竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻15 歌番号1105から1109まで

2024年04月04日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻15
歌番号一一〇五
原文 多々不左乃安曾无徒乃加美尓天尓比川可左者留可多加末宇計尓
比与布天宇之天加乃久尓乃奈安留止己呂/\恵尓
加々世天左比恵止以不止己呂尓加个利个留
読下 忠房朝臣、摂津守にて新司治方が設けに、
屏風調じて、かの国の名ある所々絵に
描かせて、さび江といふ所にかけりける

原文 堂々美祢
読下 たたみね(壬生忠岑)

原文 止之遠部天仁己利多尓世奴佐比衣尓八多万毛可部利天以末曽寸武部幾
和歌 としをへて にこりたにせぬ さひえには たまもかへりて いまそすむへき
読下 年を経て濁りだにせぬさび江には玉も帰りて今ぞ住むべき
解釈 何年の経っても濁りもしないさび江の浦に、今、新任の国守を得て、あの「孟嘗還珠」の故事ではありませんが、遠くに逃げて行った玉が、良き治政が戻ったとして、再び帰ってきてここに住むのに違いありません。

歌番号一一〇六
原文 加祢寸个乃安曾无左為之与宇乃知宇之与宇与利奈加乃毛乃萬宇須豆加佐
尓奈利天万多乃止之乃利由美乃加部利多知乃安留之尓万可利天
己礼可礼於毛比乃不留川以天尓
読下 兼輔朝臣、宰相中将より中納言
になりて、又の年、賭弓の還りだちの饗にまかりて、
これかれ思ひのぶるついでに

原文 加祢寸个乃安曾无
読下 兼輔朝臣(藤原兼輔)

原文 布留左止乃美可佐乃也末者止遠个礼止己衣者无可之乃宇止可良奴可奈
和歌 ふるさとの みかさのやまは とほけれと こゑはむかしの うとからぬかな
読下 古里の三笠の山は遠けれど声は昔のうとからぬかな
解釈 奈良の古い里の三笠の山は遠い、同じように帝の御蓋(みかさ)を守る近衛府、私がその昔に勤めた近衛府は身分が変わり、もう、縁遠いけれど、その近衛府の人々は昔と同じで、他人事とは思えません。

歌番号一一〇七
原文 安者知乃満川利己止飛止乃尓无者天々乃保利万宇天
幾天乃己呂加祢寸个乃安曾无乃安者多乃以部尓天
読下 淡路のまつりごと人の、任果てて上りまうで
来てのころ、兼輔朝臣の粟田の家にて

原文 美川祢
読下 みつね(凡河内躬恒)

原文 飛幾天宇部之飛止者武部己曽遠比尓个礼万川乃己多可久奈利尓个留可奈
和歌 ひきてうゑし ひとはうへこそ おいにけれ まつのこたかく なりにけるかな
読下 引きて植ゑし人はむべこそ老いにけれ松の木高くなりにけるかな
解釈 他所から引き植えた人は、確かに年老いてしまった、その時の松の木はこんなに高くなってしまったものだ。

歌番号一一〇八
原文 飛止乃武寸女尓美奈毛止乃加祢木可春美者部利个留遠
武寸女乃波々幾々者部利天以美之宇世以之者部利个礼者
之乃比多留可多尓天加多良比个留安比多尓波々志良寸之天
仁者可仁以幾个礼者加祢木可尓个天満可利尓个礼八
徒可者之遣留
読下 人の女に源兼材が住み侍りけるを、
女の母聞き侍りて、いみじう制し侍りければ、
忍びたる方にて語らひける間に、母、知らずして、
にはかに行きければ、兼材が逃げてまかりにければ、
つかはしける

原文 武寸女乃波々
読下 女のはは(女母)

原文 遠也末多乃於止呂加之尓毛己佐利之遠以止比多不留尓仁个之幾美可奈
和歌 をやまたの おとろかしにも こさりしを いとひたふるに にけしきみかな
読下 小山田のおどろかしにも来ざりしをいとひたぶるに逃げし君かな
解釈 山田の案山子のように、私は驚かしにも来なかったのに、引き板の糸を引いて鳴子を鳴らしたときの獣のように、一生懸命に逃げ去った、貴方なのですね。

歌番号一一〇九
原文 左武之与宇乃美幾乃於本以万宇知幾三美満可利天安久留止之乃者留
於保伊萬宇智岐美女之安利止幾々天為従幾乃美也乃美己尓川可八之个留
読下 三条右大臣身まかりて、明くる年の春、
大臣召しありと聞きて、斎宮の内親王につかはしける

原文 武寸女乃尓与宇己
読下 むすめの女御(女々御)

原文 伊可天加乃止之幾利毛世奴堂祢毛可奈安礼多留也止尓宇部天三留部久
和歌 いかてかの としきりもせぬ たねもかな あれたるやとに うゑてみるへく
読下 いかでかの年ぎりもせぬ種もがな荒れたる宿に植ゑて見るべく
解釈 どうにかして、あの、年によっては花が咲かないと言うことが無い、毎年に花が咲くその花の種を得たいものです、親を失い、私の荒れ果てた屋敷に植え育った花を見たいので。

コメント
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