東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

更新料支払特約があっても法定更新した場合、支払い義務はない (東京・練馬区)

2011年04月21日 | 更新料(借地)

練馬区練馬に住むAさんは、2010年9月に地主の代理人弁護士から、電話で更新料の支払を請求されました。

 父親が死亡し、今回初めて更新を迎えたAさんは、専門的な知識が必要になるということで組合に入会しました。組合で契約書の内容をみたところ、前回の更新時に合意更新した契約書に記載されていなかった更新時の更新料支払特約が、2年後に父親死亡に際して作成された新しい契約書の中に記載されてしまったことが確認され、慎重に対処することにしました。

 最初に更新料を支払う法的根拠と請求してきた金額の算出根拠を求めたところ、はっきりした根拠はないが、Aさんの出せる更新料を提案してくれと言ってきました。

 組合と相談して、平成14年の最高裁判決(註)にあるように更新料支払特約があっても法定更新した場合、この特約は無効であるというものを示し、支払い義務は無いと回答するとともに、増改築について事前の承認が得られるならば一定の承諾料を支払う用意があると回答し、交渉することにしました。

 

全国借地借家人新聞より 


(註) 地主が借地人に対して契約で合意した(約定)更新料の支払を求めて東京地裁に訴えた事例を検討してみたい。これは江東借地借家人組合の会員の場合である。
 裁判では法定更新の場合、借地人の約定更新料の支払義務の有無が争点になった。

 東京地裁は「更新料支払合意が契約の法定更新の場合を除外する趣旨のもの」とは認められないとして借地人は法定更新しても約定更新料の支払義務を負うと判示し、借地人に更新料約76万円(坪当り約25,600円)の支払いを命じた(2000(平成12)年3月13日判決)。

  しかし、地主は更新料が低額であるとして東京高裁へ控訴した。東京高裁は「法定更新された本件においては、本件更新料支払合意は効力を有するとは認められず、したがって、右合意を根拠とした控訴人(地主)らの本件請求は本来理由のないもの」(2000(平成12)年9月27日判決)として地主の請求を根拠が無いと否認した。

 地主はこの判決を不服として最高裁へ上告した。
 最高裁は、予め合意された更新料支払の約定は法定更新の場合には適用されず、借地人の更新料支払義務を負わないとする東京高裁の判決趣旨を是認し、地主の上告を棄却した(最高裁2002(平成14)年2月22日判決)。・・・・東京・台東借地借家人組合

 

東京・台東借地借家人組合

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