Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

スカパー映画 海を飛ぶ夢

2007-02-23 22:57:48 | Movie
  
原題 Mar Adentro
英題 The Sea Inside
製作 スペイン 2004
2004年度 アカデミー賞 外国語映画賞
2004年 ヴェネチア国際映画祭 男優賞

実話に基づく尊厳死がテーマの映画です。
原題は訳すると「海の中へ」みたいな意味。
主人公がよく見る夢とリンクする題です。

船乗りだったラモンは
25歳のときの事故が原因で首から下が麻痺していて、
30年近く兄夫婦の献身的介護を受けながら
ベッド上の生活を送っている。
外に出ていないにもかかわらず博識の彼の元には
訪問者が絶えない。
多くの人に愛されながらもラモンはいつしか
自らの命を絶つことを強く願うようになる。
でも手足が動かないから誰かにそれを手伝ってもらう必要がある。
尊厳死・・・
スペインではこれが認められていない。
ラモンは自らの命を絶つ権利を求め裁判を起こすことになる。
彼はボランティア団体に頼んで弁護士を紹介してもらう。
彼の担当になったのは女弁護士のフリア。
2人はお互い惹かれあうようになるが、
彼女もまた難病(たぶん多発性硬化症か何か)を患い、
いつ体が不自由になっても不思議ではない状況だった。
人生に希望を失い、
2人は一緒に命を絶つことを約束するが・・・。

ラモンが夢でみる、彼とフリアのキスシーンが美しい。
背景には海、
曲は「誰も寝てはならぬ」(イナバウアーの曲)。

裁判所から死ぬ麺利を認めてもらえず、
フリアとの死の約束も果たせず、
結局彼は彼に心を寄せる女性や他の友人の手助けで
自らを毒殺する。
手伝った人が罪に問われないような手順を踏んで。
自分の信ずる生の尊厳を皆にわかってもらうために
その瞬間をビデオにおさめながら。

尊厳死・・・・
難しいです。
ラモンが言うように、
体が自由に動く人は自殺を試みることができて
彼らはそれが未遂に終わっても罰せられることはない。
なぜ身体障害者にはそれが認められないのか。
自殺は罪ではないのに、
自殺幇助や同意殺人は罪・・・・。
本人が望んでいるのに。
わかるようなわからないような。
大人がみる、考える映画です。

ラモン役のハビエル・バルデムという役者さん、
いい感じです。
当時36才ぐらいでしたが、
50歳に見えるように特殊メイクしたらしいです。
フリア役の女優さんもすばらしい。

お勧め映画です。