竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻15 歌番号1115から1119まで

2024年04月08日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻15
歌番号一一一五
原文 与乃奈可乃己々呂尓加奈者奴奈止毛布之个礼者由久左幾
多乃毛之幾美尓天加々留己止安留万之止比止乃
毛布之者部礼个礼者
読下 世の中の心にかなはぬなど申しければ、行く先
頼もしき身にて、かかる事あるまじと人の
申し侍りければ

原文 於保衣乃知左止
読下 大江千里

原文 奈可流天乃与遠毛太乃万寸美川乃宇部乃安者尓幾衣奴留宇幾三止於毛部者
和歌 なかれての よをもたのます みつのうへの あわにきえぬる うきみとおもへは
読下 流れての世をも頼まず水の上の泡に消えぬる憂き身と思へば
解釈 流れゆく先のことなど当てにしません、水の上の泡のようにあっけなく消えて行く辛いことばかりの身の上と思うと。

歌番号一一一六
原文 布知八良乃左祢木可久良宇止与利加宇布利太末者利天
安寸止乃宇部満可利於利武止之个留与
左計太宇部个留川以天尓
読下 藤原真興が蔵人よりかうぶり賜りて、
明日、殿上まかりおりむとしける夜、
酒たうべけるついでに

原文 加祢寸个乃安曾无
読下 兼輔朝臣(藤原兼輔)

原文 武者多満乃己与比者可利曽安計己呂毛安遣奈波飛止遠与曽尓己曽三女
和歌 うはたまの こよひはかりそ あけころも あけなはひとを よそにこそみめ
読下 むばたまの今宵ばかりぞあけ衣あけなば人をよそにこそ見め
解釈 漆黒の今宵だけです、朝が明けると、貴方は五位の官服の朱(あけ)の衣を着た殿上の人となり、身分違いから遠くから貴方を眺めるでしょうね。

歌番号一一一七
原文 保宇己宇於本武久之於呂之多万日天乃己呂
読下 法皇、御髪下したまひてのころ

原文 奈々之与宇乃幾左為
読下 七条后

原文 飛止和多寸己止多尓奈幾遠奈尓之可毛奈可良乃者之止三乃奈利奴良无
和歌 ひとわたす ことたになきを なにしかも なからのはしと みのなりぬらむ
読下 人わたす事だになきをなにしかも長柄の橋と身のなりぬらん
解釈 もう、帝を私の許に御渡しすることもなくなったのに、どうして、古くなって棄てられたあの長柄の橋のような立場に私はなってしまったのでしょうか。
注意 古今和歌集「世の中にふりぬるものは津の国の長柄の橋と我はなりけり」を引用する。

歌番号一一一八
原文 於本武可部之
読下 御返之

原文 以世
読下 伊勢

原文 布留々三者奈美多乃奈可尓三由礼者也奈可良乃者之尓安也万多留良无
和歌 ふるるみは なみたのうちに みゆれはや なからのはしに あやまたるらむ
読下 古るる身は涙の中に見ゆればや長柄の橋に過たるらん
解釈 (帝の寵愛を競いましたが)年を取って古くなり棄てられた我が身の様子が、貴女の涙の中に見えたので、古くなり棄てられた、あの長柄の橋の情景のように私のことをそれと思えたのでしょうか。

歌番号一一一九
原文 幾也宇己久乃美也寸止己呂安天尓奈利天可為宇遣武止天
尓武和乃天良尓和多利天者部利个礼者
読下 京極の御息所、尼になりて戒受けむとて、
仁和寺に渡りて侍りければ

原文 安徒美乃美己
読下 あつみのみこ(敦実親王)

原文 飛止利乃美奈可女天止之遠布留左止乃安礼多留左万遠以可尓三留良无
和歌 ひとりのみ なかめてとしを ふるさとの あれたるさまを いかにみるらむ
読下 一人のみ眺めて年を古里の荒れたるさまをいかに見るらん
解釈 法皇の崩御の跡、お一人で物思いの中に年月を過ごし、この古いゆかりの里の荒れてしまった屋敷の様子を、どのようにご覧になられていたのでしょうか。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする