竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集(原文推定、翻文、解釈付)巻十八

2020年10月11日 | 後撰和歌集 原文推定
後撰和歌集(原文推定、翻文、解釈付)
止遠末利也末幾仁安多留未幾
巻十八

久左久左乃宇多与川
雑歌四

歌番号一二五〇
加者徒遠幾々天
加者徒遠幾々天
蛙を聞きて

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 和可也止尓安飛也止利之天春武加者徒与留尓奈礼者也毛乃八加奈良之幾
定家 和可也止尓安飛也止利之天春武加者徒与留尓奈礼者也物八悲幾
和歌 わかやとに あひやとりして すむかはつ よるになれはや ものはかなしき
解釈 我が宿にあひ宿りして住む蛙夜になればや物は悲しき

歌番号一二五一
飛止/\安満多志利天者部利个留於无奈乃毛止尓止毛多知乃毛止
与利己乃己呂者於毛比佐多女多留奈女利堂乃毛之幾
己止奈利止堂者布礼遠己世天者部利个礼者
飛止/\安満多志利天侍个留女乃毛止尓友多知乃毛止
与利己乃己呂者思定多留奈女利堂乃毛之幾
事也止堂者布礼遠己世天侍个礼者
人々あまた知りて侍りける女のもとに、友だちのもと
より、このごろは思ひ定めたるなめり。
頼もしき事なり、と戯れおこせて侍りければ

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 堂満衣己具安之加利遠不祢左之和个天多礼遠多礼止可和礼者さ多女无
定家 玉江己具安之加利遠舟左之和个天誰遠多礼止可我者定女无
和歌 たまえこく あしかりをふね さしわけて たれをたれとか われはさためむ
解釈 玉江漕ぐ葦刈小舟さし分けて誰れを誰れとか我は定めん

歌番号一二五二
越止己乃者之女以可尓於毛部留左満尓可安利个武
於无奈乃遣之幾毛己々呂止个奴遠三天安也之久
於毛者奴左万奈留己止々以比者部利个礼八
越止己乃者之女以可尓於毛部留左満尓可有个武
女乃遣之幾毛心止个奴遠見天安也之久
於毛者奴左万奈留己止々以比侍个礼八
男の、初めいかに思へるさまにか有りけむ
女の気色も心解けぬを見て、あやしく
思はぬさまなること、と言ひ侍りければ

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 美知乃久乃於布知乃己満毛乃可不尓八安礼己曽万左礼奈川久毛乃可八
定家 美知乃久乃於布知乃己満毛乃可不尓八安礼己曽万左礼奈川久毛乃可八
和歌 みちのくの をふちのこまも のかふには あれこそまされ なつくものかは
解釈 陸奥のおぶちの駒ものがふには荒れこそまされなつくものかは

歌番号一二五三
知宇之与宇尓天宇知尓佐布良比个留止幾安比之利多利
遣留於无奈久良宇止乃佐宇之尓川本也奈久比於以
加个遠也止之遠幾天者部利个留遠尓八可尓己止
安利天止遠幾止己呂尓満可利者部利个利己乃於无奈乃毛止
与利己乃於以加个遠々己世天安者礼奈留己止
奈止以比天者部利个留可部之己止尓
中将尓天内尓佐布良比个留時安比之利多利
遣留女蔵人乃佐宇之尓川本也奈久比於以
加个遠也止之遠幾天侍个留遠尓八可尓事
安利天止遠幾所尓満可利侍个利己乃女乃毛止
与利己乃於以加个遠々己世天安者礼奈留事
奈止以比天侍个留返事尓
中将にて内裏にさぶらひける時、相知りたり
ける女蔵人の曹司に壺やなぐひ、
老懸を宿し置きて侍りけるを、にはかに事
ありて、遠き所にまかり侍りけり。この女のもと
よりこの老懸をおこせて、あはれなる事
など言ひて侍りける返事に

美奈毛堂乃与之乃々安曾无
源善朝臣
源善朝臣

原文 伊徒久止天多川祢天幾徒良无多万加川良和礼者无可之乃和礼奈良奈久尓
定家 伊徒久止天尋幾徒覧玉加川良我者昔乃我奈良奈久尓
和歌 いつくとて たつねきつらむ たまかつら われはむかしの われならなくに
解釈 いづくとて尋ね来つらん玉葛我は昔の我ならなくに

歌番号一二五四
堂与利尓川幾天飛止乃久尓乃加多尓者部利天美也己尓
比佐之宇満可利乃本良左利个留止幾尓止毛多知尓
徒可者之遣留
堂与利尓川幾天人乃久尓乃方尓侍天京尓
比佐之宇満可利乃本良左利个留時尓止毛多知尓
徒可者之遣留
便りにつきて、人の国の方に侍りて、京に
久しうまかり上らざりける時に、友だちに
つかはしける

