竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻15 歌番号1095から1099まで

2024年04月02日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻15
歌番号一〇九五
原文 志本奈幾止之堂々美安部天止者部利个礼者
読下 しほなきとし、ただみあへてと侍りければ

原文 堂々美
読下 たたみ(壬生忠岑)

原文 志本止以部者奈久天毛加良幾与乃奈可尓以可天安部多留多々美奈留良无
和歌 しほといへは なくてもからき よのなかに いかてあへたる たたみなるらむ
読下 塩といへばなくてもからき世の中にいかであへたるただみなるらん
解釈 塩と言えば、それ自体が無くても辛く思える、その言葉ではありませんが、この辛い世の中で、どうして、辛い塩味に苦い蓼の汁まで混ぜ加えたのでしょうか。
解釈 塩と言えば、それ自体が無くても辛く思える、その言葉ではありませんが、この辛い世の中で、塩が不足している中、どのように耐えているのでしょうか、家を守る刀自の御本人の努力なのでしょう。
注意 詞書の「志本奈幾止之」には、「塩なき年」や「塩なき刀自」などと解釈があります。

歌番号一〇九六
原文 飛多々礼己比尓川可八之多留尓宇良奈无奈幾曽礼八
幾之止也以可々止以比多礼者
読下 ひたたれ乞ひにつかはしたるに、裏なんなき、それは
着じとや、いかがと言ひたれば

原文 布知八良乃毛止寸个
読下 藤原元輔

原文 寸美与之乃乃幾之止毛以者之於幾川奈美奈保宇知可計与宇良八奈久止毛
和歌 すみよしの きしともいはし おきつなみ なほうちかけよ うらはなくとも
読下 住吉の岸とも言はじ沖つ浪なほうちかけよ浦はなくとも
解釈 住吉の岸、その言葉ではありませんが「着し」(着たことがある)とは言いませんが、岸に沖からの浪が打ち掛けよ、浦がなくともと言うように、それでも、返してもらえば、着て身に懸けましょう、その直垂に裏地が無くても。(本意ではないのですが、もう、貴女との共寝でそれを着ることは無いのです。)

歌番号一〇九七
原文 保宇己宇者之女天於本武久之於呂之多万比天也末布美志
堂万布安比多幾左幾遠者之女太天万川利天尓与宇己宇
己宇為奈保飛止川為无尓佐布良比堂万飛个留美止之止以不尓
奈无美可止加部利於者之末之多利个留武可之乃己止
於奈之止己呂尓天於本武越呂之多万宇个留川以天尓
読下 法皇初めて御髪下したまひて、山踏みし
たまふあひだ、后をはじめたてまつりて、女御、
更衣、なほ一つ院にさぶらひたまひける、三年といふに
なん、帝、帰りおはしましたりける、昔のごと
同じ所にて、御下したまうけるついてに

原文 奈々之与宇乃幾左為
読下 七条のきさき(七条后)

原文 己止乃葉尓堂衣世奴川由者遠久良无也无可之於本由留万止為之多礼八
和歌 ことのはに たえせぬつゆは おくらむや むかしおほゆる まとゐしたれは
読下 言の葉に絶えせぬ露は置くらんや昔おぼゆる円居したれば
解釈 帝のお言葉を聞いて、皆は涙の露が絶え間なく置いているでしょう、昔を思い出させる団らんの時を過ごしましたので。

歌番号一〇九八
原文 於本武可部之
読下 御返之

原文 以世
読下 伊勢

原文 宇美止乃美万止為乃奈可者奈利奴女利曽奈可良安良奴加計乃三由礼八
和歌 うみとのみ まとゐのなかは なりぬめり そなからあらぬ かけのみゆれは
読下 海とのみ円居の中はなりぬめりそながらあらぬ影の見ゆれば
解釈 流す涙で海とばかりに、団らんの間はなってしまうでしょう、お慕いする御方が常とは違うお姿として拝見すると。

歌番号一〇九九
原文 志加乃加良佐幾尓天波良部之个留飛止乃志毛川可部尓
三留止以不者部利个利於保止毛乃久ロ奴之曽己尓満天幾天
加乃美留尓己々呂遠川个天以比多者布礼个利波良部者天々
久留万与利久呂奴之尓毛乃加川計々留曽乃毛乃己之
尓加幾川个天三留尓遠久利者部利个留
読下 志賀の辛崎にて祓しける人の下仕へに、
みるといふ侍りけり。大伴黒主、そこにまで来て、
かのみるに心をつけて言ひたはぶれけり。祓果てて、
車より黒主に物かづけける、その裳の腰
に書きつけて、みるに贈り侍りける

原文 久呂奴之
読下 くろぬし(大伴黒主)

原文 奈尓世武尓部堂乃見留女遠於毛比个无於幾川太万毛遠加川久三尓之天
和歌 なにせむに へたのみるめを おもひけむ おきつたまもを かつくみにして
読下 何せむにへたのみるめを思ひけん沖つ玉藻をかづく身にして
解釈 どうして、水際の海松布(みるめ)に私は関心を持ったのでしょうか、本来なら沖に生える玉藻を潜って採る身分ではありますが。
注意 歌は「みる」と呼ばれる女性への恋歌です。

コメント
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