Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

映画  戦場ぬ止み(いくさばぬ とぅどぅみ)

2015-08-10 22:00:35 | Movie


沖縄基地問題に関するドキュメンタリーです。



2014年8月14日、辺野古の海は包囲されました。

辺野古でいま何が起こっているのか・・・。
それは武器を使わない戦争です。

珊瑚とジュゴンの海、自分達の海を、自然のまま残したい人々、
対するのは政府の方針に従って新基地の工事を進めようとする人々。

辺野古のキャンプシュワブのゲート前に座り込む人々や
カヌーや漁船で海を守ろうとする人々、
対するのは、かれらを排除しようとする警察や海保の制服を着た人々。

みんな、うちなんちゅ(沖縄の人)。
おじいもおばあも若いひとも、みんな体をはって戦っている。
それを無表情に任務遂行する人たち。
みんなうちなんちゅなのに・・・。

いつになったら沖縄は戦場ではなくなるのか。
うちなんちゅ同士仲良く笑って過ごせるようになるのか。

この映画のタイトルは
「今年しむ月や 戦場ぬ止み 沖縄ぬ思い 世界に語ら」という琉歌の一節から。
今年(2014年)の11月の県知事選挙は私たちの戦いに終止符を打つ時だ。
その沖縄の思いを世界中に語ろう!という意味。

そのうちなんちゅの願いが実現した。
基地反対派の翁長氏が圧勝。

力強いリーダーを得て、今度は本格的に国策との戦いがはじまる。
まだまだ長い道のりになる。
沖縄はあきらめない。
あの地上戦、生き地獄を味わってなお戦いを強いられる。
70年じーっとこらえて戦い続けてきた。

これからもあきらめない。







映画 千年の一滴 だし しょうゆ

2015-07-04 16:30:12 | Movie


製作 2014年 日本・フランス

和食の味の基本「だし」と「しょうゆ」に関するドキュメンタリーです。

「だし」の章では、
知床の昆布漁師さん、枕崎の枯れ節職人さん、宮崎のしいたけ栽培農家さんを通して
だしの素となる食材をはぐくむ日本の自然環境について紹介され、
科学者さんや料理人さんや禅僧さんが「旨み」について語ります。
それぞれの素材がもつ「旨み」という能力を
千年も昔から、四季折々、自然との対話の中で引きだしてきた日本人・・・
その姿に背筋がピンと伸びる思いです。

特に、
かつお節とか椎茸については今まで少し見聞があったんですが
昆布については一番身近なのに全然知らなかったんですごく勉強になった。
昆布ってただ干してるだけだと思ってたのに、
長年の知恵で天気を読み、最適の時に一度夜露に晒すことであの旨みが出るって
なんかすごく感動しました。





「しょうゆ」の章では
日本にしか存在しない黄麹菌(アスペルギルス・オリゼ)について、
日本酒や醤油づくりからひも解いています。



京都の老舗のもやし(種麹)屋さんや醤油屋さん、杜氏さんのお話から、
はるか昔から四季を通して自然と対話しつつ
この黄麹という目に見えないものとともに生きてきたこの国の人々を思い、
心が震える思いです。

ちょっとね、
このところ醤油にやたら興味がわいてきていたところだったので、
この映画を見たのはグッドタイミング。

本州には各県に昔ながらの味噌・醤油の蔵がたくさんあるけど、
北海道にはあんまりないんですよね・・・。
んで、まあ醤油にあんまり興味がなかったっていうのもあって、
必要なときには大手メーカーのを使ってたわけですが
これがまたあんまり美味しいと思えなくて、
さらに醤油への興味が薄れ、
醤油を買わずにだし醤油ばかり使っていたのです。

でも、震災後、東北によく行くようになって、
東北各地の醤油をいただくことが増え、その美味しさにびっくり!
ちょっと時間ができたら醤油の勉強しようかなと
思っていたところだったのです。

日本酒もまた勉強し直したいなあ。
時間が全然足りません(笑)


映画(DVD)  天使の分け前

2014-12-05 23:04:17 | Movie


原題 The Angels' Share
製作 イギリス・フランス・ベルギー・イタリア合作  2012年


ウイスキーのお勉強のためにDVDレンタルしました
レンタルなんて何年振りでしょう。
いまは旧作だと100円で借りられるんですね
入会金入れても400円ちょっと。
どおりで映画館が空いてるわけだ


さて、映画ですが、
イギリスの名匠ケン・ローチが、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した
コメディタッチのドラマ。