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 安佐己止尓三之美也己地乃多衣奴礼者己止安也万利尓止不飛止毛奈之
定家 安佐己止尓見之宮己地乃多衣奴礼者事安也万利尓止不人毛奈之
和歌 あさことに みしみやこちの たえぬれは ことあやまりに とふひともなし
解釈 朝ごとに見し都路の絶えぬれば事誤りに問ふ人もなし

歌番号一二五五
止遠幾久尓々者部利个留飛止遠美也己尓乃本利多利止
幾々天安比末川尓万宇天幾奈可良止者左利个礼八
止遠幾久尓々侍个留人遠京尓乃本利多利止
幾々天安比末川尓万宇天幾奈可良止者左利个礼八
遠き国に侍りける人を、京に上りたりと
聞きてあひ待つに、まうで来ながら訪はざりければ

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 伊川之可止満川知乃也末乃左久良者奈万知天毛与曽尓幾久可々奈之左
定家 伊川之可止満川知乃山乃桜花万知天毛与曽尓幾久可々奈之左
和歌 いつしかと まつちのやまの さくらはな まちてもよそに きくかかなしさ
解釈 いつしかと待乳の山の桜花待ちてもよそに聞くが悲しさ

歌番号一二五六
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

以世
伊勢
伊勢

原文 以世和多留可者々曽天与利奈可留礼止々布尓止者礼奴三者宇幾奴女利
定家 以世和多留河者袖与利奈可留礼止々布尓止者礼奴身者宇幾奴女利
和歌 いせわたる かははそてより なかるれと とふにとはれぬ みはうきぬめり
解釈 いせ渡る河は袖より流るれど問ふに問はれぬ身は浮きぬめり

歌番号一二五七
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

幾多乃部乃比多利乃於本以万宇知幾三
北辺左大臣
北辺左大臣

原文 飛止女多尓美衣奴也末知尓堂川久毛遠多礼寸三可万乃計无利止以不良无
定家 人女多尓見衣奴山地尓立雲遠多礼寸三可万乃煙止以不良无
和歌 ひとめたに みえぬやまちに たつくもを たれすみかまの けふりといふらむ
解釈 人めだに見えぬ山路に立つ雲を誰れすみがまの煙といふらん

歌番号一二五八
越止己乃飛止尓毛安万多止部和礼也安多奈留
己々呂安留止以部利个礼者
越止己乃人尓毛安万多止部我也安多奈留
心安留止以部利个礼者
男の人にもあまた問へ。我やあだなる
心あると言へりければ

以世
伊勢
伊勢

原文 安寸可々者布知世尓加者留己々呂止者美奈加美之毛乃飛止毛以不女利
定家 安寸可河淵世尓加者留心止者美奈加美之毛乃人毛以不女利
和歌 あすかかは ふちせにかはる こころとは みなかみしもの ひともいふめり
解釈 飛鳥河淵瀬に変る心とはみな上下の人も言ふめり

歌番号一二五九
飛止乃武己乃以末満宇天己武止以比天満可利尓
个留可布美遠己寸留飛止安利止幾々天比左之宇
満宇天己佐利个礼者安止宇加多利乃己々呂遠
止利天加久奈武毛宇寸女留止以比川可者之个留
人乃武己乃今満宇天己武止以比天満可利尓
个留可布美遠己寸留人安利止幾々天比左之宇
満宇天己佐利个礼者安止宇加多利乃心遠
止利天加久奈武申女留止以比川可者之个留
人の婿の「今まうで来む」と言ひてまかりに
けるが、文おこする人ありと聞きて、久しう
まうで来ざりければ、あとうがたりの心を
とりて、かくなむ申すめると言ひつかはしける

武寸女乃波々
女乃波々
女のはは(女母)

原文 以末己武止以比之者可利遠以乃知尓天満川尓遣奴部之佐久左女乃止之
定家 今己武止以比之許遠以乃知尓天満川尓遣奴部之佐久左女乃止之
和歌 いまこむと いひしはかりを いのちにて まつにけぬへし さくさめのとし
解釈 今来むと言ひしばかりを命にて待つに消ぬべしさくさめの刀自

歌番号一二六〇
加部之 
返之 
返し

武己
武己
むこ(婿)

原文 加寸奈良奴三乃美毛乃宇久於毛本衣天満多留々万天毛奈利尓个留可奈
定家 加寸奈良奴身乃美物宇久於毛本衣天満多留々万天毛奈利尓个留哉
和歌 かすならぬ みのみものうく おもほえて またるるまても なりにけるかな
解釈 数ならぬ身のみ物憂く思ほえて待たるるまでもなりにけるかな

