作物は日長や温度の影響を受け,花を咲かせ,実をつける。この反応は品種によって異なるので,それぞれの地域に適した品種を選ぶことが必要になる。
そのため,新品種を開発して普及に移す場合,品種の地域適応性を調査する。いわゆる,地域適応性検定試験,奨励品種決定現地調査と称される試験が,どの作物,どこの国でも実施されている。
ここでは,南米アルゼンチンで実施されている「大豆連絡試験」の例を図に示した。左は,30年前の試験箇所,右は現在の試験箇所である。アルゼンチンは,緯度と降水量によって作物の栽培地帯が分類されるので,試験場所も各地帯に対応して配置されている。
この試験の計画や成績とりまとめ,試験に供した材料の評価は,公的な機関(アルゼンチンではINTA)が実施する。費用負担は30年前は国が対応していたが,現在は供試材料を依頼する種子会社等が負担している。パラグアイでも同様のシステムになっている。
種子会社は独自に試験圃をもち,自前の評価も行っているが,生産者にしてみれば他社の材料と同じ試験で比較できる公的な連絡試験の公平な評価を信用することになる。
成績は早期に取りまとめられ,農家が次年度の播種計画を検討する時期には,電子媒体を介して成績情報を得ることが出来るようになっている。
日本でも上記試験は実施されているが,公的な予算に依存しているため,十分なシステムとなっているか,検討の余地があろう。