生まれた環境が影響して
ケンカが絶えず、人を傷付け、服役経験もある主人公が、
裁判所に命じられた社会奉仕で出会った指導官の影響でウイスキーに興味を持ち、
人生を変えていくストーリーです。

よくありがちな運もお金もない人が
出会いやきっかけで変わっていくサクセスストーリーなんですが、
今回それは置いといて、
スコットランド、特に北ハイランドの風景や、
蒸溜所やテイスティング会の様子など、
今回ウイスキー検定に向けて勉強している内容を実際動画で見ることができて、
イメージづくりに大変役に立ちました。

特に、主人公が初めて蒸溜所見学したときにガイドツアーに参加して、
ウイスキーの製造工程を順に紹介する場面では、
あーこれがマッシュタン(糖化槽)、これがウォッシュバック(発酵槽)、
わーポットスチル(蒸溜釜)がきれい!
これがスピリッツセイフ(蒸溜液選別器)かー・・・・
と何度も繰り返し観ちゃいました。
(DVDだからなせる技



モルトミルっていう幻の蒸留所があったことも知ることができたし、
まあ、
試験のための詰め込み勉強の合間に
よいリフレッシュになりました

映画 世界一美しいボルドーの秘密

2014-11-09 18:25:15 | Movie


原題 Red Obsession

製作 オーストラリア・中国・フランス・イギリス・香港合作 2013年


久々にセンスのない邦題の映画を見ました
まあどうでもいいんですが


はじめと途中のところどころには
美しいフランスボルドー地方に流れるジロンド川やその流域一帯に広がるぶどう畑、
有名なワイン生産者のシャトーの映像とともに、
著名なワイン生産者や評論家が
ボルドー格付けワインの素晴らしさについてインタビュー形式で語っていきます。



かつては日本が、そしてアメリカがボルドー格付けワインの主な買い手でした。
日本でバブルがはじけ、
アメリカではリーマンショック、
買い手が少なくなったボルドーワインを次に買いあさっているのは
経済成長著しい中国の一部のお金持ちさんたちです。

ここからがこの映画の本題。

中国人がいかにワインにクレイジーになっているかを
おもしろおかしく映像とインタビューで表しています。

特に中国人が大好きなのは
格付け1級のCh.ラフィット・ロートシルト。

クリスティーズのオークションでクレイジーに落札している様はまさに
映画の原題にあるObsession(取り憑かれている)ような感じ。

他にもいろんな中国人ワイン収集家をおもしろおかしく紹介していて、
一番上の写真のパイプをくわえたおじさんは、
いわゆる「大人のおもちゃ」を作る工場を持っていてそれで財を成して
ものすごい数の高級ボルドーワインを所有しています。

あ、この人が「大人のおもちゃ」を売って稼いだお金でワインを買い占めてるから
私たちには手も出なくなっちゃうんだ・・・・
って思うと、トホホって感じですが・・・

フランスのワインの流通業者かなんかの人が、
「中国人は、
 『ラフィットは美容にいい。特に女性のお肌にとても有効な成分が入っているから』
 って買っていくんだ」
と肩をすくめ、首をかしげたジェスチャーで語っていて、
思わず笑ってしまいました

シャトーのほうもお金になるからプロモーションして売りに行ったり、
「おいしい」思いをしている部分もあるんだけど、
シャトーに残っているレアヴィンテージを
金に糸目をつけずに何ケースも買い占めようとする中国人に
1本しか売れないと言ったらへそ曲げられたとか
困ったエピソードも

困ったエピソードといえば、
中国人お得意のパクリや模造偽造のお話も
すっかりボルドーのシャトーとおんなじ建物がつくられていたり、
もちろんワインの偽物も。
ラフィットの空き瓶はものすごく高く売れるんですって



いまはお金持ちしかワインを飲んでいない中国も
いずれ庶民が安価なものでもワインを飲むようになるとすれば、
たぶん世界の需要と供給のバランスが崩れるんじゃないかってことで
なんとなく中国政府も国内でのワイン作りを奨励しているらしく、
特に新疆ウイグルとか内モンゴルとかに
ブドウをどんどん植えているみたいで、
ボルドーで醸造を学んだ中国人コンサルタントが
地元民にブドウの作り方教えている映像も。