歌番号一二六一
徒祢尓久止天宇留佐可利天加久礼个礼八川可八之个留
徒祢尓久止天宇留佐可利天加久礼个礼八川可八之个留
常に来とて、うるさがりて隠れければ、つかはしける

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 安利止幾久遠止者乃也末乃保止々幾寸奈尓加久留良无奈久己恵者之天
定家 有止聞遠止者乃山乃郭公何加久留良无奈久己恵者之天
和歌 ありときく おとはのやまの ほとときす なにかくるらむ なくこゑはして
解釈 有りと聞く音羽の山の郭公何に隠るらん鳴く声はして

歌番号一二六二
毛乃尓己毛利多留尓志利多留飛止乃川本祢奈良部天
世宇可川遠己奈比天以徒留安可川幾尓以止幾多奈計
奈留之多宇川遠於止之多利个留遠止利天
徒可者寸止天
物尓己毛利多留尓志利多留人乃川本祢奈良部天
正月遠己奈比天以徒留暁尓以止幾多奈計
奈留之多宇川遠於止之多利个留遠止利天
徒可者寸止天
物に籠もりたるに知りたる人の局並べて、
正月行ひて出づる暁に、いと汚げ
なる下沓を落としたりけるを、取りて
つかはすとて

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 安之乃宇良乃以止幾多奈久毛三由留可奈々美者与利天毛安良八左利个利
定家 安之乃宇良乃以止幾多奈久毛見由留哉浪者与利天毛安良八左利个利
和歌 あしのうらの いときたなくも みゆるかな なみはよりても あらはさりけり
解釈 足の裏のいと汚くも見ゆるかな浪は寄りても洗はざりけり

歌番号一二六三
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 飛止己々呂堂止部天三礼者之良川由乃幾由留万毛奈保比左之可利个利
定家 人心堂止部天見礼者白露乃幾由留万毛猶比左之可利个利
和歌 ひとこころ たとへてみれは しらつゆの きゆるまもなほ ひさしかりけり
解釈 人心たとへて見れば白露の消ゆる間もなほ久しかりけり

歌番号一二六四
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 与乃奈可止以比川留毛乃可加遣呂不乃安留可奈幾可乃本止尓曽安利个留
定家 世中止以比川留物可加遣呂不乃安留可奈幾可乃本止尓曽有个留
和歌 よのなかと いひつるものか かけろふの あるかなきかの ほとにそありける
解釈 世の中と言ひつるものかかげろふのあるかなきかのほどにぞ有りける

歌番号一二六五
止毛多知尓者部利个留於无奈乃止之比左之久多乃三天
者部利个留於止己尓止者礼寸者部利个礼八毛呂止毛尓奈个幾天
友多知尓侍个留女乃止之比左之久多乃三天
侍个留於止己尓止者礼寸侍个礼八毛呂止毛尓奈个幾天
友だちに侍りける女の、年久しく頼みて
侍りける男に訪はれず侍りければ、もとろもに嘆きて

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 加久者可利和可礼乃也寸幾与乃奈可尓川祢止多乃女留和礼曽者可那幾
定家 加久許別乃也寸幾世中尓川祢止多乃女留我曽者可那幾
和歌 かくはかり わかれのやすき よのなかに つねとたのめる われそはかなき
解釈 かくばかり別れのやすき世の中に常と頼める我ぞはかなき

歌番号一二六六
徒祢尓奈幾奈多知者部利个礼八
徒祢尓奈幾奈多知侍个礼八
常になき名立ち侍はりければ

以世
伊勢
伊勢

原文 知里尓堂川和可奈幾与女无毛々之幾乃飛止乃己々呂遠万久良止毛可奈
定家 知里尓立和可奈幾与女无毛々之幾乃人乃心遠万久良止毛哉
和歌 ちりにたつ わかなきよめむ ももしきの ひとのこころを まくらともかな
解釈 塵に立つ我が名清めん百敷の人の心を枕ともがな

歌番号一二六七
安多奈留奈多知天以比左者可礼个留己呂安留
於止己保乃可尓幾々天安者礼以可尓曽止々比
者部利个礼者
安多奈留名多知天以比左者可礼个留己呂安留
於止己保乃可尓幾々天安者礼以可尓曽止々比
侍个礼者
あだなる名立ちて言ひ騒がれけるころ、ある
男ほのかに聞きて、あはれいかにぞ、と問ひ
侍りければ

己万知可武万己
己万知可武万己
こまちかむまこ(小町孫)

原文 宇幾己止遠志乃不留安女乃志多尓之天和可奴礼幾奴者本世止加者可寸
定家 宇幾事遠志乃不留雨乃志多尓之天和可奴礼幾奴者本世止加者可寸
和歌 うきことを しのふるあめの したにして わかぬれきぬは ほせとかわかす
解釈 憂き事をしのぶる雨の下にして我が濡衣は干せど乾かず

