竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻10 歌番号681から685まで

2023年12月07日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻10
歌番号六八一
原文 志乃日天安日和多利者部利遣留比止尓
読下 忍びて逢ひわたり侍りける人に

原文 布知八良乃多々久尓
読下 藤原忠国

原文 以左利火乃与留者保乃可尓加久之川々安利部者己比乃志多尓个奴部之
和歌 いさりひの よるはほのかに かくしつつ ありへはこひの したにけぬへし
読下 漁火の夜はほのかにかくしつつ有りへば恋の下に消ぬべし
解釈 漁火が夜はほのかに見えるように、このようにほのかに人目を隠しつつ通う関係ですと、恋焦がれる関係の許に死んでしまいそうです。関係を表に出しませんか。

歌番号六八二
原文 加无部以乃美加止於武久之於呂左世多万宇天乃己呂
美知由宇乃女久利尓乃美比止者佐不良者世太万宇天
知可宇与世良礼左利个礼八加幾天美知由宇尓武寸日
徒个々留
読下 寛平の帝、御髪下させたまうてのころ、
御帳のめぐりにのみ人はさぶらはせたまうて、
近う寄せられざりければ、書きて御帳に結び
付けける

原文 己者知之由宇乃美也寸止己呂
読下 小八条御息所

原文 堂知与良八加計布武者可利知可个礼止太礼可奈己曽乃世幾遠寸部个无
和歌 たちよらは かけふむはかり ちかけれと たれかなこその せきをすゑけむ
読下 立ち寄らば影踏むばかり近けれど誰れか勿来の関を据ゑけん
解釈 立ち寄るなら影を踏むほどのおそばに近いのですが、一体、誰が、勿来の関、その言葉の響きのような、「な、来そ」との、決して来るなとの敷居を据えたのでしょうか。

歌番号六八三
原文 於止己乃毛止尓川可八之个留
読下 男のもとにつかはしける

原文 止差
読下 土左

原文 和可曽天者奈尓多川寸恵乃末川也万可曽良与利奈美乃己衣奴日八奈之
和歌 わかそては なにたつすゑの まつやまか そらよりなみの こえぬひはなし
読下 我が袖は名に立つ末の松山か空より浪の越えぬ日はなし
解釈 私の袖は、かの有名な和歌の末の松山ではありませんが、貴方の「空」の、その中身の無い行いで、かの松山を空越すように打ち上げた浪の雫のようなたくさんの涙で濡れぬ日はありません。

歌番号六八四
原文 川幾遠安者礼止以不者以武奈利止以不比止乃安利遣礼者
読下 月をあはれと言ふは忌むなりと言ふ人のありければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 飛止利祢乃和比之幾万々尓於幾為川々従幾遠安者礼止以美曽可祢川留
和歌 ひとりねの わひしきままに おきゐつつ つきをあはれと いみそかねつる
読下 一人寝のわびしきままに起きゐつつ月をあはれと忌みぞかねつる
解釈 貴女に逢えずに独り寝の寂しさのままで寝付けねままに眺める月を、それでも、言い伝えによりその趣があることを嫌うということが出来ません。

歌番号六八五
原文 於止己乃毛止尓川可八之个留
読下 男のもとにつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 加良尓之幾於之幾和可奈者堂知者天々以加尓世与止可以末八川礼奈幾
和歌 からにしき をしきわかなは たちはてて いかにせよとか いまはつれなき
読下 唐錦惜しき我が名は立ち果てていかにせよとか今はつれなき
解釈 唐錦の布を裁つ、その言葉の響きではありませんが、噂により名が立つことを惜しむべきなのに私の恋の評判が立ってしまった、さて、どうしましょうか、貴方との評判だけはたったのに、今は、貴方は私につれないのに。

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