実際、ワインのコンクールなんかで賞をもらう中国ワインも出てきているそうで。

ああ、今後わたくしもブラインドテイスティングなんかでは
「これは中国かもしれない」という選択肢を持たなくてはならない日も
近いのかもしれません・・・・

まあなんでもいいけど、
ボルドー格付けワイン、少し安くならないかなー


映画   K2 初登頂の真実

2014-10-14 20:55:10 | Movie


原題 K2 - La montagna degli italiani
製作 2012年 イタリア


エベレストよりも登頂が困難とされる
世界第2位の高峰K2への初登頂という偉業の影に隠された真実を、
圧倒的スケールで映画化した山岳ドラマ。

1954年、
イタリア・ミラノのデジオ教授は、
K2の初制覇を目指して最強のアルピニストチームを結成する。

最年少の青年ボナッティは
登頂への強い意志を持って仲間たちとともに難所を乗りこえていくが、
デジオ教授が最終的に登頂アタックのクライマーとして選んだのは
コンパニョーニだった。

しかしコンパニョーニはボナッティに初登頂の栄誉を奪われることを恐れ、
彼に対する妨害を企てる。

コンパニョーニとラチェデッリがK2世界初登頂の歴史的偉業を成し遂げるも、
ボナッティが隊の不利になるようなことをしたと話しそれが公式に記録された。

それは事実と反するとその後50年以上もボナッティは裁判で争い、
初登頂から54年後にようやくK2登頂における事実が認められた。
2004年にはCAI(イタリア山岳会)の公式見解も訂正され、
ボナッティの名誉回復がなされた。

(以上、いろいろな映画評より抜粋)



そのような事実を踏まえてこの映画は作られました。

初登頂という栄誉の陰にこのような傲慢な行為が行われていたなんて・・・

絶対に自分が登頂するんだと強い意思で臨むことと、
仲間をだまして命の危険に晒し蹴落としてまでというのは全く違いますよね。
人間の弱さ、傲慢さを山は見逃しません。

この事実を知ることができて、この映画を見てよかったと思いましたが、
映画自体はなんかちょっとあんまり出来がよくなかったかも
一昔前のドラマみたいなわざとらしい感じが・・・

またいろんな山の本読みたくなっちゃったなー

映画  アンナプルナ南壁 7,400mの男たち

2014-10-14 20:53:08 | Movie


原題 Pura vida - The Ridge
製作 スペイン 2012年


地球上に14座ある8000m越えの峰。

そのうち最初に登頂がなされたのが標高世界第10位のアンナプルナ峰だが、
14座のうちもっとも難易度が高いと言われているのもこの峰だ。

というのも、
世界最高峰のエベレストでさえ、登頂者の死亡率が4%強なのに対し、
アンナプルナは何と40%というから尋常ではない。

この映画は、
登頂が困難を極めキラーマウンテンの異名を持つアンナプルナにおける
救出活動を描いた山岳ドキュメンタリーです。

2008年5月、
危険度が突出して高いこの山の南壁に挑んだ
スペイン人ベテラン登山家のイナキ・オチョア・デ・オルツァが
途中高山病に見舞われ、
同行者がSOSを発信。
インターネットを通じてその報を知った世界10か国12人の登山家は、
危険を顧みずイナキの救出に向けて出発した。

事件から数年後、
スタッフは救出活動をした12人の登山家たちを世界各地に訪ねた。

自らの登山計画を断念してまで救助に参加したスイス人登山家ウーリー・ステック、
カザフスタンの登山家デニス・ウルブコ、
2013年にエベレストで命を落としたロシアの登山家アレクセイ・ボロトフら
救助活動に参加した有名登山家たちの証言を中心に、
貴重な映像を交えながら当時の様子を振りかえる。

(以上、様々な映画評より抜粋)



イナキは残念ながら生きて戻ることはできませんでしたが、
とても美しい人生を送ったのだろうなと思います。

だから多くの人が
彼を何とか生きて下ろすためにベースキャンプに
そして、
イナキがいる7,400mのキャンプ4に向かったのでしょう。

SOSを受けて誰でもすぐ行けるわけではありません。
お金とか時間とかとは別に、
その時点で高度順応しているかどうかが最重要条件。
ベースキャンプで4200m、
そこからイナキのいる7400mまで行かなければならないのです。
しかもキラーマウンテン・アンナプルナ。

これだけの優秀な登山家12人がすぐに集まれる条件を持っていたことに
感動しました。

そして、
彼らのような世界的登山家が語る、
山と向き合い自分と向き合う信念や死生観 に強く共感しました。

『登山とは限界との戦い。
 さまざまな辛さと向き合い、受け入れ、やり過ごし、
 不快をどのように快適に変えるか・・・。
 山は力技で登るのではない。心で登るのだ。』