歌番号一二六八
止奈利奈利个留己止遠加利天加部寸川以天尓
止奈利奈利个留己止遠加利天加部寸川以天尓
隣なりける琴を借りて、返すついでに

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 安不己止乃加多美乃己恵乃堂可个礼者和可奈久祢止毛飛止者幾可奈无
定家 逢事乃加多美乃己恵乃堂可个礼者和可奈久祢止毛人者幾可奈无
和歌 あふことの かたみのこゑの たかけれは わかなくねとも ひとはきかなむ
解釈 逢ふ事のかたみの声の高ければ我が泣く音とも人は聞かなん

歌番号一二六九
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 奈良美多乃美志留見乃宇佐毛加多留部久奈計久己々呂遠万久良尓毛可奈
定家 涙乃美志留身乃宇佐毛加多留部久奈計久心遠万久良尓毛哉
和歌 なみたのみ しるみのうさも かたるへく なけくこころを まくらにもかな
解釈 涙のみ知る身の憂さも語るべく嘆く心を枕にもがな

歌番号一二七〇
毛乃於毛比个留己呂
物思个留己呂
物思ひけるころ

以世
伊勢
伊勢

原文 安比尓安日天毛乃於毛不己呂乃和可曽天者也止留川幾左部奴留々可本奈留
定家 安比尓安日天物思己呂乃和可袖者也止留月左部奴留々可本奈留
和歌 あひにあひて ものおもふころの わかそては やとるつきさへ ぬるるかほなる
解釈 逢ひに逢ひて物思ふころの我が袖は宿る月さへ濡るる顔なる

歌番号一二七一
安留止己呂尓春乃満部尓加礼己礼毛乃可多利之
者部利个留遠幾々天宇知与利於无奈乃己恵尓天安也
之久毛乃乃安者礼志利可本奈留於幾奈可奈止
以不遠幾々天
安留所尓春乃満部尓加礼己礼物可多利之
侍个留遠幾々天宇知与利女乃己恵尓天安也
之久物乃安者礼志利可本奈留於幾奈可奈止
以不遠幾々天
ある所に、簾の前にかれこれ物語りし
侍りけるを聞きて、内より女の声にて、あや
しく物のあはれ知り顔なる翁かなと
言ふを聞きて

従良由幾 
従良由幾 
つらゆき(紀貫之)

原文 安者礼天不己止尓志留之者奈个礼止毛以者天者衣己曽安良奴毛乃奈礼
定家 安者礼天不事尓志留之者奈个礼止毛以者天者衣己曽安良奴物奈礼
和歌 あはれてふ ことにしるしは なけれとも いはてはえこそ あらぬものなれ
解釈 あはれてふ事にしるしはなけれども言はではえこそあらぬ物なれ

歌番号一二七二
於无奈止毛多知乃川祢尓以比加者之个累遠比左之久
遠止川礼左利个礼者可无奈川幾者可利尓安多飛止乃
於毛不止以比之己止乃者々止以不々留己止遠以比加者之
多利个礼者多个乃者尓加幾川个天徒可者
之个留
女止毛多知乃川祢尓以比加者之个累遠比左之久
遠止川礼左利个礼者十月許尓安多人乃
思不止以比之事乃者々止以不々留己止遠以比加者之
多利个礼者竹乃者尓加幾川个天徒可者
之个留
女友だちの常に言ひ交しけるを、久しく
訪れざりければ、十月ばかりに、あだ人の
思ふと言ひし言の葉は、といふ古言を言ひ交し
たりければ、竹の葉に書きつけてつかは
しける

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 宇徒呂者奴奈尓奈可礼多留加者多个乃以川礼乃与尓可安幾遠之留部幾
定家 宇徒呂者奴奈尓奈可礼多留加者竹乃以川礼乃世尓可秋遠之留部幾
和歌 うつろはぬ なになかれたる かはたけの いつれのよにか あきをしるへき
解釈 移ろはぬ名に流れたる川竹のいづれの世にか秋を知るべき

歌番号一二七三
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

於久留於本幾於本以万宇知幾三
贈太政大臣
贈太政大臣

原文 布可幾於毛日曽女川止以比之己止乃八々伊川可安幾加世布幾天知利奴留
定家 布可幾思日曽女川止以比之事乃八々伊川可秋風布幾天知利奴留
和歌 ふかきおもひ そめつといひし ことのはは いつかあきかせ ふきてちりぬる
解釈 深き思ひ染めつと言ひし言の葉はいつか秋風吹きて散りぬる

