竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻16 歌番号1135から1139まで

2024年04月12日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻16
歌番号一一三五
原文 和可宇者部利个留止幾者志加尓川祢尓満宇天个留遠
止之於以天八万以利者部利良左利个留尓万以利者部利天
読下 若う侍りける時は、志賀に常にまうでけるを、
年老いては参り侍らざりけるに、参り侍りて

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 女川良之也无可之奈可良乃也万乃為者志川女留可个曽久知者天尓个留
和歌 めつらしや むかしなからの やまのゐは しつめるかけそ くちはてにける
読下 めづらしや昔ながらの山の井は沈める影ぞ朽ち果てにける
解釈 珍しいことです、昔ながらの山の井はありますが、その井の水面に沈め映す姿は、年老い朽ちてしまっています。

歌番号一一三六
原文 宇知乃安之呂尓志礼留飛止乃者部利个礼八万可利天
読下 宇治の網代に、知れる人の侍りければ、まかりて

原文 於保衣乃於幾止之
読下 大江興俊

原文 宇知可者乃奈美尓美奈礼之幾美万世八和礼毛安之呂尓与利奴部幾加奈
和歌 うちかはの なみにみなれし きみませは われもあしろに よりぬへきかな
読下 宇治河の浪にみなれし君ませば我も網代に寄りぬべきかな
解釈 冬、宇治河の浪に身を馴らす氷魚ではありませんが、見慣れた貴方がやって来るのでしたら、私も宇治の網代の側によるではありませんが、貴方の側にお伺いすべきですね。

歌番号一一三七
原文 為无乃美可止宇知尓於者之末之々止幾飛止/\尓
於布幾天宇世左世多万日个留多天万川留止天
読下 院の帝、内裏におはしましし時、人々に
扇調ぜさせたまひける、たてまつるとて

原文 之也宇尓乃女乃止
読下 小弐のめのと(小弐乳母)

原文 布幾以川留祢止己呂堂可久幾己由奈利者川安幾加世者以左天奈良佐之
和歌 ふきいつる ねところたかく きこゆなり はつあきかせは いさてならさし
読下 吹き出づる音所高く聞こゆなり初秋風はいざ手ならさじ
解釈 扇で煽ぎ吹き出す風の音が大きく高く聞こえます、飽きを思わせる、野分時期の初の秋風のようです、でも、そのような飽きの風に手慣れた様にはさせません。

歌番号一一三八
原文 加部之
読下 返し

原文 多以布
読下 大輔

原文 己々呂之天万礼尓布幾川留安幾加世遠也万於呂之尓八奈佐之止曽於毛不
和歌 こころして まれにふきつる あきかせを やまおろしには なさしとそおもふ
読下 心してまれに吹きつる秋風を山下ろしにはなさじとぞ思ふ
解釈 十分に心得て、稀に吹いて来る飽きの風、その言葉の響きのような秋風を山下ろしの風にはしない、あの万葉の歌の「嵐」ではありませんが、その言葉の響きではありませんが、あらじ、と飽きの風が吹くことはないと思いますよ。
注意 万葉集の「足桧木乃 山下風波 雖不吹 君無夕者 豫寒毛」の歌を引用する。「山下風」を「嵐(あらし)」と訓じます。

歌番号一一三九
原文 於止己乃布美於本久加幾天止以比个礼者
読下 男の、文多く書きて、と言ひければ

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 者可奈久天堂衣奈无久毛乃以止由部尓奈尓尓可於本久加々无止曽於毛不
和歌 はかなくて たえなむくもの いとゆゑに なににかおほく かかむとそおもふ
読下 はかなくて絶えなんくもの糸ゆゑに何にか多く書かんとぞ思ふ
解釈 書きて、その言葉の響きのような、蜘蛛の巣の「巣かき」、その蜘蛛の巣が簡単に切れてしまう、そのような貴方と私の関係、簡単に切れてしまいそうな蜘蛛の糸のようですので、どうして、貴方にたくさんの文を書こうと思うでしょうか。

コメント
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