『登山で興味深いのは、
 自分がどうやって困難を乗り越えるか。
 どうやって厳しい局面で親友と親友のままでいられるか。』

『山ではいろんな国の人が行き交っている。
 でも我々はそれぞれ違う国から来ているというより
 “山”という同じ国の人間なんだ。』

『登山はばかげていると人は言う。
 誰かが山で命を落とすと、その声は大きくなる。
 だが、山に登るのは死ぬためじゃない。
 生きていることを噛みしめるためだ。』

一番最後の言葉は、
特に9月27日の御嶽山の噴火で亡くなられた方のご遺族や、
九死に一生を得た人たち、その周囲の人たちに聴いてほしい言葉です。

「山に登るのは生きていることを噛みしめるため」
字幕のままだとこういう表現なのですが、
原語ではこう語られています。
“We go there to taste the real taste of life.”

もうひとつ、
この映画の原題に感動しました。

“Pura Vida”

英語にすると”Pure life”.

山に登る人は、
生きることを純粋に味わい噛みしめることに魅了されている人、
そのように生きた人、
そのように生きようとしている人、なのだと思います。


映画  変身 - Metamorphosis

2014-06-28 22:19:33 | Movie


変身 - Metamorphosis
2013年/日本
監督/脚本/撮影/編集/ナレーション 堀 潤


元NHKの堀潤さんが製作した、
日米の原発メルトダウン事故を追ったドキュメンタリー映画。

アメリカの事故については、
堀さんが2012年からUCLAの客員研究員だったときに取材した
スリーマイル島原発事故(1979年)と
サンタスサーナ原子炉実験場事故(1959年)、
が取り上げられています。

サンタスサーナのことは全然知りませんでした。
それもそのはず、
最近までその事故で放射能汚染が起こっていたことは
アメリカ国内でも全く知られていなかったのです。
周辺住民の中には乳がんは白血病が多かったのです。
みんな何も知らないでこの土地で子供を産み育てていたのです。
54年も経った今、
住民の闘いが始まったのです・・・・。

スリーマイルについては、
メルトダウン、レベル5、放射能汚染に関して、
「全然気にならないよ」「だって僕らはこうして生きてふつうに生活しているじゃないか」
という住民と、
放射能の動向とその環境への影響を事故以来ずっと調査している団体の人とのギャップが
印象的でした。

団体の代表者は、
「僕たちがもっと、情報が多くの人の目に触れるよう努力していれば、
 福島の人たちをもっと救えたかも知れなかったのに、
 すまないと思っている」
といったようなことをおっしゃっていました。

また、UCLAの研究者が福島のSPEEDIのデータをビジュアル化して、
こういう情報に住民がアクセスできていれば、
線量が高い方高い方へと避難したりはしなかったでしょうね・・・と
おっしゃっていました。

調べてみると、
実に多くの国で原子力の事故が起こっています。
しかし情報は十分公開されず、
私たちもそれを求めようとはしてこなかった。

そういう時代遅れなことは
もうこの福島第一の事故で終わりにしたいですね。

スリーマイルの活動団体の方はこうも言っていました。
原子力の事故はいつ起こったかはわかるけど、
決してこの日で終わりという風にはならないのだ・・・と。

そう、決して終わらないのです。
だからだんだん風化して忘れられてしまう・・・。


監督の堀さんはこの映画を
カフカの有名な同名の小説から「変身」と名付けたそうです。

「変身」の主人公はある朝突然、自分が虫になっていることに気づきます。
主人公は突然降ってきた災難によって自分はどうなるんだろうという不安を抱えながら、
家族のために自分は息をひそめていようとします。
周囲からも、はじめはかわいそうに思われていますが、
だんだんに疎まれ、放置されていきます。

これが、福島をはじめとした原子力事故とどこか重なるのではないかという思いを
タイトルに込めたのだそうです。

カフカの「変身」の主人公は最後には死んで、
家族は「なんか清々しいわ」みたいなこと言って終わるんですが、
原子力の事故には決して終わりはないのです。
汚染の影響は何十年、何百年と続くのですから。


福島第一の収束作業のずさんさも、
この映画では取り上げられています。

多重構造の雇用形態で、
詳しいことを知らされないまま福島に移動させられて、
原発で働いたことがありますとか現場の経験がありますみたいなウソの経歴を書かされて、
低賃金無保証で高線量区域で作業されられる人々・・・・。