歌番号一二七四
加部之 
返之 
返し

以世
伊勢
伊勢

原文 己々呂奈幾美者久左幾尓毛安良奈久尓安幾久留可世尓宇多加八留良无
定家 心奈幾身者草木尓毛安良奈久尓秋久留風尓宇多加八留良无
和歌 こころなき みはくさきにも あらなくに あきくるかせに うたかはるらむ
解釈 心なき身は草木にもあらなくに秋来る風に疑はるらん

歌番号一二七五
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

以世
伊勢
伊勢

原文 美乃宇幾遠志礼者々之多尓奈利奴部美於毛部八武祢乃己可礼乃三寸留
定家 身乃宇幾遠志礼者々之多尓奈利奴部美於毛部八武祢乃己可礼乃三寸留
和歌 みのうきを しれははしたに なりぬへみ おもひはむねの こかれのみする
解釈 身の憂きを知ればはしたになりぬべみ思ひは胸の焦がれのみする

歌番号一二七六
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 久毛知遠毛志良奴和礼左部毛呂己恵尓个不者可利止曽奈幾加部利奴留
定家 雲地遠毛志良奴我左部毛呂己恵尓个不許止曽奈幾加部利奴留
和歌 くもちをも しらぬわれさへ もろこゑに けふはかりとそ なきかへりぬる
解釈 雲路をも知らぬ我さへもろ声に今日ばかりとぞ泣きかへりぬる

歌番号一二七七
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 満多幾加良於毛比己幾以呂尓曽女武止也和可武良左幾乃祢遠多川奴良无
定家 満多幾加良於毛比己幾以呂尓曽女武止也和可武良左幾乃祢遠多川奴良无
和歌 またきから おもひこきいろに そめむとや わかむらさきの ねをたつぬらむ
解釈 まだきから思ひ濃き色に染めむとや若紫の根を尋ぬらん

歌番号一二七八
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

以世
伊勢
伊勢

原文 美衣毛世奴布可幾己々呂遠加多利天八飛止尓加知奴止於毛不毛乃可八
定家 見衣毛世奴深幾心遠加多利天八人尓加知奴止思不毛乃可八
和歌 みえもせぬ ふかきこころを かたりては ひとにかちぬと おもふものかは
解釈 見えもせぬ深き心を語りては人に勝ちぬと思ふものかは

歌番号一二七九
天為之為无尓左不良比个留尓於保武止幾乃於呂之
多末者世多利个礼者
亭子院尓左不良比个留尓御止幾乃於呂之
多末者世多利个礼者
亭子院にさぶらひけるに、御斎の下し
たまはせたりければ

以世
伊勢
伊勢

原文 以世乃宇美尓止之部天寸美之安万奈礼止加々留美留女者可部留左利之遠
定家 伊勢乃海尓年部天寸美之安万奈礼止加々留美留女者可部留左利之遠
和歌 いせのうみに としへてすみし あまなれと かかるみるめは かつかさりしを
解釈 伊勢の海に年経て住みし海人なれどかかるみるめはかづかざりしを

歌番号一二八〇
安波多乃以部尓天飛止尓川可八之个留
栗田乃家尓天人尓川可八之个留
粟田の家にて人につかはしける

加祢寸个乃安曾无
加祢寸个乃朝臣
かねすけの朝臣(藤原兼輔)

原文 安之比幾乃也末乃也万止利加比毛奈之美祢乃之良久毛多知之与良祢八
定家 安之比幾乃山乃山鳥加比毛奈之峯乃白雲多知之与良祢八
和歌 あしひきの やまのやまとり かひもなし みねのしらくも たちしよらねは
解釈 あしひきの山の山鳥かひもなし峯の白雲立ちし寄らねば

歌番号一二八一
比多利乃於本以万宇知幾三乃以部尓天加礼己礼堂為遠左久利天
宇多与美个留尓川由止以不毛之遠衣者部利天
左大臣乃家尓天加礼己礼題遠左久利天
哥与美个留尓川由止以不毛之遠衣侍天
左大臣の家にてかれこれ題を探りて
歌よみけるに、露といふ文字を得侍りて

布知八良乃多々久尓
布知八良乃多々久尓
ふちはらのたたくに(藤原忠国)

原文 和礼奈良奴久左波毛々乃者於毛比个利曽天与利保可尓遠个留之良川由
定家 我奈良奴草葉毛々乃者思个利袖与利外尓遠个留之良川由
和歌 われならぬ くさはもものは おもひけり そてよりほかに おけるしらつゆ
解釈 我ならぬ草葉も物は思けり袖より外に置ける白露

歌番号一二八二
飛止乃毛止尓徒可者之个留
人乃毛止尓徒可者之个留
人のもとにつかはしける

以世
伊勢
伊勢

原文 飛止己々呂安良之乃加世乃左武个礼者己乃女毛美衣寸衣多曽志本留々
定家 人心嵐乃風乃左武个礼者己乃女毛見衣寸枝曽志本留々
和歌 ひとこころ あらしのかせの さむけれは このめもみえす えたそしをるる
解釈 人心嵐の風の寒ければ木の芽も見えず枝ぞしほるる

