豆の育種のマメな話

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ボケロンのユートピア、原住民はどう思う?(パラグアイ、チャコ地方)

2011-06-05 14:49:35 | ラテンアメリカ旅は道連れ<南米旅日記>

チャコ地方

 

パンタナールの水を集めて流れるパラグアイ川はパラナ川に合流し,アルゼンチンのパンパ平野を南下し,ラ・プラタ川と名前を変えて大西洋に注ぐ。

 

南米大陸の中央,ブラジル・アルゼンチン・ボリビアに囲まれた内陸国であるパラグアイ共和国の国土は,このパラグアイ川によって東西に二分されている。東部地域は森林丘陵地帯で広大な草原と亜熱帯気候の多雨林から形成され,人口と産業のほとんどが集まり,活力ある地域となっている。一方,西部地域は人口が少なく,パンタナールと称され野生動物の宝庫である湿潤地帯と雨がほとんど降らない乾燥地帯からなっている。

 

この西部地域はチャコ地方と呼ばれる。多数の原住民が暮らし,コロンブス以前の文化や習慣が色濃く残っている。生活には不便な地域であるが,自然と動物探訪に是非訪れてみたいところだ。

 

北西部のボケロン県には,メノニータが1920年代ユートピアを求めて移住し,独自の発展を見せているフィラデルフィア,ロマプラタ,ネウランの3市がある。ボリビア戦争で疲弊したパラグアイが,この辺境の地に防衛の意味を込めて自治都市を認めたという。フィラデルフィア市でみられる町づくりは,農協組織,酪農と乳製品工場,銀行・教育・医療制度などが独自に整備され,ドイツ文化が息づいている。一方,発展の裏には,職を求めて佇む原住民の姿もある。

 

パラグアイの一般観光コースから外れるが,チャコ地方に足を延ばせば,この国の魅力が増すことだろう。首都アスンシオンからパラグアイ川を渡り,しばらく走れば椰子の林の湿地帯が広がる。その後,ボリビアへ抜ける国道を進むと乾燥地帯の植生がみられる灌木が続き,異質の文化を秘めた町フィラデルフィアが現れる。

 

この地は,畜産,酪農が中心であるが,落花生の栽培もある。町の博物館や小さな動物園,農協の店舗,乳製品工場を覗いてみるもよし。時間があれば,砂埃の道路を走ってボケロンの森,原住民の村を訪れる。道路は整備されていないが,バードウオッチングや自然が好きな君は,パンタナールに遊ぶのもよいだろう。

 

 

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