誰かが片付けなければならない。
遅々として進まない作業。
現場で作業を経験した人が言っていました。
あんな状況では、
今この瞬間に生まれた子どもの中でも
20年後とかにこの片づけの続きをする人がいるんだろうな・・・と。

そんな情けないことってありますか・・・。

映画は、原発再稼働反対のデモの様子を映して終わります。



この日は映画終了後、
監督の堀潤さんを迎えて、ワークショップ形式のトークイベントがありました。


映画のこと、NHKの裏話、福島のこと・・・
時間がいくらあっても足りない感じの興味深い時間でした。

日本のメディアにこういう方がいることを頼もしく思います。

この映画をたくさんの方に見てもらいたいと
心から思います。

映画  先祖になる

2014-03-11 23:41:09 | Movie


先祖になる
製作 2012年 日本


あー泣いた笑った!

もうかっこよすぎです、主人公のおじいさん。

おじいさんなんて言ったら失礼か
佐藤直志さん 77歳、岩手県陸前高田市在住、職業きこり。

あの津波で家の1階が壊滅。
長男を失った。

息子の遺体が見つからないのに家を空けるわけにはいかないと。
避難所には行かず、壊れた家で奥さんと嫁と暮らす。

そのうち仮設住宅が建ち、役場の人が申し込みをしてくれたけど、
「また元のところに家を立てる」
といって動かない。
妻と嫁は仮設に行った。

ひとりで壊れた家で暮らしながら、
田んぼで自家用の米を作りはじめ、
まだガレキも片付かない土地に蕎麦の種を撒き、
チェーンソーで木を切って自宅の再建にまっしぐらに進みはじめる。




監督は池谷薫さん、
わたしも以前観た、『蟻の兵隊』の監督さんです。
よくぞあんなにチャーミングな人を見つけてくれました。
このドキュメンタリーを撮るために1年半で50回も陸前高田に足を運んだとか。
今まで見た震災関連のドキュメンタリーってみんな宮城か福島が舞台で、
岩手までは映画監督さんたち来ないのかなーなんて思ってましたが、
こんな素敵な作品撮ってくださって感激です。


この映画の舞台となっている陸前高田・気仙地区は、
わたしも何度か行って歩いたことがあり、
震災から結構経って、近くに仮設住宅もあるのに、大きなテントが何張りか立ってて、
え?まだテント生活してる人いるの?って思ったんですが、
この映画に出てくる人たちだったということが分かりました。

直志さん以外の人たちもみんなステキです。

早くまた陸前高田に行きたくなっちゃいました

映画  アレクセイと泉

2014-03-04 22:56:57 | Movie


アレクセイと泉
製作 2001年 日本


これ、ずっと前から見たかったんですがチャンスに恵まれず、
ようやく見ることができました。


すごーくステキな作品でした。






ベラルーシ共和国ゴメリ州、ロシアとの国境に接するブジシチェ村。



1986年4月26日、
180キロ離れたチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故によって
放射能に汚染されたこの村には、
2001年現在、
55人の老人と小児麻痺の後遺症のあるアレクセイという1人の青年が暮らしている。


6千人いた住民は、政府の移動勧告によって村を去った。


何百年、何世代に渡って大地を糧に営みを続けてきた彼らの生活は昔と変わらない。


収穫の夏は1年で一番忙しい季節。
人間と家畜の1年分の食料を蓄えるためのジャガイモの収穫には、
町に出て行った息子たちも手伝いに帰って来る。

夏の終わりには収穫祭。

そして、厳寒の冬には川や池に張った氷を割って川魚漁も行われる。

農閑期には皆静かに屋内で過ごす。
自分で編んでカゴを作る。糸をつむいで機を織る。

大半が自給自足で賄われ、
隣の村に移動するときは、農耕馬に荷台をつけただけの馬車に乗る。

人々は森から木を切り、丸太を斧で整え薪にして、
飼っている鶏を絞めて、かまどで料理して食べる。
村にはガスなんてない。
電気も明かりを取る程度のごくわずかなもの。
水道もない。


村人は泉まで来てはバケツで水を汲んで天秤竿で家まで運ぶ。
その水で料理をしたり家畜のえさを作ったりする。
バケツに水が無くなればまた泉まで行く。
それを一日に何度も繰り返す。


