竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻14 歌番号1054から1058まで

2024年03月21日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻14
歌番号一〇五四
原文 毛止奈可乃美己尓奈川乃佐宇曽久之天遠久留止天曽部多利个留
読下 元長親王に夏の装束して贈るとて、そへたりける

原文 奈武為无乃乃利乃豆加佐乃加美乃美己乃武寸女
読下 南院式部卿のみこのむすめ(南院式部卿親王女)

原文 和可多知天幾留己曽宇个礼奈川己呂毛於保可多止乃美三部幾宇寸左遠
和歌 わかたちて きるこそうけれ なつころも おほかたとのみ みへきうすさを
読下 我が裁ちて着るこそ憂けれ夏衣おほかたとのみ見べき薄さを
解釈 私が裁って調製したこの衣を貴方が儀礼で着るときのことが心配です、贈った夏衣がそのあたりにあるものと同じみるような薄さのことを、(同じように、私の貴方への想いを通り一遍の薄い恋心と思われないかと)

歌番号一〇五五
原文 飛佐之宇止者佐利个留飛止乃於毛比以天々己与比
万宇天己无加止左々天安比万天止毛宇寸天万天
己左利个礼者
読下 久しう訪はざりける人の、思ひ出でて、今宵
まうで来ん。門鎖さであひまて、と申してまで
来ざりければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 也部武久良佐之天之可止遠以末左良尓奈尓々久也之久安計天万知个无
和歌 やへむくら さしてしかとを いまさらに なににくやしく あけてまちけむ
読下 八重葎や鎖してし門を今更に何に悔しく開けて待ちけん
解釈 貴方の訪れがないままに八重葎が生え伸びて通路を鎖していた、その通路の門を、今更に、どうして、貴方の訪れの呼びかけに門を開けて待っていたのでしょうか。貴方の仕打ちに悔しく辛いことです。

歌番号一〇五六
原文 飛止遠以比和川良比天己止飛止尓安比者部利天乃知以可々
安利个无者之女乃飛止尓於毛比可部利天本止部尓个礼八
布美八也良寸之天遠保幾尓多可佐己乃加多加幾多留尓
徒个天川可者之个留
読下 人を言ひわづらひて、異人にあひ侍りて後、いかが
ありけん、初めの人に思ひかへりて、ほど経にければ、
文はやらずして、扇に高砂のかた描きたるに
つけてつかはしける

原文 美奈毛堂乃毛呂安幾良乃安曾无
読下 源庶明朝臣

原文 佐遠之可乃川万奈幾己比遠多可左己乃於乃部乃己万川幾々毛以礼奈无
和歌 さをしかの つまなきこひを たかさこの をのへのこまつ ききもいれなむ
読下 さを鹿の妻なきこひを高砂の尾上の小松聞きも入れなん
解釈 牡鹿が、妻が無いと雌鹿を請い啼く、その高砂の峯の上の小松ではありませんが、妻問う人もなく恋を求めている、この私の気持ちを聞き入れてくれるでしょうか。

歌番号一〇五七
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良春
読下 詠み人知らず

原文 左乎志可乃己衣多可左己尓幾己江之者川万奈幾止幾乃祢尓己曽安利个連
和歌 さをしかの こゑたかさこに きこえしは つまなきときの ねにこそありけれ
読下 さを鹿の声高砂に聞こえしは妻なき時の音にこそ有りけれ
解釈 牡鹿の声高く、この高砂の峯に聞こえたのは、妻がいないときの啼き声だったからなのでしょう。(貴方に妻=恋人がいた時、お声がかりはありませんでしたが。)

歌番号一〇五八
原文 於毛不飛止尓衣安比者部良天和寸良礼尓个礼八
読下 思ふ人に、え逢ひはべらで忘られにければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 世幾毛安部寸奈美多乃可八乃世遠者也美加々良武毛乃止於毛比也八世之
和歌 せきもあへす なみたのかはの せをはやみ かからむものと おもひやはせし
読下 せきもあへず涙の河のせ瀬を早みかからむ物と思ひやはせし
解釈 堰留め置くこともできず、流れ出す涙の河の瀬の流れが速い、その言葉ではありませんが、これほども早く、貴女に私のことを忘れ去られようとは思いもよりませんでした。

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