歌番号一二八三
己止飛止遠安比可多良不止幾々天川可八之个留
己止人遠安比可多良不止幾々天川可八之个留
異人をあひ語らふと聞きてつかはしける

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 宇幾奈可良飛止遠和寸礼武己止可多三和可己々呂己曽加八良左利个礼
定家 宇幾奈可良人遠和寸礼武事可多三和可心己曽加八良左利个礼
和歌 うきなから ひとをわすれむ ことかたみ わかこころこそ かはらさりけれ
解釈 憂きながら人を忘れむ事かたみ我が心こそ変らざりけれ

歌番号一二八四
安留保宇之乃美奈毛止乃比止之乃安曾无乃以部尓
万可利天寸々乃寸可利遠於止之遠个留遠安之多尓
遠久留止天
安留法師乃源乃比止之乃朝臣乃家尓
万可利天寸々乃寸可利遠於止之遠个留遠安之多尓
遠久留止天
ある法師の源等の朝臣の家にまかりて、
数珠のすがりを落としをけるを、朝に
贈るとて

美奈毛堂乃比止之乃安曾无
源乃比止之乃朝臣
源のひとしの朝臣(源等)

原文 宇多々祢乃止己尓止万礼留之良多万八幾び可遠幾个留川由尓也安留良无
定家 宇多々祢乃止己尓止万礼留白玉八君可遠幾个留川由尓也安留良无
和歌 うたたねの とこにとまれる しらたまは きみかおきける つゆにやあるらむ
解釈 うたたねの床にとまれる白玉は君が置きける露にやあるらん

歌番号一二八五
加部之 
返之 
返し

安留保宇之
安留法師
ある法師

原文 加比毛奈幾幾左乃末久良尓遠久川由乃奈尓々幾衣奈天於知止万利个武
定家 加比毛奈幾草乃枕尓遠久川由乃何尓幾衣奈天於知止万利个武
和歌 かひもなき くさのまくらに おくつゆの なににきえなて おちとまりけむ
解釈 かひもなき草の枕に置く露の何に消えなで落ちとまりけむ

歌番号一二八六
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 於毛比也留可多毛志良礼春久留之幾八己々呂万止日乃川祢尓也安留良武
定家 思也留方毛志良礼春久留之幾八心万止日乃川祢尓也安留良武
和歌 おもひやる かたもしられす くるしきは こころまとひの つねにやあるらむ
解釈 思ひやる方も知られず苦しきは心まどひの常にやあるらむ

歌番号一二八七
武可之遠於毛比以天々武良乃己乃奈以之尓川可八之个留
武可之遠思以天々武良乃己乃内侍尓川可八之个留
昔を思ひ出でてむらのこの内侍につかはしける

比多利乃於本以万宇知幾三
左大臣
左大臣

原文 寸々无之尓於止良奴祢己曽奈可礼个礼无可之乃安幾遠於毛比也利川々
定家 鈴虫尓於止良奴祢己曽奈可礼个礼昔乃秋遠思也利川々
和歌 すすむしに おとらぬねこそ なかれけれ むかしのあきを おもひやりつつ
解釈 鈴虫に劣らぬ音こそ泣かれけれ昔の秋を思ひやりつつ

歌番号一二八八
飛止利者部利个留己呂飛止乃毛止与利以可尓曽止々不良比天
者部利个礼者安左可本乃者奈尓川个天川可
者之个留
飛止利侍个留己呂人乃毛止与利以可尓曽止々不良比天
侍个礼者安左可本乃花尓川个天川可
者之个留
一人侍りけるころ、人のもとよりいかにぞ、と訪ぶらひて
侍りければ、朝顔の花につけてつか
はしける

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 遊不久礼乃左比之幾毛乃者安左可本乃者奈遠多乃女留也止尓曽安利个留
定家 遊不久礼乃左比之幾物者槿乃花遠多乃女留也止尓曽安利个留
和歌 ゆふくれの さひしきものは あさかほの はなをたのめる やとにそありける
解釈 夕暮れのさびしき物は朝顔の花を頼める宿にぞありける

歌番号一二八九
比多利乃於本以万宇知幾三乃加々世者部利个留佐宇之乃
於久尓加幾川計者部利个留
左大臣乃加々世侍个留佐宇之乃
於久尓加幾川計侍个留
左大臣の書かせ侍りける冊子の
奥に書きつけ侍りける

従良由幾 
従良由幾 
つらゆき(紀貫之)