村人たちの心の拠り所となっている泉。


村や周囲の森には今も放射能が検出されているのだが、
その泉は、
不思議なことに、事故以来一度も放射能が検出されることなく、
綺麗な水を混々と湧出している。


村人たちはその泉を「百年の泉」と呼ぶ。
老人たちは「この水を飲んでいれば大丈夫」という。


村人たちは、この泉の恩恵を受け、祈りを捧げながら、
命を全うするのでしょう。
電気とか原子力とかの遥か前から、ご先祖がそうしてきたように・・・・。


(以上、映画紹介サイトから一部抜粋)



牧歌的な四季折々の風景と、水、風、土、木などの自然の音、
村人の声、当たり前の生活が坦々と映し出され、
強く深く五感に染み渡ります。


村の人たちは、
高い線量の土地で育てたじゃかいもやりんご、森で獲れたキノコ、
その土地の草を食んだ家畜の肉や乳を食べて暮らしているんだけど、
この泉の水で洗った作物、その水を飲んでいる家畜は、
浄化されちゃって、
放射性物質なんて検出されないんじゃないか・・・なんて、
非科学的なことを考えてしまいます。


それくらいこの村の営みは、
自然と人々の心が一体化して、感謝と祈りに満ちている。


アレクセイは言います。

「僕の体にはこの泉の水が流れている。
 その水が僕や他の村人を泉のもとに留まらせている。 
 村を離れた人もいつも村を思っている」

「昔からの言い伝えで、
 自分が生まれた土地の役に立つ人になりなさい、
 というのがある。
 僕はこの村で生まれてそこの役に立つためにここにいる。」






ある日、
泉の隣に作られた洗濯場の木枠が修理されることになった。

70才を越える男たちが
森で木を伐りノコギリやナイフなどのシンプルな道具のみで
木枠をこしらえていく。

次に修理が必要になるときには
もう村には誰もいなくなるだろう・・・・、
そう思いながら老人たちの仕事を手伝うアレクセイ。


この村は居住を許されていない地域なので、
地図上には存在していません。

55名の老人たちが、
一人また一人と天命を全うし、村人がどんどん減って、
この村が地図だけではなく本当に無くなってしまうまで、
アレクセイは見守り続けるのでしょう。



映画 3.11から3年ー福島と石巻から心を見つめる

2014-03-02 23:15:20 | Movie
東日本大震災以後、
毎年この時期になると
震災関連の短編が何本か上映されます。

この日は2本見ました。



んで、全部、海さ流した。
製作 2013年 日本  30分

石巻出身の監督が津波の被害にあった故郷を舞台に描いたデビュー作。

あの震災以降、
津波で家族を失った人とか、
復興のためにがんばってる人とか、
そういうことに注目が行きがちだけど、
それだけじゃない。
他のところでも起きているような喪失や気怠さなんかを抱えた人たちもいる。

建物がほとんどなくなってしまって
周りが「絆」だとか「がんぱっぺ」とかいってる町では
津波とは直接関係ない孤独やもがきは、
目立たなくなっちゃってるんだけど、
たぶん結構たくさん存在していて、
それらは震災とは別の「つながり」とか「希望」を探しているんだろうな・・・・
と思いました。




 
福島の未来ー0.23μSv
製作 2013年 韓国 69分

福島とチェルノブイリをテーマにした韓国の映画です。

福島の仮設に暮らす人々とそれを支援する人々、
内陸だけどホットスポットがある町に住んでいて、
毎日線量を測って暮らしている人・・・・。

彼らと全国から集まった合計17名が、
チェルノブイリに向かった。

26年経ってなおまだ居住禁止となっている町の様子、
いまだ廃炉に向けた工事が進行中の原発内部、
少し離れた町にある小児科病院の癌の子どもたち、
通常の学校の生徒たちの健康状況など、
視察した様子が映しだされます。
四半世紀以上たってもなお
子どもたちには健康被害が出ているのです。

そしてまた福島へ。
国が決めた基準0.23μSv毎時という基準を
超えることも珍しくない場所での日常生活・・・・。
そこで子供を産み育てようとしている若い女性。
除染を済ませた幼稚園では子供たちが園庭で元気に遊んでいるが
門を出ればそこは0.23以上の世界。

0.23ってなんなんだろう。
除染ってなんなんだろう。
中途半端な除染で市民に「戻ってください」って、
それで復興ですか?

胸が痛くなる・・・けど、
たくさんの人に知って欲しい作品でした。