が広がり,この国道を大豆満載のトレーラーが走る。

 

時折,季節外れに狂い咲きすることもあって,あれ,季節はいつだった?と旅人は思う。

 

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ピラールの牛は腹まで水に浸かって草を食む

2011-06-18 08:04:49 | 南米で暮らす<歴史・文化・自然>

南米パラグアイ共和国の南部にピラールという町がある。パンタナールから流れ来るパラグアイ河とイグアスの滝で知られるパラナ河が合流する場所からパラグアイ河の少し上流で,対岸を下ればアルゼンチン共和国のレシステンシア市とコリエンテス市,釣り人にはドラードが上がる釣り場として知られる。この河はアルゼンチンのパンパ平野を下り,ラプラタ河と名前を変え大西洋に注ぐ。

 

ピラールの周辺は湿原地帯が広がり,鳥類やカルピンチョなど野生動物,湿地の植生が豊である。肉牛を放牧している場所(牧場)もあるが,牛は腹まで水に浸かって草を食べている。牧夫の家までの取り付け道路はいつも水に隠れてしまい,小舟が幹線道路脇に繋がれている。この町までの幹線道路は,サンイグナシオ市から舗装道路で結ばれたが,2,000年頃までは雨が降れば陸の孤島となっていた。

 

この町を2,000年と2,005年に訪れた。2,000年には雨の後,町中の道路がぬかるみになり,郊外に出た時は4輪駆動の車でも難儀した。帰路には,郊外のガソリンスタンドで洗車しなければならないほどであった。2,005年には国道は完全に舗装されていた。

 

この地帯の道路整備,この町の農業高校には日本から専門家やボランテイアが派遣され,地域開発の技術協力が行われ,周辺住民の生活向上に大きな貢献がなされた。大雨で生活物資が途絶え,ヘリコプターで救出されたとの話も残る。

 

さて,どこにでもあることだが,道路と排水溝の整備は湿原の自然を破壊したと新聞論説で声高に叫ばれたことがある。人類と自然の協調は,なかなか難しい。

 

 

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