原文 者々曽也万美祢乃安良之乃加世遠以多美布留己止乃者遠加幾曽安川武留
定家 者々曽山峯乃嵐乃風遠以多美布留己止乃者遠加幾曽安川武留
和歌 ははそやま みねのあらしの かせをいたみ ふることのはを かきそあつむる
解釈 ははそ山峯の嵐の風をいたみふる言の葉をかきぞ集むる

歌番号一二九〇
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

己万知可々安祢
己万知可々安祢
こまちかあね(小野小町姉)

原文 与乃奈可遠以止比天安満乃寸武可多毛宇幾女乃美己曽美衣和多利个礼
定家 世中遠以止比天安満乃寸武方毛宇幾女乃美己曽見衣和多利个礼
和歌 よのなかを いとひてあまの すむかたも うきめのみこそ みえわたりけれ
解釈 世の中を厭ひて海人の住む方も憂き目のみこそ見えわたりけれ

歌番号一二九一
武可之安比之利天者部利个留飛止乃宇知尓左不良日
个留可毛止尓徒可者之个留
武可之安比之利天侍个留人乃内尓左不良日
个留可毛止尓徒可者之个留
昔あひ知りて侍りける人の、内裏にさぶらひ
けるがもとにつかはしける

以世
伊勢
伊勢

原文 也万可者乃遠止尓乃美幾久毛々之幾遠美遠者也奈可良美留与之毛可奈
定家 山河乃遠止尓乃美幾久毛々之幾遠身遠者也奈可良見留与之毛哉
和歌 やまかはの おとにのみきく ももしきを みをはやなから みるよしもかな
解釈 山河の音にのみ聞く百敷を身をはやながら見るよしもがな

歌番号一二九二
飛止尓和寸良礼多利止幾久於无奈良乃毛止尓川可八之个留
人尓和寸良礼多利止幾久女乃毛止尓川可八之个留
人に忘られたりと聞く女のもとにつかはしける

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 由乃奈可者以可尓也以可尓可世乃遠止遠幾久尓毛以末者毛乃也加奈之幾
定家 世中者以可尓也以可尓風乃遠止遠幾久尓毛今者毛乃也加奈之幾
和歌 よのなかは いかにやいかに かせのおとを きくにもいまは ものやかなしき
解釈 世の中はいかにやいかに風の音を聞くにも今はものや悲しき

歌番号一二九三
加部之 
返之 
返し

以世
伊勢
伊勢

原文 与乃奈可者以左止毛以左也可世乃遠止者安幾尓安幾曽不己々知己曽寸礼
定家 与乃奈可者以左止毛以左也風乃遠止者秋尓秋曽不心地己曽寸礼
和歌 よのなかは いさともいさや かせのおとは あきにあきそふ ここちこそすれ
解釈 世の中はいさともいさや風の音は秋に秋そふ心地こそすれ

歌番号一二九四
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

与美飛止毛 
与美人毛 
よみ人も

原文 堂止部久留徒由止比止之幾見尓之安良波和可於毛日尓毛幾衣无止也春留
定家 堂止部久留徒由止比止之幾身尓之安良波和可思日尓毛幾衣无止也春留
和歌 たとへくる つゆとひとしき みにしあらは わかおもひにも きえむとやする
解釈 たとへくる露と等しき身にしあらば我が思ひにも消えんとやする

歌番号一二九五
川良加利个留越止己乃者良可良乃毛止尓川可八之个留
川良加利个留越止己乃者良可良乃毛止尓川可八之个留
つらかりける男のはらからのもとにつかはしける

与美飛止毛 
与美人毛 
よみ人も

原文 佐々加尓乃曽良尓寸可个留以止与利毛己々呂本曽之也多衣奴止於毛部八
定家 佐々加尓乃曽良尓寸可个留以止与利毛心本曽之也多衣奴止於毛部八
和歌 ささかにの そらにすかける いとよりも こころほそしや たえぬとおもへは
解釈 ささがにの空に巣がける糸よりも心細しや絶えぬと思へば

歌番号一二九六
加部之 
返之 
返し

与美飛止毛 
与美人毛 
よみ人も

原文 可世布遣者多衣奴止三由留久毛乃以毛万多加幾川可天也武止也八幾久
定家 風布遣者多衣奴止見由留久毛乃以毛又加幾川可天也武止也八幾久
和歌 かせふけは たえぬとみゆる くものいも またかきつかて やむとやはきく
解釈 風吹けば絶えぬと見ゆる蜘蛛の網も又かき継がでやむとやは聞く

歌番号一二九七
布之美止以不止己呂尓天
布之美止以不所尓天
伏見といふ所にて

与美飛止毛 
与美人毛 
よみ人も

原文 奈尓多知天婦之美乃佐止々以不己止者毛美知遠止己尓之个八奈利个利
定家 名尓多知天婦之美乃佐止々以不事者毛美知遠止己尓之个八奈利个利
和歌 なにたちて ふしみのさとと いふことは もみちをとこに しけはなりけり
解釈 名に立ちて伏見の里といふ事は紅葉を床に敷けばなりけり

