原題 The Falcon and The Snowman
制作 アメリカ 1985年
70年代、冷戦時代の真っ只中の実話に基づくお話。
元FBI捜査官の父と厳格なカトリック信者の母、
そして8人の弟や妹とを家族に持つ22歳のクリス。
父のコネで国防総省関連の会社に就職する。
そこは政府やCIAのスパイ衛星を機能させるための会社だった。
クリスはそこに送られてくる国家機密事項を目にする。
当時のオーストラリア首相ホイットラム氏が
アメリカに都合が悪い動きを始めると
彼が退陣に追い込まれるように
アメリカ政府は裏で工作をしていたのだ。
正義感が強いクリスは
この情報を見て見ぬふりをできなかった。
そして幼馴染のアンドルーに相談。
メディアに情報提供するなどいろいろ方法はあっただろうに、
彼らはその情報をソ連に提供することにした。
クリスは会社から情報を盗む、
アンドルーがメキシコのソ連大使館と接触して
情報を渡す役目・・・・。
はじめはうまくいっていた。
でも、もともとヤク中で売人のアンドルーと
クリスとの信頼関係の微妙なズレや
ソ連側が思ったより貪欲でしたたかであったことなどから
少しずつ歯車が狂い始め、ついに2人はFBIに逮捕される。
逮捕された後の取調べシーン。
取調官に
「政府に抵抗したいなら他にも方法があっただろう」
といわれ、クリスは
「僕はスリルが好きなんだ」と。
若いがゆえの潔癖さから、
自分の国がベトナムで殺戮を繰り返し、
石油で金儲けをしていることに傷つき、
そしてスリルを求めながら悪を罰しようとする・・・。
クリスの家では話し合いが行われていた。
父親が元FBIということで
クリスは裁判を受けずに済むという話が持ち込まれた。
父親は、
「クリスの小さな弟達が学校でいじめられて帰ってきた。
共産主義といわれ、石を投げられたそうだ。
・・・・・クリスには裁判を受けさせよう。」
そしてクリスは懲役40年、アンドルーは終身刑の判決を受ける。
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映画見てるときは、
当時の政治の状況に関する言葉がいっぱいで、
こんがらがっていたのですが、
あとでネットでこの事件に付いて調べていたら
意外なところで日本と繋がっていることがわかりました。
ロッキード事件で有罪判決を受け、
控訴したまま病死してしまった田中角栄元首相。
彼もまたアメリカの陰謀でロッキード事件の被告に
仕立て上げられたという説があるようです。
73年の石油危機で日本経済は不況とインフレに見舞われた。
当時の田中首相は石油依存度を下げるために
オーストラリアでのウラン開発(原発推進)に取り組んだ。
このとき田中首相と共同ウラン開発を進めようとしたのは
ホイットラム豪首相。
彼はこの映画の中でも出てくるように
アメリカの陰謀で退陣させられた。
そして田中角栄元首相も・・・・。
当時世界の石油を牛耳っていたアメリカにとっては
このような日豪の動きは不利であったと思われるのだ。
はぁ・・・・なんて国でしょう・・・。
ってか、私そこに住む予定
クリスは
多くのインタビューのオファーを受けましたが
82年に獄中でオーストラリアのインタビューを受けた以外は
ほとんどメディアに登場していないようです。
82年のインタビューの詳細をネットで見つけました。
映画でいまいちわからなかったところが全て解決しました。
「いま全く自由になれるとしたらどうする?」
と聞かれて、「ソ連に行く」と答えています・・・。
ほんとにアメリカが嫌いなんでしょうね。
2003年に
仮釈放で観察つきでシャバに出てきているらしいです。
彼が本当に自由になれるのは2046年だそうです・・・。