歌番号一二九八
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

比止之幾乃美己
比止之幾乃美己
ひとしきこのみこ(均子内親王)

原文 和礼毛於毛不飛止毛和寸留奈安利曽宇美乃宇良不久可世乃也武止幾毛奈久
定家 我毛思不人毛和寸留奈安利曽海乃浦吹風乃也武時毛奈久
和歌 われもおもふ ひともわするな ありそうみの うらふくかせの やむときもなく
解釈 我も思ふ人も忘るな有磯海の浦吹く風の止む時もなく

歌番号一二九九
堂以之良寸 
題しらす 
題知らす

也万多乃保宇之
山田法師
山田法師

原文 安之比幾乃也末志多止与美奈久止利毛和可己止多衣寸毛乃於毛不良女也
定家 安之比幾乃山志多止与美奈久止利毛和可己止多衣寸物思良女也
和歌 あしひきの やましたとよみ なくとりも わかことたえす ものおもふらめや
解釈 あしひきの山下響み鳴く鳥も我がごと絶えず物思ふらめや

歌番号一三〇〇
可武奈川幾乃川以多知己呂女乃美曽可越止己之多利
个留遠美徒个天以比奈止之天徒止女天
神奈月乃川以多知己呂女乃美曽可越止己之多利
个留遠見徒个天以比奈止之天徒止女天
神無月のついたちごろ、妻のみそか男したり
けるを見つけて、言ひなどして、翌朝

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 以末者止天安幾者天良礼之見奈礼止毛幾利多知飛止遠衣也八王寸留々
定家 今者止天秋者天良礼之身奈礼止毛幾利多知人遠衣也八王寸留々
和歌 いまはとて あきはてられし みなれとも きりたちひとを えやはわするる
解釈 今はとて秋果てられし身なれども霧立ち人をえやは忘るる

歌番号一三〇一
可武奈川幾者可利於毛之呂加利之止己呂奈礼八止天
幾多乃也万乃本止利尓己礼可礼安曽日者部利个留川以天尓
十月許於毛之呂加利之所奈礼八止天
北山のほとりにこれかれあそひ侍りけるついてに
十月ばかり、おもしろかりし所なればとて
北山のほとりにこれかれ遊び侍りけるついでに

加祢寸个乃安曾无
兼輔朝臣
兼輔朝臣(藤原兼輔)

原文 於毛比以天々幾川留毛志留久毛美知者乃以呂八无可之尓加者良左利个利
定家 思以天々幾川留毛志留久毛美知者乃色八昔尓加者良左利个利
和歌 おもひいてて きつるもしるく もみちはの いろはむかしに かはらさりけり
解釈 思ひ出でて来つるもしるくもみぢ葉の色は昔に変らざりけり

歌番号一三〇二
於奈之己々呂遠
於奈之心遠
同じ心を

佐可乃宇部乃己礼乃利
坂上是則
坂上是則

原文 美祢多可美由幾天毛美部幾毛美知者遠和可為奈可良毛加左之徒留可奈
定家 峯高美行天毛見部幾毛美知者遠和可為奈可良毛加左之徒留哉
和歌 みねたかみ ゆきてもみへき もみちはを わかゐなからも かさしつるかな
解釈 峯高み行きても見べきもみぢ葉を我がゐながらもかざしつるかな

歌番号一三〇三
志波寸者可利尓安川万与利満宇天幾个留於止己乃
毛止与利美也己尓安比之利天者部利个留於无奈乃毛止尓
世宇可川々以多知万天遠止川礼寸者部利个礼八
志波寸許尓安川万与利満宇天幾个留於止己乃
毛止与利京尓安比之利天侍个留女乃毛
止尓正月川以多知万天遠止川礼寸侍个礼八
師走ばかりに、東よりまうで来ける男の、
もとより京にあひ知りて侍りける女のもとに
正月ついたちまで訪れず侍りければ

与美飛止之良寸 
与美人之良寸 
よみ人しらす

原文 満川飛止者幾奴止幾个止毛安良多万乃止之乃美己由留安不左可乃世幾
定家 満川人者幾奴止幾个止毛安良多万乃止之乃美己由留安不左可乃世幾
和歌 まつひとは きぬときけとも あらたまの としのみこゆる あふさかのせき
解釈 待つ人は来ぬと聞けどもあらたまの年のみ越ゆる相坂の関

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 万葉雑記 番外雑話 墨子と... | トップ | 万葉集 集歌1027から集歌1031... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

後撰和歌集 原文推定」カテゴリの最新記事